「お前、一体…」
「我の任務は、魔王が復活したと同時に魔具を回収する事だ」
「さて、予定通り来てくれると良いが」
突然起こった二つの異変。
一つは突然の光
二つ目は、城を襲った衝撃
城の者が今一番気にしたのは地下からの衝撃である。
近場にいた兵達が、地下への階段をおりて行く
「…特殊牢獄の方か…松明を!」
(普段より暗くないか?)
先頭にいた兵が、火を付けた。
「これは…」
火を付けても晴れる事がない闇。
「黒いガス?やはり爆発か」
「副団長がいるはずだ!行くぞ!」
王城、正門前。
「グスタフ!」
「スティーブ!」
「城で何かあったらしい…行こう」
「あぁ」
「火薬庫じゃないだと?」
「今のは明らかに地下からだよ。行こうハイド」
城の兵は王城の貴族の護衛に付き、騎士団は地下へと向かう。
階段前で合流するスティーブ、グスタフ、ハイド、ミレラ
「…静かだな。何人か行っている筈だが」
「行こう……」
「スティーブ。指輪を使って警戒しておいてくれ」
「あぁ」
階段をおりて行く、四人。
「うっ…この匂いは…」
「何が匂う?スティーブ」
「分かるだる…血だ」
牢獄通路に広がっていたのは…
大量の赤と人だった。
松明の弱い火が、より一層気分を悪くする。
「吐くなよ…」
「皆死体には慣れてるさ」
「いるぞ…奥に…何か…」
壁に掛けられた松明の光ではハッキリと見えないが。
「おい!お前がやったのか!?」
スティーブが叫んだ
「…遅かったな。待っていたぞ」
暗闇から出てきたのは、"骨"。
肉も脂肪も無い。鏡でできたような骨が歩いている。全身の骨と骨の間からは、黒いもやがでている。
そして、その骸骨の手には…
「ホ、ホルン…か?」
生きているのか死んでいるのか、ピクリとも動かない。
「貴様らの魔具。全て貰うぞ」
「グスタフ!」
「あぁ!!」
グスタフから風が吹き出る。
その風は見えない刃へと変化し、壁を傷付けながら骸骨に向かう。
「…何かしたか?」
全くの無傷。いや、当たる直前にかまいたちが消えた様な感覚だった。
「弓でやる!スティーブ!援護を!」
グスタフが大弓を手に取ったと同時に、駆け出すスティーブ。
大剣を引き抜き。指輪で感覚を鋭くし、身体強化魔法をかける。
「これに当たるのは不味いな」
骸骨は冷静に言う
「フンッ!!」
大剣を骸骨に振り上げた瞬間。
「!?」
骸骨の身体から、黒いガスが吹き出す。
(見えない!)
ガスの向こうから骸骨の手が向かって来るが、指輪の能力でよけきる。
「ん?どうやって避けた?」
「スティーブ!避けろよ!!」
「!」
グスタフが弓を射る。矢に風を纏わせた強力な一閃。
「我に魔法で生み出したものは効かぬ」
「なッ……!!」
それを、片手で受け止める。
「ハイド!援護を!」
「魔法が効かないのならば!!」
(身体の中で空気を炸裂させてやる!!)
飛びかかる三人。
「もう十分だ」
「…!」
見えない速度で殴り飛ばされる三人。
壁に叩きつけられ。崩れる。
「最後は娘。貴様だな」
「…!」
「分が悪いぞ。魔具を渡せば無傷でおいてやるが…」
「駄目に決まってでしょう!」
「!」
骸骨が反応できない速度でレイピアを二本引き抜くミレラ。
スティーブとグスタフが足を止めている間。魔具に魔力を送り続けていた
(狙うは一点!)
骨の胴体…肋骨の内側にある、黒いガスの塊。
彼女達はそこが弱点だと踏んでいた。
が
「…フッ…」
手応えは無かった。
「くっ…!」
腕を掴まれ、地面に叩きつけられる。
気絶か死んだのか…
身体が動かない。
意識はあるが、思う様に動いてくれない。
「く……っそ…」
「ん?ほう、貴様まだ生きているのか」
「て…めぇ…」
「魔法の匂いが一切せぬのだが…凄い根性の持ち主だな」
歩み寄って来る
「まぁ良い。こいつらと、こいつらの魔具は貰って行く」
そう言うと、背中から羽根が生えるえる。
生やした骨に、ガスが鳥の羽のように形作っている。
四人を担ぎ…
分厚い天井を貫いて行く。
その飛んでいる影には見覚えがあった。
(意識が……)
彼の意識は、完全にシャットダウンされる。
「……ぐ…」
「…!」
「生きてるぞ!ハイド防衛隊長だ!医療室に!」
王城、魔法医療室。
「…ん」
「起きましたか」
「…生きてんのかよ…痛ェ…」
白いロープを羽織った女性
治癒魔法に特化した彼女の名前は
「アトーニア…」
「えぇ、早速だけど。何があったか教えてくれるかしら?」
「……あぁ」
彼は、地下であった事を全て話した。
この騎士団の魔具使いが連れ去られた事を。
「ふーん…あんたは運良く生き残ったんだ」
「…まるであいつらが死んだみたいな言い方だな」
「生きてる証拠あるかしら?」
「死んだ証拠もない!」
「落ち着いてよ…かなりダメージ食らってるのよ、貴方」
「いい…もう出てくぞ」
「もう倒れないでね」
身体を無理に動かし、部屋から出て行く。
「……」
「ノードさん」
背後から呼ばれ、振り返る。
「あんたは確か…」
「よく、地下の見守りをしていた者です」
「何か用か?急いでる」
「ホルン副団長から、伝言を頼まれました」
『こいつは僕が引き止める。看守君には、ハイドの奴に伝えて欲しい事がある』
『ほお、少しだけ待ってやろうか』
『そうしてくれ、骸骨』
『…この骸骨は––』
「本当か?」
「はい」
「ありがとう……もう行かせてもらう」
「取って下さい。仇」
王城、自室。
「ノードさん。何処へ行く気ですか?」
「この国を出る。お前らも出てった方が良いぞ。王に首を落とされるかもしれない」
「良いんですか?大問題になりますよ?…お客様が来ています。正門前でお待ち下さっています」
「…誰だ?」
「さぁ…それより、良く平気でいられますね」
その言葉を不思議に思う
「どうして貴方だけ無事なんです?団長は?副団長はどうしたんです?」
「俺が何も感じていないとでも?…次に同じ事を言ってみろ、女でも殺すぞ」
「………」
荷物をまとめ、部屋を出て、門まで向かう
門を出たところに、一人の老人が立っていた
「客ってあんたか?」
「てっ、あんたがハイド•ノードか。息子から話は聞いてる」
「息子?」
「スティーブのことだ」
その言葉に、少し、汗を流す
「渡すもんがある…」
その老人は、肩にぶら下げていた、長い筒をハイドに手渡す。
「…なんだ…これ」
「剣だ。団長さんと馬鹿息子の依頼で、昔の剣を復元した」
筒の蓋を開けると、中には一本の、鞘に入った剣。
見たことが無い形だった。
鞘から刀身を抜くと、どれほどの業物かが一瞬でわかった。
「うちの倉庫兼ゴミ捨て場に残っていた物だ。昔ある剣士が使っていた」
老人は続ける。
「元は東の国の剣らしい。名前は…"千年刀"」
「なんだ…そりゃ」
「百年使っても折れない。だからそんな名前だ」
「千年じゃないのか…」
「百より千の方がカッコ良いだろ。かなり頑丈で切れ味も抜群だ」
刀を鞘に収める。
「ありがたく貰っておくよ…じゃあな」
「待て…聞いて起きたい事がある」
「…」
「魔具使いは、四人とも連れ去られたらしいな」
「それが?」
「うちの息子は生きてるのか?」
「生きてる」
断言する
「スティーブだけじゃない。ミレラもホルンもグスタフも、皆生きてる」
「だから……」
「俺は、戦争に参加する。騎士団の団員として。仲間として。人類の矛として」
「そして…骸骨の首を掲げてやる」
彼の目に映るのは、殺意の炎。
その目は、決して弱者の目では無かった。
「…頼んだぞ…"勇者"」
「任せろ」
長い、冒険が始まる。
もっと簡潔にまとめれないのだろか。
次回から、もっと丁寧に書いていきます。