※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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第四十四話 進展と疑問

中は想像より綺麗に整理されていた。

 

城の中に身を潜めていた人数は60を越えているらしい。

男達は武装し、女達は子供の世話をしていた。

 

三人は客のように扱われた。

 

「そういえば名前聞いてなかったですね」

「あぁーそういえば…ロウスっていうの」

「私はローザです!」

「………」

「中いいなあいつら…」

 

かなり打ち解けあっているようだ。

 

騒いでいる女達を眺めるハイドとトールに、一人の老人が近づいた。

 

「なんか用か?」

その性別がよくわからない老人は二人の顔をまじまじと見つめた後、やっと口を開いた。

 

「いやー、うちの孫が世話になったようで…」

「なんだあいつのバァ…ジジ………保護者か」

「……一つ聞きたいことがあるんだが。なんでこんな場所で身を潜めてる…?結界ってのはそんなに信用できるのか?」

「えぇえぇ。そりゃもう。なんでも初代勇者様のご友人が掛けた魔法らしいのですよ」

「らしい………か。いや、ありがとう…」

 

確かにこの城の付近には争ったような形跡はなかった。

魔物の死体の山もそれほど近い訳ではない。

 

「結界は本当みたいだな」

「らしいな…まぁいい…」

 

人々の雰囲気は明るく、怪しい空気は無い。

 

(…大丈夫…か)

 

「三人はこんな場所まで何をしに?」

「あー、ちょっと––––」

「道に迷ってな。偶然だ……」

「道に迷って」

「それは災難でしたな…そうだ、ボスに会ってみるといい」

「ボス?」

「えぇ…元々義賊のリーダーでして。今はここを仕切っているんです…助けてくれるやもしれません」

「……どこに?」

「塔です。通路を行けばすぐですよ」

 

 

 

「ふむ…」ハイドは辺りを見渡し観察するように頭を動かす。

「何だよ」

「いや……この前まで働いてた城に似ててな……」

「騎士団だったか。平民から騎士団とはどんな裏技使ったんだよ?戦争もなかった筈だろ?」

「実力がある者は拒まず…だ。実際は貴族は団長と副団長だけだった」

数秒の沈黙のあと、彼はそう答えた。

 

「って事は……強い奴が多かったのか、会ってみたいぜ」

「…そのうち会う事になるさ…」

 

歩き出し途中で人に話しを聞きつつも、無事に塔の大門の手前まで辿り着く。

 

「…他の所と直接繋がってる訳じゃないのか」

 

主に兵の訓練が行われる中庭。その中央に塔は建てられていた。

「文字通り塔だなこりゃ。行こうぜ」

「あぁ」

一人の男が村の人々を纏め上げている…人々の話しでは、とても頼りになる人柄のようで、人望が厚いようだった。

 

「しかも強いと来た!会うしかないな!」

扉を蹴飛ばし勢いに乗って侵入するトール

「…勘違いされて殺されても知らないぞ…」

大きな鉄の扉は勢いよく開かれる。

その先には一人の男が椅子に座っていた。

 

男は俯き、顔を上げない。

「おい!寝てんのか?」 黙って様子を見ていたトールが痺れを切らし男に呼び掛ける。

「…!お、客か?スマンスマン」

「本当にこいつかぁ?」

「奴以外に姿は見えないが…」

「一応話は聞いてるぞ!娘が迷惑掛けたようだな」

「……噂が早いようだ」

「迷子ってのも聴いてる。どこに向かってる?東に避難中か?」

 

男は椅子から立ち上がり、頭に巻いている布切れを締め直して、言った。

 

「それとも首取りかな?」

「…なに?」

「冗談冗談。で、何のようかな?」

「……そうだな。この辺りで魔人を探してる、心当たりは?」

 

 

「いるぞ。上にな」

「なんだって?」

 

それは意外…

そのような言葉が返ってくるとは一切予想していなかった。

厄介なのは嘘をついている様子がない所だ

 

「……どういう意味だ」

「気がつかなかったか?上に行く階段が見当たらない事に」

確かに階段や入口以外の扉は一切見当たらない。

 

「先日、ここを攻撃してきた一体の魔人がいた。そいつを俺達で捕獲したんだよ。スゲぇだろ?」

「そいつに話しを聴くってのは?」

「無理だ。何をしても口を開かない。何をしても、だ」

「…何も喋らないなら意味がないな…行こう」

「ちょっと待て!名前は?」出て行こうとする二人を男は呼び止めた。

 

「トール」

「…ハイドだ」

「イイ名前だ。俺はボルバレス。みんなからは"ボス"って呼ばれてる。でだ、頼みがあるんだ」

「頼み?金貰えるんならな」

「まぁ弾むぞ」

「頼みって?」

「…その魔人を殺してくれないか?」

「ハァ?」

 

 

「"魔人は人の姿のままだと絶対に死なない"…"人の姿のままでは殺さない"...知ってるだろ?」

「あぁ…まさか、その魔人抵抗してないのか?」

「その通り!何を考えてるか分からない。だからと言って外に放り投げるのも不味い…どうにか奴を魔物化させてもらいたいのだ」

 

トールとハイドは少し考えた末、その頼みを受ける事にした。

 

「……こいつは煽りが得意だ。こいつにやらせる」

「イラつく言い方だなぁオイ」

「ま、期待はしないが頼んだぜ!取り敢えずまた明日ここに来てくれ!」

 

そう言うとボスと呼ばれる男は塔の外に出て行った。

 

「やっぱ金だよなハイド」

「……変な雰囲気だな…」

「…まぁな」

 

 

二人も塔を出る。

 

「そういえばローザは?」

「…忘れてたな…」

 

 

 

 

 

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