※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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豪華二本分の文字数でお送りします。

嘘です。話数増えすぎが怖いだけです。


第五話 閃光

 

 

「いくら僕の治癒魔法を使ったと言っても…もう動けるのか」

 

「根性じゃ誰にも負けない。準備万全だ」

 

 

 

ホルンの治癒魔法を受け、動けるようになったハイド。

 

訓練と言う名の力試しは続く。

 

 

「…まずは…俺の魔具の説明をしておく…」

 

「良いのかグスタフ?負けちまうかもよ」

 

「無い。何よりこれは訓練だ…」

 

 

 

 

 

「俺の魔具は『旋風のボロ布』…正式な名前だぞ…」

 

「ツギハギ、だな」

 

グスタフの魔具は、背負っている大弓かと思っていたが。違ったようだ。

 

 

その羽織ってる短いロープに、どれほどの力があるのか…

 

 

 

「俺はこの…訓練用の矢を使う…怪我はするけど、死なない…」

 

 

「さっきより不利じゃないか?俺」

 

 

 

「それでは…副団長。開始の合図を…」

 

 

 

「……始め!」

 

 

 

 

 

 

 

合図と共に木刀を抜き、走るハイド

 

 

(近づければ!勝てる!)

 

 

 

 

 

 

「……」

 

矢を引く様子はない

 

 

その代わりに…

 

 

 

 

 

「あ!?なんっ」

 

 

 

いつのまにか足が地面から離れていた

 

 

 

「うお!!」

 

そのまま地面に激突する

 

 

 

 

「……空気を操ると言った方が正しい…"避けろよ"…」

 

 

 

目を地面からグスタフに向けると、矢を引いていた

 

 

そして、見た目と音で分かる異変。

 

 

矢の先端に空気の塊が渦巻いている

 

 

 

「ゴーレムを貫いた技だ…目標の体内で纏っている空気を爆散させる…」

 

「解説ご苦労さん、また大怪我はゴメンだぜ」

 

 

ハイドのそんな言葉は無視し、矢を放つグスタフ

 

 

 

 

(避けれるか!無理!)

 

 

 

目の前に矢が来ている事だけが分かった

 

 

大きな弾ける音と共に、彼の視界は暗くなった

 

 

 

「…あ…やりすぎた……」

 

「ホルン。魔法を」

 

「了解です副団長…」(なんでこいつはここまでやられているんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイドが次に目を覚ましたのは、自室のベットの上だった

 

「起きたか?」

 

「ミレラか…開始何秒でやられたんだ、俺」

 

「60秒も経って無かったな」

 

「…」

 

「しょうがないよ、グスタフの魔具はかなり強力なんだしさ」

 

「それで俺に何か用でも?」

 

 

「まだ私と戦ってないでしょう」

 

 

 

 

 

先ほどと同じく、訓練場に出る。外はすっかり暗くなっていた

 

 

 

「ミレラ…君に剣を向けるのは何年ぶりだ?」

 

「思い出せないな…真剣では初めてかな」

 

 

 

(やはり…真剣の方が握り易いな)

 

 

「行くぞ。魔具の説明は不要だな」

 

「来い!」

 

 

 

 

 

飛び出す二人

 

ハイドの剣は一本に対し、ミレラは二本のレイピアを持っている

 

そしてもう一種。

 

 

 

「!」

 

 

投擲用のナイフがハイドに向かい飛ぶ

 

 

(三本!避けれる!)

 

 

足を止めず、右に避け、お互いの剣の間合いに入る

 

 

先に剣が動いたのはミレラだ

 

 

片方のレイピアで、ハイドの首を突こうと、突き出す。

 

 

首と体を傾け、避ける。

 

 

ガラ空きになった脇腹に拳を叩きこもうとするが、待機させていた片方のレイピアでそれを阻止する。

 

 

阻止された事を気にせず、更に攻撃を加え続ける。

 

レイピアの基本的な攻撃方法は突き。

こうまで間合いを詰められれば、動けない。

 

 

「この練習の勝敗条件は!?」

 

「参ったと言ったほうの負けだ!」

 

「なら俺の負けはない!」

 

 

 

一方的に攻撃を加えるハイド。

 

防御を続けるしかないミレラ。

 

(そろそろか…)

 

 

 

「!」

 

いつのまにか突きに入っていたレイピア。

 

 

避けれず。剣で防御する

 

それは火花が散るほどのスピードだった。

 

(見えない!)

 

 

 

火花の向こうから、足が飛びだし、後退させられる

 

「くっ!」

 

 

 

体制を立て直すまもなく。二本のレイピアが突いてくる

 

勢いに任せて後退しようとするが

 

「!!」

 

 

バランスを大きく崩す。

 

理由は一本のナイフ。

 

 

(見えなかった!)

 

足に認識できない速度で刺さっていた

 

 

避けれない

 

参ったと言わせる気だろうが

 

避けない

 

 

左手の籠手。いや、腕を犠牲にする

 

一本のレイピアをわざと突き刺す。

 

 

「!?」

 

 

レイピアが刺さっている腕を引っ張り、ミレラの体制を崩させる。

 

 

ガラ空き。片方のレイピアではもう突けない。

 

 

即座に剣を逆手に持ち替え、ミレラの首に当てつける。

 

そのまま力を加えれば、血が吹き出す程の距離。

 

「参ったと言ってくれないと。朝まで続くぞ」

 

「わかったよ…私の負けだ。怪我の治療をしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵舎小屋、治療室。

 

 

「加速の魔具…か」

 

「魔力を配給すればする程早くなる……」

 

「長引けば確実に俺の負けだったな…」

 

「どうかな、ハイドの敵を殺すためなら死ぬって精神もかなり面倒だよ」

 

「そうしないと勝てない、俺はいつまで経っても無能だ…無能の騎士…」

 

「今日はもう休もうよ」

 

 

 

「気絶してたからか全然眠たくねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ〜ハイド。昨日は良く眠れたか?」

 

「スティーブ、いつかお前の事も快眠させてやる」

 

「まぁまぁ、そう言うなよ。それより、話があるんだ」

 

「なんだ?」

 

「団長が、東の何処かに向かって行ったそうだ」

 

「は?何処か?一人でか?」

 

「あぁ。副団長に何か言って、一人でな」

 

「結局、一回も会ってないな…魔具も見て見たかったな」

 

「そのうち帰ってくるだろ……俺知ってるぜ、【女神の甲冑】"着ている者には一切の魔法が通じない"とかなんとか」

 

あぁ俺には一切の縁が無いな。とため息を吐く

 

 

 

「そう言えば、拘束した奴の件はどうなった?」

 

「何も喋らないらしい。どの国も何も言って来ないし…」

 

「どうなってんだか……」

 

「今日は城下町のパトロールだ。着いて来い」

 

「またお前とか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王城、地下牢獄。

 

 

 

彼がここに足を踏み入れるのは初めてだった

 

牢獄の警備をしている兵が彼を見ると、姿勢がまっすぐになった

 

「ホルン術師殿。どういったご用件で?」

 

「少し、捕虜の様子をね」

 

 

牢獄の前で足を止めると、中で鎖で縛られいる男を見つめる

 

「嫌だが。頭の中を覗かせて貰うか」

 

「!ホルン殿、その魔法は禁止されている筈ですが…」

 

「この男が一体何処から来たのか気にならないのか?」

 

ホルンは持っている杖を両手で男に向ける

 

「さて…頭痛が三日間止まらないぞ…くそ」

 

 

「…」

 

「ホルン殿?」

 

「何故だ……"魔法が効かない"ぞ」

 

 

二人は気がつかないが

 

その男は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

城下町、大通路

 

「相変わらず賑やかだな。ここ」

 

「ハイドはこの辺りで育ったんだろ」

 

「何で知ってんだ!?」

 

「副団長に聞いた。昔っからの付き合いらしいじゃねぇか」

 

「まぁな…」

 

……

 

 

「暇だな」

 

「良いことだ。俺たちの給料は年々減っていくだけだ。平和のおかげでな」

 

魔王が勇者に封印されたのは、100年以上前の話。

 

封印された後に残った問題は、凶暴な魔物と国々の関係くらいである。

 

「もう一度、戦争にならない限り。な」

 

「その内戦争がはじまるさ…昔の絆が消える」

 

魔王と戦争か、人間同士の戦争か

 

 

 

 

「おや…」

 

人混みの向こうから叫び声が聞こえる

 

 

「酔っ払いの喧嘩だ。さっさと終わらせよう」

 

「あぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平和なまま、月日は流れ、"近づく"

 

 

 

「みんな!大変だ!」

 

城の一室に、兵が飛び入ってくる

 

その部屋は赤獅子王騎士団のものだった

 

 

 

中には、騎士団員殆どの顔があった。

 

 

「どうしたドーグ。ゴキブリでも出たのか」

 

「団長が…!エイセル団長が…」

 

「!!」

皆、これからあの騎士団員が何を言うのか、想像がついた。

 

「死体で見つかった!!」

 

 

皆の顔が、青くなるが、当然信じ切る者は少なく

 

 

「デタラメ言うなよ、第一どこで見つかった?」

 

団長が誰にも行き先を告げず、一人で何処かに向かってから数ヶ月。

 

この騎士団の問題だけではなく、王の耳にも届いていた。

 

「遠い村の人が見つけたらしい…紋章でこの騎士団の者とわかったようで…」

 

「いきなりすぎるぜ!おい!遺体を見ない限り俺は信じねぇ!」

 

団員が騒ぎ出す

 

「見ない方が…いい…」

 

「知らん!見てくる!」

 

部屋を飛びだした一人の団員

 

 

 

 

 

「スティーブ…」

 

「…私達も行こう、ハイド、グスタフ…」

 

「ミレラ…いいんだな?」

 

「…」

 

 

 

ハイドは不思議と落ち着いていた

 

会ったことも喋ったことも無いからだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死体が見つかったのはいつ?」

 

「約一ヶ月前、腐乱してないのは、誰かが固定魔法をかけてくれていたからだろう」

 

 

 

 

部屋の中央にある一つのベット

 

かけられている一枚の布。

 

 

「顔は間違いなくロニー•エイセル団長だ。変な魔法も掛かってない」

ホルンが冷静に語る

 

 

「間違いなく。赤獅子王騎士団の団長は死亡した」

 

「死因は?」

 

「見なくても…いや、見て分かるだろう」

 

首から下に掛かった布は、ところどころへこんでいた。

 

 

 

「……これからの事を考えなくては…」

 

「その前に…調べる必要があるな…」

スティーブは拳を震わせていた。

 

 

 

「待てよ…?団長の魔具は?」

ハイドが気が付く

 

 

「見つかった時は着ていなかったらしい」

 

 

「……盗賊にやられる様な人じゃない」

 

 

 

「副団長。俺に向かわせてください…!」

 

「スティーブ、一体何処にだ?」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、赤獅子王騎士団長が死んだって聞いたか?」

 

「カルデラーラの村で死んでいたらしいな…もしかして」

 

「あぁ、あの噂と合致するな……」

 

 

 

 

「魔王の復活」

 

 

 

 

 

 

世界は、黒く染まり始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

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