「ショウ!身体には気をつけるだよ!」
「ショウがいなくなると寂しくなるなぁ・・・」
「ショウさん!約束はちゃんと守ってくださいよ!ショウさんはおれ達の『便器』なんですからね!」
「ショウお姉ちゃん、無理しないでね・・・」
俺は村の入り口でゴブロンとマイン達から見送りと別れの挨拶を受けていた。
そう、俺はこの村を出て旅に出ることにしたのだ。
切っ掛けは一ヶ月前に遡る。俺のことを散々に犯したバイコーンが俺に懐いたのが切っ掛けだった。
バイコーンは俺の子宮にありったけの精液を流し込み、性欲を発散した後、何故か立ち去らずに俺の側にずっといたのだ。
俺は不思議に思いながらも、試しにバイコーンの背中に乗ってみた。するとバイコーンは嫌がらずにあっさりと俺を背中に乗せたのだ。
俺は思った、こいつに乗っていけば長距離の移動も楽に行えるんじゃないかと。
そう考えた俺の行動は早かった。ゴブロンとマイン達にちょっと旅をしてくると言ったのである。
当然のことながら皆反対した。しかし俺も譲らず、この一ヶ月言葉と身体を使って説得し、一週間に一回は転移石を使って村に帰ってくることを条件に許可を貰ったのである。
「大丈夫、気をつけるよ。じゃあ行くぞ、ペス!カバロ!」
「がぉん!」
「ぶるるんっ!
俺はカバロの背中に乗りながらゴブロン達に答えた。ちなみにカバロと言うのはせっかく懐いたのだからと俺がバイコーンに名付けた名前である。
そして俺達は村を出発した。途中振り向くと、ゴブロン達は俺達が見えなくなるまで手を振り続けていた。俺は大袈裟なんだよ、と思いながらも俺のことを大切に思ってくれていることに嬉しくなった。
そうして俺達は旅だった。途中で村に帰ったり、ペスやカバロと犯ったりしながら三週間が経った。すると俺達はようやく森を抜けた。
森を抜けた先は一面の平原となっていた。
森の中をずっと走り続けていた俺はその光景を新鮮に感じながら南に向かって走り出した。
そして二週間が経った頃、変化が生じた。
小高い丘から森、山、平原に囲まれた人工物『城塞』が見えたのだ。今まで村以外に人工物を見たことがなかった俺は期待に胸を膨らませながら城塞を目指すのだった。
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「お名前はショウさんですね。それとレッドウルフとバイコーンが一匹ずつ。滞在目的は出稼ぎのためと・・・」
「はい、そうです」
城塞にたどり着いた俺達は入り口で簡単な審査を受けていた。審査官はおそらく中年だと思われるオークだった。俺はやっぱりファンタジーの世界なんだなぁー、などと考えていると審査が終わったようだった。
「はい、それでは審査は終わりました。ショウさんは出稼ぎのための滞在ということでしたので『ギルド』への登録をお願いします。後、都市の中ではレッドウルフには首輪を付けるようにして下さい。バイコーンは都営の馬小屋がありますのでそこに繋いでおくと良いでしょう。それでは、ようこそショウさん、城塞都市『フォルト』へ。」
「あ、はい、ありがとうございます」
俺は審査官にお礼を言って門を潜った。
――そして目の前に広がる光景に感動した。
綺麗に整備された石畳の道、同じく石造りの大小様々な建物、道を行き交う沢山の亜人や獣人達。
田舎のゴブリン達の村しか知らなかった俺にとってこの町なみは衝撃的だった。
「おっとと、感動してばっかりじゃいけないな。まずはカバロを馬小屋に預けなくっちゃ」
感動もそこそこに、俺は紹介してもらった馬小屋へ向かうのだった。
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「よし!カバロは預けたし、次はギルドの登録か。てか、ギルドって何処だっけ?」
カバロを馬小屋へ預けた俺は、登録のためにギルドを目指していたのだが道に迷ってしまった。ちなみに馬小屋の利用料金は月額制で月末までに振り込めばいいらしい。三千“オール”(一オール=十円)と言っていたがこの世界の貨幣の知識を持っていない俺は高いのか安いのか分からなかった。
“一般常識も身につけなきゃな”、と思いながら表通りを歩く。通りはとても活気づいていて様々な商店や屋台が並んでいた。
時折鼻をくすぐる飯の匂いに誘惑されながら、俺は町なみをキョロキョロと見渡しながら歩いていると前方不注意で人にぶつかってしまった。
――どんっ
「あっ!、すみません」
「痛てぇなぁ、気をつけろ・・・、んんぅ?」
俺がぶつかったのはトゲ付き肩パッドを装着したガラの悪そうなオークだった。俺はすぐに謝罪し、関わらないように立ち去ろうとした。
しかし、そのオークは俺の全身を舐めるように見た後、立ち去ろうとする俺の進路を遮ってきた。
「まあ待てよ。お前、見たところこの町初めてだろ?だったらおれ様が直々に案内してやるぜ。」
「いやぁ・・・、大丈夫です・・・」
「いいから、いいから、遠慮すんな。おれ様がこの町の穴場までしっかり案内してやっからよ」
鼻息荒く、情欲に染まった目で食い下がってくるオーク。親切心ではなく下心満載であることは明らかだった。
通りのど真ん中で揉め事を起こす訳にもいかず、俺が対応に困っていると後ろから声がかかった。
「デジール、止めろ!その娘が困ってるだろ!」
俺が後ろを振り向くと革製の軽装鎧を装備し大斧を持った、肩パッドオークよりも一回り大きいオークが居た。
「げっ!ローレンスかよ・・・。違げーよ、おれ様はただ親切心で・・・」
「俺にはお前が一方的に言い寄っているように見えたが?」
「ちっ!分かりましたよ!悪者は退散しますよ!まったく、優等生のローレンスさんには敵いませんな!」
舌打ちをしてデジールと呼ばれたオークは捨て台詞を吐いて去って行った。
俺はローレンスと呼ばれたオークにお礼を言った。
「どうもありがとうございます。正直、困っていたんです。えっと・・・、ローレンスさん?」
「大したことじゃないよ。でもデジールのことを悪く思わないでやってくれ。悪い奴じゃないんだが、ちょっと女癖が悪くてね。あっ、俺のことはローレンスでいいよ。お嬢さんの名前は?」
「俺の名前はショウって言います。後、お嬢さんは止めて下さい。なんだかむず痒くって」
「そっか、そりゃすまん。それでショウはこの町に何をしに来たんだ?」
「えっと、旅の途中で立ち寄って路銀を稼ごうと思って、これからギルドに登録に行こうとしたんですけど道に迷ってしまって・・・」
「そうか、調度良かった。俺もこれからギルドに向かうところだったから案内するよ。」
「いいんですか?ありがとうございます!」
「なーに、新人をサポートするのはベテランの勤めさ!」
俺は親切なオーク、ローレンスの案内でギルドに向かった。
途中、俺達はお互いのことを話しながら歩いていたのだが、なんとローレンスはこの町で唯一のAランクの冒険者だったのだ。俺が「すごいなぁ。」と褒めるとローレンスは「それ程でもないよ」と謙遜した。自分の地位に傲らず謙虚な姿勢に俺は好感を持った。
「さあ着いた。ここがギルドだよ。」
「ここがギルドかぁ・・・。すごいな・・・。」
到着したギルドは石造りで赤い屋根の、大きく、立派な建物で場所も表通りの一等地にあるようだった。
俺が感心していると、ギルドは町のお偉いさんからの依頼などもあり、それ相応に格式ある建物にしているのだとローレンスから説明された。
「さ、立ちっぱなしもなんだし、中に入って登録をしちゃおう。」
「あっ、はい!」
俺はローレンスに促され、中に入った。ギルドの中には獣人や亜人など沢山の人がおり、俺に気付くと驚いたような顔をした後、何故か珍しい物を見るような目で見られた。俺は不思議に思いながらも受付へ向かった。
受付嬢は赤い羽根のハーピィで、彼女も俺を見ると驚いたような顔をした。
「ああ、すみません。ようこそギルドへ、新規登録の方でしょうか?」
「はい、そうです。あの・・・、皆、俺を見て驚いているようなんですけど何でなんですか?」
「あっ、それはですね、人間の方は大変珍しいんです。少なくともこのギルドが出来てから人間の方が訪れたのは貴女が初めてです」
「そうなんですか。」
「それよりも新規登録でしたね。それではこちらの書類に必要事項を記入して下さい。」
俺は差し出された書類を記入し提出した。
「ふむふむ、お名前はショウさんですね。ではショウさん、こちらがギルドの登録証です。これは依頼を受ける際に必要になります。また、身分証明書にもなっているので無くさないようにして下さいね」
「はい、気をつけます。」
「後、ギルドの仕組みについても説明させていただきます。まず、ギルドにはランクが有りましてDからAランクとなっています。新規登録者の方はまずDランクから始まり、依頼をこなしていくことでランクが上がるようになっています。ランクが上がるほど報酬も上がりますが、難易度と危険度も上がりますのでご注意ください。ちなみに報酬の一部は町に税金として納められますのでそこはご了承下さい。また依頼はギルドが基本的に仲介して行われますが、依頼主から直接依頼を受けることもできます。ただその場合、問題が発生した時に当ギルドは責任を一切負いませんので、あまり推奨はしていません。大体こんな所ですが何か質問などはありますか?」
「うーんと、大丈夫です。」
「そうですか。それではショウさん、我々ギルドは貴女の加入を歓迎します。無理をせず頑張って下さいね。」
「分かりました。頑張ります。」
俺は登録証を受け取り一礼するとギルドを出た。すると外でローレンスが待っていた。
「よう、登録は終わったのかな?」
「ええ、終わりました」
「そりゃ良かった。それで?これからショウはどうするんだ?」
「ええと、とりあえず手持ちの売れる物を売って、買い物でもしようかと・・・」
「そうか。じゃあ、町を案内がてら俺も付き合ってやるよ」
「え!?いいんですか?ローレンスも忙しいんじゃ・・・」
「大丈夫。一仕事終えた後で暇だし、ショウ一人じゃ何だか危なっかしいからな」
「ありがとうございます。それじゃあ、よろしくお願いします。」
「良いって事よ。じゃあ、行くか」
「はい!」
俺は親切なローレンスの案内の元、町に繰り出した。
ローレンスは俺にあの食堂の飯は美味い、あの店は安くて良い商品を売っているなど説明しながら案内してくれた。また、俺が手持ちの宝石を売ろうとして危うく騙されて安く買い叩かれそうになったときに助けてくれたりと非常に面倒見が良かった。
そしてペスの首輪や日用品を買ったりしていると日が暮れ始めた。俺がそろそろ宿を探さなきゃなと考えていると、ローレンスが口を開いた。
「そういえばショウ、今日泊まるところはあるのか?」
「これから宿を取ろうと思ってました。この辺にいい宿ってありますか?」
「あー・・・、それなんだが、今の時間、それもレッドウルフを連れてとなると泊まれる宿は多分無いなぁ・・・」
「えっ!?そうなんですか!?どうしよう・・・。」
俺は困ってしまった。仕方ない、今晩は野宿をするかなどとと考えているとローレンスが提案してきた。
「なあ、ショウ。ショウがもし良ければ俺の泊まっている部屋に来ないか?」
「良いんですか?でも、迷惑じゃ・・・」
「大丈夫!俺の部屋は広いし、何より女の子を寒空の下に晒す訳にもいかないしさ!」
そんなローレンスの言葉に俺は“ローレンスってばなんて良い奴なんだろう”と感動した。
「ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えさせて貰います」
「なあに、良いってことよ。じゃ、宿に行こう。」
「はい!」
こうして俺とペスはローレンスの泊まっている部屋に転がり込むことになったのだった。
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「うわぁ~、いい部屋だなぁ~。」
「はは、仕事の疲れを癒やすために宿はなるべくいい部屋を取るようにしているのさ。」
ローレンスの泊まっている部屋は広く、家具など調度品なども立派だった。
「ああそうだ、ベッドは一つしかないからショウが使っていいよ。」
「え!?さすがにそれは悪いですよ!?俺はソファーで十分で・・・。」
「いやいや、ショウはこの町に来るまでずっと野宿だったんだろ?疲れを癒やすためにもベッドで寝なくちゃ。」
「ローレンス・・・。何から何まですみません。それじゃあ、ありがたく使わせて貰いますね」
「ああ、しっかり休んで明日から頑張っていこう!」
「はい!」
そしてベッドを譲って貰った俺はローレンスに心の底から感謝しながら眠りにつくのだった・・・・・・。
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ローレンスside
(来た、来た、来た、俺の時代が遂に来たー!!!)
ソファーで寝転びながら俺は歓喜に震えていた。
――切っ掛けは今日の昼頃のことだった。
いつものように依頼を終え、ギルドに報告のために向かっていたときにデジールがナンパをしている場面に出くわしたことだった。あいかわらずデジールの女癖の悪さに呆れながらも助けに入ると、デジールに絡まれていた女の姿を見て俺は驚いた。
なんと絡まれていたのは人間の女だったのである。
長らく冒険者として依頼をこなしてきた俺でも人間、それも女は初めて見た。しかもその女はとても美しかった。
銀色の髪、宝石の様に輝く紅い目、精悍な顔付き、どれも俺の好みにドンピシャだった。
――この女だ!この女ならば、俺の悲願を達成できる!
そう思った俺は下心を見せないように女に話しかけるのだった。
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女はショウと名乗った。
ショウはここからずっと北にある森からずっと旅をしてきたらしく、この町には路銀稼ぎに立ち寄ったらしい。
路銀稼ぎのためならばしばらくはこの町に滞在することになるので俺は安心した。せっかく悲願達成のチャンスが巡ってきたのに、会ってすぐにお別れにならないということに俺は感謝した。
そしてショウをギルドまで連れていき、ショウが登録を済ませると俺は町を案内することにした。
案内をしていて気付いたのだが、ショウはあまりにも世間知らずで無防備だった。物の価値にも疎く、怪しい客引きにもホイホイと着いていこうとしてしまう。俺はそんな危なっかしいショウを補助しながら案内を続けた。
そしてショウの予定が一段落したときに俺は何気なく今晩の宿のことを聞いた。すると宿はまだ取っていないとのことだった。
俺はチャンスだと思い、俺の部屋に泊まらないかとショウに提案した。ショウは最初遠慮していたが、俺がショウに休んで貰いたいと言うと承諾してくれた。
ショウが承諾した瞬間、俺は心の中で小躍りした。
遂に、遂に俺の悲願、『童貞卒業』が叶うのだと・・・。
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俺、ローレンスは童貞である。
一度、風俗で童貞を卒業をしようとしたが失敗した過去がある。
この町の風俗は原則的に本番行為は禁止なのだが、嬢と客の同意があれば暗黙の了解で本番行為を行うことができる。
俺は当時人気No1の嬢を指名し、本番を行おうとしたのだが嬢に拒否されてしまった。
曰く、「オークは巨根なうえ、絶倫なので身体が持たない。」と・・・。
それでも諦めきれなかった俺は嬢に言い寄ったのだが、店から迷惑行為をしたとして出禁を食らってしまった。
童貞を卒業するチャンスを失ってしまった俺は日々悶々と過ごしてきた。一応、非合法の売春婦で童貞を卒業するという選択肢もあったが、卒業するなら妥協せずに俺の好みの女で卒業したかった。
そんな中で出会ったのがショウだった。
俺の好みにドンピシャな上に世にも珍しい人間の極上の女。俺の童貞を捧げるのに相応しい女だった。
しかも、頭も貞操観念も緩いらしく、ホイホイと男の部屋にやって来た。
――これはもう犯れんじゃね?てか、OKってことだろ?
そう確信した俺は期待に胸を膨らませながらソファーで横になった。
――このまま待っていればショウの方から誘ってくるハズ!
そう思いながら俺は待った。
一時間が経った。ショウは来ない。
二時間が経った。ショウはやって来ない。
三時間が経った。さすがにおかしいと思いショウのいるベッドに向かった。
するとショウは俺のことなど関係ないとばかりに爆睡していた・・・。
ここまで期待させといてそれは無いだろうと俺はショックを受けた。
俺はこのまま襲ってしまおうかと一瞬考えたが、ショウが受け入れてくれば問題なしだが、万が一拒絶されれば俺の立場が非常に苦しくなるという事実を前に尻込みしてしまった。
そうして俺がショウを襲うか襲わないか悩み、葛藤していると朝になり、ショウが起きてしまった。
俺は冷静を装ってショウと朝の挨拶を交わし、朝食を食べ、ギルドへ向かうというショウを見送った。
そしてショウの姿が見えなくなると俺は力一杯叫んだ。
「俺の、意気地なしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
チャンスを活かせなかった負け犬の遠吠えが朝の平和な町中に木霊した。
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