※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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第十七話 御題目

 

 

 

四人は森を抜け出し、次の目的地へ向かっていた。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

暗かった。

空ではなく空気が非常に悪かった。

 

事が事なので、誰も空気を明るくしようとしない。

 

(ハイドの目がやばい……)

 

「…」

 

 

「なんだよ?俺の顔になんか付いてんのか?……なんだ、血か」

 

 

(なんで血が……)

 

 

「おや、兵達がいるね」

「…どこのだ?」

 

草原のむこう。

兵が列を作って歩いていた。

 

「あの紋章はアンダイエのですね。騎士です」

「ちょうどいいね、目的地じゃないか」

 

「向かってる方向もアンダイエの街みたいだね、着いてこうか」

「……やめとけよ…アンダイエの兵は傭兵紛いの奴ばかりだ…外じゃ何されるか…」

「知ってるのか、ハイド」

「まぁな…知り合いがいる。変なやつだよ…」

 

 

 

兵が何処かに消えてから、彼らは街へ向かう。

 

「すごい…黒いな、城壁」

「えぇ…凄いですね」

 

黒く塗られた城壁、街。

 

【アンダイエ】

 

ほぼ独裁政治状態。

領主は民から恐れられ、兵は民を脅し続ける。

滅多に旅人も寄り付かない。

 

「嫌だな。迂回しようか」

「駄目に決まってるだろう。食料を調達しないといけない」

その街の主に会うのも任務のうち。

 

 

 

「うわ、暗すぎる」

四人の暗い旅にとどめを刺した感じだった。

 

「…うるせぇ…物乞いに死体だらけだ…」

「そのくせ城は綺麗だな」

 

「おや?」

「……あ……?」

 

すれ違った男に見覚えがあった。

 

「ハイド君じゃないか!どうしてここに!?」

もの凄い食いついて来た男。

オカッパに紫の鎧というあまり見ない風貌。両脇に兵がいる。

 

 

「…ちっ…"ピエラニオ•ペツィオ"だ…無視しろ」

「おいおい、ひどいなぁ…何か雰囲気変わった?」

「お前は変わらないな…どけ」

 

「…いいのか?ハイド、知り合いなんだろ?」

オリーヴァが小声で話す

 

「あいつと関わると…良いことはない…」

 

「どういった関係なんです?」

「幼馴染だ…いや、ただの隣人だった…」

「と、とにかく、僕らは領主に…」

「…もしかして勇者一行かい?あのハイドが?笑えるな、おい」

 

「…さっさと行こう」

 

「領主は僕だよ。ハイド、勇者さま」

 

「…嘘だろ…」

 

 

 

 

 

「いやー、ご馳走してくれるなんて!変な感じですけど良い人ですね!」

城、食堂

 

「おい、メリシア…すいません、食料まで」

 

「いえいえ、なんたって魔王を打つ勇者一行ですよ?この程度…」

 

「…毒でも入れてないだろうな…」

 

「メリシアもハイドも失礼だな…全く」

 

「まぁどうぞ召し上がれ、うちの料理人は一流ですよ」

 

一人を除いて、食事に手をつける。

 

「うわゎ…美味しい」

メリシアは気に入ったようだ

 

「うん…美味しいね」

 

ハインツも

 

「なぁ?ハイド」

 

「……ああ、美味いよ…オリーヴァは?どうだ?」

 

「…あぁ、良い感じだ」

 

「よかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「見事に罠にハマってくれてよかったよかった」

 

意識が無い四人。

 

いや……

 

 

「睡眠薬…!所詮勇者も人間だな。僕は嘘は付くけど約束は守る…"コレ"の代金がわりだ」

 

 

 

「おい、こい」

 

ピエラニオの合図で部屋に入ってくる兵達。

 

「一人ずつ別の牢へ、ハイドは拷問室だ、僕は後で行く」

 

「ハッ」

 

 

暗い牢屋を引きずられるハイド

 

 

 

「なんだこいつは!重い…」

 

「先に装備剥ぐか…」

「…触るな…」

 

砕ける音がして吹き飛ぶ兵。

 

何故ハイドに意識があるのかも分からず気絶する

 

「…食うわけねぇだろ…!あのオカッパ殺す…!」

 

「…オリーヴァは…気付いていてくれたらいいが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、食べなくて正解だった」

 

拳についた血払うオリーヴァ

 

「ハインツとメリシアは…別棟か?急ぐか」

 

 

 

 

 

 

 

「ピエラニオさま、それを試すのですか?」

「あぁ、あのハイドという奴にな」

「そこまで嫌う理由は?」

「あいつは剣の才能があってね、散々いやな思いをさせられた…」

 

 

 

 

 

 

城、通路

 

 

(……隠密なんてしたことねぇ……)

 

兵達が楽しそうに歩いてくる。

(二人か…)

 

刀を抜く

 

角を曲がってハイドと接触する瞬間、兵二人が崩れ落ちる。

 

「…ハイド」

「…やっぱりお前は気が付いたか…オリーヴァ…」

 

「エルフは鼻が効くんでな」

「…二人を見つけよう…」

 

 

 

 

 

「おや、なんで倒れてるんだい?」

血だらけの一人の兵を見つける、ピエラニオ

 

「聞いてるんだけど?」

「…」

「おい?」

「…」

「…」

「…」

「全く役に立たない奴だ。処刑台に送っておいてあげるよ」

 

「ハイド、君は必ず殺す…勇者と女二人を"教会"へ、お引き出すよ…あとこの兵も」

 

 

 

 

 

 

「…いないな…」

「牢屋はこれで全てか?隠し通路でもあるのか」

「調べて無いのは外だけだ……行ってみるか…」

 

 

 

外に連れて行かれたとしても、そう遠くは無い場所にいるだろう。

 

一番近かったのは…

 

 

「ひどい…」

 

「あぁ…」

 

大量の絞首死体が吊るされた教会。

 

ハイドはピエラニオの奴の趣味だという事は知っている。

 

「オリーヴァ…お前は正面から行け」

 

「どうする気だ?」

 

「教会は…ガラスが多い…」

 

「わかった。それでは早速」

 

「早いな…」

 

 

教会の巨大な扉を蹴り倒すオリーヴァ。

 

中には当然、大量の兵とピエラニオ。

 

そして、ハインツとメリシアがいる。

 

 

「あれ、君だけか…どうだいこのギロチン?カッコイイだろう?」

「…そうだな、残念だが私はハインツやメリシアと違って、人を切ることに戸惑いはない。拘束する」

「無理だよ、無理無理無理」

「行くぞ!」

 

ピエラニオの部下達が身体強化魔法使い始める。

 

その事がわかっていたのか、臆せず突っ込むオリーヴァ

 

(私だって!努力しているんだ!)

 

飛びかかる兵達。

 

それを叩き伏せ、蹴飛ばし、投げつける。

 

(こ、この女つええ)

 

身体強化魔法の質も、格段に上がっているようだ

 

隙が一切、無い。

 

 

「それ以上暴れると、二人の首がスライスされるけど?」

 

「…」

 

「動くなって意味だよ、わかんねぇのかクソアマが」

 

「…全く趣味も人格も分からない奴だ」

「ハイドはどこだ?隠れてるだろ?」

「さぁな、分からんが…」

「…」

「そこは危険だ」

「?」

 

頭に何かが落ちてくる。

 

「これは…ガラス片…なっ!?上だ!」

 

 

 

「……お邪魔します……」

 

刀の先を下に向け、天井のガラスを突き破るハイド

 

 

 

「うわあああ!」

 

「…死んどけ…お前も民も俺も幸せだ……」

 

「やめろおおおおお!……何てねっ」

 

「!!」

 

 

ピエラニオは懐から一本の短剣を取り出し、振る。

 

「!?」

 

目に何かが入る。

 

そして、的を外す。

 

「毒だよ、大丈夫。死んだりはしないよ…僕次第だけどね」

 

「……何しやがった……」

 

「これに見覚えが無いかい?」

 

一本の短剣、それは…

 

「無いな…」

 

「おかしいな、赤獅子王騎士団の魔具なんだけど…幻想の爪だっけ…」

「どっちにしろ何故、お前がそれを持ってる…?」

 

「売って貰ったんだ。男にな」

「…なんだと?」

「条件はあったよ…勇者と会ったら勇者を殺すって条件が…」

「そこじゃない!その魔具を持っていた男はどんな奴だ!」

「…僕に勝ったら教えるよ」

「……しょうがねぇ…ま、俺が勝つって事はお前が死ぬことだ…」

 

 

 

「行くぞ、オリーヴァ」

「あぁ、兵はもう片付いた」

 

 

 

 

「忘れてない?ハイドにはもう毒入ってるんだよ?」

 

 

 

 

 

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