「ふーっ……俺たちはあくまで…」
「囮…よね」
少し怒っているのか、グローラーの様子が変わってい気がした
走り出すグローラー、速度は異常だ
一瞬で距離を詰められる
だが見える。
あの時、奴の尻尾がハイドに巻き付いた
もしかすると…
奴が触ろうとした時のみ、攻撃が通るのではないか?
そう考えた
爪を振りかぶるグローラー
ハイドが左手に持つは、オリーヴァの紋章盾
切り裂かれる直前に、盾で塞ぎ
「当たれ!」
振るう。
だが
"弾かれる"
「…!よしっ!!」
足にしがみつく
「オリーヴァ!!」
「わかってる!!」
身体強化魔法を、両腕に集中するオリーヴァ
「食らってよね…!!」
拳を狼の足に叩き込む
「ッ!硬いッ!」
「!」
掴んでいた腕がすり抜ける
「あぁそうかよ…!!」
再度、尻尾が目前まで迫っていた
今度は巻きつく気配はなく…
弾き飛ばされる
「あー…こればっかだが…」
「予定通りですね」
「ここからが一番キツイわね…!」
彼女の鎧は魔具
致命的な攻撃は塞げるだろう
剣を構える
(必要あるかしら…)
飛びかかるグローラー
「炎魔法…!」
身体強化をした腕に、炎が巻きつく
カウンター
にはならなかった
(避けた…!?)
ただ避けたわけではない
逃げたように見えた
「…なるほど、火が苦手なのね…」
剣を地面に突き刺し、両手に炎を灯す
「……まだかよ?難しいもんなのか?」
「そりゃそうですよ…もー、イラつくなー」
「黙ってやってくれよ…」
(と、行っても)
炎魔法はとくべつ燃費が悪い部類
魔力が尽きるまでに、奴を倒せるとは思えない
「だけど、私も勇者一行よ…無茶は付き物よね」
木を一本、"引き抜く"
腕の炎が木にまで広がる
そしてそれを、投げつける
「!」
焦った様子で避けるグローラー
「このっ…!」
もう一本
さらにもう一本
精確に投げるが、当たらない
「…」
「…まさか…」
オリーヴァから視線を外すグローラー
グローラーの視線の先は…倒れたハインツ
(マズイ!)
両足を強化し、全力で走る
だがグローラーのスピードに追いつける事は無い
今度は口を開かず、ハインツを踏みつけようと、飛び上がる
「…自分から刺さりやすいように跳ぶなんてな…」
茂みから飛び出すハイド
両手に持つは千年刀。
しかし、何かが違う
何かが塗られていた
塗られているのは幻想の爪より生成された毒。
ローザが少ない魔力を使い、魔法の毒をだし
刀身に塗りつけた
「うおおおおおおおおぉお!」
狙うは目
これが硬い生物を彼は見たことが無い
「……!!」
目を見開くグローラー
的が大きくなった
牙を、爪を剥き出しにするグローラー。
恐らく、ハイドに"触れようと"しているはず
これで刃も通る
重力にしたがって落ちてくるグローラー、刀の間合いにはいった瞬間、突き出す
目にゴミが入ろうとするのを爪で妨げようとするが当然、予測の範囲内だった
爪が刃を掠り、赤い火花が散った
次に散るのは、グローラーの色の無い血であった
(刺さった!このまま…!)
もうひとつの目に向けて、刺したまま力を込める
少しずつ開かれる頭部
だが、違和感
透過しないのだ
故に、"反撃"できる
グローラーの背後より飛び出した尻尾
毛が刃のように鋭く伸びていた
(!!)
避けれない
避けれなかった
囮に使ったハインツ
彼はまだ後ろに倒れていた
「…ガフッ…」
静かに倒れるハイド
「ハイ…ド…?」
朦朧とする意識の中、ハインツの声が聞こえた
意識を少し取り戻したハインツ
目の前に広がる光景、一瞬で事態を把握する
「ッ…!オリーヴァ!ハイドを連れて離れろ!!」
「!…わかった、あなたもよ!」
「は、はい!」
「もう死んでるなら……殺してもいいよな…」
燃え始める