※この作品はR-18です。

時間停止日記   作:猿飛 助平

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5日目-欲-

5日目

 

この世界では時間が止まった瞬間から食べ物の温度や鮮度が持続され、冷めたり腐ったりしないので非常に助かる。

 

お弁当がわりに懐かしのお好み焼きを、持ち帰り用の箱に詰め大阪を後にし、再び東京へ戻る。

 

残念ながら初恋の片倉とは会えなかったが、高校時代に付き合っていた絵里子が東京で暮らしているという情報を得たので、この目で一目見ておこう。

 

取り締まる警察もいないので、飛ばせば4時間くらいで着くだろう……

 

しかしお好み焼き屋の座敷で寝た為、熟睡出来てなかったのか、すぐに睡魔が襲う。

 

スタミナ切れで息を切らしたり、怪我をしたりすることはないが、人間の三大欲求……睡眠欲、食欲、性欲だけは欠かせないようだ。

 

もしかすると、この世界は……いや俺は、己の欲を満たすためだけに今、存在しているのかもしれない。

 

ともあれ、通り道にあったコンビニに、眠気覚ましのコーヒーを拝借する為、立ち寄った。

 

ブラックの缶コーヒーを手にし、直ぐに店を出たのだが……何かとてつもない違和感を覚え、再び店内に戻る。

 

荒らされている?

 

食料品が棚からごっそり消え、通路にも商品が散乱している……ドリンクのケースや肉まんのケースの扉なんかも開け放たれた状態……

 

もしかすると、やはり、俺以外にも動ける奴がいるのかもしれない。

 

以後、俺のような存在を探訪者と呼ぶ。

 

その時だった。

 

ビクっとするくらいの、大きな音が外で鳴り響いた。

 

俺以外の探訪者ではないかと思い、急いで外にでる。

 

そこにいたのは、2m……いや3m……俺の倍近くはたっぱのある、化け物だった。

 

そいつが、当たりの信号をへし折ったり、車を投げ捨てたりと、暴れ回っている。

 

アスファルトの瓦礫、鉄屑を身に纏うというよりも、それらの集合体だろうか……俺はその化け物をゲームや神話に出てくる魔物の姿になぞらえゴーレムと呼んだ。

 

ゴーレムは俺を見つけると一目散に追ってきた。

 

これまでに感じたこともないほどの恐怖!

 

当たりのものを蹴散らし突進してくる!

 

俺はとりあえず全力で逃げる。

 

無尽蔵のスタミナに救われた。

 

しばらくすると追って来なくなり、ゴーレムの姿を見失った。

 

今すぐこの場所から離れようかと考えたが、その時、人の悲鳴が聞こえてくる。

 

しばらく聞いていない人の声……予想通り俺以外の探訪者がいるのだろうか。

 

恐る恐る騒がしい場所へと近づくと、ゴーレムに捕まった男がじたばたと動いていた……

 

久しぶりに見た動く人間。

 

助けたい……

 

しかし身がすくんで動けない……

 

動けずにいると、あっという間に男はゴーレムに押し潰され、血が飛び散る。

 

こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい……

 

俺はバイクに乗り一目散にその場を立ち去り、東京へと急いだ。

 

本当にあれはトラウマだ……

 

とにかく安全な場所を探した。

 

奴らが来れない場所……

 

建物は壊されたら終わりだ……

 

東京の地下鉄の駅を順番に巡り、渋谷に停まっていた電車の中に身を隠した。

 

地下ならゴーレムも入ってこれないだろうし、万一地下にゴーレムがいたとしても、地下鉄のホームまでは流石に降りてこれないだろう。

 

奇跡的にホームに降りてきたゴーレムがいたとしても、電車の中の人混みに紛れ時間を稼いで逃げることが出来る。

 

しばらく、この電車内を拠点に過ごそう。




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