※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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第二十二話 暗雲低迷

 

 

 

フレイジア、王城

 

王室

 

 

 

玉座に座る。王。

 

 

名はケツァル•コルテス。

 

 

 

「それで、前線はどうなってるのだ?」

 

 

「あまり好ましくありません」

 

 

「やはり魔族は強大だな…勇者一行はいまどの辺りに?」

 

 

「それが、連絡がなくなったと…」

 

 

「死んだのではないだろうな」

 

 

「…」

 

 

「そこは否定して欲しかったが…赤結晶の魔人の方は?」

 

 

「いまだ、操作する目立ては…」

 

 

「そう簡単には行かぬか…まったく…」

 

 

「えぇ…」

 

 

「いま魔王軍はどこまで来ている?」

 

 

「この勢いではもうすぐに、世界樹の近くまで…」

 

 

「そうか。まぁ、こちらにもまだ…"切り札"はあるさ」

 

 

「切り札…」

 

 

「あぁ、もう消してしまうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山道、夜。

 

ハインツ達は、休憩をとっていた

 

 

 

いや、休憩をしているのはオリーヴァだけだった

 

 

「うわっ!」

 

 

「……遅いぞ。ハインツ」

剣の稽古をしていた

 

 

「一本も取れないなんて…」

 

 

「…魔法のありがたみを感じてるんじゃないか?なんなら身体強化魔法を使ってもいいぜ」

 

 

「流石に疲れた…」

 

 

「……」

 

 

「なんだよオリーヴァ?」

 

 

「いや……」

 

 

いくらハインツが剣の腕が下手でも、勇者の血を引いている

 

 

根っからの"才能"を、凌駕したその力

 

 

(私はハインツに勝てるか…?いや…)

 

 

 

ハインツとオリーヴァは気が付いていた

 

 

"ハイドは人間を極めた存在だ"

 

 

 

 

 

(僕は彼に勝てるようにならなくてはいけない…!)

 

 

 

 

(私は……)

 

 

 

「…俺もう寝るから…」

 

 

 

「う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

 

 

 

「……もう起きてたのか、二人とも」

 

 

泥だらけのオリーヴァとハインツ

 

 

「ま、まぁ」

 

 

「まぁいいや…さっさと行こうぜ」

 

 

 

 

 

通常の予定では、世界樹は通りもしない筈だったが…

 

メリシアが連れ去られたことにより事情が変わった。

 

下手をすれば、戦場のど真ん中に入る羽目になる。

 

 

 

「急がないとね」

 

「そうね…」

 

「次はっと……街か…」

 

 

これからはただひたすらまっすぐ進むだけだ。

 

世界樹までは幾つかのポイントがあるが、面倒な場所はない

 

 

 

 

「間に合うといいんだけど」

 

 

 

彼は変わる

 

世界を支え、世界を保つ柱で。

 

 

 

 

 

 

 

同じく山道。

 

 

「なぁ兄ちゃん。何処から来たんだ?」

 

「フレイジアの方からだ」

 

「へぇー……」

 

大きな二頭の馬が引く大きな馬車が一つ。

 

乗っているのは二人の男。

 

片方の男は、山道を一人で歩いているところを商人の馬車に招待されたようだ。

 

「このあたりは魔物も少ないけど、一人は危険だよ?しかも剣も持ってないし…」

 

「それはおっさんもだろ?それより助かったよ。体力には自信あるけどもう限界だった」

 

「だろうね、おっさんの名前はへラルクだよ。君は?」

 

「"フレイ"だ」

 

「ほーん。短い付き合いだがよろしく」

 

「ところで次に休めそうな場所はどこで、どのくらいかかる?」

 

「ここからだとネギリスの街かな?2日ってとこか」

 

「遠くね?いそいでんだけどなぁ」

 

「まぁ気長だよ気長だよ」

 

馬車がガタガタと揺れる

 

「兄ちゃんはどこ向かってんだ?」

 

「エルフの国にね」

 

「あそこもうすぐ戦場になるんだろう?何しに行くんだ」

 

「ちょっと貸してる物を取りに…」

 

「ほー…あり?」

 

二人の視界が少し暗くなる

 

「…違う、影だ」

 

「ちょ、兄ちゃん!上!上!ガーゴイル!」

 

「うおおお!マジかよ!」

 

一体のガーゴイルが馬車の荷台をつかむ

 

「俺たちごと飛ぶ気だ!」

 

「仕方ない…馬車を捨てるか」

 

「えらい冷静だなおっさん。まぁ待て、もう終わる」

 

「何する気だよ兄ちゃん…あれ?ガーゴイルは?」

 

いつの間に何が起きたのか、ガーゴイルの姿がなかった

 

いや、あった

 

ガーゴイルの二本の腕だけが、荷台をしっかりと掴んでいた

 

「?…何したんだ?」

 

「"ちょっと切った"だけだよ。おっさん」

 

周りの植物達が騒がしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が落ちる

 

勇者達も今だ、街には辿りついていなかった

 

 

 

「もー、虫多すぎないかしら」

 

「やっぱり虫は駄目な感じなんだ。オリーヴァ」

 

「……流石にもう疲れたな。今日はここまでに…」

 

「ちょ!まって!後ろから馬車の音が!」

 

「ついてるんじゃない?上手くやれば街まで…」

 

「…それ以外の音もしないか?」

 

「へ?」

 

少し暗いが馬車の姿が遠くに見える

 

 

「……」

 

その馬車は見てすぐに分かるくらいに、ボロボロだった

 

 

ボロボロだけならよかったのだが

 

 

「ガ、ガーゴイルの群れ?」

 

「あの馬車襲われてるよ!行こう!」

 

「…群れるもんだったか?あいつら」

 

 

向かってくる馬車に向かって、こちらも走る

 

 

「数はせいぜい10体前後だ!」

 

「…」

 

 

 

彼らは剣を引き抜く

 

 

 

 

「…あ!?」

 

 

 

 

必要は無かった

 

 

 

 

馬車に近づいたガーゴイル全てを、馬車から飛び出たある物が貫いた

 

 

「…木」

 

 

馬車から生えた鋭く枝分かれした木が、全て解決した

 

 

だが、馬車の耐久力はもう限界だった

 

 

一つの車輪が取れ、馬ごと横転する

 

 

バラバラになりながら滑る馬車

 

 

「……」

 

「オ、オリーヴァ!準備を!」

 

「え、えぇ」

 

 

馬車に近づき、木片をどかす

 

 

 

必要も無かった

 

 

 

 

「大丈夫かおっさん?」

 

「もう家に帰りたいよ」

 

 

 

ガラクタの山から飛び出た男二人

 

 

 

「だ、大丈夫…ですか?」

 

「あん…?あぁ、だいじょぶだいじょぶ」

 

「俺の商売道具が!」

 

 

 

「…片方は大丈夫じゃなさそうだが…オリーヴァ」

 

「えぇ……"魔具"ね…余裕そうな男の方」

 

少し隠れて喋ったが

 

「あ、気がついた?」

 

余裕そうな男の方には聞こえていたようだ

 

 

「…おい、さっさと行こうぜ?また無駄な面倒ごとに突っ込むことになりそうだし…」

 

「まぁそれもそうかもね、行こうか。二人ともお元気で!」

 

「いや待て。お前ら勇者一行の"偽物"だろ?」

 

「ほらな……」

 

「そうね」

 

「偽物?」

 

剣を抜く二人

 

「ふん」

 

一歩前へでる男

 

「ちょっとお手並み拝見を…したいんだが」

 

「…?」

 

「ちょっともうげんか…イ"ッ」

 

「兄ちゃん!?」

 

どさっと地面に体を打つ。

 

「倒れたわね」

 

「ほっとくわけにもいかないよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奴らに勝利するには武器がいる」

 

「即ち魔具」

 

「このような魔具をこの国が持っていたなど…」

 

「ちゃっちゃと行こう」

 

 

 

 

「頼んだぞ。勇者達よ」

 

 

 

 

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