※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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第十三話 運鈍根

 

 

 

 

「さぁ…死んでくれ!!」

 

右腕に剣のような赤い結晶を生み出す。

 

「理由はわからないが…焦ってるな!」

 

 

 

赤い結晶と千年刀が弾けあう。

「う、お!」

「チィッ!」

 

魔法が使えない人間の動きではない。

 

彼の原動力は、仲間を見つけ出し、助け出すための"友情"

 

「これだと!人間の方が強いぞ!」

「ぬかせ!!」

 

片方の腕にも結晶が生える。

 

それに応えるかのように、ハイドもショートソードを引き抜く。

 

 

(刀はともかく、こっちはそう持たないだろうが)

 

「今度こそ!!」

 

「俺が勝つ!!」

 

 

 

剣と刀を重ね合わせ、全力で結晶の魔人に斬りかかる。

 

魔人はハイドの空いた胴に向けて腕を突き刺そうとする。

 

 

(この人間…)

 

「もらったぁ!!」

 

(避ける気が無いのか…?)

 

 

魔人は刺そうとする腕を止め、防御に入る。

受け止められる。

 

「く!」

「何をかんがえてるか分からないが…!!」

 

ハイドの腹部に魔人の蹴りがめり込む。

 

「グ…ッッッ!」

 

吹き飛び木に激突。

 

(あぁ…あの時を思い出す…)

 

 

「どうだ?動けないだろう?」

 

魔人が歩み寄ってくる。

 

だが、しかし

 

「!?なんだ!」

魔人の足元に、炎の塊が着弾する。

(魔法……?)

 

 

「人が倒れてます!!」

「助けよう!!」

 

薄れ行く意識の中、そんな会話が聞こえてくる。

 

そして、彼は思った

 

 

「おい、大丈夫か?」

剣と盾を持った女が、声を掛けてくる

 

「……う」

 

「おい!立って大丈夫か!?今治癒魔法を…」

 

「手を出すな…!」

 

また自分だけ倒れているのは絶対にごめんだ。

 

 

「誰だか知らないが見ておけ…弱者は死ぬまで倒れるわけにはいかない…!」

 

「…勇者さま」

「うん…危なくなったら助ける」

 

「必要ない。今度は俺の番だ」

 

左腕に激痛が走る。木に激突したときに折れたのだろうか

 

 

(腹の中も変な感じだ…だが)

 

彼は冷静だった。

 

不思議と、戦っている感じがしない。

 

「…ちっ…勇者一行か…」

「魔人よ、今はその騎士に集中した方がいいぞ」

 

「はっ…ただの人間がッ!?」

 

いつの間にか目の前で刀を振りかぶっているハイド

 

「うあっ!」

避けきれず、肩が吹き飛ぶ

 

「あ…ああああああ!!」

血が当たりに吹き出し、ハイドが赤く染まる。

「少し…俺を嘗めすぎたな…魔法なんざ…俺には必要ない」

苦しみながら焦る魔人。

 

「じゃあな。すぐに仲間も送ってやる」

首を切り落とそうとした時。

 

「やめろ!」

静止させようとする声。

 

「…あぁ?」

ハイドが睨み付けた人間は、勇者だった。

 

「そいつに戦意はもう無いよ。やめておけ」

「……何言ってんだ?こいつは魔人だぞ?」

「分かってる。その上で言っているんだ」

「…」

 

何を思ったかは分からないが、刀を収めるハイド。

 

「…うん。ありがとう」

「半分、お前らに助けられたようなもんだからな…」

 

「さて、治癒魔法を掛けてあげて、オリーヴァ」

「…悪いが勇者よ、こいつは王が言っていた男じゃないか?」

「だろうね」

「……わかった。おい、腕をこっちに」

強引に腕をつかまれる。

 

「痛い痛い」

「静かにしろ」

 

(こいつの治癒魔法…)

 

「どうだ?効くだろう?」

「すげぇ…もう動く」

 

オリーヴァと呼ばれていた剣と盾を持つ女性。

どうやら治癒魔法に長けているようだ。

 

 

「メリシア、魔人に拘束魔法を」

「はい!」

 

そう言うと、男のからだに触れる。

すると、光る細い糸のような物がからだに浮き出る。

 

「完了です」

 

(彼女は攻撃魔法専門ってとこか…)

 

 

 

「さて、この人どうします?」

「どうするんだ?勇者」

「ごめん考えてなかったよ…」

 

「……」

「あー、そうだまずは自己紹介。これ基本だね」

 

勇者と呼ばれる男がハイドに握手を要求する。

 

「僕の名前は…"ハインツ•イングレッド"。一応、最強階級の勇者を持ってる」

 

「…」

その握手に応える。

 

「俺は"ハイド•ノード"だ。ただの魔法が使えない剣士だ」

「へー、王から聞いてたけど本当なんですね」

 

横から割って入ってくる。フードを被った女性

 

「彼女は治癒以外の魔法の専門家…」

「"メリシア•ハート"です」

 

 

「そして、さっき君に治癒魔法をかけた女性が」

「"オリーヴァ•ハイネ"だ…」

 

 

「この三人で勇者一行なんだけど…」

「?」

「一枠空いてるんだ」

 

 

「おい勇者」

「勇者さま?何考えてるんです?王の依頼を…」

 

「駄目だって。だってさっきまで魔族と戦ってたんだよ?スパイじゃないって」

「…」

「…はぁ…」

 

 

 

「と言う訳で、よろしく!」

「いや待て。何言ってるんだ」

あまり話に付いて行けていなかった。

 

「勇者一行に加われるのは、それぞれの分野の最高階級を持つ奴だけだろ?」

「勇者の判断でそのへんは自由なんだ。ほら、村にいこう」

 

 

 

「ちょ!まて!」

 

 

 

 

 

スラヴァの村。

 

賊の死体はすべて粉々に砕けていた。

 

「…」

 

村人や旅人の死体も幾つかあった。

 

「僕達が、賊を止めた」

 

 

 

 

なんとなく、あの男を探す。

 

(死んだか…)

 

 

 

「あ、人外の男!」

「あ?…生きてたか」

 

特に嬉しくもなかったが、元気そうなグントラムが立っていた。

 

「いやーたまには人助けもありだな!こう、心が綺麗になる!」

「あぁ、お前はそっちの方が向いてるだろうよ」

 

「あぁ、じゃあな!剣士さん!」

「待ってくれ」

「?」

 

「すまなかった…お前の大切な仲間を…殺してしまった」

「…いいって!元々、俺もあんたを殺す気だったしな!じゃ!」

 

 

「何があったかは知らないけど。それほど仲が良かったわけじゃ無いんだろう、あの男とその仲間って」

 

「だと良いけどな」

 

 

 

 

 

 

 

「次にいく場所は?」

 

「ここから少し東に向かう、すぐに、また北に向かう事になるが」

 

「さぁ、行こう」

 

「あぁ…」

 

 

 

 

 

岩の街。【サルモーラ】

 

 

 

 

 




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