※この作品はR-18です。

大江戸捜査網 ハーレム・サムライ   作:a-su

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(前回のあらすじ)
 攘夷を掲げる〈黒卍党〉の一派と神奈川奉行所の藤尾七蔵は、ジェニファーが作り出した不妊薬を利用し、異人の娘を性玩具に作り変えようとしていた。
 自らも異人であり両性愛者でもあったお英は、運命に悩み苦しみながらもジェニファーを救うため、船で横浜に向かう。
 実は〈黒いデウス〉の支援を受けていた藤尾は、海上でお英・お雪と対決し、その醜悪な野望を砕かれる。
 事件を通じ、自分の愚かさを痛感した太一郎は、ついにジェニファーを妻にする決意を固めたのだった。



第六回 太一郎、宝船に乗る
Aパート


 秋を告げる風が、夕暮れの江戸を吹き抜けた。

 浅草を出た太一郎とジェニファーは、上野を抜け、妻恋坂にほど近い、太一郎の拝領屋敷へと歩いていた。

 

「ねえタイチロウ、本当に大丈夫なの? いきなり美樹さんに挨拶なんて」

 

 ジェニファーがそう尋ねると、太一郎は苦笑いを浮かべた。

 

「事前に言ってある。二人目の女房を連れてくるから、酒の支度を頼むと」

「あなた、正気? 美樹さんはなんて言ったのよ」

「何も。俯いて、わかりましたと言うだけだったさ」

 

 浮かれていたジェニファーだったが、俄に不安が増してきた。

 そもそも重婚は重罪だが、ジェニファーは異人であるからそれ以前の問題だ。太一郎がジェニファーを妻にと望んでくれても、現代で言う事実婚以上の扱いを受けることはないであろう。まして太一郎の妻・美樹は、彼の上役である小野寺勘蔵の娘だと言う。美樹に離縁されれば、太一郎に明日という日はない。

 それがジェニファーの認識であった。

 

「あなた、楽観が過ぎるんじゃないかしら。美樹さんが薙刀構えて待ってたらどうするつもりなのよ」

「薙刀なんざ怖かねえや。矢でも鉄砲でも持ってこい、さ。今おれが怖いのは、お前と美樹に愛想を尽かされることだけだよ」

 

 太一郎はジェニファーの手を取った。指先に口づけをし、それから手の甲にも唇をつける。

 

「まあ……!」

 

 ジェニファーの頬が朱に染まった。

 太一郎はそんな彼女を優しく抱き寄せると、耳元で囁く。

 

「何も心配するな。お前はただ、俺を信じていればいいんだよ」

「タイチロウ……ふふっ。タイチロウのそういうところ、好きよ」

 

 二人はやがて、屋敷の門にたどり着いた。

 

「お帰りなさいませ、太一郎様。そちらの方が、ヴィンケルマン様ですね」

 

 太一郎の妻である美樹は、二人を出迎えると頭を下げた。

 

「……はい。初めまして、ジェニファー・ヴィンケルマンと申します」

 

 ジェニファーは、美樹とは初対面だった。

 美樹は、いかにも大和撫子といった女性だった。ジェニファーより二つ歳上で、赤毛に近い髪色をしており、それを見事に結い上げている。背筋がピンと伸びていて、所作には品があった。

 

「お話は伺っております。わたくし、出楠太一郎の妻、美樹と申します。以後、お見知りおきください。……では、こちらへ」

 

 そう言うと、美樹は二人を客間へ案内した。

 

「太一郎様、お召し替えをなされますか?」

「いや、先に茶をくれ。今日は冷え込む」

「はい、太一郎様」

 

 美樹はそう答えると、部屋を出て行った。

 

「どうだ、ジェニファー。あれが俺の女房様だ。女房同士、仲良くしてやってくれ」

「え、ええ……」

「どうしたんだ、浮かない顔をして」

「……どうしたじゃないわよ! 美樹さんからしたら、私、間女みたいなものよ! 気まずいに決まってるでしょ!」

 

 美樹が、盆に湯呑を乗せて戻ってきた。

 

「あら、ヴィンケルマン様。どうかお気になさらず」

「あ、あの、すみません」

「おい、何を謝ることがあるんだ」

「だって……」

「ヴィンケルマン様。粗茶ですが、よろしければ」

 

 美樹がそう言って、順番に湯呑を配っていく。

 

「あ、ありがとうございます。いただきます」

「気になさらないで下さい。太一郎様の言いつけられたことですから。それに、美樹は出楠家の妻ですから」

 

 美樹は微笑む。しかし、その笑みにはどこか得体の知れないものが混じっているように思えた。

 

「ジェニファー、喉が乾いているだろう。遠慮せず飲んでくれ」

 

 太一郎はそう言って、ジ(・)ェ(・)ニ(・)フ(・)ァ(・)ー(・)の(・)前(・)に置かれた湯呑を手に取り、一気に飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

◆大江戸捜査網    

   ハーレム・サムライ◆

 

第六回 太一郎、宝船に乗る

 

 

 

 

 

 

 

「タ、タイチロウ?」

「…………お味は如何ですか、太一郎様」

 

 美樹の問いに、太一郎はこう答えた。

 

「ああ、うまいよ」

「……」

 

 美樹は沈黙している。一方、太一郎は平然としていた。

 

「ジェニファー、こっちを飲むといい」

 

 そう言うと、太一郎は自分の前に置かれた湯呑をジェニファーに差し出した。

 

「あ、うん」

 

 ジェニファーは戸惑いながらも、太一郎の湯呑を受け取る。そして、怖る恐るお茶を口に含んだ。

 

「……おいしい。茶葉もいいものだし、淹れ方が上手いのね」

「そうだろう。美樹の目利きは確かだからな」

「そうですね。太一郎様も慧眼でいらっしゃいます」

 

 美樹は笑顔でそう言った。しかし、目が笑っていない。ジェニファーはまるで値踏みをされているような居心地の悪さを感じた。

 

「ところで、ヴィンケルマン様。とても良いかんざしをされていますね。山茶花の花があしらわれてありますが、ひょっとして、太一郎様が贈られたものではございませんか」

「ええ……浅草の仲見世で」

 

 ジェニファーも、生来負けん気の強い女である。きっと顔を上げ、美樹に目を合わせて言った。

 

「美樹さん、出楠家の家紋は山茶花だそうですね。タイチロウがこれを贈った意味を、私は重々分かっているつもりです。私はタイチロウを愛しています。どうか、私のことを許して欲しいのです」

 

 いかにも異人らしい直球の言葉であったが、対する美樹は楚々として笑い、こう言った。

 

「許すも、許さないも。……実はわたくしも、太一郎様に贈っていただいたのです。ほら、ここに」

 

 美樹はそう言うと、自分の髪を掻き分けた。そこには確かに、白い山茶花の髪飾りが飾られていた。

 

「太一郎様は、洒落た方でいらっしゃいますから。美樹は幸せ者です」

 

 美樹はそう言って、目を細めた。

 

 太一郎が言った。

 

「美樹、ジェニファー。これからは何事も、そうする。お前たちに差は付けたくない。おれはもう、お前たち無しじゃ生きていけないんだ」

「…………」

「…………」

 

 沈黙。美樹は目を伏せて、肩を震わせ始めた。ジェニファーも泣きそうになっていた。

 

「お前たちには本当に済まないと思っている。本当なら、祝言の前にこうするべきだった。ジェニファーを隠さずに、美樹の許しを請うか、いっそ破談にすべきだったんだ」

 

 美樹は三つ指をついて頭を下げた。

 三つ指とは親指、人差し指そして中指を指す。手のひら全体をつけないため、上体の倒れは浅く、どちらかと言えば家族や親しい友人に用いる軽い礼だ。つまり、美樹の顔がよく見える。

 

「ひっ!」

「……美樹」

 

 美樹の目に怒りはなかった。だが、憎悪はあった。

 ジェニファーは、そのような顔をした患者を見たことがあった。その患者はアヘン中毒者で、禁断症状に苦しみながらジェニファーをなじった。どうして自分からアヘンを取り上げるのか、と。

 医師として、ジェニファーはそれに耐えた。それが医師の使命だからだ。だが、今は。

 

「太一郎様、美樹は……………………美樹は……………………。夕餉の支度を、して参ります」

「ああ、頼む」

 

 美樹は立ち上がると、足早に部屋を出て行った。

 ジェニファーは、その背中を呆然として見ていた。

 どっしりと構えた太一郎が、彼女に言う。

 

「ジェニファー、悪いが最後まで付き合ってもらうぞ。おれは生きている限り、お前も美樹も手放すつもりはない。必ず幸せにする。だから、何も心配しないでくれ」

 

「タイチロウ……私はいいのよ、ずっと、夢にまで見た一言を言ってもらえたんだもの。どこまででも……でも、美樹さんは既にあなたの妻なのよ。自分の人生が崩れていくように思ってるんじゃあないの。それなのに……どうしてそんなことが言えるの」

 

「美樹はおれのもので、おれは美樹のものだからだ。そう信じている。それが間違っているかどうか、今日分かるというだけのことさ」

 

 太一郎は、あくまで悠然としていた。

 

 ◆◆◆

 

「お待たせしました」

 

 美樹が、火の入った七輪を抱えて戻ってきた。

 

「鍋料理か? 豪勢だな」

「あの、美樹さん、私も手伝いを……」

 

 ジェニファーが腰を浮かせるが。美樹はぴしゃりと言った。

 

「いいえ、お客様はお座りになっていてください」

 

 そうして部屋を出ていく時、美樹はさらに言い重ねた。

 

「ヴィンケルマン様、お台所には、決して、入ってこないで下さい」

「え……」

「では、失礼します」

 

 美樹はさっさと出て行ってしまった。

 ジェニファーは太一郎を見るが、どこ吹く風といった様子で煙管(きせる)を吹かしている。

 

「お前も吸うか? 気分を落ち着けた方がいいぜ」

「うん……」

 

 そうして、七輪の上に鍋が据え付けられ、太一郎には酒、ジェニファーの前には茶が置かれた。

 

「ふぐ鍋でございます。出汁は昆布、下地は上方の醤油、どぶ酒を多めに使っております。大蒜(にんにく)を吸口に、お召し上がり下さい」

「ふぐ……?」

 

 ジェニファーの知らない食材であった。だが、見た目は普通の鍋物に見える。香りも素晴らしい。

 

「淡白だが、うま味のある魚だ。特に冬は抜群にうまい。だが、毒のある魚だ」

 

 そう言った太一郎が、鍋を取り分け始めた。自分のと、美樹そしてジェニファーの分だ。

 

「普通、武士の家で鍋料理などしないんだがな。おれが外で味を覚えてしまったものだから、美樹は道具を揃えて季節ごとに拵えてくれる。秋はきのこ、冬は魚、春はももんじ(ジビエ)。それから時々、珍しいものを仕込んでくれることもある」

 

「あの……今、毒があるって……」

 

 ジェニファーはおずおずと尋ねたが、太一郎はニヤリと笑っただけだった。

 

「ああ。しかも季節ごとに毒のある場所が違う。冬のものは魚屋が見事に捌いてくれるが、今の季節は無理だろうな。美樹、これはお前が捌いたのか?」

 

 美樹は静かに言った。

 

「はい。お金を積んで、日本橋で漁師から直接手にいれました。もちろん魚屋に捌き方を習い、練習を重ねましたが、どうしても素人の手になる部分はあると思います」

 

 太一郎は、そうか、と言って、椀の中身を食べ始めた。

 

「タイチロウ!? 止めなさい! 死んじゃうわよ!」

 

 ジェニファーは悲鳴を上げたが、太一郎は無視して食べ続けた。

 

「ああ、うまかった」

 

 食べ終えて椀を置いた太一郎に、美樹が問いかける。

 

「いかがでしたか」

「うん、最高だ。やっぱり、美樹が作る鍋は美味いな」

「ありがとうございます……美樹は、幸せです……」

 

 美樹は深々と頭を垂れた。

 ジェニファーはそのやりとりを見て、ゾッとした。

 

「美樹さん……あなたは……何てことを……」

「ヴィンケルマン様」

 

 美樹がジェニファーの方へ向き直る。その顔は青ざめて見えた。

 

「お召し上がりになりますか。ふぐの毒を何と申すかは存じませんが、当たれば時を置いて息ができなくなり、息を吹き込み続けなければ死に至るとか。万に一つ、太一郎様が当たっても、お医者様であるあなたならば、助けられるかもしれません。そうすれば、あなたは誰に気兼ねをする必要も無くなります」

 

 美樹はそう言って、自分も椀の中身をかき込んだ。

 

「美樹さん……あなたは……」

 

 ジェニファーは震えていた。

 彼女には、医師としての使命がある。患者のために、医師は自分の健康を守らなければならない。だから、ジェニファーは節制を欠かしていない。煙草は吸うが、それは太一郎への付き合いでだけだ。

 

「ジェニファー。食べても、食べなくてもいい。そんな事で、おれの気持ちは変わらない。だが、決める前におれの話を聞いて欲しい」

 

 太一郎は正座すると、二人の目を交互に見つめてから、言った。

 

「おれはな、人殺しが好きなんだ」

 

 ◆◆◆

 

 太一郎は全てを語った。

 

 生まれつき、殺しに快楽を覚える体質であること。

 四つの時、罠を仕掛けて野良猫を殺したこと。

 十の時、追い剥ぎを追跡して殺し、その時に精通したこと。

 十二の時、武者修行の旅に出て、各地の武芸者を殺して回ったこと。

 十三の時、横浜でジェニファーに出会い、十四で初めて裸で抱き合ったこと。

 十五の時、元服して美樹を嫁にもらい、祝言を挙げたこと。

 同じ頃、隠密同心となり、それから今まで、数々の悪党を殺めたこと……。

 

「何でだと思う? おれにも分からねえ。ただ、そういう人間に生まれついちまったのさ。生まれつき、狂ってんだ。鬼なのさ。だけどさ、それでも、父上はおれが幸せに生きられるようにと、全てを注いで下さった。だったらもう、おれはそれに応えるしかないじゃあねえか。幸せに生きるために、全てを賭けなきゃあ、顔向けできねえじゃねえか」

 

 太一郎は、伝法な口調で、しかし淡々と語った。

 

「ジェニファーの存在を隠したのは、どうしても嫁をもらって立派な侍になりたかったからだよ。死に目にも会えなかった父上のために……。だから、万一にも破談になるかもしれねえ道は選べなかった。……家を捨てて、浪人した方が、隠密をやるにも楽だったのにな。死んだ人間を盾にして、卑怯な言い訳だと思う。罵ってくれて構わねえぜ」

 

 そう言って、太一郎は頭を下げた。

 

「そんな……わたしは……ただ……あなたの幸せを守りたくて……でも……まさか……そんな事が……信じられない」

 

 ジェニファーは混乱していた。だが美樹は、涙を流して感じ入っていた。

 

「美樹さんは知っていたんですか? タイチロウがこんな事を……」

「いいえ……でも、太一郎さまを信じておりました。真実など、どうだって良かったのです。太一郎さまがお傍に置いてくださる限り……」

「美樹……」

 

 太一郎は、愛おしそうに美樹を見やった。

 

「おれは狂った鬼だから、一人じゃ生きていけない。美樹がいてくれなきゃ駄目だ。だからおれは、美樹を離さない。絶対にだ」

「はい、太一郎様。美樹は、地獄までお供いたします」

 

 美樹は涙を浮かべて、うっとりと微笑んだ。

 

「タイチロウ……私は……」

 

 ジェニファーは呆然としていた。

 

「ジェニファー、おれはお前を愛してる。お前もおれを、五年間ずっと愛し続けてくれた。それにお前は、おれが隠密だと知っていた。何となく、おれの本性にも気付いてたんじゃないのか」

「そうね……薄々とは分かってたけど……」

 

 ジェニファーは涙を拭った。

 

「でも、まさかそこまでとは思わなかったわ」

「ああ。悪かったな。黙っていて」

「いえ……いいの。話してくれてよかった。私こそごめんなさい。あなたの秘密を暴いてしまって……」

「いいさ。いずれバレることだし、おれたちは夫婦になるんだからな」

 

 ジェニファーは大きくため息をつくと、天井を見上げた。

 

「私は……食べないわ。あなた達、危なっかしいもの。家族の中に、一人くらい冷めた女がいたっていいでしょう?」

 

 彼女は立ち上がって、美樹を抱きしめた。

 

「ヴィンケルマン様……」

「ジェニーで構わないわ。愛称っていうのよ、そういう呼び方」

 

 ジェニファーは美樹の背中を優しく撫でながら言った。

 

「美樹さん、あなたは強い女性ね。あなたの覚悟に免じて、タイチロウと結婚したことは許してあげる」

「ジェニーさん……わたくしも、許して差し上げます。勝手に、太一郎様と夫婦になったこと」

 

 二人の女を、彼女たちの夫が抱き寄せた。

 

「ジェニファー、美樹、お前たち……」

 

 太一郎は二人に口づけをした。

 

「んっ……ふふふ、情熱的ね」

「ちゅっ……ああ……太一郎様……」

 

 太一郎は、立ち上がって衣服を脱ぎ、男根を晒した。そこは既に、腹を打たんばかりに勃起している。

 

「脱げ。今日おれは、お前たち二人を孕ませてやる」

 

 ◆◆◆

 

 太一郎は、全裸で自分の勃起にかしずく二人の妻を見下ろして、感無量であった。

 

(やった……遂にこの日が来たんだ)

 

 初めて美樹を抱いた日、ほんの僅かな後悔があった。こういう光景を逃したというその後悔は、その時得られたはずのものを遥かに上回る絶景となって、太一郎の元に帰ってきた。

 

(父上、おれは成し遂げたのです! この二人に子を生ませ、父上がくれた以上の愛を注ぐ所存です!!)

 

 突き抜ける歓喜のまま、心の中で亡き父親に報告する。

 

 まず、美樹が食らいついた。

 

「じゅぶっ! ずぢゅるる……れりょ……太一郎しゃまぁ……しゅきぃ……♡」

「くぅ……美樹……! 相変わらず、すごい舌使いだな……!」

 

 美樹は恥も外聞もかなぐり捨てて、夫の剛直にむしゃぶりついていた。太一郎の脊髄を電流が駆け抜け、腰が震えた。

 

「あらぁ、淫売婦みたいなしゃぶり方ねえ……タイチロウ、あなた美樹さんにどういう教育をしているの?」

「冗談言うな……! 吉原の花魁だって、美樹の足元にも及ばねえぜ……!」

 

 思わず、伝法な口調になる太一郎。

 実際、美樹の口淫は巧みで、しかも愛情に満ちていた。亀頭を喉奥で締め付け、頬をすぼめて竿を吸い上げる。カリ首に唇を引っ掛け、裏筋を丹念に舐める。玉袋を手で揉み込み、蟻の門渡りに口づけをする。

 

「あン……太一郎様のおマラ様は、とても大きくていらっしゃいますので、沢山舐めて差し上げないと、全部を気持ちよくしてあげられませんの……」

 

 美樹が口を離して言う。

 

「そうよねぇ。この人ったら、ここを舐めろとか、そこに吸い付けとか、いつもうるさいんだから」

 

 ジェニファーが太一郎の乳首に指を這わせながら言った。彼女の指は細く、長い。何度も傷を縫ってもらったが、実に見事に針を操る。その指先が乳輪に触れ、乳首を摘まんでくりくりと転がすと、太一郎は思わず声を漏らしてしまった。

 

「んっ……くうっ」

「あら、可愛い声。ふふ」

 

 ジェニファーは妖艶な笑みを浮かべると、今度は乳首を口に含んで、ちゅうっと吸った。

 

「うあっ、やめろぉ」

「やめないわよー」

 

 美樹がしゃぶり立てる間、ジェニファーは楽しそうに乳首を弄ぶ。

 

「おい、おい、もう、やばい……! 交代、次はお前の番だぞ!」

「んもう、仕方がないわねえ。ほら、美樹さん、代わってちょうだい」

 

 美樹は名残惜しそうに肉棒を口から離した。唾液と先走りの混じったものが糸を引く。

 

「はい……ジェニーさん。主人のマラを、お預けするのですから……たっぷりと、丁寧に、隅々まで、ご奉仕していただかないと、美樹も妻として立つ瀬がありませぬ」

「ふふふ、分かったわ。私だって、タイチロウのペニスをしゃぶって四年も経つんですもの。どうすれば悦んでくれるかなんて、手に取るように分かるのよ」

 

 ジェニファーは美樹と位置を入れ替えて、彼女の代わりに太一郎の男根にかしずいた。

 

「ふふふ……タイチロウったら、こんなに大きくして……。私のフェラチオ、そんなに楽しみ? それとも、美樹さんのフェラチオが上手すぎるのかしら? どっちにしても、とっても美味しそう……あーん♪」

「おお、ジェニファー……先端だけじゃなくて、全部を……早く……!」

 

 太一郎はもうたまらない。七輪にかかったふぐ鍋のように、男の急所がぐつぐつと煮え立っていた。

 

「はいはい……焦らないでね……んっ……ちゅっ……ちゅばっ……はぷっ……はむっ……んむ……じゅる……ぷは……ん……おいしい……太一郎ったら、先走り汁がいっぱい出てるじゃない。もう、待ちきれないの? じゃあ、いただきます」

「うおっ……くぅ……ううっ……!」

 

 太一郎はあまりの快感に、身を震わせた。ジェニファーの口内は温かく、柔らかく、そして湿っていた。

 

「うおぉお! ジェニファー…… たまらん……!」

「はいちろぉ……♡ ぐぷっ、んふ……う……ん……はぷ……はむ……はぁ……おいひぃ……おいひぃわ……太一郎のペニス……おいひぃ……♡」

 

 ジェニファーは亀頭を喉の奥で締め付けるようにして、陰茎全体を激しくしごき始めた。

 

「お……お……お……お……!!」

「ジェニーさん、何ていやらしい尺八をされますの……羨ましいです……」

 

 美樹は太一郎の尻をまさぐりつつ、切なげな吐息を漏らしていた。

 

「あの、太一郎様……先程から、ジェニーさんがおっしゃている、〈ぺにす〉とか〈ふぇらちお〉とか、どういう意味なのでしょう? 美樹は気になって仕方がありません……」

「ひゃう……!?」

 

 思わず、太一郎の口から娘のような声が漏れた。美樹が、指の腹で太一郎の肛門を撫でたのである。

 

「お、おい、美樹……いきなりそこは……ちょっと……」

「そこ? 何のことでしょう。太一郎様とジェニーさんが、何の話をされているのか、気になりまして。ほら、教えて下さいまし。教えて? ほら、ほら、ほらほらほら……!」

 

 美樹はとても楽しそうだった。

 

「お前、なんか怖いぞ……! おおっ、〈ぺにす〉は魔羅のことで、〈ふぇらちお〉は尺八のことだ……!」

「まら……ふえら……ふふ……太一郎様、恥ずかしい言葉を沢山ご存知なのですね……♡」

 

 太一郎は、知り尽くしたと思っていた妻の意外な嗜虐性に驚いたが、同時に興奮も覚えた。

 

「美樹さん、私フェラチオを続けた方が良さそうね」

「はいっ、お願いします……わたくしは……太一郎様のお尻を……」

「ええ、任せるわ……ぐぽっ♡」

「くぅっ……美樹! ジェニファーも! 同時に攻めるな……! あっ、また……!」

 

 太一郎はジェニファーに魔羅を、美樹に尻の穴を愛撫され、身悶えた。二人の愛撫は巧みで、的確に弱点を責めてくる。

 

(と、桃源郷とか……竜宮城ってのは、こういうところなのか……!?)

 

 太一郎は、自分が極楽にいるかのような錯覚に陥った。

 

「太一郎様、どうですか? わたくしの指で、お尻を触られるのは……太一郎様に喜んでいただけていますでしょうか?」

「タイチロウ、どう? 私のフェラチオ。じゅぷる……んふふ……んぐっ、じゅるるるるるるっ!! ふふ、気持ちいいみたいね。もっと強く吸ってほしいの? いいわよ、思いっきりやってあげる」

「お、おおう……っ! あ、あ、あ、あ、あ……っ」

 

 太一郎の鍛えられた腹筋が、ビクビクと痙攣しだす。射精の前兆だ。

 

「ああ、太一郎さまのお尻が震えていらっしゃいます……可愛い……ふふ、ジェニーさん、力一杯しゃぶってあげてください。わたくしは、こっちの方で」

「んんっ! んっ! んっ! んんっ! んんん~ッ!! んぶっ!」

 

 二人の妻は、夫を屈服させるべく一気に追い込みをかけた。太一郎は為す術もなく、快楽の渦の中に飲み込まれていく。

 

「太一郎様、太一郎様、太一郎様……♡ ああ、太一郎様のご立派なマラが……ああ……ジェニーさんの口の中でビクビクと脈打っていらっしゃいます……ああ……素敵……」

「じゅるっ、じゅるる……! ふふっ、太一郎ったら、もう出そうなの? いいわよ、出しても。私の口の中にぶちまけなさい。全部飲んであげるわ」

 

 もう、耐えられない。

 

「く……う……出る! 出すぞ! ジェニファー! 美樹! うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 ジェニファーが竿をしごくと、太一郎の先端から白濁液が噴出した。

 

「きゃっ! あはは、すごぉい……!」

 

 その量たるや凄まじいもので、彼女の小さな顔の半分以上を精液が覆ってしまった。それでもなお、彼女の口に収まりきらなかった分は、釣り鐘のような乳房の谷間にべっとりと付着してしまった。

 

「ああん……太一郎様の熱い子種が……ジェニーさんの胸に……」

「はぁ……すごい匂いだわ。タイチロウの味がする……」

 

 ジェニファーは尿道に残った精液を吸い出し、喉を鳴らして嚥下する。そして、自分の胸を揉みしだきながら、すくい上げた精液にゆっくりと舌を這わせていく。その仕草はいやらしく、それでいて美しい。

 

「ん……♡ なんて濃いスペルマなのかしら……こんなの飲んだら、私もイッちゃいそうだわ」

「ジェニーさん、わたくしにも少し分けて下さいませ……ん……ちゅっ」

 

 美樹は、ジェニファーの乳房についた精子を舐め取った。

 

「んっ、美味しい……太一郎様の子種……♡」

 

 そのまま、ジェニファーの乳房に顔を埋めて精液を吸い取ろうとする。谷間が深すぎるので、顔を突っ込むようにしないと上手くいかないのだ。

 

「あ、ずるいわよ美樹さん。私だって欲しいのに」

「あぁ……太一郎様の子種汁……太一郎様の赤ちゃんの素……♡」

「あぁん、もう、そんなにしたらくすぐったいじゃないの。でも、いいわ。今日は特別に、あなたに譲ってあげる」

「ありがとうございます、ジェニーさん。ちゅっ、ちゅっ、ちゅぱっ、じゅるっ、ずぴゅるる……♪」

「ふふ……タイチロウのザーメンが大好きなのね。その気持ち、とってもよく分かるわ。たっぷり味わいなさい」

 

 美樹は、母乳を欲して乳首にむしゃぶりつく赤子のようだった。太一郎は、眼前の光景に圧倒されていた。

 

「美樹、お前、そんなに大胆に……。ジェニファーも、まるで母親みたいな優しい笑顔で……」

 

「ふふ、タイチロウ、次はどうしたいの? 私たちはあなたの妻よ。あなたの望みは全て叶えてあげたいし、私たちもそれを楽しみたいの。さ、言ってみて。遠慮しないで。ねえ、美樹さん?」

「はい……ジェニーさん……太一郎様、わたくし、どんなことをされても構いません。太一郎様の望むままに……どうか、お情けをお恵みください……♡」

 

(続く)

 

 

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