第七回 長崎の鬼
太一郎とお雪、そしてお英の姿は、秋の長崎にあった。邪教団〈黒いデウス〉の足跡を追うためである。
一行が長崎で知り合ったのは、太一郎を仇と狙う少年忠太郎とその母サマンサ。そして、お英の父を名乗る黒卍党首領、クリストファー。一行は彼と手を組み、〈黒いデウス〉と黒卍党の一派、そして長崎奉行による奴隷貿易計画を粉砕する。
だが、〈黒いデウス〉の怪人・鬼一は万端の準備で太一郎の命を狙っていた。洗脳された忠太郎により、一瞬の隙を突かれる太一郎。毒の刃が、その胸に突き立った。
同じ頃、江戸では美樹とジェニファーが太一郎の身を案じていた。二人とも、その腹に新しい命を宿して。
第八回 黒卍の憂鬱
ひと月に渡る死との闘いから目覚めた太一郎。その体はやせ衰え、二度と戦うことはできないとさえ思われた。
献身的に太一郎を支えてきたお英は、その対価を払うため、父クリストファーに人生を委ねようとする。
だが、お英の愛が太一郎の魂に火を点けた。お英を奪取し、クリストファーの手から逃れる太一郎。月明かりの下で、二人は夫婦の契りを交わす。
一方、おりんに囚われたお雪は〈黒いデウス〉の正体を垣間見る。それは、過去にキリシタン
第九回 恋する隠密同心
長崎の街に、新たな怪人〈金色の夜叉〉が現れた。悪党ばかりを狙い、黒塗りの十文字槍で次々と成敗していく謎の少女。言うまでもなく、〈黒いデウス〉に囚われた十文字お雪その人である。
太一郎は島原の漁村に潜み、体力の回復に専念していた。自然の恵みと、新妻・お英の献身が彼の肉体を強く太くしていく。お英の若く激しい性欲を満たしながら、自分も満たされる日々。その中で、太一郎はお雪の夢を見る。太一郎を成敗してしまったお雪が、何度も何度も傷つき続ける悪夢。同じ頃、お雪も太一郎との出会いを夢で思い出していた。
決着の日、クリストファーの元へ戻ったお英は、共謀して長崎奉行所へお雪と忠太郎を誘い出すことに成功する。暗示は解けぬながらも、太一郎の腕に抱かれるお雪。初雪の中で、太一郎はお雪に
そして鬼一の乱入を受けながらも、忠太郎を正気に戻すことに成功する太一郎とお雪。だが、鬼一は既に長崎奉行所の面々を虐殺していた。〈終末兵器〉なる、恐るべき人食いカビの威力をもって。一行は急ぎ江戸に舞い戻る。〈終末兵器〉による、大江戸大虐殺を阻止せんがために。
第十回 デウスの鐘
季節は冬。〈黒いデウス〉の待ち伏せを蹴散らし、江戸に戻った太一郎は、美樹とジェニファーの懐胎を知り、狂喜した。
出楠家の菩提寺へ墓参を済ませ、四人の女を初めて顔合わせさせて家族の誓いを交わす。そこに舞い込んだのは、伊賀忍者からの〈終末兵器〉発見の報であった。
太一郎とお雪、八郎太とおりん、そして黒いデウスの戦士たち。激しい戦いは、お英と黒卍党の助力を得た隠密同心の勝利で幕を閉じる。
長い戦いが、ようやく終わった。
第十一回 太平の湯
〈黒いデウス〉の驚異は一先ず去った。
平穏の中で四人の妻と新たな暮らしを初め、お英やお雪と抱き合う太一郎。
そんな折、彼の名を騙り、なぜか侍ばかり狙う辻斬りが現れた。身動きを封じられ、殺人への衝動に苛まれる太一郎。
そんな時、美樹の弟・正之助がお雪に助力して辻斬りを捕らえ、見事義兄の汚名を晴らしてくれた。妻たちに見守られながら、ついに太一郎はお雪と一つになる。
だが、彼の終わりは刻一刻と近づいていた。
第十二回 さらば隠密同心
〈デウスの鐘〉を
太一郎は今の生活を捨てる覚悟、あるいは死の覚悟を固め、大納言とオロシャがいる石川島造船所に乗り込む。オロシャの秘薬で生命力を強化した難敵に苦戦を強いられるが辛くもこれを下し、鐘の破壊に成功する。
その後には、辛い別れが待っていた。江戸を離れなければならない太一郎たち家族と、江戸で生きねばならないお雪。涙ながらの子作りを終え、彼らは別れを告げる。
「さらば、隠密同心」
そして、十年後。
まず始めに、作者から読者の皆様へご挨拶申しあげます。
最後まで読んでいただき、本当に、本当にありがとうございました。
この作品は、今年の四月一日から十一月二十九日にかけての八ヶ月間に、小説投稿サイト ハーメルン様に投稿させていただきました。
その途中は、小説初心者ゆえに、読者の方々にはきっとお見苦しい文章もあったことでしょうが、なんとかここまでたどりつくことができました。感謝の言葉もありません。
本当にありがとうございました。
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そもそもは大好きな時代劇や時代小説の世界と大好きなハーレム小説を組み合わせて何か作れないかと思い立ったことが発端でした。
江戸時代を舞台にして、時代劇の登場人物である剣客や忍者や武士や浪人が主人公というだけで、なんだか格好いいではありませんか。
その上、そこに、ハーレムエロ小説の要素を加えてしまえば……。
もうこれは、天下無双の最強のジャンルではないかと思いました。
そこで、私流にいろいろと考えた結果、このような作品が出来上がりました。
はい、ええ、大変甘い考えだったと言わざるを得ません。
そもそも私は東京都民ではありませんので、江戸-東京の地理、風俗についての知識がほとんどなく、webの情報と図書館、電子書籍と時代劇専門チャンネルの録画、わずかな旅行経験を基に、この物語を作っております。ですから、お詳しい方から見るとツッコミどころ満載なのでしょうが、そこはそれ、素人創作として目をつぶっていただければ幸いです。
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この作品を書くにあたりまして掲げたテーマは、性愛を通じた人間性の承認です。それは2022年の今更になって趣味とは言え時代小説を書く上で、男であればだれでも理解できる普遍的なテーマを打ち出したいと考えたからです。
このテーマに沿って、主人公を非人間的な存在として描こうとし、ジョジョの奇妙な冒険「吉良吉影」と海外ドラマ「デクスター」をモデルに、人殺しに耽溺する鬼畜・外道と設定しました。
しかし、それでは単に主人公が悪逆非道の限りをつくすだけになってしまいます。単なる悪党に女の子が惚れまくるストーリーなど私には書けません。
そこで、主人公は悪人としての一面を持っているだけで、実は人間として極めて優れた存在であるという面を描くために、隠密同心の立場を与えました。
隠密同心とは、時代劇テレビドラマ『大江戸捜査網』に登場する主人公たち。ハードボイルドなようで心優しく、そして悲劇にもくじけない、理想のサムライたちです。
その強さや気高さが、主人公のイメージを形作る言わば『殻』として最適と考えたのです。
ただ『殻』であるからには、主人公はいつかそこから脱皮しなければいけません。
男が殻を破るために必要なものは強敵であり、女であり、我が子です。
主人公の『殻』を破壊しようとする敵との戦い、支えようとする女性との子作りこそが、本作のキモ。終着点は、我が子を抱くこと。
主人公は殻を破り、ただ一人の父親になるのです。だから最終回タイトル「さらば隠密同心」だけは初めから決まっていました。
初心者でも描きやすい、王道のプロットです。
最も捕らぬ狸の皮算用、現実はそんなに甘くなかったですが……。
ヒロインも、当初は三人の予定でしたが、初期プロットにはいなかったお雪という娘が急遽追加されました。彼女の登場がなければ、この作品は成立しなかったと言っても過言ではありません。
お雪は当初名前もないただの密偵としてしか考えていませんでした。
しかし主人公と対比される理想の隠密同心、殻だけではなく中身まで完全無欠の正義漢としての相棒は、どうしても必要だと考え直しました。
でなければ、私が隠密同心に抱く憧れの気持ちを描く機会がない。
そうして私の最萌えヒロインである
『ストライク・ザ・ブラッド』の姫柊雪菜
をイメージの土台に、複数の隠密同心、
十文字小弥太(杉良太郎)
伝法寺隼人(里見浩太朗)
左文字右京(松方弘樹)
への憧れを詰め込んだ『隠密同心・十文字お雪』が誕生しました。
これに応じて、主人公は長きに渡り彼らの相棒を務めた井坂十蔵(瑳川哲朗)をモデルに描くことが決まりました。
花を投げたり、洒落者という設定があるのも十蔵の旦那の影響です。
なお『大江戸捜査網』には小弥太と悲恋に陥るお雪という女性が複数登場しますが、名前の被りは偶然です。
ただその偶然から、敵組織『黒いデウス』・強敵『鬼一=流水八郎太』のネーミングが決まりました。
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こうして主人公が決まり、ヒロインが決まり、敵が決まって物語はスタートラインに立ったのですが、残念ながら途中で何度も投下休止期間を挟みました。
それは初心者ゆえの描写不足や練りの甘さ、物語の展開で行き詰まったことなどが原因でした。
特に物語の後半、人食いカビを登場させたあたりから死ぬはずだったクリストファーを生存させたり、逆に最終回まで出張るはずだった八郎太を退場させてしまったりと、筆力による不測の連続が続きました。
それにもまして、休止期間中に『プリキュアじゃない彼女たち』を書き始めたのは我ながら分を弁えない行為であったと反省しています。
しかもテーマさえ「性愛による人間性の承認」で全く同じ。同じテーマの作品を二つ同時に進めるなど、書くエネルギーを二分される虻蜂取らずもいいところの無謀な行為でした。結果、当初想定していた投下期間を遥かに超えて連載を続けてしまいました。
そんな苦闘の中、それでもどうにか最後まで走り抜くことができたのは、本作を読んでくださった皆様の存在があったからです。本当にありがとうございました。皆様のおかげで、何とか完走することができました。
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この後ですが、『プリキュアじゃない彼女たち』はクリスマスまでの完結を見込んでいます。もしよろしければ、そちらもご覧ください。
そして、年末年始には『世界の支配者』系を投下しようと考えております。こちらは抜きに徹した作品ですので、比較的短いスパンで更新できると思います。どうかお楽しみに。
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最後になりましたが、投稿の場を提供いただきましたハーメルン管理者の皆様方に、心より御礼申し上げます。
また、いつもTwitterで本作の応援・宣伝をしてくださるフォロワーの方々にも厚くお礼申し上げます。この場を借りて感謝の意を表します。
それでは、他作品で再びお会いできることを楽しみにしております。
令和4年12月10日 a-su