「んぐっ、ふぅ───ああっ」
竜種の四肢は外側こそ頑丈な鱗に覆われているものの、足裏や手のひらなどは意外なほど柔らかくすべすべした柔肌であることが多い。理由は単純──獲物の局部を繊細に刺激するため、だ。
クィーンドラゴンなどには及ばないとはいえ普通の人間の枠にない体格のウィルム娘に背後から包み込まれるように抱きすくめられながら、手のひらだけを巧みに使った手コキを受け入れていた。
『勃起を確認。先走り汁の分泌を促すため乳首への刺激を追加します。はぁ、こういう場合でも私が調教した通りにおちんちん反応してくれますかね?』
「あ、ぅああ……うっ、さい……っ」
尖った爪の先端でほじくるように小さな乳首を突いてくる、かと思えばピンと弾かれ、コリコリと摘まれる。プロメスティンが特に興味深そうに開発してきていた”男には不要なはずの器官”への狂おしくもどかしい刺激は不可思議なまでにビクビクと肉棒を反応させ、身をよじる程の興奮をかき立てる……
くちゅ、くちゅ、と音が立つ。包み込む手のひらの中にペニスの先端から止めどなくカウパーが漏れ出て糸を引いているのがわかる。こんなにも身体の隅々まで知られているプロメスティンに仕組まれた搾精に抗うことなどできはしないと、理解させられてしまう。
(それでも、こんなぁ……っ)
乳首への刺激で湯気が立つほどに熱く怒張したペニスを包み込むウィルム娘の体温は、冷たい。どこまでも血の通わない死体の感触に男性器を預けているという背徳感でぞくりと背筋が寒くなる──が、そんな事はお構いなしに潤滑油を加えた手コキはいよいよ激しさを増していく。
「あ、ああぁぁ……!!」
びくびくっ……びゅるっ! どくっ、どくっ、どぷ……
『射精を確認。冷たい死体に無駄撃ち精子、ひっかけちゃいましたねー。しこしこ
「そんなっ、あっ、やめ……っ!」
それを仕組んだ張本人からの唐突な言葉責め。射精の快感と背徳感が結び付くような、何か後戻りのできない道に背中を押されているような、そんな…… 得も言われぬ感覚に脳みそを強く揺さぶられてしまう……
びくびくと歓喜に震える肉棒から丁寧な手つきで尿道に残った精子を絞り出す、その動作さえ射精直後の敏感な亀頭とサオ全体に万遍のない満足感を与えるものだった。
くちゅ、くちゅ、と捻るような動きの後に肉棒から離された手のひらが開けば、むわぁ……っと、たっぷりと出された子種が中で粘ついている様子が見せつけられた。
『おっと……つい言葉のあやで無駄撃ちとか言いましたけど、きちんと精液を処理体に摂取させるまでが当プログラムですので心配なさらず』
言うが早いか、手の中に出した精液がウィルム娘の口元に躊躇いの様子もなく運ばれ──
「れろ、ちゅ、ちゅば……んく」
「…………」
その長い舌にすくい取られた。そればかりか手のひらに薄く取れ残った白濁までも唇をつけて貪欲に舐め取り、満足そうに嚥下される。自分が出した精子を濁った目と無表情で黙々と胃の腑に飲み込む雌の屍体を前に、頭の中が段々と倒錯した感情に駆られていくのを実感する。
「う、うう……」
『はーい続きです。もっと金玉ぱんぱんにして、屍体の栄養源になる精子たくさん造ってくださいねー』
さらに搾精が続くと知っても、もはや抵抗する気力は湧かなかった。軽々と持ち上げられて体位を変えられるのにもされるがままになってしまう。
生まれたままの姿で向かい合わされたことで改めて思う。強く勇壮な竜の肢体と均整の取れた美しい女性体、今でも目に焼きつく生前の覇気。それが今や意思の縛られた無防備な屍体を曝け出しながら媚びるような奉仕だけを考え、そして、俺はその魅力的な肉体を前に見せつけるようにペニスを屹立させている。
忌避感、だけではない何かがむくむくと芽生えるのを感じる。背徳と快楽、それらを混じり合わせてぐちゃぐちゃと咀嚼したものを誰かから……そうだ、口移しか何かで……与えられてでもいるような。誰かから……
あれ……
その誰かって、だれだろ……?
『こういうことは普段しませんけど……このウィルムもなかなか立派なものを持っていることですし……そうですね、今度はおっぱいで挟んであげましょう』
「ふあぁぁ……」
……なんでもいいや、そんなこと。
濃い、なにか、ひたすら、……濃い、愛情を……受けていること、それは分かる。
何かを、さあ、踏み越えてしまえと。囁き、導く、恐ろしい、歪んだ、愛情。
今はそれだけ、他はあと……あとで考えれば済むことだ。
だから、もっと気持ちよく……
「ひあっ……♡」
『……はぁ、こんな音声を休憩時間に延々と記録して……何やってんでしょうね私は?』
野生味溢れる肉厚な双乳が勃起したペニスに柔らかく触れ合った瞬間、ヒヤリとした感触が敏感な部分に心地よく擦れる。たぷん、ずり、ずりっ……普段から見せつけられていた形の良い大きな乳房が自分の男性器を淫猥に挟み込み、射精を促すためだけの刺激を与えているというその事実に征服感のようなものを覚えてしまう。
こんなにも胸で興奮したのは、初めてかもしれない。
服に隠れているのではなく、普段から見えているおっぱいが自分のモノを挟むことでよりくっきりと浮き出る非日常感。
ぐちょぐちょと下品な音を立てて尿道から漏れ出た分泌物に汚されているのは、いつも見ているあの胸だ。あくまで死体のそれだと意識を背けていたあの胸が、興奮で硬く怒張したこの肉棒をずっぷりと挟み込んでいるんだ……その実感が、どくどくと陰茎に血液を送り込ませてしまっている……
「ん、れろ……」
「っ、っ……♡」
ウィルム娘の長い舌が鈴口を這い、まるで一滴も逃さないで受け止めようとするようにちろちろと狂おしい快感を与えてくる。まるで無感情な
そこで、ふと脳みその奥にある感覚が湧き上がってきた。
それはほとんど事故のようなもので、本当は全くの錯覚であるとすぐに考えれば分かる事。操られた者と吹き込まれた声、そこには単なる”用意”があるに過ぎないのだと理解しているはずなのに。
肉棒をひくつかせて射精を堪えるこの恥ずかしい姿を、ウィルム娘の死体だけでなく、その奥にいるプロメスティンにまで見られているような。
「ううっ……!」
どちらか片方に、ではない。彼女たち二人の両方へ同時に痴態を晒しているのだという錯覚が今までに無いような感情を揺さぶった。
わけのわからない気持ちに翻弄されながら、その正体も理解できないままなのに、ただでさえ破裂しそうだった肉棒が張り詰めるようにますます大きくなってしまう────
「あっ、あっ♡ これ無理ぃ♡ だめっ、だめだめ、これ駄目……っ♡♡」
どくんっ、ぶびゅるるっ! ぱちゅん、びくびく、じゅるっ、びゅっびゅくぅ、びゅうう……っ!!
「おっ、おお〜〜……っ♡」
尿道を押しのける感覚がはっきりと分かるほどに濃く粘っこい精液を思いっきり吐き出す乳内射精。熱に浮かされるような深い満足感が腰のあたりを中心に広まっていく。
声を噛み殺して大きくのけ反り、「彼女」の視線から逃げるように腕で顔を覆いながらも、ひくひくと脈動する肉棒は一生懸命に白濁を塗りたくり、胸の谷間を子種でたっぷりと汚していた。どれだけ隠したくとも……勝手に反応してしまう肉体が証明する浅ましい欲望は、誰の目にも明らかなのだった。
「みっ……」
だからかもしれない、そんな事を口走ってしまったのは。
「『見るな』ぁ……♡」
つくづく俺は目の前にいるのが生者とは違うということを意識しきれていなかった。そこに追い詰められると後先考えずに言葉が先に出てしまう悪癖が相まり、状況をより悪い方向へと変えてしまったのだ。
『——音声認識。指令に含まれた旨意から実行可能な対応処理を検索します』
「あえ……っ?」
『案内プログラム音声が行為の集中を削ぐ結果に繋がったと判断。オーダーに従い”プロメスティン”の録音メッセージ再生機能を遮断します。搾精プロトコルは依然継続……』
これは、結論から言えばだ。
要は差分や閲覧形式を細かく設定できる成人向けサイトのようなものだった。純粋に俺の嗜好を満たそうと思ってプロメスティンが残していったのだろう。例えばそう、他の女に抱かれている時に自分の言葉を流されるのをもしかしたら邪魔に思われるかもしれない……といった懸念を反映させた機能とか。
それをまたも誤作動させてしまった結果が、コレなのだとしたら。
「ん、あ……なにしてる、ご主人……?」
「う、うう……!」
ウィルム娘が目を覚ましたのだ。動く死体が意識を復活させた。つまり、ここから先の交わりは本当の意味で……
「なんか、頭に、ん……? 命令……とにかく命令、実行……」
「ひっ、ひうっ……」
ぴとっ、と亀頭に触れるのはその感触だけで筋肉質な締まりの良さを予想させる女性器で、やはり悍ましい死体の冷たさを伝えている。
望むと望まざるとに関わらず、その先に行くことはもはや決定付けられてしまっていた────
「あ、ああ……っ!!」
ずぷずぷっ——根元まで咥え込まれたペニスは禁断の快楽に包まれた。一度でも味わえば後戻りできない敗北必至の心地よさに、気が付けばすっかり夢中になって自分のモノを預けていたのだった。
「ん、んっ、んっ……」
「だ、だめぇ、だめなのにぃ……」
子供を作るための器官を死体の膣肉に収めてかき混ぜるというこの上もない背徳の行為が、倫理観など関係なくただ興奮を煽り立ててしまう。
ほとんど時間は掛からなかった。決して妊娠などしない空っぽの
びゅるっ! どくんどくんっ、びゅっびゅっ、びゅくうう……!!
「あ、ああ──っ!!」
「ぐるぁ、あったか、んぁ……」
ぎゅるぎゅると金玉で造った精子を出来たそばから絞り出すような激しい射精。全力で子孫を残そうと反応している肉棒は、それが全くの勘違いだとも知らず必死に屍体の膣肉へと生命の素を注ぎ込み続ける。
抜群の締めつけをもたらす飛竜の生殖器官。深く暗く堕ちてゆくような甘い背徳の時間は、この理性をとっくに蝕んでいた。
「ああ……もっと、もっとぉ……」
自分からウィルム娘の屍体に抱きつき、自分の精子で粘つく肉穴へと分けいるようにペニスを奥まで押し込んでいく。自分よりずっと強い一回りも大柄な女体へ甘えるようにしがみ付き、冷たい死体に男性器をこすり付けられることで与えられる快感を存分に享受してしまう。
びゅーっ、びゅーっ、びゅうう……!
「ああ、ふわああ……」
死体への種付け行為という矛盾した禁断の快楽にすっかり興奮しきった肉体は、歓喜しながら次々と造り出した新しい子種を排泄するのだった───
「行為、しゅうリょウ……以降はシーケんす分岐の統合点を越えルぞ。おぷしょん設定?の初期化に注意しテください。さん、に、……」
『……お疲れ様でした。貴方が今どういう状態かは大体予想が付きますので、後の始末もこちらで付けられるようにしてあります。きちんと暖かいところでゆっくりお休みくださいね』
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「はい口開けてー……特に異常は無さそうですね。施術の維持管理がきちんと為されている証拠です」
「…………」
「ふむ、そちらはお変わりありませんでしたか? 体調に何か変化があれば報告は必ずお願いしますよ」
「ああ、うん……」
しばらく振りに顔を見せたプロメスティンの声を聞きながら、明後日の方を向いて車椅子に体を預けた俺は幾らか気の抜けた返事をする。
意思を縛られた竜の屍体は呻き声を出しながら強靭な身体をぐったりと無抵抗で弄られている。一方で目を閉じながらずらりと並ぶキバの隙間に指を突っ込んで喉奥の魔法陣をなぞる製作者様は、藪から棒にこんな事を言い出した。
「おや……残していった仕様書も結構読み進めてるみたいですね、勉強熱心で結構なことです」
「? ああ、まあな……」
「起動履歴からするに簡易命令系内の高次項目は一通り触れてもらったようで。私も時間が取れなくて全ては実際に試せていませんからデータを取って残して頂けるだけでもこちらとしては有り難いですよ」
(履歴……あっ……?)
「私としてはこちらを特に分析したいところですが——ええと? 搾精プログラム実行回数2回、内容は……っと」
「…………」
俺は。
車椅子の上から動けないまま、そこでただ黙って俯いているしかできなかった。