遅くなったからってクオリティが上がるわけではない
いやー上げようと頑張ってるですがね…やっぱ難しい
「策はあるの?ハイド」
「不意打ち…も無理そうだな…」
「もう放っておくってのは?」
「………」
「あーそう。そうね。何考えてるかわからないけど」
二体二。
数に差は無いがあのガーゴイルは何処か、おかしい
「…あの剣は…本当に魔具じゃないんだろうな」
「魔具ってのはね、"匂い"でわかるのよ」
「…匂い?」
「そう…魔具には独特の匂いが付いてる。正確に言うと魔法の匂いだけど…エルフにしかわからないらしいけど」
「初耳だな」
「けど…」
オリーヴァは眉をひそめる
「なんだよ」
「違う匂いがするのよね、魔具や魔法と似てるけど、違う何か……」
「……もういい、行くぞ」
ハインツとメリシアは危機的状況に陥っていた。
数の圧倒的差。
しかし、一番の要因は……
「ハインツ…だったかしら?」
自分で魔人と明かした女。
体が木でできているような見た目だ。
スプリガンと違って、しっかりと"生きた"木だ
(何処かで…見たような)
「勇者様は"不殺主義"って聞いてるわ。魔物も殺さないとか」
「…その通りだけど」
「…よく勇者の称号を持ってるわね?」
「ハインツさんが勇者の称号を持ってるのは"殺さない強さ"を持ってるからです!」
「へぇ…命なんて消えてなんぼなのよ?死が生を活かすのよ?」
「魔人が何を言ってもね…自分を折る気は一切ないよ」
「まぁ、いいわ。つまりここで死ぬってことだもの」
女が手を上げると、魔物達が前へ出る。
(魔物が統率されている?)
「一匹も殺さずに…"勝利"してみなさいよ」
「言われなくてもそうするよ!」
「……ハインツさん」
魔物達が一斉に飛びかかる
(私にできることは…)
「…あら」
「…!」
どうやったのか、気配もなくメリシアの背後まで来ていた女
ハインツは魔物のせいで気がついていない
「貴方も殺さない主義なのかしら…?魔法しか使えないのにそんな事できるの?」
「!一体どこまで」
「実は結構前から"監視者"を…あぁ、ガーゴイルのことね。それを監視につけてたの。上にね」
「一体どうやって…」
「もう察しがついてそうだから言うけど…私は下級の魔物を操れるのよ…魔王にだって出来ないことよ」
「…」
「私は……世界樹の"子供"なのよ」
「なんですか……それ」
「まぁ、今は勇者さまの心配した方がいいんじゃない?」
(殺して、たまる、か!)
魔物達の手を、足を切り裂いて行く
魔物の声がハインツの鼓膜を揺らす
(…!)
「く…ッ」
スプリングの鋭い爪が、ハインツの腕を傷付ける。
それが鍵になり、ハインツは次々に攻撃を受ける
だが…
殺さない
ただ動けない生きたままの魔物が作られて行く
「あら、本当に殺してないわね…仮にも勇者ね」
「当然です…」
「貴方は…そうね、不殺ではないのかしら?」
「突然何を…」
「勇者さまにぴったりとくっ付いてるだけなんでしょう?…"殺すと嫌われる"みたいな感じかな…?」
「…」
「図星ね」
「いい加減に…!」
「おっと、そう怒らないでよ…っと!」
女は身体を傾ける、すると
女の背後にあった木が綺麗に切り倒される
「…今、殺す気だったでしょう…?」
「…!!」
メリシアを囲むように炎が発生する
「ここ森なんだけど…いいの?」
「死体を残さないとバレませんから」
「なるほど…頭はいいわね」
魔物は全て、ハインツに集中していた。
霧の濃い中で、人間を探す二体のガーゴイル
「行くぞ…」
「二回目ね…」
「…!」
武器を抜くと同時に、二体の前に飛び出す二人
「!ギュッ」
素手のガーゴイルの背中に剣を突き刺すオリーヴァ
そのまましがみつく
「フゥッ!!」
「…お前は俺だ」
オリーヴァに気を取られた剣を持つガーゴイル。
いつの間にかハイドの刀が、肩に入っていた
「ギュアアアアッッ!」
そのまま刀を下に向けて力を込める
血が吹き出し、地面に落ちる
「!!」
「ッ!!」
片方の剣で、ハイドに切りかかろうとするが
「…ちゃんと周りは見ろよ…」
「…ギヒッ」
隣にいたガーゴイルの首が飛んだ
「ナイス誘導だ!オリーヴァ!」
そのまま来る剣を避ける。
「…凄い力ね…!けど」
「これで終わってくれ…!!」
背後から、正面から斬りかかる。
「……!!あら、死んじゃったみたいね」
「…?今は自分の心配をした方がいいんじゃ」
「せっかくいい"物"を持たせてあげたのに」
「さっきから何を…」
「…たしか一人…"無能"がいたわね…やばいわ…」
「…いい加減に…!!」
炎が女に向かい、飛んでいく
「…もういいわ」
「…?魔物が…?」
ハインツを囲んでいた魔物達が、攻撃を止める
「遊びはここまでよ、お嬢さん」
「きゃッ!」
メリシアの手足に、突然地面から飛び出した植物が縛りつく。
「動かないでよ勇者様、まぁこの子がどうなってもいいなら…」
「彼女を離せ、これ以上はもう手加減しない」
「それは私もよ…いや、もう遊びは終わりだったわ」
「この程度で…!」
「あら」
メリシアを縛っていた植物が燃え上がる
「よそ見するなよ!」
「あらら」
ハインツの剣が女を切り裂こうとするが
「っ、危ない危ない」
「くそっ」
「いま狙ったのって腕?首じゃなくて?魔人も殺さないなんて本当どうかしてるわね」
「何度も言ってるだろ…!」
「殺せる理由…作ってあげようか?」
「なに?」
「作るのは簡単よ…あっ」
「っ!?」
ハインツの目の前に強い風が吹く。
つい目を瞑ってしまう
「っ!メリシア!?」
次に目を開けた時の光景は、意外。
魔人の女が綺麗に切り開かれていた
「…」
風魔法。
「……殺さないと殺されていました」
「いや、死んでないわよ?」
「「!?」」
(後ろ!?)
メリシアの背後
そこには魔人の姿があった
「はいっ、眠っててね。メリシアちゃん」
「えっ…」
「メリシア!?」
突然力なく崩れるメリシア。
「安心して、"まだ"殺さないわ。今日はもう引き上げないと行けないし…」
メリシアを片手で担ぐ
「行かせるか!」
「あなたたち、相手しといて」
「!」
意識がないかのように棒立ちしていた魔物達が、突然動き出す
「邪魔ッ!だ!」
「殺せるきっかけはこの程度じゃできないでしょうけど…」
魔物達の影で女とメリシアの姿が見えなくなっていく
「どこに連れていく気だ!」
「言うと思う?彼女はなかなか使えそうだし……そうね、"世界の柱"かしら?もう答えな気がするけど…」
姿が完全に見えなくなる、声も聞こえない
(こいつら…さっきより動きが早い…!)
(連れ去られた!)
「…どうやってハインツ達と合流する?」
「飛び降りるわけにもいかないしね」
二体のガーゴイルを片付けた二人は、悩んでいた
「…しょうがない、時間かかるけど道を探そう…」
「そうね」
二体の死体の側から立ち去ろうとした。
その時だった
「まて、ハイド…」
「なんだよ……う」
ガーゴイルの死体から、黒いもやが出ていた
そしてそれには、見覚えがある
「……ゴーレムの時の……」
「身体強化魔法の特徴か?」
「鏡の骸骨の…ガス……」
「え?」
「来るぞ…!」
黒いもや
到底いきているとは思えないものが、向かってくる
「あの時と同じよ!」
目に追えない速度で目の前まで来ると
「……あぁ、みたいだな」
消える
ハイドの前で
「気味悪いわね」
「全くだ…」
【フレイジア】
「先日、拘束されて届けられた魔人は今どこに?」
「そのようなことを聞いてどうするのですか、王よ」
「なんでも"死体を操る"らしいじゃないか、使うに決まっている」
「…そうですか。牢獄に捕まえております」
「善は急げだな…」
「少しお待ち下さい、王よ」
「なんだ?」
「勇者一行に一人、仲間が加わったようです」
「ということは今は四人か…どんな奴だ?」
「……ハイド•ノードです」
「ノードか。親子揃って変な奴らだ」
「…ハイドは確か…」
「あぁ…"無能"の"才能"の持ち主だ」
「まぁ、魔力がいっさい無いなんてそう珍しい事ではないですがね」
「勇者が一人、増える事になればいいがな」
気が付いたらこんな時間に!