※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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第二十四話 一粒万倍

 

「…彼女はついて来なくて良かったのか」

 

彼ら四人はすでに洞窟の入り口まで来ていた

 

「夫のしたいなんて…ね」

 

「殺すって決まったわけじゃないよ…っと」

 

ハインツは一本の松明に火をつける

 

「中はどうなってるかわからない。気をつけて行こう」

 

「そうね…行きましょう」

 

「……お前はここにいろよ」

 

「いや、ついていく。めっさ気になる」

 

「そこまで気になるの?フレイ」

 

そう言いながら一人、洞窟に足を踏み入れるハインツ

 

 

 

「まぁね……勇者さん?それ」

 

「ん?なに?」

 

ハインツの足元を指差すフレイ

 

「これは…」

 

切れた細い糸をが落ちていた

 

「ただの糸だよ?」

 

「……いや」

 

ハイドは何かに気付いたようだった

 

「上」

 

「うわ!?」

 

ハインツの背後

 

 

ハイド、オリーヴァ、フレイの目の間に大きな岩が落ちる

 

「砂煙が……」

 

「トラップか。魔法じゃない、普通のトラップ」

 

「……無事かー?ハインツ?」

 

返事はない

 

「い、急いでどかしましょう」

 

「俺に任せなさい」

 

 

 

 

 

 

洞窟内

 

 

「…え?何が起きたの?」

 

松明を自分が持っていて正解だった

 

「入口が…岩?おーい!皆ー!?」

 

何かがおかしい

 

「しょうがない」

 

身体強化魔法を発動する

 

「どっこい!しょ!……あれ?」

 

「う、ごかない?」

 

彼の強化魔法はトップクラス。

 

ただの岩を動かせない訳がない

 

 

「これは……一人で行くしかないみたいだ…」

 

 

 

 

 

外には岩をどかせようとする三人の姿があった

 

 

「…なにやってんだフレイ」

 

「い、いや、全力でやってんだけど」

 

岩を包むように植物が展開されていた

 

「…どうやら魔法でも掛かってるみたいね」

 

「壊すのにチェンジするか」

 

「多分無駄よ」

 

「…なんで?」

 

「"空間固定魔法"禁術の一つね。詳しくは知らないけど…」

 

「術者を殺る必要がある…か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洞窟内

 

ハインツは一人で先に進んでいた

 

「暗いな…」

 

明かりは松明一本

 

少々、心細いが仕方ない。

 

 

 

「…!あれは…」

 

 

先に意識を集中すると、どうやら広く空いているようだ

 

そして

 

 

幾つかの光があった

 

 

「…誰だい、君は」

 

少しの光に照らされ、座っている一人の男

 

少し年をとっているようだ

 

「あなたが…えーっと」(年の差結婚…)

 

そういえば夫の名前は聞いていなかった

 

「…そうか、なるほど…諦めが悪い奴らだな…」

 

「…ん?奴らってなんです?」

 

「黙れ、ここに来たからには死んでもらうだけだ」

 

「ちょっと待ってください、話をですね…!」

 

「…」

 

男は立ち上がる

 

男が持つ一本の杖に、紅の炎が見えた

 

「…!奥さんのお願いで来たんです!」

 

「俺に妻などいない!」

 

 

「!」

 

 

 

杖は炎に包まれ、炎の剣に姿を変えていた

 

「な、なんですかそれ…!」

 

凄まじい熱風に、ひるむ。

 

「貴様を灰にするものだ…!」

 

炎は男の前方全体、すなわちハインツにまで届くほど長くなっていた

 

 

「…や、ば」

 

「さらば」

 

「くっ!そ!」

 

 

もうすでに十分明るくなった

 

松明は必要ない。

 

 

投げ捨て、即座に剣を抜く

 

それと同時に、男は炎の杖を振る

 

 

(この剣を信じるしかない!)

 

 

 

今だに勇者の剣にはわかっていない事が多い

 

 

ただ唯一わかった事がある

 

 

"使用者の魔力を形にする"ということ

 

 

 

「"守って"くれよ!」

 

 

 

「…!」

 

 

ハインツだけは知っていた

 

いくら優秀でも、武器強化魔法で擬似刀身など作る事が出来ないと言うことを

 

 

「…なんだそれは?」

 

 

 

ハインツの周りは黒く焼け焦げていた

 

 

「む、無傷?」

 

 

ハインツを囲うように、薄く、白く光る膜があった

 

 

「…二撃目だ…」

 

 

「え!?ちょっとまってもらっていいですか!?」

 

 

今のでかなり魔力を消費してしまった

 

 

「…念のため聞いておこう。貴様の目的はなんだ?」

 

「え…あなたを街に送ることですかね…」

 

「…何を言ってる。私の"記憶"が目的ではないと?」

 

「あなたこそ何を言ってるんです?僕はあなたの奥さんからころ……説得するようにと…」

 

「…ふむ、私の妻はとうに死んでるが」

 

「え!?…あの街で学校長やってる…」

 

「誰だそれ…」

 

「……ふーん」

 

かなりいいように使われたようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

外

 

 

「…よし、もう先に行くか」

 

「もう本当にそうしましょうか」

 

「仲間じゃ無かったのか二人とも?」

 

「どうするの?ハインツが人を切るなんて考えられないし」

 

「…まぁな…けど、解決策は見つかったな…」

 

「なに?」

 

「さっきから俺たちを見てる彼女に…よーく話を聞こうか」

 

 

「なんで分かったのかしら…」

 

木の陰から現れる女性

 

アレサル•フード

 

「…なんで俺たちを見ていた?」

 

「…勇者さまは?」

 

「質問に答えろよ」

 

「……少しタイミングが合わなかったみたいね。全く」

 

「…ほらな」

 

「どゆこと?」

 

「… ようするにあいつは…」

 

 

 

 

 

 

洞窟内、入り口

 

「だめだな…固定魔法が掛かっている」

 

「なんですか?それ?」

 

「禁術の一つだ…術者をどうにかしない限りはどうにもできない」

 

「…そういえば、記憶が狙われているって言ってましたよね?」

 

「…あぁ、言う気は無いがな」

 

「そうですか…音も聞こえませんね」

 

「確か仲間がいるんだろう?そいつらにかけるしかないようだな」

 

 

 

 

 

 

 

「…それで、やるのか?」

 

「私の使命は……あなた達じゃない、見逃してあげる」

 

この言葉は、三人にはあまりいい言葉には聞こえなかった

 

 

 

「……術を解けば見逃してやる」

 

「そう…あら、あなたは…」

 

「…あん?」

 

「いえ、なにも…それでは始めましょうか…勇者一行…」

 

 

 

「…フレイ」

 

「おうよ」

 

 

「…」

 

フレイは魔具を装着し、地面に手を当てる

 

 

「この辺りは根っこがよく張ってる…当然あんたの下もな」

 

「…!」

地面を破って現れる

 

魔力で増強された植物の根。

 

「縛り上げてやるぜ!」

 

「…この程度で私は縛れない…」

 

 

 

 

「あら、結構簡単に終わったわね」

 

「…どうかな…」

 

「この状態だと魔法も発動しづらいだろう?」

 

「…私は…魔法が使えるほど繊細じゃないわ…」

 

「…なんだ?」

 

 

ドールが眠ったように、全身の力が抜ける

 

 

「フレイ?」

 

「いや、わかんね…」

 

「さっきの女の言葉の意味は?」

 

「…まだ敵がいるってことだろう…」

 

「もう俺行こうかな…ゴフッ…」

 

「…フレイ?」

 

 

 

 

「……だから無駄って言ったのに」

 

フレイの口調が違っていた

 

「なるほど、分かったわ。"寄生"ね?」

 

「察しがいいわね」

 

「…もう喋るな。気色悪い」

 

 

 

 

フレイの口から見える

 

 

黒い液体のようなもの

 

 

 

「魔人か」

 

 

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