※この作品はR-18です。

黒のテスカトリポカ   作:被害者宅

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いやお前だれだよってなると思うので、17話あたりを読み直すと思い出すかと思われます。




番外編3 宣戦布告

俺は、15と少しの時に家を出て城で働き出した。

 

最上級に位置する騎士団。

"赤獅子王騎士団"を作った、今は亡き親父のおかげですんなり仕事を貰えた。

ただ、15までの間に生活をしていたのは普通の城下町普通の家だ。

親父の残した功績はノード家を貴族へと昇華させるには十分だったらしいが、母と父はそれを拒んだ。

理由は知らない。

貴族に産まれたかったなど思った事はないし、憧れもない。そんな両親を恨んだ事も無い。

ただ、俺が城で働き出した理由は一つ。

 

騎士になりたかった。

周りには俺と同じ目的の人間が何人か居た。

だが、多くは…その夢を諦めた。

 

一人は心を折られ。

一人は俺に失望し。

一人は試験で死んだ。

 

まだ何人かいたが、理由は忘れた。

 

しかし、全員が諦めたんじゃない。

 

数少ないが、俺と。その幼馴染…ミレラ•ソーガ。

 

ミレラ、彼女はハッキリ言って天才だ。

10の時に魔物の大群から守られた事もあったし、剣を習ったこともあった。

……俺は憧れていた。俺より先に騎士団に入った彼女に、その背中に背負っている騎士団に。

 

だから俺は、城での仕事を死ぬ気で成し遂げ続けた。

 

 

これは……俺がフレイジアで学んだことの、"記録"だ。

 

最初の仕事は…警備だった。

初っ端なから城外の見回り警備…周りは俺のことをガキとして見ていなかった。俺としてはとても有り難い事だ。

 

これが案外ハードだった。

 

下級とは言え、魔物の群を相手する時もあったからだ。

 

城の決まりでは、中級までの魔物を城兵が…それ以上は適当な騎士団が対処する。

戦争のない今、それくらいしか仕事がないからな。

 

だがこの話は城内の警備での事だ。

 

城内での事件の原因は、下手な魔物より凶暴な酔っ払い盗賊自殺志願者ただの馬鹿…色々…中でも一番厄介なのが…他人に危害を加える奴らだ。

 

城での仕事三週目あたりの事だ。

 

「交代ですよ」

 

「んお…おぉ、ノードか。寝てた寝てた」

 

辺りは松明以外真っ暗…閉ざされた城門の内側の警備だった。

 

「んじゃあ後は頼んだ」

 

「はいはい…」

 

酒の匂い…彼は、「"どうせ今日も何もない"」とでも思ってたのだろう。なら残念、外れだ。

 

一時間ほど経った頃だ。

 

突然、民家群の方から女性の悲鳴が聞こえた。

明らかに普通じゃない、言うなれば命の危機に直面しているような。そんな声だった。

当然、自分は急いで向かった。

 

悲鳴が発せられた場所であろう裏路地…そこに到着するが気配は無かった。

だが、一つ…地面に横たわる人影があった。

 

暗い…光は手持ちの松明だけ…俺はその影に近寄って。照らした。

 

「うっ…」

 

傷口は右脇腹から左肩まで…

 

人が人を殺った…もう息はない。だが少し、まだ暖かい。

 

(近くにいる…!探すか!?先に応援を呼ぶか!?)

 

だが、探す必要は無かった。

"向こうから来たからだ"

 

そして、俺はそいつを知っていた。

 

"ピエラニオ•ペツィオ"

 

「なん…で…!?お前がここに…!!」

 

紫の刺々しい鎧に身を包み、左右に一振りずつ剣を握っている。

 

「え?なんでって…君に痛い目を合わせに?」

 

「なに言ってるんだお前…!これはお前がやったのか!?」

 

「あぁーうん。構えろよ、その槍。腰の剣でも良い」

 

正直、訳がわからなかった。

女性の悲鳴が聞こえ駆けつけると、かつての親友が血に濡れた剣を持ってる…そしてそいつは、自分と闘えと……

 

しかし、答えは直ぐに出た。

 

「城まで付いてきて貰うぞ…!理由はその時聞こう」

 

「そう、君はそれで良いんだ…槍かい?」

 

当時は槍術の訓練を重点的にやるように言われていた。

下級の魔物はもちろん、素人に対して無傷で制圧できるからだ。

何より…

 

(剣はもう十分振った!!)

 

「おお!やる気だね!」

 

相手の脇を狙って両手突きを放つが、剣でそれを弾かれる。

(!)

大きな隙ができる。

(今のを簡単に弾きやがった!!)

 

ピエラニオは体勢を低く、地を這うように飛び込んできた。

片方の剣を顔に向けて突き込んで来るが、それをなんとか避ける。

ただこれは、体勢を立て直す事ができたから避けられた訳ではなく、ピエラニオの持っている剣の刃渡が細いからだ。

要するに、首しか動かせ無かった。

 

頬を擦り血が流れた。

 

もう片方の剣が、今度は心臓を串刺しにしようと放たれる。

 

(剣は抜けない、間に合わない!!だが…)

 

手は動かせる。

 

槍を投げ捨て左腕でその刺突を防ごうとした。

腕を貫通し、胸に浅く突き刺さったが、命に別状はない。

 

「おぉ……!そうくるか……ッッ」

 

空いた右腕で渾身の一撃をピエラニオの頬に叩き込んだ。

 

その勢いで剣は抜け、奴は膝をついた。

 

「グフッ……かなり効くなぁ……でも駄目だね」

 

「なに?」

 

「殺らなきゃ殺られるぞ?」

 

「ッッ!?」

 

突然左足に走る痛み

 

矢が深々と突き刺さっていた。

 

「……!家からか!」

 

「どうしてあんな大きな悲鳴で誰も家から出て来ないのか…気がつかなかったか?」

 

「……何人いる?」

 

「家の数だけ…僕の"部下"だよ」

彼は続けた

「僕の夢は変わった!僕は僕の国を持つ!その為ならどんな汚い事もするし誰だって殺す!」

 

「…?俺を殺しても王には近づけないぞ…」

 

「ん?ハイドを殺すって誰が言った?痛い目に合わせるって言ったんだよ…」

 

「ますます分からんな…」

 

「"僕は君を超える"。君が騎士団だなんだと言ってる間。僕はもっと大きな夢を叶える……」

 

「根に持ってるのか?あのときの事…」

 

「そうだね。君には"失望"した。僕はハッキリ言って君に憧れていた。最後はいつもミレラに助けられるが、丸腰で魔物に向かって行った時は……泣きそうになった。君こそ"勇者"だと…」

 

「……」

 

「弱い者の味方で、口が悪いが誰にでも優しい……だが違った。僕たちの…いや、僕の友達があの赤い鎧に身を包んだ悪魔に無残にも殺されても…君は…弱かったからだと言った…」

 

(なんだ?視界が……悪く……ど…く…)

 

「だから……君は指を咥えて見ておけ…先ずは街を取る……僕の事を尊敬させてやる」

 

そこで完全に思考が途切れた。

 

 

気が付いた時は城門のそばに座り込んでいた。

しかも辺りは明るい…

 

目を覚ましたと同時に来ただろう交代も兵が俺に言った。

 

「板についてきたな」

 

「…………うっせ」

 

その後、急いで昨日の現場に向かったが、血の跡もないし騒ぎにもなっていなかった。

それどころか、兵舎に帰る際に、昨日の死体だった女が大量の買い物をしているのを見た。

 

昨日の事が、夢のように…

 

ただ唯一、身体に受けた傷が残っていた。

 

 

お前が道を外れるなら、俺は道を真っ直ぐ進んで夢へと到達してやる。

 

俺の夢が小さいと言うなら…俺は…団長の座を獲ってみせる。

 

そして、この国を…変える。

 

とにかくその時の気持ちは…

 

「剣はまだまだ振り足りないな」

 

 

 

 

(そう言えばこの事黙ってたらマズイかな…)

 

 

 

 

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