ベアトリス様は、元禁書庫の番人です。
前回はあまりベアトリス様のご活躍が見られませんでしたが、今回はどうなのでしょうか。
それにしても、姉様が前回のお話に一回も出てこなかったのはおかしいです。
作者はもっと、姉様の素敵な所を紹介するべきです。
え、いつもエキドナ様があらすじを言うのに、どうしてレムがあらすじを任されているかって?
そ、そんな事はどうでもいいんです!
決して、エッチなスバル君が見たいなんて…。
「えと、その…私達も、混ぜて欲しいなって…。」
「…は?」
エミリアの放った一言に、スバルの思考は一瞬で凍結した。
自分とエミリアが、エロい事出来るのか。
そう思うだけでしぼんだ下半身が疼きだし、濁った欲望が腹の底から湧き上がってくる。
「あ、でも、スバルは駄目よ?流石に男の子にお股見せるのはいけないと思うの。私達結婚もしてないんだし」
「そこは普段のエミリアたんかチクショウ!」
「…?私達、仲良しだけど結婚はしないでしょう?あ、でも結婚は好きな人同士がするものだから、スバルだったら問題ないのかも?」
「そ、そっか。でも、いきなり好きなんて言われるとちょっと照れるかな。」
自分の言ってる事がかなり恥ずかしい事と自覚していないエミリアに、スバルは対応に困る。
乱れたネグリジェ姿のエミリアに今すぐ飛びつきたくなるのを我慢するのも一苦労だ。
「エミリア様は、結婚する予定はあるんですか?」
「まだないけど…なんで?」
「いえ、何でもありません。…ヨシッ」
「よしっ、じゃねぇよ!俺の選択権は!?」
「でも、スバルはペトラのお股見ちゃったから結婚しなきゃ駄目よ?」
「基準そこ!?」
☆★☆
このままでは取返しのつかない事になると考えたスバル達は、一旦部屋に戻る事にした。
仮眠を取り、制服に着替え、持ち場に着く。
しかし、取り繕うにはいささか厳しすぎるものがあった。
☆★☆
オットーは三日間の徹夜を終え、清々しい気分で朝を迎えた。
仕事は先の分まで片付けた。今日一日、久しぶりの休暇を楽しもう。
そうだ、最近ほとんど寝てないし、今日は一日中寝てみるのはどうだろうか。
しかし餓死は流石に洒落にならないから、朝食は食べよう。
そんな事を考えながら廊下を歩く。
気分は上々、一日が満ち足りる気がした。
…ただし、オットーにそんな状況が訪れる訳が無いという懸念を除けば。
「うわっ、何ですか、この青春の匂いは…」
エミリアの部屋の前、臭すぎるのだ。
臭いというより、匂いが酷いと表現した方が正しそうだ。
それもその筈、エミリアの部屋の前と言えば、スバルとペトラがつい数時間前に情事を行ったばかり。
上質なシミの数々と濃厚な性の匂いが、辺り一帯の絨毯を支配していた。
「ナツキさんがやった…?なぜ?何のために?」
もちろん原因を知らないオットーは、スバルの仕業としか判断しない。
しかし、このまま考えていても埒が明かないので、取り敢えず食堂に向かう歩みを再度進めた。
「おはようございまーす」
「あ、お、おはようござ、いま、す、オットーさん!」
「どうしたんですか!?何だか、足がプルプル…」
「何でもないです!」
「は、はぁ…」
食堂に入ると、ペトラがせっせと給仕を行っていた。
だが、その様子はいつもと異なり、生まれたての小鹿のように足元がおぼつかないようだった。
…あの人、本格的にやらかしてるのでは?
オットーの頬を冷たい汗が流れる。
「い、いやいやいや!いくらあの人がロリコン気質あるからって!そんな、はは!はは、はは…」
「オットー、どうしたの?なんだかすごーく不自然よ。」
「…いえ、何でもありません。」
「オットー、疲れてるならもう一回休み取るか?」
「仕事が馬鹿にならないから拒否ですよ。というかあんた居たんですか!」
普通に座ってるスバルに、オットーは多少の殺意を覚える。
「俺朝飯待ってるだけだぞ!?何だよ、本当にどうしたんだ?」
「何でもありませんよ!あーもう、今日は休めると思ったのに…」
「スバル、あの男なんだか今日は一段とうるさいのよ。なんとかして欲しいかしら。」
「それは俺も同感だ。だがな、こうなってしまったオットーは何をしてもしばらくうるさいからな。こういうのは無視が正解だ。」
「その原因を作ってるのはあんたなんですけどねぇ!?」
「はっ、まさか、俺とベア子のイチャイチャに嫉妬…?」
「そんなのもう慣れてるはずなのよ。それに、ベティーはスバル以外を選ばないかしら。」
「うおぉぉぉーー!マイラブリーベア子ぉ!」
「きゃー、かしら!」
目の前で微笑ましい茶番を見せられ、ため息をつくオットー。
やはり休暇を取るべきだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
☆★☆
「で、これは何ですか?」
「お前じゃねぇの?」
「どう考えても僕じゃないでしょう!ガーフィールはこんな事はしなさそうだし、僕は昨日仕事に手一杯でした。第一、ここはエミリア様の部屋の前です。最初に疑いが君に行くのは必然ですよね?」
「俺がエミリアたんにそんな邪な事する訳無いだろ!」
「じゃあペトラちゃんとは?」
「…」
「分かってはいましたけどいざ黙られると複雑な心境ですね…。なぜそんな事を?」
「それはこの子が説明しますわ。」
スバル達の下へやってきたのは、この屋敷のメイド長、フレデリカだ。
派手過ぎない程度でメイド服を着こなし、所作も完璧。
屋敷になくてはならない存在だ。
「あ、えっと…」
その後ろをついて来たのは、この事件の主犯と思われる人物、ペトラだ。
彼女は普段から真面目でそういう面での不祥事など起こすはずもないと思っていたのだが、いったい何があったのだろうか。
「ペトラさん…昨夜、一体何があったのですか?それと、ナツキ君に何をしたんですか?」
「えと、その、話すと長いんだけど…」
「いいから、話してください。」
「…はい。」
そしてペトラは、昨夜の事の顛末を語った。
「なんて下らないんだ…」
オットーは、隣にいるスバルへの怒りと今回の事件の真相が本当にどうでもいい事なのに処理せざるを得ない面倒くささに頭を抱えた。
スバルは仮にも王選候補者の騎士なのだから、行動にもそれなりのモラルが問われるだろう。
もしこの事が世間にバレれば、エミリアの今後の保証はないだろう。
「ペトラの処分はどうするおつもりで?」
「さぁ…。そこは、ロズワール様の判断によると思いますけども。」
「そうですわね…」
さて、どうしたものか。
「…スバル、駄目!」
オットーは、ペトラの悲鳴と同時に横にいたスバルが懐から何かを取り出したのに気付いた。
「…!ちょ、アンタ何してるんですか!」
「へ?…あ、ご、ごめん」
なんとこの男、無意識の内にナイフで自身の喉を突き刺そうとしていたのだ。
ペトラがすぐに気付いてなければ、今頃彼は死んでいただろう。
「ケガはないですか?全く、アンタはタダでさえ不祥事起こしてるのに、これ以上罪を増やさないでくれませんかねぇ!?」
「_せいで。」
「は?」
「俺が、弱い所為で…自分を抑えきれない所為で…エミリアたんとか、皆に、迷惑かけちまって…。ほんとに、ごめん…」
スバルの目からは、涙があふれていた。
「_とにかく!ここで一旦この話は終了にしません?これ以上ここで話していても、状況は変わりませんわ。オットー様は、ロズワール様への報告。私は、クリンド様にも助言してもらいます。ペトラは、お仕事に戻りなさい。スバル様は…取り敢えず、今日は自室で休んでいてくださいまし。」
重い空気を破るようなフレデリカの指示で、この場は解散となった。
☆★☆
やってしまった。
もう、戻れない。
失った信用は、動かなければどうにもならない。
今のスバルは、動いたから信用を取り戻せたのだ。
しかし、今回は何をどう挽回すればいいのか分からない。
__やはり、死んで、やり直しを。
そう思い、スバルがもう一つの短剣を取り出した時、後ろから声がかかった。
「スバル、そんなに落ち込んで、どうかしたのよ?」
「…ベア子。」
「そう、スバルのベティーなのよ、…って、何を持ってるのよ!あぶないかしら!」
「あぁ、すまねぇ。…で、どうした?」
スバルはベアトリスを抱っこしてやり、そのままベットまで歩く。
「む、ベットに向かってるのよ?」
「そうだなー。俺、今日はちょっと疲れっちゃってさ。」
「…そうだ、せっかくだから、ベティーがスバルを慰めてあげるのよ。」
「え?」
ベアトリスは、スバルがベットに腰掛けるなりスバルの胸を飛び出し、豪奢な服を脱ぎ始める。
「お、おいベア子!?」
「簡単な事なのよ。さっきも言ったかしら。」
「な、慰めるって、そんな…」
「そう、慰めるのよ。_スバル、ベティーに、女を教えて欲しいかしら。」
スバルの受難は、まだ続く。