今回の話ではとうとう活動報告にて宣言していたナザリック勢のヒロインが登場いたします。
あと、今回の話はいつもよりも話が長くなっております。
————ドワーフの国滅亡からおよそ1年後。
この世界において、今後の世界の命運を決めると言っても過言ではないプロメテウスVSアインズ・ウール・ゴウン並びにスレイン法国、アークランド評議国の連合による戦争が半年前から起こっており、今もそれは互いに決着つかずの互角で繰り広がれていた。
————刻は半年(ドワーフの国滅亡から半年)ほど前まで遡る。
プロメテウスが異世界に転移してから3年半の月日が経った。その年は本来なら原作が始まる時間軸、即ち主人公である鈴木悟ことモモンガ(後にアインズ・ウール・ゴウンと名乗る)がギルドの拠点である『ナザリック地下大墳墓』ごと転移してくる時期ということだ。
そうして運命に導かれるままモモンガはギルド拠点ごと異世界へと転移してきた。しかし、転移してきた場所は違った。本来の世界線であればリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国に挟まれる位置にあるカルネ村の近くに転移するはずだったが、プロメテウスの拠点であるザッハーク城がその近くに転移したこともあってか、場所は大きくずれてしまい現法国北部国境近くの平原に転移していた。
ギルドごと転移してきたモモンガは、自身がゲームのキャラになっていることに最初は戸惑っていたが、自身の種族である【死の支配者/オーバーロード】のスキルである『感情抑制』により冷静になると、仲間たちが創り残していったNPCたちに命じて拠点と拠点周辺の調査、拠点の防衛の強化を行っていった。
そしてNPCに命じるだけでなく、自身もアイテムや魔法の使用方法を探り、遠くを観察することができるアイテム【遠隔の鏡/ミラー・オブ・リモート・ビューイング】を使用し、周辺の様子を探り始めたのだ。
そうしてモモンガが分かったことは、本来なら沼地にあるはずの拠点の周りが草原となっていること。魔法やアイテムは使えるが、ゲームの時とは使用方法や効果が多少変わっていること。そしてNPCたちが自我を持ち、自身に対して絶対的な忠誠を捧げられていると言うこと。これらのゲームと似ているが普通では有り得ないことが目の前で起っていることから、モモンガは自分が二次創作などであった『異世界転移』をしていることを理解した。
異世界転移という現実離れした出来事に自分が巻き込まれたことに困惑したモモンガだったが、『感情抑制』が発動して思考が落ち着くと、迷いを捨てまずはこの世界で生きていくための策を練るべく階層守護者たちと守護者統括であるアルベドを玉座の間に集めた。モモンガとしては、守護者統括であるアルベドや第七階層守護者であるデミウルゴスは制作者から頭が良い設定をされているため、設定が生きているのであればこの状況において最適な策を提案してくれる(最低でも一緒に考えてくれる)と思っていた。しかしその期待は大きく外れてしまう。デミウルゴスやアルベド…いや、集めた守護者全員がモモンガを神の様に思っており、知略については自分たちなど彼の足元にも及ばないと思っているのだ。そのためモモンガがデミウルゴスやアルベドにどうすればいいかを聞く前に、2人の方から今後の方針について問われてしまったため、彼は自分でどうにか考えることになってしまったのだ。
リアルでは最終履歴が小卒でただのサラリーマンであるモモンガはNPC達からの異常ともいえる忠誠心や期待度にとても憂鬱な気分となった。しかし、モモンガにとってNPC達は子どものように大切な存在であり、自身にはそんな彼等をギルド長として支えなければならない責任があると感じていた。そのため、モモンガは内心恥ずかしいと思っていても、NPC達のためにゲーム時代から行っていた絶対的支配者のロールプレイを行い、彼等が求める支配者となることを心に決めた。そうして彼はゲームでの知識と経験をフル活用して何とか対策を考え、それを守護者に命じていくのだった。
そうして転移して時間は経ち翌日の昼。モモンガは前日から行っている【遠隔の鏡/ミラー・オブ・リモート・ビューイング】による周辺捜索をしていると、今まで美しい自然の風景しか映っていなかった鏡から違ったものが見えてきた。
それは—————戦闘の様子。どうやら森から抜けたようで、周りの風景は丘が所々にある草原となっており、そこでは白の鎧を着た騎士や神官と思われる人間たちとスケルトンやゾンビ、獣人、蟲人などといった異形の集団が数千単位で殺し合いをしているものだった。
客観的に見て優勢なのは異形たちの方で人間たちの方はなんとか奮戦しているが、レベル差や元々数も劣っていることから時間が経つにつれてじわじわと追い詰められている。
モモンガは人が死んでいく様子を見ても特に何も思わなかった。この世界では自身が取得している種族の影響が強く、プロメテウスがリアル以上に性欲に正直なのも性に関わる種族である『最上位淫夢の王/インキュバスロード』であることが関係している。モモンガは死に関わる種族である『死の支配者/オーバーロード』を取得しているため、このようにリアルであれば驚いたり恐怖したりする光景を平常心で見ることが出来ていた。
そしてそれを見つけたモモンガの判断は————静観であった。
それは客観的に見ても正しいものだ。転移してきてまだ1日しか経っておらず、分かっていることも少ない現状では下手に関わるよりも、静観を貫いて情報収集に勤しむのが良いに決まっている。下手に関わってしまえば自分たちの知らない魔法やアイテムによって被害を受ける可能性もある。それにゲーム世界では死んだとしてもレベルが落ちるペナルティーだけで済んだが、現実となったこの世界ではどんなペナルティーがあるかは不明で、もしかしたら死んだら二度と蘇らないかもしれない。ギルドやそこに住むNPCを宝物と思っているモモンガにとって、それは許容できない事であるため、そのような決断をした。
そのためどうするのかと、後ろに控えていたナザリック地下大墳墓において執事長の役割を持たされたNPCであるセバス・チャンからの問いに対して「見捨てる」と答えて別の場所を見ようと動かそうとしたところ、鏡を見ていたモモンガにとある場面が映ったことでそれは一時中断される。
その場面とは、異形種側の魔法攻撃を受けて倒れた人間の魔法使いが蟲人の斧で殺されそうな所を、先ほどから人間たちを先導し鼓舞していた顔のいい青年がその攻撃を防いで助け、逆に蟲人を切り伏せたもの。モモンガがそれを見て思い出したのは、十数年前————彼がユグドラシルを始めたばかりの頃の記憶。
………
……
…
ユグドラシルというゲームでは、プレイするに当たって人間種族か亜人種、異形種と大まかにこの3つから種族を選んでプレイすることとなる。だが、このゲームでは種族間にてとある問題が起きていた。それは人間種を選んだプレイヤーが集団で異形種を選んだプレイヤーを襲う通称『異形種狩り』というPK行為が、初期の頃から横行していたのだ(その後に、逆に異形種プレイヤーたちが人間種プレイヤーを襲う『人間狩り』というPK行為も現れることとなる)。
実はモモンガもゲームを始めてすぐの時に、その『異形種狩り』の被害に遭ったことがあった。その時の彼はレベルは低く、装備も揃っていなかったため、自分よりも格上のプレイヤー数人に囲まれて危うくPKされそうになっていた。その時のモモンガは自身の運の悪さを呪った。そうして彼を囲むプレイヤーの一人が武器を振りかぶってモモンガに振り下ろそうとした正にその時、モモンガを助ける存在が颯爽と現れて囲んでいたプレイヤー全員を一振りで倒してしまったのだ。その存在というのが後に同じギルドに所属し、現在のギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の基になったクラン『ナインズ・ウール・ゴウン』創設メンバーの一人にもなる蟲人のプレイヤーの『たっち・みー』であった。彼はリアルの世界では警察官であり、その職業柄か人一倍正義感を持っていた男であったため、リアルは勿論のことゲーム内でも困っている人がいれば思わず助けてしまう性分であった。そのため『異形種狩り』に遭っていたモモンガを見つけた時も、いつもの様に人助け(?)として彼を助けたのだ。
モモンガにとっては、たっちに助けられたことは人生における転機であった。彼は今まではソロのみで活動していたが、助けられたことで仲良くなったたっちと共にゲームを遊んでいったことで、彼は友達と一緒に冒険することの楽しさを知り、たっち以外にも仲のいい友達をつくることができ、それが今自身にとって宝と言えるギルド『アインズ・ウール・ゴウン』が出来るきっかけとなったのだ。
モモンガは自身がかつて『たっち・みー』に助けられた思い出と、【遠隔の鏡/ミラー・オブ・リモート・ビューイング】から見た場面の状況が似ていたからか、彼はその時のことを思い出してしまったのだ。
そして『たっち・みー』のことを思い出したためか、彼が出会った時からよく口にしていた言葉も一緒に思い出していた。
『困っている人がいたら、助けるのは当たり前っ!!』という言葉を。
モモンガはそれを思い出すと、先ほどまでは見捨てようと思っていた者たちに対しての考えを改めた。
(——『困っている人がいたら、助けるのは当たり前』。……そうですよね、たっちさん)
モモンガは心の中でそう呟くと、セバスに顔を向けて今画面に映っている人間たちを助けることを告げた。それを告げられたセバス・チャンは、仕えるべき主からの命令にすぐさまはいと答えた。セバス・チャンは、『たっち・みー』に作成されたNPCであった。創造主である『たっち・みー』は、彼の設定欄に特別何かを書いていたわけではないが、創造主が正義感の強い人物であったことやカルマ値がナザリックでは珍しく善に寄っているためか、異世界に転移して自我を獲得したことで、『たっち・みー』のように人助けをすることを『主に仕える』ことの次に自身にとっての使命であると思うようになっていた。そのため先程モモンガが画面に映っている人間たちを見捨てると言った際には主の命令によりそれに従ったが、内心ではどこか助けてあげたいと言う感情があったことは否定できない。そのため彼はモモンガから急に意見を変えて助けると告げられた際には、いつもよりも嬉しそうに(表情からはいつも通りにしか見えないが)返事をした。
そうしてセバスに命令した後に、守護者たちに外へ出ることを【伝言/メッセージ】にて伝えたモモンガ。【遠隔の鏡/ミラー・オブ・リモート・ビューイング】にて画面に映っている者たちが自分たちよりもレベルは低いことは把握できているが、この世界におけるレベルの値がゲームの時同じであるかは不明であり、極端な話もしかしたらこの世界のレベル1がこちらのレベル100と同等の可能性も否定できない。そのためモモンガは自身を守るために近接戦闘が得意なセバス・チャンと守護者の中で最も高い防御力を誇る守護者統括の『アルベド』、第六階層守護者であり集団戦闘が得意である『アウラ・ベラ・フィオーラ』と守護者の中でも殲滅力のある『マーレ・ベロ・フィオーレ』の双子を護衛として連れて行き、コキュートスには万が一のためにそれぞれの階層から集めた高レベルの配下たちと共に近くの森の中で待機させた。第一、二、三階層守護者の『シャルティア・ブラッドフォールン』と第七階層守護者兼緊急時のナザリック防衛指揮担当の『デミウルゴス』は、何者かがナザリック地下大墳墓に攻めて来た時の防衛役として居残りとなった。
こうして外に出るための準備を終えたモモンガは、【転移門/ゲート】を使用して今戦闘を行っている者たちの前に移動するのだった。
こうして1時間後。モモンガたちは人間たちと争っていた異形種の軍を叩きのめして数を半数ほどまでに減らし、彼等を撤退させたのだった。全員を殺さなかったのは、今後話し合いが必要になる場合にこちらが相手を皆殺しにしていると責められる原因となる可能性があり、そうなると話し合いの際にこちらが不利になることまで考えて敢えて逃がす選択をしたのだ。
そしてモモンガに助けられた法国の者たちはというと、いきなり黒い靄が現れてそこから骸骨やガタイのいい執事、2人のダークエルフ、黒の全身鎧を着た黒い翼が生えた者を見たことで最初は敵の増援かと敵意を露わにしたが、その者たちが自分たちを攻撃せずに争っていたプロメテウスの軍を攻撃し始めたことで、彼等は敵ではなく味方なのだということを悟った。
戦闘が終わると法国の者たちは警戒心を持ちながらも、自分たちのことを助けてくれたモモンガたちに感謝の言葉を述べた。するとその中から一人の若い男が出てきて、モモンガの前まで来た。アルベドとセバスは即座にモモンガの前に立って武器と拳を構え、アウラとマーレも距離を置いて構えた。モモンガは配下たちの行動に驚いたが、自分を守るためにしてくれたことなのだと理解すると、優しく武器を下ろすように告げる。アルベドたちは意見しようとしたが、相手に殺気が感じられないことや主であるモモンガがもう一度武器を下ろすように言ったことで、渋々武器を降ろし構えを解いた。
モモンガの前に来た若い男は【遠隔の鏡/ミラー・オブ・リモート・ビューイング】にて映っていた者であり、かつては漆黒聖典の第一席次を担っていた男であった。彼は1年半前の戦争から生還した数少ない『六式聖典』の一人であり、戦争にてその存在がばれてしまったことで隠す意味がなくなったために、今ではこうやって戦争の前線に立って皆を指揮する大将として活躍しているのだ。
彼はモモンガに対して加勢してくれたことにまずは感謝の言葉を述べた。モモンガが来なければもっと被害が大きくなくっていたと話し頭を下げる第一席次。モモンガはそれをされて内心慌てていたが、後ろでその光景を見ていた配下たちは、セバスは彼のことをいい青年だと好感を持ち、アルベドたちは当然のことではあるが人間の割にはきちんと礼節をわきまえているとセバスほどではないが多少は感心していた。
モモンガは彼に頭をあげるように言い、彼もこれ以上下げ続けるのは相手にとって返って迷惑であると声色から察し、頭を戻した。そしてモモンガに対して彼は、「貴方はもしかして、プレイヤーなのですか?」と質問をした。モモンガはそれに驚き固まってしまったが、『感情抑制』が働き落ち着いたことで、彼の質問に対してそうだと答え、今度は彼の方から第一席次に対して「なぜプレイヤーのことを知っているのか」と質問をした。
モモンガからの返答を聞くと第一席次は驚きから目を見開いたが、直ぐにそれが感動へと変わり涙を浮かべるとモモンガの前に跪き、「神よ、貴方様のご降臨をお待ちしておりました!」と述べるのだった。
モモンガが法国の人間を助けてから3日後。彼はアルベドやセバスといった配下たち数名と共に新しく作られた現法国の王都にある神殿の応接室にいた。
なぜ王都が変わったのかというと、プロメテウスが行った1年半前の戦争の報復の際に王都が半壊してしまったことと、王都があった場所が東部に近かったため、プロメテウスがエルフの国を解放する際に一緒に侵攻を受けてしまいそれを止められなかったために仕方がなく遷都して現在の場所に移ったのだ。その場所は二百年ほど前までは王都とされていた古都であったため、大きな改修をしなくとも国を運営するための地盤はあったことから、法国はなんとか国政ができており、現在まで滅ばずにすんでいる。
さて、なぜそんなところにモモンガたちがいるのかというと、それは彼が助けた第一席次から招待されたからだ。第一席次はプレイヤーであるモモンガに、現法国を取り仕切っている最高神官と会って話し合いをして欲しいと頼んだ。モモンガはいきなり国の中枢に招待されることを不審に思ったが、第一席次から来て下されば自分たちがプレイヤーを知っている理由やこの世界のことについて情報を提供すると言われ、そのメリットとデメリットを鑑みた結果多少危険を冒しても情報は手に入れるべきだと思ったから訪れたのだ。
そうして応接室にて待つこと数分(配下たちは一秒一秒時が経つごとにモモンガを待たせている最高神官に対して殺意を高ぶらせていた)、現法国を取り仕切る最高神官が第一席次と共に部屋に入って来た。
最高神官は男性で齢80を超える高齢な者であり、普通であればもっと若い者が取り仕切った方がいい。しかし、前回の戦争の報復によってその時の12人の最高神官やその後進として育てられていた神官たちが、運の悪いことに全員死んでしまったのだ。それで白羽の矢が立ったのが、この人物であった。彼は実は元最高神官の一人であったが高齢を理由に10年ほど前に引退をしており、それからは隠居して神に祈りをささげる毎日であった。しかし、プロメテウスの手により法国を取り仕切れる人材がいなくなってしまったため、仕方がなく最高神官として国政に携わって来た経験あるこの男が再び最高神官として抜擢されたのだ。
モモンガの前に現れた最高神官は、彼の姿を見ると感動して顔を綻ばせると、跪いてモモンガに対して挨拶をした。モモンガは第一席次の時の様に跪く彼に普通に接するように言う。これは相手を思っての行動でもあるが、自身のためでもある。モモンガはリアルではサラリーマンであったため、自分が跪いて話した経験はあるが相手からそのように接っされることに慣れていないのだ。故に自身が話しやすいようにそう言った。まぁ、そんなことを知らない配下や最高神官、第一席次たちはモモンガに対して、何と慈悲深い御方なのだと内心感動していた。
そして最高神官が席に着くと、この世界の歴史について語り始めた。1000年ほど前からプレイヤーという存在がこの世界に現れ始めたこと。800年前には八欲王という8人のプレイヤーによって世界が混沌に包まれたこと。そしてその200年後(600年前)に六大神という八欲王たちを討伐してくれたプレイヤーが現れたこと。そして、この法国はその六大神を信仰しており、人類の繁栄のために異形種などと戦い続けたこと。そして、数年前にはプロメテウスというプレイヤーが現れて、僅か3年ほどの間に幾つもの国が滅び、この世界が再び混沌に包まれようとしていることを。
全てを聞いたモモンガは、その情報を頭の中で整理していく。そこでふと疑問に思ったことがあり、そのことを最高神官に問うた。「異形種が敵であるのならば、なぜ自分に対しては神と言いその様に敬っているのか」と。そう言われた最高神官は、口を開いて答え始めた。
実は六大神の中にはモモンガの様に異形種の者がおり、その名を『スルシャーナ』といった。六大神はそれぞれの宗派に分かれており、スルシャーナを崇める『スルシャーナ教』の教えでは、【たとえ異形種であろうと、話し合いが可能であるのならば争うのではなく、手を取り合い互いに助け合って生きていくべし。】というものがあった。だが、他と比べると人数は少なく、特に近年ではそのように思う者が少なくなったことで新しく入る信者がいなくなったため、宗派自体が無くなりそうになっているという。そしてこの最高神官の男は、その数少ない宗派の信者の内の一人であった。また、モモンガを神と言ったのはそれだけでなく、実はこの男は【タレント】というこの世界独自のスキルを有していた。そのスキルの能力は、予知夢を見れるというもの。そしてその夢にて、『この世界を救ってくれる異形の者が現れてくれる』という内容の夢を見ており、その数日後にモモンガ現れたことから最高神官やその話を聞いていた第一席次はモモンガをこの世界を救ってくれる新しい神と思い、このように敬っているのだ。
その理由を聞いたモモンガは納得すると、今度は今後の動きについて考え始める。最高神官からは共にプロメテウスと戦ってほしいと言われたが、彼はプロメテウスと戦争することに戸惑いの色を見せる。なぜならモモンガはプロメテウスや彼の所属するギルドのことをゲーム時代から知っており、ギルド『タルタロス』は全盛期では何年もの間ギルドランキング1位に居座り続け、プロメテウス個人にも公式から最強プレイヤーの一人として発表され、その名をゲームに轟かせていたほどの猛者だからだ。『タルタロス』の情報はゲーム内の掲示板などにも記されており、プレイヤー以外にもレベル100のNPCが最低でも10体以上いることが確認されている。それに加え、最高神官からの話では法国における最高戦力であった高レベルのエルフがプロメテウス側に寝返っていることや、相手の兵力が10万以上であることを聞かされて、モモンガの考えはますます戦わない方へと傾いていっている。レベル100が十数人いるだけでも厄介なのに、その下に低レベルとは言え10万以上ものモンスターを従えているとなれば、戦って勝つことは極めて困難であると言うほかない。
そして、モモンガとしては戦うにせよ戦わないにせよ懸念点があった。それはプロメテウスが敵に容赦がないと言うことと超がつくほどの女好きであるということだ。戦うことになれば、当然NPCたちを前線に送らなければいけない状況が必ず訪れるであろう。そうなればプロメテウスは一切の容赦なくNPCたちを殺しに来るであろう。最高神官と第一席次から蘇生の魔法が使えることは聞いているため、たとえ死んだとしても生き返れる手段はあることは聞けた。だがモモンガとしては、大切なNPCが死ぬということ自体が耐えられない事であった。そのため戦うことを躊躇してしまう。しかし、だからと言って戦わない選択をするのかというと、それもそうとは言えない。プロメテウスと戦わない、若しくは戦っても許される方法はあり、実際バハルス帝国と竜王国はその方法をとったため隷属国となったが、国としては存続することが出来ている。だがその条件もまたモモンガにとって許容できないものであった。その条件というのが、金銭と女だ。モモンガとしては金銭だけであれば、高額を要求されたとしてもギルドとNPCたちの安全のためなら支払うことも辞さないつもりだ。だが女も引き渡さなければならないとならば別だ。ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』には女性のNPCたちも多く、そのほとんどがギルドメンバーたちが気合を入れて作成したこともあり美女・美少女ばかりだ。そしてプロメテウスの元に連れて行かれた女性たちは全員奴隷にされると聞かされた。リアルでは文明が進んでいるため奴隷というものを実際に見たことはないが、ぺロロンチーノを筆頭とした何人かのギルドメンバーから奴隷もののエロ本を見せられたことはある。そのどれもが凌辱の限りを尽くした内容であり、それが本の中のみであれば問題ないが、それを実際に自分が子供の様に大切にしているNPCたちが受けると言うのであれば彼としては許せるはずがなかった。
だが先ほども述べたように戦うにしても勝機が薄く、もし負けでもしたら戦わない時以上の要求を突き付けてくるかもしれない。だからといって、ギルドを守るためとはいえ貢物として何人かの女性NPCをプロメテウスに献上することもできない。さてどうしようかとモモンガが悩んでいると、そこに【伝言/メッセージ】の通知音が頭に響いた。モモンガは最高神官と第一席次に部下からの連絡が来たので出ていいかと聞き、いいと2人から許可を得たうえでそれにでた。【伝言/メッセージ】をかけてきたのはナザリック地下大墳墓を留守にする間防衛指揮を頼んでいたデミウルゴスからであった。冷静沈着な彼にしては珍しく焦りが込められた声にモモンガは不審に思ったが、彼が連絡をしてきた理由を聞いたことでその焦りの訳を知ることになる。
その内容とは——————————————————————デミウルゴスと同じく留守を任せていたシャルティアが、プロメテウスから送られて来た使者を護衛も含めて全員殺してしまった、というものであった。
——時は少々遡る。
モモンガが話し合いをしている最中に、ナザリック地下大墳墓の森の近くにてそこに向かう馬車と騎兵の一団の姿があった。それはプロメテウスから使者として送られてきた親衛隊の者とそれを護衛するためのモンスター100人であった。
モモンガが軍を退けた翌日、プロメテウスは現法国の北部を攻めている部隊の一部が返り討ちに遭い撤退させられたという報告を仕事の補佐をしていたラナーから聞いていた。プロメテウスとしては怒りを抱く前に、軍が退けられたことに驚愕していた。彼の予想では法国に軍を退けるほどの兵力を残っておらず、その部隊もあと数日もすれば法国の兵を蹴散らして進軍しているはずだった。プロメテウスは自身の予想が崩されたことに何か裏があるはずと感じ、その戦いのことについて詳細を調べさせた。そうしてその場にいたモンスターから詳しく話を聞いた結果、プロメテウスは自分の様にプレイヤーが転移してきたことを察した。彼はそれが分かると戦場となった場所の半径10㎞ほどを捜索するように命じた。そうした結果、戦場から7㎞ほどの距離に法国のものとは思えない神殿が見つかったと報告を受けた。報告された神殿やモンスターたちを従える骸骨の異形種、そしてその異形種のことを周りのモンスターたちが『モモンガ様』と言っていたことから、プロメテウスは転移してきたプレイヤーが悪名高い『アインズ・ウール・ゴウン』のギルドマスターのモモンガであり、彼の所属するギルドの本拠地『ナザリック地下大墳墓』も一緒に転移してきたことを確信した。
彼はゲーム時代からモモンガやナザリック地下大墳墓のことを知っていた。有名なのは『1500人による侵攻』伝説であろう。僅か41人しか所属していない中規模のギルドであるのに、1500人に及ぶ高レベルのプレイヤーからの侵攻を防ぎ切ったことはゲーム内では伝説として語られている。そのため彼は普通であれば、こちらが被害を受けたならばすぐさま報復にでるところを、今回は踏みとどまりどうしようかと考えを巡らせた。プロメテウスは『アインズ・ウール・ゴウン』のメンバーが引退しており、残っているのはギルド長のモモンガしかいないことは掲示板などから知ってはいた。しかし、それを差し置いたとしても1500人ものプレイヤーを防ぎ切った拠点を攻めるとなればこちらとしてもかなりの軍勢を集め、それなりの被害を出す必要が出てくる。全世界を手にしていれば躊躇なく報復に出ていたであろうが、アークランド評議国やスレイン法国といった敵が未だ残っている状況に置いては、下手に戦力を分散させたくはなかった。そのため、プロメテウスはまずは話し合いをするべきかと考え、ナザリック地下大墳墓へ使者を送ったのだ。
———だが、ここでプロメテウスも、モモンガも予想外のことが起きた。
それはシャルティアの存在だ。彼女はモモンガからナザリック地下大墳墓の表層を守るように命を受けていた。他の居残りの守護者については、コキュートスはシャルティアが苦戦した際の加勢や、下の階層への撤退の支援が必要となった際にそれを速やかに出来るように、第二階層にある【黒の棺/ブラック・ボックス】という、領域守護者である恐怖公というゴキブリ型モンスターが治める領域にて待機しており、防衛指揮を任されたデミウルゴスは第九階層にて情報収集部隊の編成とナザリック地下大墳墓の防衛体制の変更を行っていた。
そうして表層を守っていたシャルティアであるが、彼女は吸血鬼ということもあり人の……生物の気配を感じ取るのに優れていた。彼女はここに迫ってくる大勢の気配が感じ取ると、魔法を使用して蝙蝠を召喚して上空からこちらへ向かってくる集団を観察した。馬車とそれを守るように囲みながら走っている異形の存在を彼女の目が捉えた。周りに騎乗しながら警戒している異形種たちは全員が武装をしており、レベルも50前後と高い者達であった。シャルティアはこれを敵の襲撃だと思い込み、迎撃に出た。その考え自体は否定できない。武装をしている異形種の集団が迫って来ているとならば襲撃だと勘違いしても仕方がない。しかし、彼女のミスはこのことを防衛指揮を任されているデミウルゴスなどに報告をしなかったこと、そして使者からの発言を全て無視したことである。最初から報告していればデミウルゴスが最適解を示してくれたし、攻撃をしたとしても途中で相手方の話をきちんと聞いていればまだ話し合いをしてなんとかする方法もあった。だがシャルティアは設定に置いて頭が悪いと言う風に創造されていたことから、そんなことまで考えられるはずもなく、『武装してナザリック向かってくる=排除すべき敵』という安直な方程式が彼女の中では出来上がっていたため、デミウルゴスにその報告がいった時には全てが終わった後であった。
モモンガはデミウルゴスからの報告を聞いて頭が痛くなった。よりにもよって使者を話もせずに殺してしまうなど、愚の骨頂であり相手に対して宣戦布告をしたようなものだ。
モモンガはないはずの胃がキリキリと痛くなっていく感覚を覚えたが、深呼吸をして心を落ち着かせると、まずはデミウルゴスに防衛体制を厳重にするように命じた。シャルティアが使者を殺してしまったことが相手側に知られれば今すぐにでもプロメテウスが軍勢を引き連れて攻めてくる可能性があったからだ。モモンガはデミウルゴスとの会話を終えると、最高神官と第一席次に少々問題が起きたと言って今日のところはこれで帰らせてもらう旨を告げた。2人としては今すぐにでも返答を聞きたかったが、部下との会話をしていた様子から急を要するものであると感じたため仕方がないと割り切り、それを受け入れモモンガに対してお辞儀をした。モモンガは2人に対して詫びをすると、アルベドたちにもナザリックに帰ることを告げ、【転移門/ゲート】を使い足早に帰っていったのだった。
モモンガはナザリックに戻ってくると、すぐさまアルベドに命じて守護者たちを全員玉座の間に集めた。それから僅か10分後、玉座の間に守護者全員が集まった。しかし、全員の表情は芳しくなく特に問題を起こしたシャルティアは、顔が真っ青でまるでこれから死刑を執行される囚人の様であった。そうしてモモンガが全員集まったことを確認すると、これからの方針を決める会議を始めた。するとシャルティアとデミウルゴスを除く者たちがシャルティアに対して罰を与えるように進言してきた。彼等からして愚かにも自身の判断で勝手に行動した挙句ナザリックに不利益をもたらしてしまった彼女をどうしても許すことが出来ず、こうしてモモンガに懇願しているのだ。そして罰を望んでいるのはシャルティア自身も同じであった。彼女は自分の所為でモモンガに迷惑を掛けてしまった自身を許せずにいた。
だがモモンガはシャルティアに対して罰を与えなかった。シャルティアの行動は確かに問題であったが、それはこのナザリック地下大墳墓を守るための行動であり故意ではないためだ。それにモモンガとしても彼らに対して配置についてのみ命令をしており、その他をデミウルゴスに一任していたため彼にも全く問題はなったかと言われるとそうとは言えないため彼女を許したのだ。ただこれからはよく考えて行動することと何かあれば直ぐに報告することを厳命した。シャルティアは納得していない様であったが、だったらこの失態以上の成果を上げて汚名を返上しろと言われて渋々納得した。
そうしてシャルティアへの処分の話を終え、これからのプロメテウスへの対応について話を始めようとした時、玉座の間に誰かが入って来た。入って来たのはセバス・チャンであった。守護者統括のアルベドはいきなり入って来たセバスに無礼であると叱責したが、彼は謝罪をすると緊急の報告があると告げた。彼の表情や執事長であるセバスが無礼を承知で玉座の間に入ってきたことからそれが余程緊急の案件であることを察したモモンガは要件を問うた。モモンガからそう聞かれたセバスは、ナザリックの表層にプロメテウスからの使者と名乗る者が訪ねてきていることを報告した。
モモンガは問題が起きてからまだ3時間ほどしか経っていないのに、こんなにも早く来たことに相手が余程怒りを抱いているのだと予想した。アルベドやデミウルゴスはどうするのかとモモンガに問い、他の守護者もモモンガの返答を待つ。モモンガは考える、いったいどうするのが最適解なのか、と。そしてまずは相手が何か要求してきてないかをセバスに確認した。質問されたセバスは相手が使者を殺したことに対してプロメテウスからの言葉を聞かせるために来たと言い、それを伝えるためモモンガに表層まで出て来いと告げられたようだ。それを聞いた守護者たちは激怒した。絶対的支配者であるモモンガに対してこちらの方から来いと要求してきていることに。モモンガはそれを聞くと守護者たちに落ち着くように言うと、その要求を聞き入れた。守護者たちはわざわざ行かなくても我々の内の誰かが行けばいいと述べたが、モモンガは最初に無礼をしたのはこちらであるのに更にその後の使者の要求も無視したとなれば相手に戦争をする口実を与えてしまうこととなり、戦争となればたとえ勝てたとしても重大な被害が出ることが考えられるためまずは要求を聞き入れるのが吉であると説明した。そう言われても守護者たちは納得できなかったが、それ以上口をはさむことはしなかった。だが、アルベドはせめて護衛はつけるようモモンガにお願いした。セバスの伝言からは護衛を連れて来ては駄目とは言われていないが、何人も連れて行くと相手に敵意があると勘違いされてしまう可能性もあるため、頭が良く防御力に自身のあるアルベドと暴走する恐れのないセバスの2人のみを連れて使者に会いに行くこととなった。
今度のプロメテウスの使者として来たのは、プロメテウスの肉便器奴隷であり内政において補佐(実質の全軍統括補佐)をしているラナーであった。周りには彼女の護衛として同じくプロメテウスの奴隷となった蒼の薔薇の4人がいた。彼女たちはプロメテウスの奴隷となってから彼のNPCたちと毎日訓練をしたり戦争に参加したりしていたため、ラキュースやティア、ティナの3人はレベル80程、イビルアイにおいては90程にまで上がっていた。そのため護衛として選ばれたのだ。
モモンガがやって来てラナーの前まで来ると自己紹介を早々に済ませ、早速本題へと入ったラナー。彼女はプロメテウスからの要求が書かれた高級な羊皮紙をモモンガの隣にいるアルベドへと渡した。モモンガとしてはそれを疑問に思ったが、テレビなどで見た昔の洋風映画にて、紙に何か細工をされていないかを確認するために部下が先に確認をすることを思い出し、ラナーの行為に納得した。そして渡された羊皮紙に書かれた内容を見たアルベドは、それに少々眉をひそめた。それを見ていたモモンガはどうしたのかと思ったが、アルベドは何も言うことなく何かしらの魔法が仕組まれていないかを確認した後に彼へと羊皮紙を渡した。モモンガはアルベドから渡された羊皮紙を受け取ると、そこに書かれている内容を読み始めた。少しして全部を読み終えると、モモンガの紙を持つ手が震えていた。それは羊皮紙に書かれていた内容がモモンガにとって受け入れることのできないものであったためだ。その内容というのが簡潔に言うと2つのことが書かれており、一つ目は『使者と護衛を殺した者の身柄をこちらに引き渡すこと』。二つ目は『こちらの配下を殺した賠償として、ユグドラシル金貨1億枚とギルド内の美女・美少女を100人をよこすこと。もし女性の人数が足りない場合は、一人分をギルド金貨1000枚分として足りていない分を金貨で補う事』。この2つであった。シャルティアの身に加え、金銭と女を要求してきている。モモンガはプロメテウスという人物が女を奴隷のように扱っていると聞いているため、もし要求を飲めば自分の可愛い子どもが彼の奴隷とされてしまうと考えた。そんなことをモモンガが許容できることはなった。そのためモモンガはラナーに向けて怒鳴り声をあげた。『こんなふざけた要求を受け入れられるか!』と。あまりの怒りゆえか『感情抑制』が何度も働いても彼を静常化させられず、怒りが収まらない程だ。
アルベドとセバスは初めて見るモモンガが本気でキレた姿を見て体を震わせたが、それを向けられたラナーはというと平然としており、モモンガの言葉に対して冷静に返答をしていく。
『それでは、プロメテウス様と戦争をするということで宜しいですか?』と。そう言われたモモンガは未だ冷静になれていなかったためか、声を荒げながら答えた。『大切な子供たちを奴隷にされるぐらいなら、戦争でも何でもしてやる!』と。
それを聞いたラナーは「そうですか」と呟くと目を瞑ってしばしの間沈黙がつづいた。そして目を開けると彼女は「それでは戦争ですね」と楽しそうに微笑んでそう言った。アルベドはそう告げたラナーに向けて持っていた戦斧を振り下ろそうとしたが、武器が当たる瞬間にラナーが光ると、そこにラナー姿はいなくなっていた。いや、ラナーだけでなく護衛として一緒にいた蒼の薔薇の4人もいなくなっていた。アルベドはどこへ行ったのかとキョロキョロと周りを見回していると、3人の頭の中にラナーの声が聞こえてきて、3人に対してこう述べていった。
『モモンガ様のご意見はしかとプロメテウス様にお伝えいたします。次会う時には敵同士ですので、どうかこの選択を後悔なさらないよう精一杯頑張ってくださいね♪』
ラナーがそう言い終わると、それから声は聞こえなくなった。
モモンガはラナーたちが消えていって、精神が落ち着いて冷静になった後に気付いた。感情の赴くがままに口にした自分の発言が、プロメテウスとの戦争を決定的にしてしまったと言うことを。
こうしてモモンガとプロメテウスは完全に敵対し、数年にも及ぶこの世界の命運を賭けた苛烈な戦争が始まることとなったのだ。
————現在(戦争開始から半年後)
場所はザッハーク城のプロメテウスの私室。
プロメテウスは部屋に置かれている豪華な造りの椅子に座り、目の前にいる人物たちから報告を受けていた。この部屋にはプロメテウス以外に4人の女性がおり、一人は彼の後ろに立って控え、残りの3人は彼の目の前にあるソファーに彼の許可を得て座っている。
プロメテウスはいつもの服装ではなく、バスローブのみを着用しているラフなものであった。さきほどまで寝室の方にて奴隷数人とセックスをしており、それが丁度終わったタイミングで報告が来たためであった。
そんなプロメテウスは、3人の内2人の報告を聞くと頭の中でその情報を整理し、相手にどういった意図があるのかを考えていた。
「ふむふむ……。なるほどなァ…法国の奴らは北部に兵力を集めている、か……。――兵がどれぐらいかは把握できたか?」
プロメテウスはそれだけでは相手がどんなことを考えているのか結論が出なかったため、2人に目線を向けより詳しい情報はないかと問いかける。
目線を向けられた女性2人は、プロメテウスに見つめられて少々怯えたり、顔を嫌そうに歪めたりしたが、彼に聞かれたことに対しては素直に答えた。
「……正確には分からないけど、最低でも1万は超えていると思うわ」
「そ、それとですけど…、ナザリックの方からも…兵が集まっているっていう噂を、街にいる兵士たちから聞きました」
「……そうか、分かった。ご苦労だったなぁ—————アルシェ、イミーナ」
2人の女性の名は、金髪ショートの少女がアルシェ、紫髪でツインテールの女性がイミーナである。
この場にいることや情報をプロメテウスに報告していることから2人はプロメテウスの配下のように思ってしまうだろうが、実は2人は厳密に言えば彼の配下ではない。確かにプロメテウスの命令を聞き入れているが奴隷でも愛人でもなく、敢えて関係を言うのであれば体のいい手駒と言える。
アルシェとイミーナは元々帝国にて『ワーカー』という冒険者とは違い主に暗殺や諜報といった闇に関わる仕事を受け持つ職業を生業としており、そのワーカーの中にて2人は『フォーサイト』というチームに所属し活動していた。
2人は傍から見ても綺麗な女でありプロメテウスの好みに当てはまるため、王国であれば3年半前の戦争の際に賠償として彼の元に貢物として連れて行かれることは間違いない。しかし、その時2人は貢物として連れて行かれなかった。それは帝国が王国とは違い500人の美女・美少女を集める上できちんとした基準を決めていたからだ。王国では六大貴族たちがとにかく自分たち一刻も早く助かろうと、全土から下級貴族や平民、冒険者といった身分・職業問わずに適当にかき集められた。それに対して帝国では、まずは皇帝と敵対していた貴族の妻や娘、親族から選ばれ、それで足りなければ皇族御用達の商人や農林業、マジック・キャスター、軍人、冒険者、ワーカーを除いた平民の中から選ぶという明確な基準を設けていた。帝国の皇帝であるジルクニフは、降伏した際にプロメテウスは世界を破滅へと導く存在であり、今は従うしかないが将来的には必ず殺さなければいけないと考えていたからだ。そのため戦争にて3万程の軍をプロメテウスにより壊滅させられた現状では、これ以上の軍事力の低下を抑えるために戦争に必要である兵力や糧食、武器といったものに関連する職種の者たちや、自分を支えてくれている貴族から貢物となる女たちを選ぶことは止めたのだ。こうした事情からアルシェやイミーナのようなワーカーや冒険者、軍人といった戦いを主としている女たちは、貢物となることから逃れられたのだ。
さて、ではなぜそんな貢物とならなかったアルシェとイミーナがプロメテウスと繋がり、人類側が不利となるような情報を引き渡すようになったのかというと、それは皇帝であるジルクニフが関与している。
ジルクニフは後に人類が団結してプロメテウスを討伐するためにも、まずは彼の情報が必要であるため情報収集を始めた。ジルクニフは使い捨てとして飼っている貴族を介して、ワーカーを雇ってプロメテウスが住むザッハーク城へと潜入させ、情報を収集させることを命じたのだ。そして、その情報収集をするために雇われたワーカーというのが、アルシェとイミーナが所属するワーカーチーム『フォーサイト』であった。
『フォーサイト』が選ばれた理由としては、チーム内に女性がいたことと金さえ払えば多少の危険があっても他のワーカーと比べ依頼を引き受けてくれることが多く成功率も高かかったからだった。フォーサイトが依頼料の高い依頼を良く引き受けるのはそれぞれに金が必要である理由があったからだ。『フォーサイト』のリーダー兼剣士であるヘッケラン・ターマイトとその彼女でレンジャーであるエルフ族のイミーナは結婚後の資金を溜めるため、神官であり回復役であるロバーデイク・ゴルトロンは恵まれない子どもを助けるための孤児院を建設するため、そして魔法使いで魔法のバフ・デバフによる後方支援役のアルシェ・イーブ・リイル・フルトは借金に苦しむ家族——妹たちを助けるため、といった風にそれぞれがある程度まとまった金が必要であったため、たとえ危険が伴おうと依頼料が高額であれば基本的には断ったりはしなかった。
そして今回も依頼が高額であったため、プロメテウスの城に潜入して情報を収集することを了承したのだ。だが……実はフォーサイトのメンバーたちは、貴族から依頼の話を聞いた当初は断るつもりであった。フォーサイトのメンバーは戦争の話を人伝手で聞かされており、たった一人で数十万もの人を殺したということを知ってから、そのような化物と関わるようなことはしたくないと思っていたからだ。
しかし、一人のメンバーの都合によって受けざるを追えない状況にあったことで引き受けることとなった。そのメンバーというのがアルシェ。彼女は元々貴族の出であったのだが、ジルクニフが皇帝になったことで彼女の運命が変わってしまった。アルシェの父、フルト家の現当主は有能とは言えない人物で性格も高慢と如何にもな貴族であったが、家族には優しく接する人物であったためアルシェとしては嫌いになれない人であった。しかし、新しく皇帝となったジルクニフは自分に敵対する若しくは無能な貴族たちは徹底的に粛正していった。そしてその粛正対象にアルシェの父も含まれてしまったのだ。ただ彼は有能ではなかっただけで、不正や暗躍といったことは全くと言っていいほど行っていなかったことから、他の貴族の当主たちとは違い処刑されることなく、領地と家の財産を奪われるだけで済んだ。だがアルシェの父は頭が悪いこともあり自分が粛清されたことを理解せずに皇帝への怒りを抱き、いずれ貴族としての権威を取り戻すと言いながらも何もせずにただ昔の様に金を無駄遣いするだけであった。ただ彼は皇帝によって財産を没収されているわけで、金を使いまくればいつかは底をつく。そうして底をつくと今度は金貸しに借りてまで贅沢をするようになる。そしてまた金が無くなれば別の金貸しに借りるといったことを繰り返していったことで、借金の額はとてつもないほど膨れ上がっていた。アルシェは父に金を借りないように忠告したが、彼はいつか権威を取り戻せばこんなはした金直ぐに返せると言って彼女の言葉を聞き入れなかった。それに加えてアルシェの母親も優しい人物ではあったが、貴族の出であったことから世間知らずであり長い間金に困ったことがなかったために、浪費癖がついてしまっており、金が足りなくなれば父親と同じように勝手に借金をしてしまっていたのだ。こうしてアルシェはワーカーをしているのは、2人が作った借金を依頼料から少しずつではあるが返していたからだ。
だが、その父親と母親の所為で彼女が皇帝からの依頼を受けざるを得ないこととなったのだ。両親が金を借りているのにも関わらず、中々返済をしないことから借金取りに今月末までに最低でも利子分は返さないと、彼女の妹に当たる双子のクーデリカとウレイリカを利子分として連れて行くと言われてしまったのだ。アルシェにとって妹たちは自分の命よりも大切な存在であるため、何としても月末までに利子分の金を集めなければならなかったのだ。だがその額は中々のもので、普通の集め方では今月末までには到底無理であった。しかし、この依頼の報酬額は4人で分けたとしても利子分を返すには充分な額であった。アルシェは恥を忍んで仲間にそのことを告白し、どうか依頼を受けてくれないかと頭を下げて頼んだ。3人はアルシェからの頼みに二つ返事でOKと答えた。彼らとしては今までアルシェに助けられてきたことが幾度もあり、普段から彼女はチームで最年少でありながら、我儘の一つも言ったことがなかった彼女の年不相応な態度を少し心配していた。そのため3人は迷惑に感じるどころか、むしろやっと自分たちに対して我儘を言ってくれたと喜んでいた。
こうしてフォーサイトは依頼を受けることとなった。
………それが自分たちの運命を揺るがす結果になるとは知らずに。
そういった経緯から依頼を受けたフォーサイトは帝国を出発した。そうして数日してザッハーク城の周りに造られている城下町の前まで着くと、フォーサイトは2組に分かれた。その城下町には女性しか入れないことは知られていたため、アルシェとイミーナが街にて情報を集め、可能であれば城に潜入する役割を担い、ヘッケランとロバーデイクの2人はもしもの時のために城下町近くにある森の中に潜伏して待機という風になった。
そうして情報収集を始めようとしたフォーサイトだが、プロメテウスの城や城下町、その周りには情報統制のためのモンスターが多数放たれており、それらの存在によってプロメテウスの敵でスパイと認識された4人は2組に分かれて数分もしない内にモンスターたちによって捕らえられ、城の地下の牢獄へと入れられることとなった。
普通であればいつものように情報を抜き取った後に、男は殺されて女は奴隷となるはずであった。しかし、プロメテウスが彼らの頭の中から抜き取られた情報を見て面白いことを考えたことによって、フォーサイトのメンバーは何とか殺されずに済み、4人はザッハーク城から生きて出ることが出来た。
その面白いことについては………また後に話そう。
そうした経緯があり2人は奴隷にこそされなかったが、その出来事によってプロメテウスにより2人にとって大切な者たちを人質に取られることとなったことで、逆らえない彼の手駒として動いているのだ。
だからこのように本来なら勝ってほしいと思っている人類側の情報を、嫌々ながらもプロメテウスに流している。
「……」
「……別に、あんたのためじゃないし…」
「カハハハハハハハ! 俺は相変わらず嫌われているようだな…! まぁいい。……そっちはどうだった? 何か情報は得られたか?」
情報を収集してきたアルシェとイミーナに対してプロメテウスは労いの言葉をかけるが、自分たちを脅している彼の言葉を聞いても2人は喜んだりせずに冷たい態度を取る。
普通であれば怒られるものだが、プロメテウスは自身に冷たい態度を取る2人に対して怒ることはなく、むしろそんな態度を取る2人を見て機嫌よく笑う。いつもであればプロメテウスはここで冗談の一つでも言うものだが、今回の報告が戦争の結果に直結する重要なものであると理解しているため、彼は2人から目線を外すとソファーの左に座っているメイド服を着ている女性に声をかけた。
プロメテウスに話しかけられた女性は、彼の方に顔を向けて自身が収集してきた情報を報告した。
「ナザリックの方でも兵を動員して法国の北部へと集結させていることは掴んでいるっすけど、残念ながら担当が違うのでそれ以上のことは聞けなかったっす。申し訳ございませんプロメテウス様」
「カハハハハハハハ。気にすんな。何かしようとしてるってことが分かっただけでも、こちらは優位をとれる。お前も潜入ご苦労だったな—————ルプスレギナ・ベータ」
その女性とは、現在プロメテウスと戦争中であるナザリック地下大墳墓にて『七連星/プレアデス』という戦闘を主な任務としているメイド集団に所属している、NPCのルプスレギナ・ベータであった。
本来であれば敵対しているプロメテウスに対して自分の陣営の情報を売る。それは完全なる裏切り行為であるが、彼女は罪悪感などなくむしろあまり情報を掴めなかったことを彼に詫びた。
プロメテウスとしても確かに得られた情報は少ないため少々残念に思っているが、ナザリックも自分たちの様にしっかりと情報統制をしているために、中々情報が集められていないのが現状だ。そんな中でルプスレギナが持ってくる情報は貴重であった。それにたとえ少ないと言っても彼女の報告から相手側が法国北部にて何かをしてようとしていることは確実であることは分かったため、それに対しての対策を早くから出来ることは十分アドバンテージとなるため、彼女からの謝罪に気にするなと言った。
プロメテウスからそう言われたルプスレギナは、しゅんとしていた顔を明るくさせると彼に頭を下げて感謝の言葉を述べた。
「ああっ! 貴方様に仕えさせていただいているだけでも幸福ですのに、そのようなお優しきお言葉まで……っ! プロメテウス様の慈悲に感謝いたします……!!」
プロメテウスはルプスレギナの謝罪にはいはいと適当気に流すと、これからのことを考える。
「(北部で何かしようってんなら、そっち多めにスパイを送ったほうがいいか…。…いや、あの陰キャ骸骨のことだから当然スパイは警戒するはず。それだったら何かを始める前にこちらから………)」
プロメテウスはモモンガが何かをしようとするならスパイを送って情報収集させたいと思ったが、相手の性格を考えてそれを予想しているはずと思い直してその案を捨て去って新しい案を考え始める。そうして暫く考え続けて、結果として自分一人で考え詰めてもしょうがないと割り切り、後からブリュンヒルデや将軍たちを集めて会議した方がいいと感じて考えるのを止めた。
そうしてプロメテウスは仕事モードを止めると、硬くなっていた思考をセックス時の様に緩めるとこれからはお楽しみタイムだと心で告げて、アルシェへと顔を向けて話かけた。
「———おい、アルシェ」
「っ。……何ですか?」
アルシェはプロメテウスから声をかけられ身体をビクッと震わせると、彼に対して目線を向けて何だと問いかける。
「ん~? お前なら分かってるだろう? ……いつものやつやってくれよ♪」
「…………わかりました」
プロメテウスはアルシェが分かっていながら聞いてきていることを分かっており、それを嫌がっていることも知っているため顔をニヤけさせながらも、彼女に対して要望を伝えた。
それを言われたアルシェは下を向いて膝にのせていた手を強く握って顔を辛そうに歪めたが、プロメテウスからの命令を無視することは出来ないため、了承の言葉を口にした。
そうするとアルシェはソファーから立ち上がると、プロメテウスの元まで行き跪いて彼の足の間に入る。
そしてバスローブの裾を捲り上げて彼のペニスを取り出した。プロメテウスのペニスは先ほどまで奴隷数人とセックスをしていたのにも関わらず未だ硬さと大きさを保っており、アルシェが片手でペニスを掴むとビクンと震えて、更に反り返った。アルシェは怯えを含んだ目をしたが、それを口に出したりはせず彼に始めることを告げた。
「…それでは、始めさせていただきます」
「ああ、丁寧に頼むぜ」
プロメテウスがそう言うと、アルシェは掴んでいた手を動かして彼のペニスを扱き始めた。そしてもう片手の方では亀頭の方へとやり手で包み込むと、撫でまわすように手をこすりつけてそこを刺激していく。
アルシェはプロメテウスから人質を殺さない条件として、情報収集とは別に身体を使って彼に奉仕することを命じられているのだ。
しかし、プロメテウスはいつもアルシェに前戯をさせることはあっても、最後までは行ってこなかった。それはアルシェと同じ条件を突きつけられているイミーナが関係しているが今は省略させてもらう。
「ん……っ(やっぱり、凄く大きい……。触ってる手が火傷しそうなほど、熱くて…硬い……。こんなことをさせられるなんて…。—————いや、違う! 私が頑張るんだ…! そうしないと、フォーサイトの皆や…ウレイにクーデが……。皆を守るためにも、私が……っ!!)」
「いいねぇ、アルシェ。前よりも更に上手くなってんじゃねぇか。練習でもしたのか?」
「……」
「無視かよ。カハハハハハハ。…まぁいい。その調子で頼むわァ……!」
「…はい」
アルシェは彼のためではなく人質とされちるみんなのために行っているためプロメテウスの問いに対しては無言であったが、彼は気にすることなくそのまま手コキを続けるように彼女に告げた。
アルシェはこんなことをさせるプロメテウスを軽く睨んだが、逆らうことはせずにせめて少しでも早く終わらせるために、手コキの速度を上げて射精するようにしていく。
プロメテウスはアルシェが手コキの速度を上げて気持ちよくさせようと一生懸命になっている姿を見てあくどい笑みを浮かべる。
そうして手コキを続けていくこと数分。ブリュンヒルデや自分の奴隷たちよりは性技術が低いとはいえ、ある程度の間受け続けたら快感は溜まっていくもので、プロメテウスは射精が行われる程度には気分が良くなっていた。
「おい、アルシェ。そろそろ射精そうだから、いつもみたいに咥えてくれや」
「…わかりました。———あむっ。んぶぷぷぷっ…!」
アルシェはプロメテウスの催促にまたあれをさせられるのかと内心思いながらも、手コキを一旦止めると口を大きく開けるとペニスの亀頭を咥えた。そしてそのまま口を根元へと進めていき、喉奥まで使って彼の長大なペニスを根元まで咥え込んだ。喉が完全にふさがれてしまっているため、鼻呼吸となっている。苦しさゆえに荒い鼻息となった上に上目遣いをしてこちらを見てきているため、それが彼の興奮を煽るスパイスとなっている。
彼はアルシェがペニスを根元まで飲み込んだのを確認すると、口を離さないように頭を片手で押さえつけて動けないようにしてから射精した。喉奥までペニスが入り込んでいたことで直接食道へと精液を流し込まれ、どんどん胃へと送り込まれていく。
「んぶっ!? ……んぶ…っ! んむむむっ! ———ぷはぁっ!? はぁ……はぁ……っ(相変わらず苦い……っ。それに量も…すごく多い……)」
「カハハハハ。中々に良かったぜぇ~、アルシェ♪」
「………それなら、よかったです。……今日は、もういいですか?」
アルシェは射精が終わった後にペニスが抜かれたことで呼吸が可能となり、本能として新鮮な空気を吸おうと息が勝手に上がってしまう。プロメテウスは自分を射精させることが出来るほど成長したアルシェを褒める。
しかし褒められたアルシェはどうでも良さそうに答えると、今日はもう終わりでいいかと聞いてくる。プロメテウスは反応が薄いアルシェにつまらなそうな顔をするが、まぁいいかと切り替えて今日はもう帰っていいと告げた。
それを聞いたアルシェは、プロメテウスが発動してくれた【転移門/ゲート】を使ってザッハーク城を後にした。
「…それでは、失礼します…」
アルシェが【転移門/ゲート】に入って行き気配がいなくなったのを確認すると彼はそれを閉じた。そして視線を【転移門/ゲート】を発動していた場所からイミーナの方に移すと、彼はニヤニヤと顔を笑わせながら彼女に声を欠けた。
「——さ~てとっ。それじゃあ、アルシェちゃんがいなくなったところで、今度はイミーナちゃんにやってもらうかね~♪」
「っ。……わかってるわよ…!」
プロメテウスからそう言われたイミーナは言葉を強く発してソファーから立ち上がると、アルシェの様にプロメテウスの前まで来て跪くと、先ほど射精したことで精液によって少々汚れているペニスに顔を近づけた。そしておもむろに口から舌を出すとペニスを舐めまわし始めてお掃除フェラを開始した。
イミーナはアルシェと同じ条件を突きつけられた際にプロメテウスにあるお願いをした。それはアルシェに対して本番は行わずに前戯だけにしてくれと言うものだ。プロメテウスがアルシェに対して前戯しか行わなかったのはイミーナのお陰だったのだ。彼女はまだ若いアルシェが好きでもない男に抱かれるのは、人質のためとはいえ死ぬのと同等の苦痛であろう思い、せめて初めてくらいは将来好きな男を見つけてその人に捧げて欲しいと思っての行動であった。
ただイミーナからのお願いを受け入れたが、プロメテウスはその代わりにアルシェで発散できない分を彼女の身体全てを使用して発散させることを条件にした。イミーナは彼氏がおり処女ではないため、業腹ではあったが妹の様に大切なアルシェのためならばと心を決めたのだ。
「んれろっ…。んれろろろ…っ。ちゅるるるっ」
「カハハハハハ。やっぱり経験者は上手ぇなァ…! いっつもセックスの後は彼氏のチンポこうやって掃除んのかァ? んん?」
「んろっ。んちゅれろ……っ(ヘッケラン以外の……こんな奴のおちんぽを舐めるなんて……っ。)」
プロメテウスの質問に対し無言を貫いたイミーナだが、内心では自分にこんなことをさせるプロメテウスに対して敵意を示していた。
そんなプロメテウスはというと、イミーナからの返答がないことを残念に思いつつも、まぁペニスが気持ちいからいいかとあまり気にしていなかった。
そして少しすると精液を舐め終えたイミーナに、プロメテウスはアルシェの様にフェラをするように告げた。
「おお、終わったか。それじゃあそのままフェラしてくれ。激しく頼むぜ♪」
「ぷはぁ。わかったわよ…。——あむっ。んじゅぽっ! ぐぷぷっ! ぐぢゅるるるるっ!」
プロメテウスから催促されたことでイミーナはフェラチオを始めた。大げさな程音を立てながらペニスを口で奉仕していく。彼女はプロメテウスに脅されて彼と何度も体を重ねてきたため、ある程度はプロメテウスが好きなことを理解しており、こうすると彼が興奮すると知っているためこうしているのだ。まぁ、彼氏でもない、ましてや自分たちを脅している男のツボを知っていってしまった自身を、イミーナは嫌悪をしているのだが。
「んじゅぽっ! ぐじゅぷぷっ! んぼぽぽっ! じゅるるるっ!(この前の時よりもまた大きくなってる……! 顎、外れちゃいそう……っ。それに、臭いもすごく濃い……。こんな、クソ野郎のおちんぽなのに…子宮が、疼いてくる…っ。頭も、ぽわぽわする……)」
「カハハハハハハハ。やっぱお前のフェラは気持ちいいわァ…! もっと頬窄めてエロく奉仕してくれよォ、イミーナちゃん♪」
「! (な、何を言ってるのよイミーナ…っ!? そう、私が変な気分になるのはきっとこいつが魔法かなんかを使っているせい…! 決して、気持ちよくなんかない……!! そう! こんな、クズ野郎なんかに……!) ——んっぐじゅるるるるるっっ! んぼぽぽぽぽっっ! んじゅぐぷぷぷっっ!」
イミーナはペニスに奉仕をしていることで子宮が疼き思考が溶けていく感覚を覚えたが、プロメテウスからの自身を道具の様に扱う発言を聞いて、自分がこうなっているのは目の前にいる男の魔法の所為なのだと心の中で言い訳をする。
確かにイミーナの言うことは間違ってはいない。魔法ではないが、プロメテウスの身体からはパッシブスキルとして異性に性的興奮を促すフェロモンを放出するものがあるからだ。しかし、イミーナは気づかない。確かに彼女は人質を取られて脅されているため最終的にはプロメテウスの命令には逆らえないが、以前は命令されてもする前に罵倒の一つでも言っていたのに、今では何も言わずに黙って奉仕をしていることに、そしてその奉仕をしている時の顔に恋人であるヘッケランとセックスをしている時以上に雌としての表情が現れていることに。
「カハハハハ…! おい、イミーナ! 口に射精すからなァ。しっかり飲み込めよ♪」
「(さっさと、射精しなさいよ……っ!) んじゅぼぽっっ! ぐぢゅるるるるるるるっっ!」
イミーナはプロメテウスから射精しそうなことを告げられると、さっさと射精させるために吸引を強めて激しく頭を上下させる。その吸引からかプロメテウスはそのまま彼女の口の中に精液を解き放った。
イミーナは何度もプロメテウスにフェラチオをしてきたため、口の中に出された粘着性の高いドロドロの精液も、慣れたように喉を鳴らして飲み込んでいった。
「んんぶっ!? …んぐっ! ゴクッ! ゴクッ!(相変わらず…とんでもない量に、濃さね……っ)」
「気持ちよかったぜ、イミーナ。そんじゃあ次は本番………ん? ちょっと待て。……そうか、分かった。……本番といきたいところだったが、今日はもう帰っていい。引き続き情報収集よろしく頼むぜぇ、イミーナちゃん」
「……珍しいわね。もう終わり…?」
「ちょっと用事があってなァ。……そんなことを聞くなんて、もしかしてもっとしたかったのかァ?」
「なっ…!? ふざけんたこと言ってんじゃないわよっ!! わ、私にとっては早く終わるなら文句はないわ…! そ、それよりもう終わったんなら早く帰しなさいよっ!!」
プロメテウスはイミーナの口からペニスを引き抜くと、彼に【伝言/メッセージ】がかかってきた。そしてかけてきた相手との会話が終了すると、イミーナに対し今日はこれで終了だと告げた。彼女は彼の発言に疑問を覚える。それは当然のことで、いつものプロメテウスであれば前戯で一回射精したら次にマンコに挿入し、それが終われば自由に犯すといった風になるのだが、今回は前戯だけで終わった。彼女は何度もプロメテウスと身体を重ねて来たために彼のセックスにおけるルーティンや一回や二回程度射精しても満足できない絶倫であることを知っていた。そのためアルシェだけでなく自分に対しても前戯だけで終了することを疑問に思ったのだ。
だがそれを聞いてきたイミーナに詳しいことは説明せずに、もしかして俺とセックスしたかったのかと彼女を挑発するような言葉を口にする。彼女はそう言われて顔を赤くし、怒りを露わにしながら大声で彼の言葉を否定した。しかし、彼女は気づかなかったが、彼に対して質問をした際の声には、若干ではあるが残念そうな雰囲気が感じられた。そしてそれはプロメテウスも気づいていたが、それをあえて指摘しなかった。
イミーナはプロメテウスに対して怒鳴り声をあげるとさっさと帰せと彼に言い、彼女の態度にニヤニヤと笑みを浮かべていた彼が【転移門/ゲート】を発動すると、彼女はさっさとその中へ入って行ったのだった。
プロメテウスはイミーナの気配が感じられなくなると魔法を解除した。
すると彼の後ろで控えていたメイド服を着ている金髪ロングの美女が、プロメテウスに話しかけた。
「少々よろしいでしょうか、ご主人様」
「んん? 何だァ、レイナース?」
女性の名前はレイナース・ロックブルズといい、元は帝国において四騎士という皇帝の懐刀の役職を持ち、周辺諸国からは『重爆』の通り名で知られていた。なぜ彼女がメイド服を着てプロメテウスのことを主と言うのかというと、それは今では彼女はプロメテウスの奴隷となってしまっているからだ。しかし、彼女はラナーやクレマンティーヌなどとは少々事情が異なり、レイナースは自らプロメテウスの奴隷となることを望んだのだ。
その理由は彼女のこれまでの人生が関与している。レイナースは四騎士となる前は、領民を慈しむ貴族の令嬢であった。昔から今のような美貌を持っていたことから、周りからちやほやされてきて自分の家柄よりも高位な貴族の子息と婚約までしており、正に幸せな生活を送っていた。しかし、ある時を境に彼女の人生は転落することとなる。レイナースは昔から剣術といった才能があったため、領内のモンスターの討伐を率先して行っていた。しかし、ある時、討伐した魔物から死に際に呪いを受けてしまったのだ。そうしたことで彼女の顔の右半分に大きなできものが出来てしまい、そのできものからは毎日大量の悪臭漂う黄色い膿が出てくるようになってしまったのだ。この呪いを解こうと様々な魔法使いの元を訪ねたがその全てから解呪は無理だと告げた。それが分かるとレイナースの扱いは今までと逆転してしまう。婚約は破棄され、周りからは化物と蔑まれ、家族からは一族の恥と言われて家を追い出された。そうなった彼女は自分を裏切ったすべてに対して恨みを抱き、心の中で復讐を誓った。レイナースにとっては不本意であろうが、呪いを受けたことで【呪い騎士/カースドナイト】という職業を手に入れたことで今までよりも強くなることが出来た。そしてその強さを買われて帝国の現皇帝であるジルクニフの側近として要職に就くことが出来た。そしてその権力を使い婚約した男の家や自身の家に対して復讐をして御家断絶とさせたのだ。
レイナースは復讐を終えた後も手伝ってもらった礼としてジルクニフに仕えていたが、忠誠心などはなく復讐の次の目標である解呪が済むまでの間のみと条件を付けており、それはジルクニフも承知していた。
そうして彼に仕えていたレイナースだが、再び彼女の人生に転機が訪れた。それはプロメテウスとの戦争だ。彼女は最初の戦争の際の貢物の中には、貴重な戦力であることやまず呪いを受けていて訳ありであったため、それには含まれることはなかった。だが2回目の戦争にてプロメテウスが帝都に攻め込んできた際に、彼のところのモンスターたちによって殺されてしまったのだ。しかし、レイナースは亡骸をプロメテウスに運ばれて、ザッハーク城にて蘇生させられたのだ。その理由としては、当時からスパイとして使っていたアルシェやイミーナ、『暗躍部隊』からの報告から美しいが、呪いを受けている女がいるということを知ったためだ。彼はこの世界において呪いを受けた者をみたことがなかったため興味を持ったことと、呪い持ちが死んで蘇った場合どうなのかという実験をしたいと思っていたことから、殺された後にプロメテウスの手によって蘇った。そしてレイナースにとって運のいいことに、死んだことによって呪いが消えて以前のような美しい顔となったのだ。彼女は呪いを解くことに命以外の全てを投げ捨てる覚悟をしていたが、彼の手によって呪いが解呪されたことに感謝した。そしてその解呪してくれたプロメテウスはどうしょうもない女好きではあるが、見た目はすこぶるよかったことから、呪いが解けた嬉しさと解いてくれた男があまりにもカッコよかったことから、彼女は自ら彼の奴隷となることを懇願したのだ。
プロメテウスからしてみれば呪い如きに大げさなと内心思っていたが、レイナースが報告通り美人でありそんな女を奴隷にできるのなら自分にとっては都合が良かったことから、彼は彼女を自身の奴隷としその日の内に処女を卒業させ、彼女の身も心も自分の物としたのだ。
そういった経緯があり、レイナースはプロメテウスの奴隷兼メイドとして彼に仕えているのだ。
「失礼ながら、あの2人のことは奴隷にはなさらないのですか? プロメテウス様の手にかかれば直ぐに済むと思うのですが」
レイナースはプロメテウスがアルシェとイミーナのことを気に入っていることは知っているため、なぜ奴隷になさらないのかを問うた。
特にイミーナにおいては、わざわざ彼女が快楽堕ちしない程度に手加減してセックスをしていることを知っている。
レイナースとしては直ぐに手に入るのに、2人に対して手駒と主の関係を続けるプロメテウスの意図が読めなかった。
プロメテウスはレイナースの質問に対して笑い声をあげると、それに対して答えを口にする。
「カハハハハハハハ! まぁ、お前の言う通りやろうと思えばやれる。…だがよォ、レイナース。俺は結果も大切だが、過程も楽しみたい男なんだよォ…! 」
「過程…でごさいますか?」
「ああ。今のあいつらはあくまでも人質を俺に取られて仕方なく俺と身体の関係を持っているんだ。だがなぁ、レイナース。もう少し時間が経てばあいつらは、人質とか関係なく自らの意思で俺に抱かれたいと思うようになる。…いや、俺がそのように仕向けた。だからそれまでの間俺はあいつらの心境や行動の変化を見て楽しんでんのさ…!」
「……左様でしたか。流石はプロメテウス様にございます」
プロメテウスからの説明を聞いたレイナースは、彼の過程を楽しむということを理解し、アルシェとイミーナの2人を自分の掌の上で思うように操っている自分の主に感心し、そのことを言葉にした。
そうしているとずっと黙っていたルプスレギナが話し始める。
「レイナースちゃ~ん。私たちのご主人様なんだから凄いのは当然っすよ~♪ ねぇ、プロメテウス様~♪」
ルプスレギナはそうレイナースに言うと、ソファーから立ち上がって正面からプロメテウスに抱き着いた。そして顔を彼の胸に埋めると、顔を綻ばせながらこすりつけて彼の身体と匂いを堪能する。
プロメテウスはそんなことをするルプスレギナに目線を向けると声をかけた。
「……お前ももうルプスレギナの真似はしなくていい。今この場には俺とレイナースしかいないからなァ。素に戻って話せ」
ルプスレギナはプロメテウスにそう言われてピクッと体を震わせると、彼に抱き着くのを止めてゆっくりと離れて立ち上がる。そして彼女は先ほどとはまた違った笑みを浮かべた。だがそれはルプスレギナが姉妹などに見せる素に戻ったものでも、またはサディストの面が現れた時とも違う……いや、まず根本として彼女が浮かべない種類の笑みであった。
「———それではそうさせていただきます、プロメテウス様❤」
ルプスレギナがそう言うと、彼女の身体が曲がったり伸びたりしてぐにゃぐにゃと音を出しながら変化を始める。普通であればホラーな光景であるが、その場にいるプロメテウスは勿論のことレイナースも動じたりはしない。
そうして少しするとルプスレギナだったものが、金髪ショートのふわふわ髪で丈の短い白のワンピースと白色のコートを肩に羽織っている美人な女性の姿へと変わった。
プロメテウスはその姿を見て満足そうに笑みを浮かべると、その女性の名を口にした。
その女性の名は————
「その姿を見るのは2か月ぶりだな———————————ステューシー」
「ええ❤ 本当に久しぶりですわ❤」
———ステューシーといった。彼女はプロメテウスが所有している軍隊において潜入や諜報を主とする部隊である『暗躍部隊』の隊長であった。彼女の種族は【二重の影/ドッペルゲンガー】であったため、今回の様に誰かに変身することが出来るのだ。ただし彼女は他の【二重の影/ドッペルゲンガー】とは少々能力の勝手が違う。他の者では、レベル100まで上げればどんなものにでも変身してその相手の能力を使用することが出来る。しかし弱点として、変身している最中は本来のスキルや魔法を使用することが出来ない事、そして変身した相手の能力を8割程しか使用できないという2つが存在する。だが、ステューシー場合、変身中は本来のスキルや魔法を使えないことは同じだが、変身においてレベル80以上の相手には変身できないという大きな弱点があることと、それよりも下の場合には能力を100%で使用できるという利点がある。また、彼女は創造主からの設定で変装や演技が得意なスパイであるとされていることから、諜報や暗殺が主な任務となる『暗躍部隊』の隊長を任されているのだ。
彼女がルプスレギナ・ベータに変身していたのは、とあることがありルプスレギナ・ベータを捕まえることが出来たため、それを利用し彼女に変身させたステューシーをモモンガ陣営へ送り込むことで内部から情報を収集させるためであった。
では本物はどこにいるのかというと———それは後に分かる。
ステューシーは元の姿に戻ると、プロメテウスの膝の上に座って彼の首に手を回すと顔を近づけていく。
「私の姿は本来であれば隠すべきもの❤ ……それでも、貴方様には本当の姿で見て欲しいって思ってしまうの❤ こんな私はスパイ失格かしら?」
「カハハハハハハハ! そんなことはねぇよ。むしろ悪いなァお前には難しいことを頼んでよォ」
「気にしないで❤ 私としても任務の重要性は理解しているから❤ ……それでも、敢えて言うのであれば、私がこれからも頑張れるようにキスしてくれない?」
「カハハハハハハハ。何だそんなことか!? そんなん何度だってやってやるよ! んっ」
プロメテウスはステューシーからの可愛らしいお願いに対して直ぐにしてやると、即答すると彼女の後頭部に手をやると抱き寄せて唇にキスをした。
ステューシーは唐突にキスされたことに目を見開いたが、キスされていることを理解すると目を閉じて彼女の方から積極的に唇を押し付けていき、やがて舌同士を絡ませるディープキスを始める2人。
数分にも及ぶ長いキスが終わると、プロメテウスの方から話し始める。
「ふぅ…。これでいいかァ?」
「ええ❤ 本当はセックスして欲しいけど、任務があるから我慢するわ❤ ……でも、任務が終わったらたっぷり愛してね❤❤」
「勿論だ……!」
彼女からの願いを叶え任務が終わった後のセックスをプロメテウスが約束すると、嬉しそうにステューシーは微笑んだ。
そうして暫しの間他愛もない話をしているとそろそろステューシーも戻らなければならない時間になったため、話しを止めてプロメテウスの膝から降りて再びルプスレギナの姿になる。プロメテウスも残念そうにしながらも自分にもやることがあることを思い出し、レイナースに着替えを持ってくるように頼んだ。
ステューシーはどこかへ行くのかとちょっと気になり、そう言えば先ほど何か連絡を受けていたことを思い出しそれと関連あるのかと予想し、そのことをプロメテウスに尋ねると彼はこう答えるのだった。
「ああ。調教も終わったし、あいつを堕とすための物も準備出来た。だから—————今度は本物を手に入れようと思ってなァ……!!」
プロメテウスはステューシーに向けて得物を狩る肉食獣の様な笑みを浮かべ、そう言い放つのであった。
ステューシーはそれを聞いて先程の連絡の内容が何だったのかを察し、彼の言うあいつが誰のことなのかが分かると、彼女は薄い笑みを浮かべてただ一言こういった。
「遊び過ぎて、相手を壊さないようにね❤」
それを聞いたプロメテウスは笑みを浮かべながら、笑い声をあげるのだった。
場所は変わってザッハーク城の地下にある牢獄。
プロメテウスはレイナースを引き連れてそこを訪れていた。2人が中へ入っていくとそこには左右にいくつもの扉があり、それらは全て罪人や連れてこられた女達を入れておく独房である。全ての扉からは女たちの嬌声や淫臭が漂ってきている。
「カハハハハハハハ。ここはやっぱ賑やかだなァ~」
「私は初めて来ましたが、このような場所なのですね」
「お前は自分から俺の奴隷になったからなァ。わざわざ調教する必要はなくて楽だったぜ。………まぁ、お前が俺に調教されたいってんなら、今度思いっきり苛めてやるが……どうする?」
「っ! はいっ❤ その時は是非に❤」
レイナースは初めてくる場所に興味があるようでキョロキョロと見回していると、プロメテウスは彼女が調教されたいのかと思い冗談のつもりで口にしたが、レイナースはそれを聞くと是非にと言って来た。そんな彼女の返答にプロメテウスは笑いながらこいつも変態になってきたなぁと心で思うと、それなら今度してやると彼女の耳元で囁いた。
そうやってレイナースと会話しながら足を進めていくと、どんどん音が静かになっていく。そしてしばらく歩いていくと、目の前に他の独房と比べて厳重な造りとなっている独房があった。
そんな独房の前にはこの地下空間を管理しており、監獄部隊の部隊長の一人であるメイフォンが立っていた。彼女はプロメテウスの姿を視界に収めると、頭を下げてお辞儀をして挨拶をしてくる。
「これはプロメテウス様。わざわざこのような場所まで来ていただき感謝いたします」
「おお、メイフォンか。あいつの調教が終わったって聞いたからなァ。それで? 実際俺の注文通りにはできたのか?」
メイフォンからの挨拶に答えると、プロメテウスは彼女に対して頼んでいたことは終わったのかと再度確認した。彼としても彼女のことを疑っているわけではないが、彼女の性格はドSであるため必要以上に苛めてないかが少し気になったため質問したのだ。
それを聞かれたメイフォンは心外だと言わんばかりに少々頬を膨らませると、きちんと仕事が出来ていることを改めてプロメテウスに告げる。
「もう! 心外ですわ❤ ご要望通りちゃ~んと『快楽にギリギリ耐えられる程度』に仕上げておきました❤ 結構大変だったんですからね?」
「カハハハハハハハ。悪い悪い。それじゃあ今度ご褒美でもしてやるよ! そうだな~例えば………『身体を鎖で拘束して鞭で真っ赤になるまで叩きながら犯す』、とかな♪」
そう言って今回の仕事に対しての不満を言葉に滲ませるメイフォン。彼女の言葉を聞き、自分でも中々面倒な注文をしたことを理解しているプロメテウスは、彼女の前まで来て顔を彼女の耳元に寄せると、今回の仕事のご褒美として後でセックスしてやると、具体的内容も一緒に囁いた。
それを聞いたメイフォンは言われたことを頭の中で自分がされている想像し、ドⅯとして本能からか体を震わせ、マンコの方では言われただけでも軽くイってしまったようでパンツには小さなシミが出来る。
「(そ、そんな……っ❤❤ 鞭で、叩かれながらなんて……っ❤❤❤) はぁ……っ❤❤ ぜ、是非とも…お願いいますぅ……っ❤❤❤」
「カハハハハハハハ! それじゃあ夜に俺の部屋に来い。たっぷり苛めてやるからよォ……!!」
「っ❤❤❤!? はいぃぃ❤❤❤ わかりましたぁっ❤❤❤」
メイフォンは愛しの主であるプロメテウスからそのように言われて、腰が砕けそうになったが、ここで倒れたら主の迷惑になると気合で何とか耐えると、了承の返事をした。
そうしてメイフォンはまだ他にも仕事があるためにその場から離れて行った。プロメテウスはその後姿を見送ると、レイナースに扉の前で待機しているように命じると、扉に手をかけ中へ入って行った。
周りが石で構成されている独房の中に、一人の女性がいる。その女性は健康的な褐色肌に赤髪を三つ編みにしているのが特徴である。
その女性を見てニヤリと笑みを浮かべると、女性の名を口にした。
「よォ! 思ったよりもまだ元気そうだなァ——————ルプスレギナ・ベータちゃん♪」
「フー…フー…っ❤」
そうその女性とは、本物のルプスレギナ・ベータであった。彼女はプロメテウスから名を呼ばれると、彼が独房に入って来たことが分かった彼女はキッと眼を鋭くさせて彼を睨みつける。本来であれば襲い掛かりそうなものであるが、彼女は現在両手を天井から吊るされている鎖に後ろ手に拘束されて動けない状態にある。また、ルプスレギナは捕まってから2か月経っているが、その間監獄長であるメイフォンと朧の2人から毎日調教を受け続けていたため、言葉を話す気力も削がれているため口を塞がれている訳でもないのに黙っているのだ。まぁ、単純にプロメテウスと会話したくないというのも要因ではあるが。
プロメテウスは挨拶をしているのに返事をしてこないルプスレギナを見て溜め息を吐くが、いつものことなので対して気にせずに言葉を続ける。
「また無視かァ? カハハハハハ。そのままず~っと黙っているつもりかァ? んん?」
続けて言葉をかけても無言を貫くルプスレギナ。それを見てプロメテウスはしょうがないと、小さく呟くと今日来た要件を告げた。
「まぁいいや。今日はいつもみたいに食事をあげるために来たんじゃねぇんだわ。実はお前に一つ言いたいことがあってなァ。それを伝えに来たんだよ♪」
食事。それはルプスレギナ・ベータにとって屈辱ではあるが、この調教続きのこの地獄において唯一与えられた休息の時間。ルプスレギナはモモンガのような食事がいらない種族ではないため、当然時間が経てばお腹は空きそれが続くと死んでしまう。彼女には本来であれば主であるモモンガに仕えるために、疲労と空腹を感じさせない指輪を装備していたが、捕まった際にそれは奪われてしまっているため、こうやって今は食事が必要になっているのだ。
だが、この独房に来てからルプスレギナに与えられている食事は普通の物とは違った。その食事の内容とは————プロメテウスの精液であった。それを最初に知った際には何とか逃れようともしたし、自害しようともした。しかし、彼女のレベル59とプロメテウスの種族レベルよりも6低い。そのためプロメテウスからの【支配の呪文】によって自害も飲まないという選択も奪われている。【支配の呪文】はレベル差が5以内であれば効くことはなかったが、ルプスレギナは6とあと一つ分足りなかったため抵抗することが出来ないのだ。また、この食事の最中は一日中続く調教も一旦止められて休憩することが出来る。そのためルプスレギナは内心では悔しさや怒りを抱いていようと、この状況を何とか打開するためにも精液を飲んで今日まで生きて来た。プロメテウスの精液は『最上級淫夢の王/インキュバスロード』という種族のため、副作用として女性を発情と依存させる効果がある。ルプスレギナは毎日それを飲まれされるたびに身体が発情し、頭は快楽に呑まれそうになったことが幾度もあったが、ナザリックのメイドとしての意地を見せて何とか耐えて来ていた。
そんなルプスレギナはというと、休憩でもないのに調教が止まっていることやプロメテウスが話をしに来ていることが少々気になったが、彼の話など興味も聞く道理もなかったため、いつも通り聞き流そうとした。しかし、今回はプロメテウスの口から発せられた言葉に反応することになる。
「お前さぁ——————————モモンガに捨てられたよ」
なぜならその内容は、ルプスレギナにとってとても無視できる内容ではなかった。そのため彼女は、この独房に来て調教中以外にて初めて言葉を話した。
「っ!? そ、それは…どう言うこと、っすか……っ!?」
「おっ、初めて話してくれた。嬉しいねぇ~♪」
「うるさいっ! それよりも、私が……捨てられたって、どういう意味っすか……!?」
独房に入れられてから初めて話しをしてくれたことにプロメテウスは笑みを浮かべ嬉しそうな声をあげるが、そんなことはどうでもいいとルプスレギナは大声をあげて彼に対してどういうことだと詰め寄る。
プロメテウスはそう言われると、真面目な表情となってルプスレギナからの問いにふざけることなく答えた。
「そのままの通りだよ。ルプ……いや、ルプスレギナ・ベータ。お前はモモンガから捨てられたんだよ」
プロメテウスが今までとは違い真剣な顔でそう告げると、ルプスレギナは絶句しそれを真実なのではないかと一瞬考えてしまう。しかし、言っているのが自分の敵であるプロメテウスであることを思い出すと、それを否定し始める。
「嘘だっ!! モモンガ様が…そんな……っ!」
「逆に聞くけど、こんなところに捕まっている部下を捨てない方がおかしいと思うんだけど? そこんところどう思っているわけさ?」
「っ! そ、それ…は……っ」
否定の言葉言い続けるルプスレギナに対してプロメテウスが的確な指摘をすると、ルプスレギナは言葉が詰まってしまう。自分でも敵に捕まってしまったことを失態だと強く思っているのだから、モモンガがそう思っているに決まっている。そう思うと、モモンガが自分を捨てたと言うのも現実味が帯びてくる。
そんなことを考えてしまい黙ってしまっているルプスレギナに、プロメテウスは更に言葉を告げる。
「もしかして本当にわからないのか? カハハハハハハハ。なるほどなぁ、これじゃあ創造主からもモモンガからも捨てられるのは納得だわな」
モモンガだけでなく創造主のことまで言葉にして捨てられたことを強調していくプロメテウス。だが、ルプスレギナの心の芯はまだ折れていない。確かに創造主のことについてはそうかもしれない。実際数年前を最後に彼女の創造主はゲームを引退してリアルの生活に集中することとなる。ルプスレギナはリアルのことは知らないため、創造主が自分をおいてどこかへ行ってしまったと思っている。その理由についても知らないが、彼女は何かしら自分に責任があるのだろうと思っていた。だから創造主のことについては否定できない。
だが、モモンガは違うとルプスレギナは思っている。モモンガは戦争が始まる前にNPCたちに対して、自分がお前たちを子どもの様に思っていると告白した。そして、戦争になった際には結果よりもまず先に自分の命を優先しろと厳命していた。
ルプスレギナはそのことを思い出し、モモンガはそんなことをしないとプロメテウスの顔を見てはっきりとそう告げた。
「ちがう……違うっ! モモンガ様は……我々を、僕を…家族とおっしゃってくださる、慈悲深き御方……っ。私たちを、捨てたりなんか……しない…っ!!」
自分に対してはっきりと言って来たルプスレギナに対して、何も言わずにただ彼女の顔を見つめるプロメテウス。彼女もここで引いたら自分の意思が揺らいでしまうような気がしたため負けじと睨んでいる。そうして暫しの間見つめ合っていた2人であったが、プロメテウスの方が目を瞑ると、ルプスレギナへと言葉を告げる。
彼女にとって心の芯になっているものを否定する言葉を。
「はぁ…。……まぁ、俺が何を言ったところで信じるわきゃねぇか…。—————だったら、その証拠を見せてやるよ♪」
「…えっ…?」
ルプスレギナは睨みつけていたのを止めて一瞬呆然としてしまった。プロメテウスの口から証拠を見せてやると言われて。彼女が正気に戻りそのことを問い詰めようとしたが、その前に彼は行動をして証拠を彼女に見せつける。
プロメテウスはアイテムボックスからルービックキューブのような手のひらサイズの四角い黒い箱を取り出すと、それを地面に落とした。すると、その箱からディスプレイが現れて、そこに映像が流れ始めた。
プロメテウスは映像が問題ないことを確認すると、それを見て疑問に思っているルプスレギナに対してとある質問をした。
「お前はこの光景に見覚えはあるか?」
「……」
流れている映像の場所については、彼女は知っている。なぜならその映っている場所は、自分たちの拠点である『ナザリック地下大墳墓』の第十階層にある玉座の間の景色であったからだ。しかし、彼女そこからは何の映像かが分からなかった。
その映像には玉座に座るモモンガとその前で膝をついている自分の姿、そして周りには階層守護者や自分の姉妹であるプレアデスの面々、その他各階層の領域守護者などがおり、嬉しそうにしながらも羨ましさを隠しきれていない表情であった。映像を見ていると何やら式典のようなものであることはうかがえる。
ルプスレギナは、元々頭は良くない。そのためド忘れなどをして姉妹(特に長女のユリ・アルファから)に怒られることは多々ある。しかし、至高の御方に関する記憶については別だ。たとえ些細な事であろうと、基本的には覚えている。だが、映像に流れている場面は、彼女が脳内の記憶を振り返っても該当しないものであった。
黙っているルプスレギナに、プロメテウスはないと判断して言葉を続ける。それも当然だ、実際ルプスレギナはこのようなことを受けたことはないのだから。
「まぁ、あるわけないか。これはなぁ、ルプスレギナ。一週間前のもの……つまりはお前が捕まっている時の映像なんだ。あそこに映っているお前は、俺がお前の代わりに潜入させた偽物だ」
プロメテウスからの言葉に更に混乱するルプスレギナ。彼の言うことが正しければ、偽物が何故かモモンガや皆から表彰されているということになるからだ。
それが表情にも出ていたため、プロメテウスからにもルプスレギナの思っていることが分かり取り敢えず見ることを告げる。
「何か言いたげだが、取り敢えずは黙って見てろ。そうすれば、俺がお前は捨てられたって言ったことがわかる」
「っ」
そう言うと疑問は残りながらも黙って映像を眺めるルプスレギナ。そうして見ていくと、映像の中のモモンガが話し始める。
『ルプスレギナ・ベータよ。お前は此度の作戦にてプロメテウスのNPCを足止めし、作戦を成功させるという、大変大きな戦果をあげた! よって、その功績を認め私からお前に褒賞を与える!』
『ありがたき幸せにございます! モモンガ様!!』
モモンガが偽物のルプスレギナ(ステューシー)を表彰されている理由を誇らしげに述べて褒賞を与えると宣言すると、それを行った偽物はさも本物のルプスレギナのように涙を流して嬉しそうにしている。そして周りの守護者や姉妹たちもモモンガの様に、成果を上げた偽物を本物だと思って喜びや称賛の言葉をかけたりしている。
ルプスレギナはそれを見ていると心の中に罅が出来て、そこから大切な何かが漏れ出ていく感覚に襲われる。
「実はな、変装させたあの偽物を信頼させるために一芝居うって評価されるように仕向けたんだよ。まぁ、それはどうでもいいいか。……それよりも見ただろう、ルプスレギナ。モモンガの奴はお前がここにいるのに、そんなことに気付かずに偽物を褒めているんだぜ」
プロメテウスは偽物が表彰されている裏事情をルプスレギナに話したが、彼女にとってそれはどうでもよかった。それよりも重要なのは、モモンガが目の前にいるのが自分の偽物ということに気付かずに、『ルプスレギナ・ベータ』として褒めていること。
それを見て頭の中が疑問で包まれておるルプスレギナの心情など知らない映像の中のモモンガは、彼女にとってつらい言葉を続けていく。
『此度の戦果、誠に喜ばしいものである! 流石は誉れあるナザリックのNPCだ! お前の親である『獣王メコン川』さんも、ここにいれば娘であるお前の功績を喜んだであろう!』
ついには相手が偽物であるとも知らずにルプスレギナ・ベータの創造主である『獣王メコン川』の名まで上げて、成果を上げたことを喜んでいるだろうと述べるモモンガ。それを聞いたルプスレギナの頭の中は更に混沌と化していく。なぜ創造主である『獣王メコン川』が偽物を見て喜ぶのか。確かに自分は失態してこのように敵に捕まっているが、誉れあるナザリックの僕であるルプスレギナ・ベータとしての精神は決して揺らいでいなかった。
……だが、この映像を見て揺らぎに揺らいでいる。頭の中には疑問ばかりが浮かんでくる。何でそいつをナザリック地下大墳墓がプレアデスの一人、ルプスレギナ・ベータと呼ぶのか。なぜそいつを『獣王メコン川』の娘と呼ぶのか。そして………そいつがルプスレギナ・ベータだとしたら、自分は一体何者なのか。だがその答えがでてこない……いや、もしかしたら出来ているがそれを認めたくないのか、ずっとその疑問が漂い続ける。
プロメテウスは、ルプスレギナが映像を見たことで調教中でも揺るがなかったルプスレギナ・ベータとしての心の芯が、揺らいでいることを表情から察すると彼女の隣に移動して顔を耳元に寄せると、今の彼女にとって追撃の如き言葉を囁く。
「なぁ、ルプスレギナ。おかしいよなぁ? 本当にお前のことを大切に思っているのなら、あいつが偽物だって気づくはずだ。なのにあいつは気づきもせずに、偽物のことをルプスレギナ・ベータと言っている。わかるかァ? ——————あいつは仲間のNPCっていう肩書さえあれば、別に誰かなんてどうでもいいのさ」
映像を見て精神が先程以上に揺れているルプスレギナに対して、プロメテウスはそう述べた。それを聞いたルプスレギナは、それが今の罅割れた心の隙間にすっぽりと収まるもので、彼の言葉は自分の中で漂っている答えであることを理解した。しかし、未だに残っている、ナザリック地下大墳墓のメイドとしての享受が、それを否定しようと言葉を口にする。
「ち、ちがう………うそだ……」
「嘘じゃない。だってお前という存在が本当に大事なら、あれが偽物だと気づくはずだ。笑っている時の顔やお辞儀の角度、歩き方、喋り方……よく見れば違うと気付くべきところはいくつもある。それなのに気づかずにあの偽物をルプスレギナ・ベータと呼び、創造主の娘だと褒めるのはなぜだ? ……簡単さ。それはお前という存在が大切なんじゃなくて、自分の仲間が創ったNPCってことが大切ってこと。その姿さえ同じであれば、中身なんてたとえ偽物だとしても構わないってことだ」
「っ!!」
だが、ルプスレギナがなんとか絞り出した否定の言葉も、プロメテウスの言葉によっていとも容易く論破される。それだけでなく、むしろプロメテウスの言うことが正しいのではないかという思いを強くされてしまっていた。
それを否定したい。しかし、彼の言葉に対してどこか納得してしまっている自分がいることにルプスレギナは気づいている。だから言葉が出てこない。
顔を絶望の色に染めて下を向いて黙り続けているルプスレギナに、プロメテウスは止めの言葉を告げる。彼女にとって存在していた理由であることを否定する言葉を。
「もう、わかるよなァ? ————モモンガにとって大切なのは仲間のNPCの姿であること。つまり………ルプスレギナ・ベータっていう個人はどうでもいいってことなのさ」
「————っ」
そうはっきりとプロメテウスに断言された。それはルプスレギナの心の芯を完全に破壊してしまった。無意識的に目から涙が零れ始める。口からは言葉にならない声が漏れ、『自分という存在はいらないもの』というを理解した頭は思考が停止してしまっていた。
そんな彼女の表情から心情を理解したプロメテウスは、表情をいつもの様に戻すと今の状態のルプスレギナの神経を逆なでするようなことを言い放つ。
「可愛そうになぁ~♪ お前はこんな地下牢で主のために頑張って敵の調教を耐えているっていうのに、その主といえばお前のことなんぞ捨てて、姿が似てるだけの偽物をルプスレギナ・ベータとしてるんだからよォ~♪」
先ほどまでであれば何かしら言い返したのかもしれないが、自分が『いらない存在』ということを理解させられたことで頭がいっぱいであり、プロメテウスの発言に対して彼女は何も言わず無言であった。
「あ……っ。ああ……っ(そ、そんな……っ。わたし、は……捨てられ、た……? いらない、存在……? わたし、は…………っ)」
ルプスレギナの頭の中ではプロメテウスの言う通り要らない存在であり、モモンガから捨てられたという現実を理解してもそれを受け入れられずに、脳内が完全にパニックを起こしてしまっていた。
そしてその様子を見ていたプロメテウスはというと、今までの様なナザリックの僕としての姿が消え去り、捨てられたという現実から怯えている彼女を見てこう感じていた。
————堕とすなら、ここだなと。
ルプスレギナの様子を見て内心邪悪な笑みを浮かべた彼は、右手にラキュースにも使用した感度をあげる魔法を使用しそれを左手に纏わせると、その手でルプスレギナの豊満な胸を鷲掴んだ。
「んひぃっ❤!?」
ルプスレギナは感度を挙げられた状態で胸を揉まれたことで、働いていなかった思考が無理矢理意識を戻されたことで機能し始める。
彼女が正気に戻ったことを確認すると、プロメテウスはいつもよりも声を低くして彼女の耳元で囁いた。
「——だが、俺は違う」
「っ❤!?」
ルプスレギナは先ほどよりも声の低いプロメテウスに、本能的に雄を感じてしまい雌の部分が刺激されてビクンと身体を揺らす。
プロメテウスはルプスレギナの反応に、予想通りと心の中で呟くと言葉を続けていく。
「俺はな、ルプスレギナ。モモンガと違ってお前という個人が欲しいんだ。姿が似ている偽物じゃなくて、お前という存在がだ」
「! ……う、うそ……っす❤」
「嘘じゃない。……身体だけでいいなら、わざわざ調教なんてしなくてもあの偽物と既にセックスしているさ。でもなァ、ルプー。俺は身体だけじゃなくて、お前の心も欲しいんだよ」
「ここ、ろ………?」
「ああ、そうさ。心だ。だからお前に言いたい。————ルプスレギナ・ベータよ。俺の奴隷になれ」
「っ。……ど、れい……?」
「そう、奴隷だ。お前が俺の奴隷になれば———創造主やモモンガがくれなかった『お前個人への愛』と『女の快楽』を与えてやる」
プロメテウスはルプスレギナに対してはっきりと言葉を発した。『お前が欲しい』と。それを聞いて心が思わずときめいてしまっているルプスレギナは、彼の言葉をうそだと思い込もうとして否定の言葉を口にするが、彼から自分を欲しがる理由を聞いてしまい、それが嘘ではないのかと思ってしまう。
普通の状態のルプスレギナであれば嘘だと自分に言い聞かせて信じなかったかもしれないが、今の彼女はモモンガに捨てられたという現実を突きつけられて精神が酷く憔悴しきってしまっている。そして運の悪いことに彼女を堕とそうとしているプロメテウスは、リアルにて磨かれた話のスキルや散々女を堕としてきた経験を活かし、彼女の心の隙間に上手く入り込んできて的確に彼女を追い詰める言葉を選んでいるために、彼女の中にはそれを信じたいと思っている自分がいる。
極めつけに、今のルプスレギナが求めている『ルプスレギナ・ベータとしての愛情』を、奴隷にさえなれば与えると言われてしまい、彼女の心は揺れ思考は混乱しながらも思考を巡らしていく。
(わ、わたしは……誉れあるナザリックの、メイドで……。でも…………捨てられ、て……。いらない、存在…で………。奴隷に、なれば……愛が、もらえる……。メイドや……、獣王メコン川の娘、じゃなくて……………私、個人として…………)
絶望して憔悴しきった心でルプスレギナは選択をしなければならない。『このままモモンガに捨てられ、それをナザリックの誰にも知られずに絶望を感じながらも、僕としての忠誠を続け永遠に地下牢にて調教を受け続ける道』か『プロメテウスの提案を受け入れて、奴隷となって‶愛″と‶快楽″を手に入れる道』かを。
(———わ、わたし、は………………っ)
そうしてルプスレギナが選んだのは—————
………
……
…
「———してください❤」
「ん? 聴こえなかったな。もっとハッキリと言ってくれ♪」
「———私、を……ルプスレギナ・ベータを……貴方の、奴隷に…してください❤❤」
————‶愛″と‶快楽″の道であった。
プロメテウスはルプスレギナが何を呟いたかを聞こえていたが、彼女自身に自分がどんな選択をしたのかを認識させるためにはっきりとした声で言うことを催促すると、今度ははっきりとそう述べた彼女。彼女の顔には先程までのナザリックの僕としての意思は感じられず、プロメテウスが散々見て来た快楽と愛を求める女の……雌の表情をしていた。
プロメテウスはルプスレギナの返答を聞いてニヤリと顔を笑わせると、最後の確認を行う。
「本当にそれでいいだな? もう撤回は出来ねぇぞ?」
「はい、っす…❤❤ 私を、奴隷にして…❤❤ 愛を、くださいっす…❤❤」
プロメテウスは彼女からの返事に満足そうに頷くと、背後に陣取ってズボンからペニスを取り出した。彼のペニスはルプスレギナが映像を見て絶望を感じ始めた時から勃起しており、いつも強気だった女が絶望をしている姿にギャップを感じていたのだ。
彼は勃起したペニスをルプスレギナのマンコの入り口にあてがうと、そこをスリスリと摩る。
「カハハハハハハハ! それじゃあ奴隷となった記念のセックスだ! 楽しめ、よっ!!」
「んおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ❤❤❤❤!!?」
プロメテウスはそうルプスレギナに告げると、腰に力を入れるとペニスを中へと挿入した。彼のペニスは彼女の処女膜を容易く貫通し、一気に子宮口まで挿入した。接合部からは処女喪失の証である血が流れ出てきている。
「どうだァ、ルプー! 処女貫通の感想はよォ…!?」
「はぁ…はぁ…❤❤ お腹の、なかぁ……❤❤ ちょっと、痛いっすけどぉ……それ以上にぃ…っ❤❤ 貴方様に……おちんぽ、挿入れられてぇ…幸せっ…すぅ……っ❤❤」
「カハハハハハハ! そりゃあ良かった!」
ルプスレギナのマンコはすっぽりとプロメテウスのペニスを根元まで包み込んでギュウギュウと強く締め付けてくる。それは処女でありペニスによって広げられたものを戻そうとしているのもそうだが、自分を愛して欲しいという主を求め二度と離れて欲しくないと言う今のルプスレギナの寂しさを示しているようにも見えた。
プロメテウスは痛いと言うルプスレギナのために、痛みを感じられなくなるように体を前に倒して顔を近づけると、彼女の可愛らしくプルッと潤っている唇にキスをした。ルプスレギナはキスされたことを理解できずにいたが、唇に感じる感触にうっとりとしてそれを堪能する。しかし、それを痛みをなくすために行った物のため、すぐにプロメテウスは唇を離す。ルプスレギナはプロメテウスが離れると、もう終わりなのかと名残惜しい声を漏らした。
「あ……っ❤❤」
「カハハハハハハ。少しは痛みは引いただろう?」
「…はいっす❤❤ もう……プロメテウス様の、好きなように動いていいっすよ❤❤」
「そうかァ…! それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかァ…!」
ルプスレギナは早く動かしてくれと懇願する。それは主を気持ちよくしたいと言うよりも、自分が気持ちよくなりたいがための懇願であり、今までの彼女であれば考えられないものであった。
プロメテウスはルプスレギナが自分にとって良い方に変わって来ていることが分かり、笑みを浮かべると雌犬の願いを受け入れ、腰に力を入れるとピストンを開始した。
彼のペニスはルプスレギナのマンコにピストンするたびにゴリゴリと中を押し広げ、彼女のマンコの形を自分専用に変えようとしている。
「んんっっ❤❤ ああんっ❤❤ ひぐぅっ❤❤」
「ルプー! お前のマンコ最高だわァ…! すげぇトロトロで、俺のチンポ溶けちまいそうだァ……!?」
「じ、自分もぉぉっ❤❤ んんんんっっ❤❤ 気持ちいいっすぅぅぅっ❤❤ プロメテウス様のおちんぽぉ❤❤ ひぎぃぃっ❤❤ おまんこズポズポしてぇぇ❤❤ 気持ちいいのぉぉぉぉっ❤❤」
ルプスレギナは子宮を突かれると言うこれまで感じてこれなかった快感に耐えきれずに、そこをペニスで突かれるたびに絶頂し喘ぎ声をあげてしまう。
対してプロメテウスの方も想像以上に自身のペニスにピッタリと密着し締め上げて射精を促してくる彼女のマンコに感嘆の声をあげ、無意識的にピストンの速度が上がっていく。
「んんんっっ❤❤ んはぁんっ❤❤ んほぉぉぉっ❤❤(ああ……っ❤❤ 最高っす❤❤ ……あれ? なんで、自分は……モモンガなんかに、仕えてたんだろう…?)」
「カハハハハハハハ…! おい、ルプー!」
「んっ❤❤!? ——んちゅるっ❤❤ れろろっ❤❤ プロメテウス、さまぁっ❤❤ んちゅるるっ❤❤(ああ……っ❤❤ まぁ、いいか❤❤ 今は…プロメテウス様と、セックス出来てる❤❤ それだけで、いいっ❤❤ プロメテウス様との、チュー…❤❤ 気持ちいいっす……っ❤❤)」
「んっ……はぁっ! カハハハハハ。愛してるぜぇ、ルプー……!!」
「んはぁっ❤❤ はいぃぃっ❤❤ 自分もぉ❤❤ 愛してますぅぅっ❤❤」
ルプスレギナが快楽に支配された頭でふとモモンガへの忠誠を誓っていたことに疑問を感じていたが、プロメテウスが彼女に向けてキスをしたことでその気持ちよさからどうでもよくなったルプスレギナは、プロメテウスとの……新たな主とのセックスに没頭する。
そうして交わりプロメテウスはルプスレギナを快楽の底へと導くためにペニスを子宮口に叩きつけ、ルプスレギナは自身を愛してくれる主のために必死にマンコを締め付けて奉仕する。
互いが互いを気持ちよくするために動いていれば、自然と限界を迎えるのは早いもので、お互いに限界を迎えようとしていた。
「おい、ルプー! 射精すからなァ!? お前の子宮にいっぱい射精すからなァ……!!」
「はいぃぃぃぃっっ❤❤ 私にぃぃっ❤❤ プロメテウス様の愛をぉぉっ❤❤ いっぱいぃぃぃいいいいいいいいいいいっっ❤❤」
プロメテウスはルプスレギナに射精しそうなことを伝えると、彼女はそれを欲してマンコを思いっきり締め上げた。それが最後の一押しとなり、彼はペニスの先端を子宮口に力強く押し付けた状態で射精をした。
ルプスレギナの子宮の中にプロメテウスのドロドロと粘着性と濃度が高い精液が大量に侵入していき、そこを彼の色へと染められる。
「お゙ほぉぉお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙っっっっ❤❤❤❤❤❤!?」
ルプスレギナは子宮の中に射精された快感に、今までの調教の中でもあげたことのないほど大声を出して派手に絶頂した。頭の中は完全に快楽によって支配され、マンコはプロメテウスのペニスを自分を犯してくれる強い雄と認識してか、先程以上に密着して締め上げる。それによってプロメテウスの方も快感が増幅されたことで、更に射精が続いていく。
「お゙ほ……っ❤❤ あひ……っ❤❤(熱いのが……子宮に、入って来てるっすぅぅぅっ❤❤ 私、愛されて、るっ❤❤ こんなの、知ったら……もう、もどれないっす……❤❤❤)」
ようやく射精が終わり、プロメテウスがペニスをルプスレギナのマンコから抜くと、彼のサイズまで広げられた入り口から彼女の愛液と彼の精液が混じり合った物が溢れ出てきており、それを見てるだけでも彼女はプロメテウスに犯されたことを実感でき、その光景に彼は優越感を刺激され満足そうな顔をする。
そしてプロメテウスが指を鳴らすと、ルプスレギナを拘束していた鎖が解ける。すると快感によって体が痙攣していた彼女の身体が床へと崩れ落ちる。普通の女性であれば怪我をしそうなものだが、ルプスレギナはNPCでレベル60程度と高いため身体が傷つくことない。
「はぁ……❤❤ はぁ……❤❤」
床へと崩れ落ちたルプスレギナはそんなことなど気にしておらず、未だに抜け切れていない快感の余韻に浸っている。
ルプスレギナが完全にセックスの快楽の虜になっていることに内心喜びながら、プロメテウスはある物を取り出すとそれを彼女の前に投げ捨てる。
「これ……は…?」
「カハハハハ。それは俺の奴隷とペットを示す首輪だ。それを首に付けろルプー。そうすればお前は正真正銘俺のペット奴隷だ♪」
「っ❤❤❤(く、首輪……❤❤❤ これを、付ければ……プロメテウス様の、奴隷に……っ❤❤❤)」
プロメテウスが取り出してルプスレギナの前に投げ捨てたのは、赤色の皮製の首輪であった。これはクレマンティーヌなどが付けている物と同じで、これを付けることで彼のペットである証明となるのだ。
ルプスレギナは力が抜けた身体に鞭を打って起き上がると、首輪を拾い上げてそれを息を荒くして恍惚の表情で暫く見つめた後に、おもむろにそれを自身の首へと装着した。そして装着すると、彼に対して首輪を付けた姿を見せつけてくる。
「どうっす、か?」
「ああ、よく似合ってるじゃあねぇか! カハハハハ! これでお前は俺のペット奴隷だ!」
「~~~~~っ❤❤❤ ……はいっすっ❤❤❤ 私はプロメテウス様の雌犬奴隷っす❤❤❤ わんわん❤❤❤」
ルプスレギナはプロメテウスから似合っていると言われ、それだけでも軽く絶頂し悶えてしまう。そして、ペットであることを改めて認められると、顔を幸せそうに綻ばさせると本物の犬の様に‶お座り″をし、わんわんと可愛らしく吠えた。
それを見たプロメテウスはモモンガという主がいた女が、今では自分に対して可愛らしく媚びを討っている姿に興奮してしまいペニスがビクンッと震えてしまう。
それを見た顔は顔をトロンと蕩けさせるとプロメテウスに話しかける。
「あっ❤❤❤ プロメテウス様のおちんぽ❤❤❤ まだまだ元気いっぱいだわん❤❤❤」
「お前がエロいポーズで嬉しいこと言ったからだよ。主人をこんなにしたんだから、お前には責任を取ってもらわないとなァ~♪」
プロメテウスから責任を取れと言われてそれが何かを理解したルプスレギナは、目にハートマークを浮かべて発情した雌の表情をすると、彼に対して宣言を口にした。
「はいっす❤❤❤ ちゃんと責任持ってプロメテウス様のおちんぽを❤❤❤ この雌犬ルプスレギナ・ベータが発散させていただきます❤❤❤」
「カハハハハ! いいねぇルプー! だがここじゃあ雰囲気がよくねぇから、俺の部屋に行くか♪」
「っ❤❤❤ 了解っすわん❤❤❤」
ルプスレギナがそう言うと、プロメテウスは大声で笑い彼女の宣言に対して笑みを浮かべる。だが、ここでは雰囲気が出ないため彼は場所を部屋に移すことを提案すると、自分の主の部屋で犯してもらえることを聞いたルプスレギナは、顔を蕩けさせて了承の言葉を口にした。
そうして外にいるレイナースに部屋へ移動することを告げると、3人でプロメテウスの寝室へと転移した。
そしてその部屋からは、夜にセックスすると約束していたメイフォンが現れるまでの間、ベッドの上にて幸せそうに可愛いい声で鳴く雌犬とそれを見て邪悪な笑みを浮かべる飼い主の姿が見られるのだった。
はい、ということでまずは『ルプスレギナ・ベータ』が陥落いたしました。この話以降からナザリック勢のヒロインたちをどんどん登場させていく予定です。次もナザリックからヒロインを選ぼうと思っていますが、出して欲しいキャラがいましたら活動報告の『リクエスト』の所に書いていただきたいです。
今回の話を呼んで面白いと思ってくれた方は、高評価とお気に入り登録と感想のほどをよろしくお願いいたします。