谷底。
「うお……酷いな」
あたりを埋め尽くす魔物の血と肉
「…」
魔物達は生きていた
あったはずの手と足を振り
生きて、もがいていた。
「流石に少し…キツイわね」
「…ちょっと待ってろ、二人を探してくる」
幸運なことに人間の死体は見えない
「こいつらも…痛みは感じれるのか…」
「殺した方が…マシだろうが…あの野郎」
森に入る
木々も赤く染まっていた
「!…生きてるか?ハインツ」
木にもたれかかる、赤いハインツ
「…まぁね」
「メリシアは?」
「……なぁハイド」
「……おい」
「お願いが…ある」
「…なんだよ?」
「俺に……剣を教えてくれ……!」
「は?」
頭を深く下げるハインツ。
意外な言葉に少し戸惑うハイド。
「……おいおい、この地獄を作った勇者様が俺に剣を教えてくれと?なんだ?神様でも切りに行けるのか?」
「君…神様切れるの…?」
「…おっと……まぁ、理由は何と無くわかる……連れ去られたか跡形も無く無残に殺されたか…どっちだっていいが…」
「…」
「……いいぜ……」
ハインツには明らかに、剣の技術が足りていなかった
彼はそのせいで、"負けた"と思っている
「……まぁ…そうだな…早速だけど…まずはお前が作ったこの光景をよく目に刻んどけ…」
「…!」
「お前は…これを見て、どう思う?」
川に流れる水ですら赤くなっている
しかし、その血の持ち主達は死んでいない
「……殺すことより残酷じゃないか?まぁ、俺は魔物だからどうでもいいが…」
「…これを見てどうなるんだよ…」
「Step1だ…一体づつとどめを刺せ」
「…あ?」
「もう分かってるだろ…?お前は殺しの剣を覚えなくちゃいけない……」
「…」
「…さっさと殺れよ…だからメリシアを守れなかったんだろ…」
「…く…そッ!」
「剣を教えるのか?ハインツに?」
「僕からそうお願いしたんだよ。このままだと…ね」
「それよりメリシアは?」
「魔人が言っていた。"世界の柱"…そこに彼女はいる」
「なるほどね…」
「…急ごうぜ…目指すは…"世界樹"だ」
"東の城"
「…あれ…久しぶりだね、何年ぶりかな?千年くらいか」
「土産を持ってきたぞ。それも、懐かしいものだ」
「ほーん。確か君の体から作った"鎧"だね」
「…いい加減名前を読んでくれぬか?」
「嫌だよ。なんか変な感じだし。呼びにくいし」
「……」
「あー分かったよわかった…」
「ほお」
「テス…いや…」
「"ティトラカワン"…物を極めし黒き鏡よ」
「久しぶりだな、"魔王"よ」
「君は名前で呼ばないのかよ」