『……死して屍拾う者無し』
明日を捨て、己を隠し、人生の裏道を歩まねばならぬ宿命を、自らに求めた者。
それが隠密同心。
それが十文字お雪。
星空の下、太一郎の腕の中で、いずれ男と女になろうと誓いを交わした、一人の少女。
──奇妙な話だが。太一郎は、その股ぐらが今まで感じたこともないほどに激しく
◆◆◆
「──うっ……!」
突如、彼は跳ね起きた。その激しい衝動のままに布団を蹴り飛ばし、寝床から這い出すようにして立ち上がり、枕元に置かれた自らの刀を引っ掴む。それから素早く鞘を払うと抜き身を手にし、裂帛の気合と共に一閃させた。
刃先は小屋に漂う霞を切り裂き、太一郎の昂ぶりを虚空へと散らした。空を切る音は澄み渡り、大気までも切り裂いているかのようだった。
「ふうぅぅぅぅぅぅ────────────」
「……たいちろー、お雪が心配なんだね。分かるよ」
刀を収めて息を吐く太一郎の肩に、お英の手がそっと添えられる。彼女の眼差しからは慈しみが溢れ、その温かさが冷え切った体に染み渡った。
「すまねえ、起こしちまって」
「ううん、先に起きてたから。たいちろーが苦しそうにしてるの、放っておけないよ」
「そうか……」
言いながら、お英の腕が寝間着の前を割り、股間の逸物を掴む。そのまま上下に擦られるとたちまち快感が込み上げてきた。
「あ、くっ……うう……」
「……すごい。今までで一番大きいよ」
手の中で力強く脈打つ肉茎を見つめ、お英が囁くように言う。その頬は興奮のため上気しており、瞳には期待の光が宿っていた。その唇が開き、ぬらぬらと光る舌が伸ばされる。
彼女の言う通り、太一郎の肉棒は既に限界近くまで膨張していた。亀頭の先端では鈴口がぱくりと口を開き、透明な粘液を吐き出している。血管が浮き出るほどに固くなったそれを、お英が愛おしげに撫でる。その手付きは優しく、繊細で、それだけに却って艶めかしかった。
「お日様はまだ高いけど、もう我慢できないよね?」
こくりと、太一郎は小さく顎を引いた。既に下半身は、早く出せと言わんばかりに猛っている。それを見て取ったお英は、妖しく微笑んだ。
お英は仰向けになると両足を大きく広げ、その間に太一郎を導いた。そして彼の首に腕を回し、ぎゅっと抱きつく。寝間着の下は何も付けていない。剥き出しになった女の部分は、瑞々しい果実のように濡れて光っていた。
「じゃあ、来て……」
甘い声でお英が囁くと、太一郎はごくりと唾を飲み込んだ。お英の目に映る自分は男の活力に満ち溢れ、好色そうな笑みを浮かべている。これから行う淫らな行いを心から楽しみにしている表情だ。
(いいぜ……やってやる)
お英は自ら足を抱え込み、女の部分を差し出した。彼女が纏う女の匂いはむせ返るほどに強くなっており、それは発情した雌の匂いがたっぷりと詰まったものだった。太一郎は両手で腰を押さえつけながら、ゆっくりと挿入を開始した。
秘所に突き立てられた肉の棒を見て、お英が小さく呻く。しかしその表情には苦悶ではなく、愉悦の色があった。
「んくぅ……入ってくる……たいちろーのチンポコぉ……ふああん……♡」
「う、ぐぉ……!」
先端の張り出した部分が入り口を通り抜けた時、太一郎の体がぶるっと震えた。膣粘膜は温かく、まるで蜜を滴らせる花のようであり、また処女のそれとは違って柔らかく、蕩けるような感触がある。
ずぶずぶと、いとも簡単に呑み込まれていく。熱い粘膜がぴっちりと吸い付いて、柔らかく締めつけるような感触に、危うく達してしまいそうになった。
「ふふ……大丈夫だよたいちろー。女房の私が全部やってあげるからね……」
耳元でそう言われると同時に、背中を強く抱きしめられた。それと同時に下半身から押し寄せてくる快感が強くなり、太一郎は堪らずお英の尻を掴んだ。腰を打ちつけ、抽送を開始する。
「ん、んん……ふふふ、たいちろー可愛い……好き、大好き……!」
「くっ……! あ、ああぁッ!!」
太一郎の動きに合わせて、お英も腰を振った。互いの動きが重なり合い、快楽が高まっていく。お英の筋力は並の男など足元にも及ばぬほどで、まるで相撲のぶつかり稽古のように激しく太一郎の抽送とぶつかり、助け、かつ刺激を与えるのだ。
「お、お英ちゃん……!」
「たいちろー……!」
二人は強く抱きしめ合う。お英の美しい乳房が押し潰され形を変えているのが、太一郎には分かった。その柔らかさも、張りも、全てが最高だった。お英もまた、太一郎の筋肉質な肉体を感じて興奮しているようだ。自分が世話をして育てた身体だと思うと、胸がいっぱいになるのだと言って笑っていた。
長くは持たなかった。太一郎はお英の中に精を解き放つ。逸物はどくんどくんと脈動し、精液を吐き出し続ける。その衝撃でお英は一瞬硬直し、それからぶるりと震えて絶頂した。
「フーッ、フーッ、フーッ……!」
「あんんんッ……あっ、あっ……」
同時に太一郎の腹に熱い液体がかかる。それはお英の潮吹きだった。結合部から噴き出たそれは、二人を濡らしていく。太一郎は射精しながらも、さらに二度三度とお英の子宮口を叩いた。お英は太一郎の胸に顔を埋めたまま、がくがくと体を震わせていた。時折声を裏返らせ、恍惚とした表情で痙攣する姿はひどく扇情的であった。
「はぁ……はぁ……お英、お英……!」
「あっ……ああぁ……! まだ出てる……! はぁぁ……! もっと、もっと頂戴……! あん……!」
最後の一滴まで注ぎ込むと、太一郎はお英の上から退いた。彼女の髪からは甘い匂いが立ち上り、汗ばんで紅潮した肌からは濃い女の匂いが漂ってくる。
「んっ……はぁ……あぁ……」
お英は名残惜しそうに腰を振り、股間を指先でなぞった。太一郎の子種がたっぷり詰まった淫穴から、どろりとした白濁液が流れ落ちる。お英は幸せそうな笑みを浮かべていた。
「おい、休んでる場合じゃないぞ。これから掃除だ」
「はあい♡」
お英は素直に従い、膝立ちになる。とろりと蕩けた淫らな表情で、太一郎の魔羅を口内に迎え入れた。じゅぶじゅぶと音を立ててしゃぶりつき、尿道に残った精液を吸い出そうとする。お英の舌使いはとても巧みで、すぐに勃起させられてしまった。
「……ぷはっ! えへへ、またおっきくなったぁ」
嬉しそうに言うと、今度は床に跪いて、頭を垂れる。
「旦那様、いやらしい妻を可愛がっていただき、ありがとうございました……♡」
彼女の思う〈立派な妻〉を演じているのだろうが、その様はむしろ犬のようだった。尻尾があれば千切れんばかりに振っていただろう。
その頭に軽く手を乗せ、撫でてやる。彼女は目を細め、心地よさそうにしていた。猫のような耳が生えていたら、ぴんと立てて喜んでいただろうと思う。
上目遣いで太一郎の肉棒を物欲しげに見るお英は、まだまだ序の口としか思っていないのだろう。彼女の腹を満たすには、もっともっと励まなければならない。
「それで、どうなんだ。愛しのお雪とこの俺と、一体どっちが胎にくる?」
そう言うと、お英は下から睨めあげるような、媚びた視線で見つめてきた。
「そ、そんな意地悪なこと言わないでよぅ……そんなの決められないよぉ……」
ここのところ、夫婦の営みはこのように言葉で責め立てるのが常だった。お英の心を追い詰め、底なしの性欲を少しずつ燃焼させていくための下準備である。
うるうると瞳を潤ませ、媚びるように太一郎を見上げるお英だが、もちろん演技である。その証拠にお英は口元を笑みの形に歪め、舌先で唇を舐めている。早く犯されたくて堪らないといった様子だ。
「お、お雪って言ったらどうするのさ……?」
お英がお雪とただならぬ関係を持っていたことは、短い夫婦生活の中で聞き出した。既にお雪の方からも関係を仄めかされていたから、驚きはしなかった。
ただ、お英は自分が女も愛せる女であることを嬉々として語った。太一郎にとって面白くないのはそれである。お英にとって最も価値ある存在は自分でありたいのだ。
男はこう、女はこう、そんな話はどうでもよい。お英を組み伏せ、全てを征服していいのは自分ただ一人なのだ。その上でなら、お雪との関係を容認してもよいと思っているが、それは先の話だ。
「さあて、どうしようかなぁ?」
「もう、イジワルしないで……」
お英は四つん這いになり、尻を高く掲げる。誘うように揺れる尻を見て、太一郎は生唾を飲み込んだ。
「……ねぇ、早くきて……たいちろーのチンポコ、早くほしい……」
お英は切なげに懇願するが、太一郎はその尻を叩いた。走り込みで鍛え上げられたお英の尻は引き締まっており、叩いた際の弾力も素晴らしいものだった。
「ひっ……! やぁぁん……♡ ……痛いよぅ……ひ、ひどいぃ……こんな、お尻なんて恥ずかしいのに……」
「馬鹿、誤魔化すな。誰が主人か言ってみろ。答えなきゃ続きはしないぞ」
すると予想通り、お英の顔にさっと朱が走る。彼女はその場に平伏し、額を畳に擦りつけるようにして深々と頭を下げる。だが、その声に隠しきれぬ歓びの色が混じっていたことを、太一郎は見逃さなかった。
「んっ、ふっ、ふーっ、ご、ごめんなさい……たいちろーです……たいちろーがおいらのご主人さま! ああん! 叩かないでぇ! ふああぁぁぁ……♡」
再び手を振り上げると、それだけでびくびくと身体を震わせるのだから面白いものだ。口調も取り繕った部分がなくなり、すっかり崩れてしまっている。今の彼女にとって、亭主に媚びて被虐の快楽に浸ることだけが重要であって、それ以外のことは全て些事なのである。
「ほら、顔をよく見せてみろ」
「はい、たいちろー……ああ、たいちろーだぁ……ああん!」
尻を叩きながら命じると、お英は素直に顔を上げる。目はとろんと垂れ下がり、頰は赤く上気している。口はだらしなく半開きになっており、そこから涎が溢れていた。鼻の穴は大きく広がり、鼻息荒く息をしている。目尻に涙を溜めた瞳の奥に、期待の光が宿っているのが分かる。
もはや発情した雌そのものといった表情であった。その顔を見ただけで、こちらの興奮も高まってくるようだった。この女を征服したいという欲望と獣欲は高まるばかりだ。
そんな感情をなんとか押し殺しつつ、彼女の尻を叩いていく。ぺちん、ぱちんと軽い音が響くたびに、お英の口から悩ましい吐息が漏れるのだった。
「たいちろー……おいらの旦那さまぁ……あうぅん……! おいらが悪かったです♡ ゆるしてください、ご主人様ぁ……勝手にお雪と
太一郎は最後に大きく振りかぶってお英の尻を叩いた。一際大きな音がして、彼女の白い肌に赤い手形が残る。それは痛々しく腫れていたが、お英の表情からは苦痛の色は一切なかった。それどころか恍惚としてすらいる。
「よしよし、いい子だ。お前もお雪ちゃんも、俺の女に変わりはないんだ。亭主を立てて、二人で俺を悦ばせてくれよ」
頭を優しく撫でてやると、お英は甘えるような声で鳴いた。この手管はもう何度も使っているが、何度やっても飽きないらしい。
本人が語ったところでは、お雪への恋心を無理やり否定させられるのがたまらないそうだ。太一郎に征服され支配されていることが、彼女の中では最高の悦びとなっているのである。
「はぁい、わかりましたぁ……だから、ね? ごほうびぃ……♡」
尻叩き遊びで充分に火が点いたのか、お英はすっかり出来上がっていた。甘えた声でおねだりしてくる様は愛らしいとしか言いようがないが、女の魔性というものを感じずにはいられなかった。この妖艶な女が自分の女房なのだと考えると、頭がくらくらしてくる。
「可愛い奴……それじゃあ、口を吸ってやる。ほら、こっちを向いて口を開けろ」
「ふぁあん……嬉しいぃ……♡ あっ、はぁあぁ……♡」
お英はくるりと身体を回転させて仰向けになると、口を開いて舌を突き出す。その上に跨ると、彼女の顔が間近に見えた。長い睫毛の下の瞳は潤み、唇の隙間からちろりと舌が覗く様子はなんとも艶めかしかった。
最初は触れるだけの口づけをする。お英の柔らかな唇を楽しみ、そのまま軽く下唇を食むと、彼女は甘い吐息を吐いた。
「ん……♡ ちゅ♡ ちゅっ♡ あん、意地悪……舌、入れてくれないのぉ? もう、いけずぅ……」
「お前があんまりにも可愛いから悪いんだ。ほら、舌を出すから、お前の方から追いかけてこい」
お英は頰を染めてもじもじしていたが、やがて観念したように目を瞑った。それからおずおずと舌を伸ばしてくる。まるで餌を前にした仔犬のようだった。
「じゅるっ、ぢゅるるる……ぢゅーっ♡ ……んぷっ♡ れるれろっ♡ ん ゙ん~~ッ♡♡♡」
舌先だけで触れ合っていたのも束の間、すぐに舌を吸い上げて追いかけっこを始める。歯茎の裏や上顎などを舐め回し、互いの唾液を混ぜ合わせるようにぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回す。その最中に、舌で彼女の小さな口内を犯し尽くすのだ。
息継ぎをしようと離れそうになる彼女の後頭部を押さえつけて、決して逃がさない。呼吸困難に陥った彼女が身悶えすればするほど、嗜虐的な悦びを感じるのだった。
「はーっ♡ はふっ♡ へっ♡ へあぁっ♡♡♡ んん~~~~~っ♡♡♡♡」
太一郎が彼女の口から舌を抜き取る頃には、もう二人とも肩で息をしていた。酸欠になりながら味わう接吻というのは格別である。生と死の間で愛を確かめ合う感覚とでもいうか、この倒錯感は何物にも代え難いものがあった。
「はぁっ……はあ……♡ す、すごぉい……頭くらくらしちゃうぅ……♡」
お英はすっかり蕩けきった顔になっていた。唇の端からは飲み込みきれなかった唾液が垂れており、目の端には涙が浮かんでいる。頬は真っ赤に紅潮しており、吐く息は熱く湿っていた。太一郎を見上げる瞳は潤んでおり、熱っぽい視線が絡みついてくるようだ。
「ねえ、次はおチンポコを見せて……♡ おいら、いっぱい御挨拶したいな……♡」
太一郎が身体を起こすと、お英は熱っぽい眼差しで太一郎の一物を見つめた。反り上がった肉竿には太い血管が浮かび上がり、先端の亀頭は天を突いていた。幹の部分はずしりと重く、女陰を貫いてなお余りあるだろうという存在感を放っている。
お英はその剛直に熱い視線を注ぎながら、ごくりと唾を呑み込んだ。今からこれに犯されるのだという期待からか、呼吸が荒くなっているのが分かった。
「そんなに見たいのか?」
「うん……♡」
すると、お英は四つん這いになってにじり寄ってきた。そしてすんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅いだ後、うっとりとした顔で言った。
「ああ……やっぱりすごいぃ……♡ おいらのおチンポコ様♡ おいらの、おチンポコ様♡ どこに行ってたんですかぁ……♡ おいらぁ、ずっと待ってたのにぃ……♡ ああっ! 会いたかったですぅ♡」
お英はそう言って、一物に口づけをした。柔らかい唇が触れたかと思うと、すぐさま舌が伸びてきて舐め回してくる。その間も視線はずっとこちらに向けられており、その目は情欲に濡れていた。
「えるるぅ……ぴちゃっ♡ ぬりゅっ♡ ちゅううっ♡ はぁ……♡ たいちろーの匂いだぁ♡ 雄臭くて素敵です……んむっ♡ ぺろっ♡ ぺろっ♡ ぺろっ♡ ああん……匂い濃くなってきたぁ♡ 先っぽからやらしいお汁が出てきたぁ♡ ぺろっ♡ ぺろっ♡ おいしいっ♡ ぺろっ♡ れろっ♡ おいら、おチンポコ様の虜ですぅ……♡」
太一郎は、お英の頭を優しく撫でた。さらさらとした髪を梳くように指を通していくと、お英は陶酔したような表情でそれを受け入れている。その表情があまりに幸せそうだったためか、思わず微笑んでしまった。
「えへへぇ……♡ 長くて太くておっきいおペニス様ぁ……♡ こういうの、
そうして再び舌を這わせ始めるが、今度はゆっくりと舐るような動きだった。膨らんだ亀頭や雁首の段差を丁寧になぞるようにねっとりと刺激していく。時折見上げてくる仕草からは媚態が感じられ、たまらなく淫靡な光景であった。
彼女の口の中で転がすように舐められていると、腰が溶けてしまいそうなほど気持ちが良かった。さらに上目遣いの視線のせいで余計に興奮してしまう。自然と息遣いが荒くなり、身体が火照ってくるのを感じた。
「ふふっ、どう……? あむぅ……♡ んっ♡ れるるっ♡ 大好きなたいちろーが感じてくれるなら、おいらすっごく嬉しいなぁ……♡ れるっ♡ ちゅぽっ♡ はぁ……この立派なおペニス様がおいらの膣内に入って、ウテルスをぐりぐり抉ってくれると思うと、それだけでおぼぼキュンキュンして来ちゃうよぉ♡」
そう言って笑う彼女の顔には媚びの色が見て取れた。女は化けるもの、という言葉があるが本当にその通りだと思う。かつてはあれほど純情純朴と見えたのに、今こうして目の前で男根にしゃぶりついている姿は女郎さながらだ。太一郎を喜ばせるための技巧を学び、それを実践しているだけなのだけれど。
──なんて健気で、可愛い女房なのだろう。
太一郎はお英の頭を撫でながらそう思った。自分のために尽くしてくれる女性が可愛くないはずがない。都合のいい女を演じながら、それでも想いを寄せ続けてくれるお英が愛おしくてたまらなかった。
「あはっ、おペニス様ピクってなったぁ♡ それにまた硬くなってきたぁ……♡」
「ああ、お英ちゃんのおかげで元気になったよ。お礼にたっぷりと可愛がってやるからな」
「あっ! うん、うん、早く早く早く……っ♡ 欲しいのぉ……! お願い、ちょうだい……?」
お英は腰をくねらせながら切なげに懇願する。まるで発情した猫のようだと思った。
「……じゃあ、まずはご挨拶からだ」
「うん……おいら、一生懸命ご挨拶するからね……」
お英は立ち上がり、小屋の壁に手をつくようにして立った。それから尻を突き出してふりふりと揺らす。
まだ日も高いというのに、薄暗い部屋の中で全裸を晒しているのだ。にもかかわらず恥じらう様子は一切なく、むしろ見せつけるようにして尻を振っているのだった。
「ほら、ここだよぅ……もう我慢できないから、早くぅ……♡」
肩越しに振り返りながら、甘えた声でそう囁くお英。その表情はすでに蕩けきっており、太一郎の一物を待ちきれないといった様子だ。
そんなお英を焦らす意味もあって、わざと一物の先端だけを入れるに留めておく。つぷつぷと出し入れすると、彼女は切羽詰まった声で懇願してきた。
「は……あぁ……ッ♡ いやぁ、いじわるしないでぇ……っ!」
そう言いながら自ら腰を振るものだからたまらない。熱烈な求愛の囁きが亀頭から伝わってくるようだった。お英も自分の反応を楽しんでいるのだろう。あるいは、このままでも十分すぎるほどの快楽を得ているのかもしれない。
「うーっ♡ ううーっ♡ 意地悪っ、意地悪ぅ……っ♡ 意地悪っ、意地悪ぅ……っ♡ うぅ~~っ♡ たいちろーの馬鹿ぁ……ッ♡♡♡」
どうやら相当にお冠らしいが、口では太一郎を詰りつつも、表情は完全に屈服しきっているのがよく分かる。瞳には恍惚の光が宿り、頰は紅潮していた。半開きの口からは涎が垂れており、それが彼女の興奮の度合いを示しているようであった。
お英はしばらくそんな調子で腰を揺らしていたが、やがて我慢できなくなったのか自分から挿入を始めた。脚をピンと張り、つま先立ちになって少しずつ飲み込んでいくのだ。それはとても淫靡な光景であり、太一郎は彼女の中に入っていく瞬間が好きだった。
やがて根元まで入ると、二人は同時に息を吐いた。
「たいちろーの馬鹿ぁ……♡ こんなに待たせるなんてひどいよぉ……♡ ひどいひどいっ、大っ嫌い……っ♡♡♡」
「おいおい、いきなり何を言い出すんだ」
「だって、せっかく気持ちよくなってたのに、全然動いてくれないんだもん……こんなの、生殺しだよぅ……♡」
「仕方ないだろう? お英ちゃんがあまりにも可愛かったんだから」
「むぅぅ~……ずるいよぉ……♡」
頰を膨らませながらも、どこか嬉しそうなお英。そんな彼女の頬を舌で舐めると、くすぐったそうに身をよじった。
「んふふ……くすぐったいよぉ……♡」
だが決して拒絶はしないので、そのまま接吻に移ることにした。唇同士が触れ合うだけの軽い口づけだったが、それでもお英はとても嬉しそうに微笑んでいた。
「んん……♡ はぷっ、んちゅっ♡ ちゅううっ♡ はぁ……♡ ね、ねぇ、もっとぉ……♡」
おねだりに応えてもう一度唇を重ねる。するとお英の方から舌を伸ばしてきたので、こちらから絡めてやる。そうするとお英はびくびくっと身体を痙攣させた後、甘えるように抱きついてきた。
「はむっ♡ ちゅっ♡ んれろぉっ♡ へろっ♡ たいちろ、しゅきぃ♡ はふぅ♡ ちゅっ♡ ちゅううっ♡ へるぅぅぅ♡♡♡」
お英は舌を絡ませながら甘い吐息を漏らしている。舌を軽く甘噛みしてやると、ビクンッと震えて悦ぶのだった。そうしてしばらくの間口づけを楽しんでいたのだが、お英が尻の肉を震わせたのを皮切りに、腰の動きを徐々に早めていった。
「んんっ♡ ひっ♡ ……ゆっくり……っ! ふわぁぁ♡ すごいぃ……♡ たいちろーのおペニス様がおいらのおぼぼの中で暴れてるよぉ……♡ ひぐぅっ♡ これしゅきぃ♡ たいちろーのおペニス様だいしゅきぃ♡♡♡ たいちろーもおいらのこと大好きって言ってぇ♡」
そう言ってこちらに顔を向けてくるお英。その表情はすっかり蕩けており、すっかりメスの顔に仕上がっていた。
「ああ、好きだぞ、お英」
「えへぇ……♡ うれしいなぁ……♡」
その言葉に気を良くしたのか、お英はにへらと笑った。その笑顔はまるで幼い子供のような無邪気さに満ち溢れていた。
「孕ませて、たいちろー様ぁ……♡ おいらのこと、孕ませてください……♡ おいらのでっかいお尻で、でっかい赤ちゃん産みますからぁ……♡」
「ぬっ……くっ……」
蕩けきった顔でこちらを見上げながらそんなことを言ってくるものだから、たまらなくなってしまう。お雪を見つけるまで、江戸に帰るまではとは思うが、既に何度も何度も精を注いでいるのだ。もう今さらとしか言いようがない。
「お゙おっ♡♡ イグっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡ おペニスでイクっ♡♡ イッグゥウウッ♡♡♡」
それに何よりこの淫らな少女が許してくれないのだ。ならば最後までやり遂げるしかない。
太一郎は腰の動きを止めると、お英の子宮口にしっかりと押し付けてこね回すようにぐりぐりと動かした。もちろんその間も乳首を摘んで引っ張ってやることを忘れなかった。
「あっあっあっあっあっ♡♡♡ ソレ好き大好きねちっこいの好き好き好きぃっ♡ あひぃっ♡ ちくびっ♡ あぅっ♡ 乳首も好きっ♡ 好き好きもう絶対孕む赤ちゃんできるよもうお母ちゃんになるよおいらもうイグッ♡」
そうしてお英は絶頂を迎えると同時に全身をがくがくと震わせる。男根全体に膣壁がまとわりつき、まるで搾り取るかのように締め付けてきた。
「おおっ♡ ゔ──ーっっ♡♡♡ このままっ♡ このまま出してぇっ♡ おいらをイカせながらびゅーっ♡ って出して欲しいのっ♡ おいらのおぼぼに種付けしてっ♡ おチンポ汁注いでっ♡ 妊娠させてっ♡ 中出ししてっ♡ だんな様の子供を産ませてぇっ♡♡♡」
お英はそう言って壁に爪を食い込ませる。まるで子猫のように可愛らしい仕草であったが、今はそれどころではなかった。絶頂に悶える女の肉壷がもたらす凄まじいまでの快楽に、意識を持っていかれそうになっていたのである。
「ぐうっ……!」
突然の強い刺激。なんと彼女が尻をくいくいと左右に振り始めたのだ。その動きは決して激しくはなく、小刻みなものだった。しかしだからこそ逆に我慢しづらいものがあり、その結果強烈な射精感が込み上げてくるのを感じた。
「出せっ♡ たいちろー♡ 出せっ♡ ザーメン出しちゃえっ♡ このっ♡ このぉっ♡ はぁぁぁっ♡♡ ……くぅぅんっ♡♡♡」
「うぐっ……! このっ……お英、てめぇ……っ!」
「あひゃっ♡ ぶわって膨らんだぁ♡ ビクビクしてるぅ♡ いいよ、おいらのお腹でぜーんぶ受け止めてあげるからぁ♡ お精子ぴゅっぴゅしてっ♡ お父ちゃんになれぇっ♡♡♡」
「く、くそっ……!!」
こんな状態で耐えられるはずもなく、彼女の尻を掴んだまま、どくんどくんと精液を流し込む。お英はぶるぶると身体を震わせてそれを受け入れてくれた。
やがて全てを吐き出し終わると、ゆっくりと腰を引き抜く。そして彼女を布団の上に押し倒した。
「……はぁっ……まったく、大した女だよ、お前は」
「うふふっ……♡ だってぇ、おいら女房だもん……♡」
汗で額に張り付いた前髪をかき上げながら、そう言って微笑むお英。その表情は妖艶にして可憐であり、実に扇情的だった。
「……ねえ、もう一回……♡」
「だめだ。これ以上やったら俺の身体が保たん」
先ほどから幾度となく交わっていた二人だったが、太一郎が放ったのはニ度だけだ。それ以上は療養に差し障る。
お英の方も無理強いをするつもりはないらしく、あっさりと引き下がった。濡らした手ぬぐいでお互いの身体を清め合うと、再び横になって抱き合った。
「この暮らしも、もうすぐ終わりだね……」
逞しく盛り上がった太一郎の胸筋を撫でながら、しみじみとした様子で言うお英。その声はどことなく寂しげであり、先ほどまであれほど乱れていたとは思えないほどだった。
「ああ。悪徳キリシタンを次々刈り取る、黒い十文字槍の女……どう聞いても、だろう」
それは島原のキリシタン共同体に流れてきた、長崎での情報だった。いわく、金色の面を被り黒い十文字槍を手にした女が、私腹を肥やす悪徳キリシタンを始末しているらしい、と。
その噂が本当だとすれば、二人きりの生活も終わりだ。既に太一郎は戦えるだけの力を取り戻している。積極的に敵の尻尾を掴み、こちらから打って出る機会が訪れたということだ。
「世話になったな、お英ちゃん」
「もう、変な言い方しないでよ。おいら……私はいつでも、いつまでも、たいちろーのお世話をするんだから」
彼女はそう言いながら少しだけ不満そうに頰を膨らませる。その仕草も、表情も、とても可愛らしかった。
「そうだな。ありがとう、お英」
「うん……♡」
二人は静かに口づけを交わす。それからもう一度、互いの身体に触れ合って、確かめ合った。お英の身体の柔らかさや温かさ、匂い、肌触り……その全てが愛おしかった。
◆◆◆
一羽の鳩が、上空を旋回している。白い羽根を広げ、青い空を優雅に舞っている姿は美しく、思わず見惚れてしまいそうになるほどだ。だがそれも一瞬のことで、八郎太はすぐに興味をなくしてしまう。何故なら鳩などよりも気になる存在がいるからだ。
「
傍らに立つ女に声をかける。おりんと呼ばれた女はしばしの間沈黙していたが、やがて口を開いた。
「……ええ、及第点と言ったところでしょう。既に試しは何度も成功していますから、後は標的の下に送り込むだけです」
二人が乗る船は、〈黒いデウス〉が保有する高速帆船である。宣教師が異国から持ち込んだものを、八郎太率いる黒坊主たちの一団が強奪したのだ。船名は〈セント・ニコラウス号〉というらしい。
「そいつは結構。あの娘を送り込んでやれば、今度こそ忌々しい出楠太一郎の首を取ることが出来るわけだ」
そう言って笑う八郎太を見て、おりんは呆れたようにため息をつく。
「あなた、あまり入れ込み過ぎないことです。あの男はトリカブトの毒をくらい、海に落ちたのですよ? 既に死んでいると考えるべきではありませんか」
「お前の懸念はもっともだが、出楠太一郎はそんな簡単に地獄に堕ちるような男ではない。お前がお雪という小娘を気に入っているように、俺もあいつのことを気に入っているのだ」
そう言うと、彼は懐から煙管を取り出し、火を入れた。煙が吐き出されると、辺りに甘ったるい匂いが立ち込める。それは彼が愛飲している大麻の匂いだ。
「ふーっ……まあ良いさ。いざとなればこの手で直接殺せばいいことだ」
「……そう上手く行くものでしょうか。既に浅見忠太郎の仕込みは割れているのです。奇襲がニ度通用するとは思えません」
そう言って、おりんは八郎太の背後を見やる。幽鬼のように佇む忠太郎は一言も発することなく、ただそこに立っていた。彼の瞳は空を舞う鳩を見つめたまま微動だにしない。そこには何の意思もなく、感情もないように見えた。
「……ふん、浅見忠太郎か。イエズスの像に小便を引っ掛けさせるのは最高だったな」
忠太郎には暗示をかけてある。今の忠太郎は八郎太のためなら命すら投げ出し、絶対的な忠誠を捧げる存在だ。
この船を奪った後、八郎太は彼に命じた。船内にある礼拝室で、そこにあったイエズスの像に小便をかけろと。キリシタンである忠太郎に、信ずる神を穢し、冒涜し、踏みにじれと命じてやったのだ。
正気を失った忠太郎は言われるままに動き、そして見事にやり遂げた。その結果、神の像は彼の尿まみれになったというわけだ。
それを思い出したのか、八郎太はにやりと笑うと再び煙管を口に運んだ。あの瞬間のことを思い出すだけで笑いが込み上げてくるようだ。
ぷかりとふかした紫煙を吐き出して言う。
「アーメン、アーメン。デウスよ、汚れよ。黒くあれ。我は汝が信徒に非ず」
人間など所詮血の詰まった玩具に過ぎない。
神など所詮偶像でしかないのだ。
信仰など所詮それほどに脆く、儚く、軽いもの……。
「クククッ……〈黒いデウス〉に栄光あれ!」
八郎太は天を仰ぎ見て叫ぶ。その視線の先にあるものは空なのか、それとも天上にいるであろうデウスなる何かなのか……それは誰にもわからないことだった。
(続く)