※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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第三十九話 進展と出発

 

辺りは騒がしくなり、馬が荷馬車を引き走る音が止まなかった。

 

気がつけばフレイの姿も消えていた。

かなり急いでいる様子だったが…

 

「…あいつが来た理由聞いてなかったな…」

 

「私と二人で戦う訳じゃないですよねハイドさん?」

「当然だろ」

 

 

 

 

 

「…ここですか?ハイドさん」

「ああ」

 

 

二人は酒場の前に来ていた。

壁が崩れてボロボロの酒場に。

 

「失礼ー…っと…"傭兵さん"」

 

扉を開けてすぐ。目当ての"人物"が見つかる

 

「あぁ…?」

 

男が振り返ると、ハイドの顔を確認した瞬間。

 

「テメェ…!!」

「よぉ…名前は確か…」

 

一見、高価な鎧に身を包んだ男。

その名は…

 

「ヨハネス=トールだ…!テメェ、今度こそ決着つけてやる!!」

 

「まぁまぁ…落ち着けよ…ほらよ、金」

「あぁ"?」

 

ハイドが放り投げたのは小さめの布袋…

 

「!?」

 

(金貨が…山盛り…だと!?)

 

「あ、心揺らいでますね…なるほど傭兵さんですか」

「あぁ…で?付いてきてくれるか、トール」

「え?…あぁ、内容によるんだがなぁ…この金額は…」

「仕事内容は、"人々を守る"ってとこだな」

 

「ほーう…そう言えば勇者とあの女がいないな…」

「そう。その二人が戻ってくる少しの間だけな」

「いいぜ、乗った。魔物は昔から大っ嫌いでな…害虫駆除は最近よく受ける」

「じゃ…交渉成立だ…俺の名はハイド•ノードだ」

「私はローザ=ヴィッターニです」

「…この女、役に立つのかぁ?」

「さぁな…流れで付いてきたが…何度か助けられてる」

「?」

 

 

 

三人はボロボロの酒場を後にする。

 

傭兵団と思しきものたちは剣の束を抱え、住民は馬を街の入り口まで引いていた

 

そして…

 

「彼処にいる奴らエルフか?」

「…わかるのか…」

「まぁ"匂い"でな」

「…奇遇だな」

「エルフの匂いって何ですか?」

「ここに逃げ込めたのはたった10名。他は死んだかどこか別の場所に逃げたかだ…」

「それで?」

「エルフ達や民間人は傭兵団が守って"フレイジア"まで行くんだとさ…"タダで"な」

「んだよコラ」

 

エルフの故郷が消え、彼らに帰る場所は無かった。

なら、今現在最も安全であろう場所に行くしかない。

 

「魔王軍は何をしてるか分からんが、進軍速度が遅い。ゆっくり行っても滅ぼされる前に国つけるはずだ。多分」

 

「俺たちはどうする?」

 

「別のルートでフレイジアに向かう。少しだけでも魔王軍にダメージを与えながらな…」

「本気ですか?三人ですよ?」

「あぁ…進軍範囲は広い。なら指揮官だって数いる筈だ…」

「なるほどな」

「んじゃ…一旦、東向かうぞ」

「…もう魔王軍の領地だろ」

「あぁ。その通りだ。行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

ハインツとオリーヴァは森の中を、ただ黙々と進んでいた。

 

「ちょっと休まない?」

「…あぁ…そうだね」

 

街をたって数時間、二人は一度も足を止めていなかった。

 

目指すはネギリス…そう楽な道のりではない

彼は急ぎ過ぎていた。

 

「ここでいいかな」

 

二人は木の根に腰かけた。

 

「……」

 

木の葉と葉の間から差し込む光が、2人を照らした

 

「…私たち二人って…勇者一行なのかしら?」

「僕は勇者をやめたけど…」

「ただ口に出しただけでしょ?けど、今は…ハイド達の方が勇者一行かもね」

「うん…」

 

「…魔王の前にメリシアを見つけてあげないとね」

「……残ってるのかな…あの魔人は、材料にしたとか言ってたけど…」

「生きてるわよ。きっとね」

「…早く。強くならないと…」

 

 

 

 

 

「……世界樹は完全に消え去ったぞ。魔王」

「見ればわかるよティトラカワン」

 

世界樹の麓。魔王軍陣営地。

 

辺りは人ならざるもので溢れていた。

 

「予定よろ簡単だね。人間が全体的に弱くなってる気がするよ」

「うむ。あの時はここまで弱く無かった」

「それじゃあ…彼等を呼んできてよ」

 

 

「…もう来ているぞ。魔王」

「へえ…」

 

魔王の背後に立つ"四人"

 

「"久しぶり"だねみんな。君らも封印だったんだね」

 

四人とも、人の姿だった

 

「…」

 

"四王"

 

…魔王と共に産まれ、魔王と共に生き、魔王と共に敗れた。

魔物を従がえ、魔王に従うもの達。

 

 

ある者は雷光を掌握し

 

 

ある者は竜巻を掌握し

 

 

ある者は生命を掌握し

 

 

ある者は毒液を掌握し…

 

 

 

 

彼らは魔界を掌握していた。

 

 

 

 

「さぁ。世界を奪うぞ」

 

 

 

 

そう言った魔王の右手には…

 

 

 

 

 

 

白色の剣が握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

「不死…か」

 

 

 

 

 

 

 

 

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