「…で、勇者一行の偽物ってどう言う意味だ…?」
「そのまんまの意味だ。二度言わせんなよ」
あれから数時間たち、太陽の姿も完全に消えていた
「食料をありがとうございます勇者様!」
「いやいやーいいんですよ」
「…」
「あなたの名前は?魔具を持ってるけど…」
「…フレイだ」
「案外あっさり。答えるのね」
「…話を戻す、なんで俺たちを偽物と思った?又はどうやって偽物の情報を掴んだ?」
「食いもんよこせ」
「……ほらよ」
パンを投げ渡す
「柔らかいパンだ…さすが勇者様一行だ」
「…おい、偽物の話はどこ行った」
「偽物とは思えないほどいい奴らだ」
「答えなさい、パン没収するわよ」
「わかったよ…正直言うと偽物ってのは半分冗談だ」
「半分?」
「そ。もう半分は最近、フレイジアからもう一組の勇者達が旅立ったって噂を聞いたからだ」
「なんだいそれ?全然聞いてないよ」
「もしかしてあんたが勇者!?だよな!?」
「……なぁハインツ…フレイジアに向けての定時連絡的なもの無かったっけ……」
「…あー….どの道今はメリシアいないし…」
「…あ?お前はできないのか?」
「まぁね」
「…まぁいい」
「今日はもう休みましょう。明日にも街につかないと」
「そうだね」
「……変なことすんなよ、フレなんとか…」
「あ、一緒に休んでいい感じ?」
翌朝
「そーいえばおっさん。あの馬車の馬は?」
「残念ながら…」
「見えたわ。ネギリスよ」
「………煙上がってないか」
「暖炉のだろう?さっさと行こうぜ!」
「なんか嫌な感じだなぁ…急ごうか」
少し速度を上げる五人
「…どんな街なんだ?」
「さぁ」
「さぁ」
「さぁ」
「よく商業で行ってます」
「そういえばおっさん、商人って言ってたな」
「どんな街なの?」
「どこにでもある普通の街ですかね。強いて言うなら…」
「ん?」
「魔術の学校があるくらいですかね」
「へー……」
ネギリス。
世界樹に近い数少ない街の一つ
魔術師にとっては夢の街だと言われているが、今は…
「今のところ門番くらいしか見てないよね?」
「…戦争がすぐそこだからな、逃げたんだろ」
「やっとついた!俺はこれで!」
「おい?」
フレイは有無を言わさず走って消えて行った
「……おっさんは?アテはあるのか?」
「まぁ…知り合いがいるのでひとまずそこに…私もこれで
「そうですか」
「それでは…」
「まだ明るいうちに付いたけどどうするの?」
「どうせだし…魔術の学校が気になるね…国に連絡を…」
「……いるのか?人」
「行って見たらわかるよ、行こう」
彼らはすぐに魔術の学校を見つける事ができた
城ほどもある大きな館。
それにあう大きな門。
何より"魔術の学校"の看板。
「…名前が直球だな」
「この門軽いね、開けちゃおう」
「人がいる気配しないけど…」
玄関。
「ごめんくださーい!」
「…」
「…鍵が掛かってるな。やはり人は…」
「行きましょうか…あら?」
「おー」
大きな扉が人の手を使わず、開く
そして中に入っていく三人
「…いるのか?」
「はい」
「いつのまに…」
「私は学校長を勤めさせて頂いてます。"アレサル•フード"です。あなた達は?」
「あー…えっと、一応勇者一行です」
「へー…そうですか。…この街から出た方がいいですよ」
「どうしてですか?」
「そうですね…喧嘩ですかね…」
「…喧嘩?」
「あ…いえ、このあたりも戦場になりそうですし、街の住民は他の国へ行ったので…」
「…」
「あ、ですけど勇者様なら戦場でも大丈夫ですかね?これは失礼を…」
「……おい、ハインツ。行こうぜ」
「そうした方がいいかもね…そ、それでは」
出て行こう。と軽い挨拶をするが
「あ………やっちゃった」
学校長の女がつぶやいた
「……どう転んでもこうなるのか」
「ハイド?どうしたの?」
館の外から聞こえる。
よく聞くこの音は…
「……何かに囲まれてる。鎧を…いや、甲冑を着てるな…剣も…」
「分かるんですね」
「僕達は関係ないでしょ?このまま堂々と玄関からさ…」
言い切ろうとしたとき、扉が大きな音を立て開かれる
否。
壊される
入ってきた甲冑姿の人間達の空気は、尋常では無かった
「か、関係ない。多分」
「いえ、あなた達も標的です」
「…も?お前の部下じゃないのか?」
「はい」
「来るわよ!攻撃していいの!?」
「ッ!殺さないように!」
「…まだ言ってんのかよ…」
「……!」
戦縋を振り上げる甲冑
「こいつは僕が!」
着込んでいるためか、動きは非常に遅い
ハインツは胴体に蹴りを食らわせる
そして、
「バ、バラバラになった…!?」
「…お前もとうとう吹っ切れたか?」
「違う!人が入ってない!」
「当然です。これは術で操っているものですから」
「早く言いなさいよ…!このッ!」
そうとわかれば、全力で潰しに向かうだけだった
「…!終わったか…」
「お疲れ様です」
「こ、これは誰が操ってたのかな…?」
「…お前さっき喧嘩だって言ってたな?」
「そうでしたっけ?」
「……もしかして俺たちは巻き込まれた感じか?」
「まぁそうですかね」
「……今度こそで出よう」
「そうしましょう…」
「賛成だよ」
「あ。街にもいるみたいです」
「…探索魔法か」
「因みに街には少しだけ人が残ってます」
「……」
「行くよ二人とも!」
「そうなるわよね…」
「…ついてこい女」
「兄ちゃんまた合ったね」
「おーおっさん…ところで」
「こいつらなんなんだろうね」
一本道
後ろにも前にも大量の甲冑がいた
「剣がこっちに向いているような…」
「しかたねぇ、よくわかんないが殺しに来るなら…」
フレイが懐から取り出す二つのグローブ
「こっちも殺るまでだ……ちょっとどいて」
「う、うん」
彼は隣に建てられていた家に手を添える
「いい味だしてる木造だ……そして」
「ちょ!くるよ!」
「いい武器になる」
ガシャガシャと音をたてて向かってくる。
囲まれた状態で、何ができるのか
「死んでも文句言うなよな」
フレイを切りつけようとした甲冑が大きくへこみ、吹き飛ぶ
吹き飛ばしたのは家。
正確には家から生えた木材だった
「次行くぞー」
次々に家に使われていた木材が形を変えて甲冑を襲う
「こんだけやって血が一滴も…あれ」
「人が…入ってないね」
「まぁいいや」
一本の枝を拾う
その枝も形を変えていく
その姿は剣のようだった
「結構切れるんだよなこれ…まてよ、こいつらには意味ないか…?」
「危ない!」
「おっと」
避ける
「うおら!」
拳を一撃、食らわせる
甲冑だったとは思えないほど抉れ、すっ飛ぶ
「これで全滅しろよ!」
地面に拳を叩きつける
すると
それぞれの甲冑の真下から、槍のように鋭い木が飛び出し
突き刺さる
「終わった?」
「…それどうやってるんだい?」
「魔具だよ。魔具。そうだな…名前は…」
【ネボの小手】
詳細は一切不明
ある一冊の本には神が自ら落としていった腕だと記されている
二つのグローブのような形
「あれ?もう終わってる?」
「おっ!勇者一行が助けに来てくれたぞ!」
「…うっざいなーこいつ」
魔術学校内
校長室
「喧嘩ってどう言う意味よ?」
オリーヴァがアレサルに質問を投げかけるが
「そのままの意味ですかね」
あまりいい答えではない
いや、本当に喧嘩なんだろうか
「喧嘩相手は?」
「夫です」
「夫婦喧嘩かよ?魔法使ってか?」
「…まぁ、俺たちは関係ないみたいだな。勇者の仕事はしなくていいらしい」
「手を貸していただけませんか」
「…ハインツ」
「…わかりました。まずは詳細をお願いします」
「ちょっと長くなるかもですが…ゴホンッ」
「彼はある禁術に手を出そうとしているのです」
「禁術ですか?」
「そうです、まぁ詳しくは言えませんが……不死の魔法ですかね」
「いや、正確に言うと魔法じゃないですね……」
「…で?俺たちにどうしてもらいたい?」
「……夫を殺して頂きたいのです」
「殺す…ですか?」
「彼はもう戻れない場所まで行ってしました…当然、戻してあげたいのですが…」
「…ハインツ、どうする?やるのか?」
「ぼ、僕なの?」
「…いい機会だろ…」
「なに?何の話だよ?」
彼女の夫の場所は、街を出てすぐの場所
どこにでもあるような洞窟に篭っているらしい
「…お前まで着いてこなくていいんだぞ?」
「いいだろ別に。なんか禁術ってのが気になるんだよ」
フレイが後ろについて来ていた
「殺しの依頼なんて受けていいのかしら?」
「被害を広げないため…けど殺しはしたくない」
「……ま、最善の手を選ぶまでだ。行こうぜ」