幻想少女の露出事情 作:よっぱらい
あ、やっと頭出した。
ごめんごめん。足噛んだのは悪かったってば。でも貴女も悪いのよ? 何を言ってもぜんぜん聞こえてないんだから仕方ないじゃないの。
なにやってんのよ、こんな場所で、そんな格好で……。私だったからよかったものの、人間の男に見つかって襲われたらどうすんの?
はぁ!?
……ま、まぁ、貴女の身体だからいいけどさぁ……。でも流石に首なし女を抱こうとする物好きはそうそういないと思うわよ。
私の格好? 見てのとおりよ。満月の夜だし、狼モードで散歩してただけ。
影の中に居ればまず見えないし。見られても遠目ならただの犬と思ってもらえるし……。犬にしちゃデカすぎる? うるさいわね。
え?
だから散歩だってば。……いいじゃない、ちょっと足伸ばして人里に来たって。悪さはしてないし。
いや、それは……今まで竹林に篭ってたのは、あくまで人間形態で毛深いのを見られるのが嫌なだけだから……狼なら毛深くてあたりまえで、別に変なこと……。
う、嘘って……何を根拠にそんな……し、尻尾!? 尻尾の動きで!? そんなぁ……。
ええと……別に完全に嘘ってわけじゃ……。
……誰にも言わないでくれる?
少し前から、竹林で変質者が増えててさ。
裸同然で屋台やってたり、真昼間から裸で歩いてたり、しまいにゃそこら辺で人間の男と……その、アレし始めたり……。
わざわざ出て行って注意するのもなぁ、って思って見て見ぬふりしてたんだけど……。
お、オカズになんてそんな……。……ちょっとだけよ。
で……ふと思っちゃったの。
裸で歩くのってそんな楽しいのかなって。
……狼の姿なら、私でも平気なんじゃないかって。
ねぐらで服脱いでから変身してさ……外へ出てみたんだ。
こんな簡単なこと、どうして今までやってみなかったんだろうって……。
うん、すごい気持ちよかった。
変な意味じゃないわよ! 開放感! それだけ!
あっちこっち走り回って、本当にただの狼みたいに野性の一夜を過ごしたの。
楽しかった。
それで満月の夜はこっそりそうするようになってさ。
外を出歩いても、みんな私は竹林に篭ってるって思ってるから、無関係な狼にしか見えなかったみたいね。
そのうち人間の前に出ても、どうせ狼だしって、平気になって……軽く脅かしたりもしてたんだけど……。
あのウナギ屋の屋台で飲んでから、里に帰ってく人間いるじゃない。
まあ大体は私を見れば逃げるか、でなくても避けて通ってくんだけどさ。
べろべろに酔った男の人が来たことがあって。
「なんだぁ~でっけぇ犬だなぁ~」って近づいてきちゃってさ。完全にただの犬だと思われたらしくて。
ちょっとびっくりしながら、まあ適当なとこで軽く噛んでやるかと……もちろん甘噛みよ? そう思って座ってたんだけど、あんまり油断しすぎてて拍子抜けで……ついタイミングを逃してたら……。
いきなり背中撫でられちゃってさ。
えっ? って思ってるうちに、喉もくすぐられて。
……あれヤバいのよ。
そんなの初めてやられたから、その時まで知らなかったけど。
思わずうっとりするほど気持ちよかったの。
……いや、それも変な意味じゃないから。心地良いだけ。だけなんだけど……。なんかもう、されるままになっちゃって。
何やってるんだろ私……ってボーッとしながら気持ちよく撫でられてたのよ。そこまでは、まあよかったんだけど……。
そしたら突然、片足持ち上げられて。
「メスかぁ」って。
頭まっしろ。
一瞬、何が起きたのかわかんなくて。
わかっても、今度はどうしたらいいのかわかんなくて、固まっちゃって……。
アソコを……もちろん狼の、だけど……人間の男に目の前で……。夜とはいっても、満月だから……その明るい光に照らされる中でさ……。ほんの数秒だったけど。っていうか冷静に考えれば、毛のおかげでそこまで丸見えじゃなかったはずだけど。
恥ずかしいって思う気持ちさえ出てこないほど、頭ん中ぐっちゃぐちゃでさ。
足を下ろされても、身動きできないでいるうちに……。
尻尾の付け根の上、トントンされて。
「メス犬はこれ好きなんだよなぁ」って……。
……うん。今度こそ、変な意味で。
アソコが……そして腰の奥が、じーんと熱くなってきてさ……。
多分、なんか変な声出てた。
逃げたわよ。
流石に逃げた。ヤバいって思って、飛び上がって逃げた。
まっすぐ竹林に向かって走って、すぐに竹やぶに飛び込んだわ。
肩で息して心臓がどっかんどっかん言ってる中で、ようやく恥ずかしさが沸いてきて、恥ずかしくて死にそうで、でも……。
身体が……アソコが、すっごい熱くて、ムズムズして……。
狼の姿のままソコを竹にコスりつけて……イッちゃったんだ。
その日から、また出歩くのが恥ずかしくなっちゃった。
恥ずかしくなったけど……でも、やめなかった……。
人間を脅かすのはやめて……ただ酔っ払いに近寄って、逃げないようなら寝そべって、撫でてくれないかなぁって……。
トントン、してくれないかなぁって……。
してもらったら……喉が変な音で鳴っちゃうのを精一杯我慢して……我慢できなくなったら竹林に逃げ帰って、また……。
そんなこと繰り返してるうちに、だんだん竹林から人里に近づいて、そして、人里の中まで……ほんとはダメだって、わかってるけどつい……。
……噂になってる?
泥酔した人を家まで送り届ける狼?
いや、そこまではしてないけど……噂に尾ひれがついてるのね。
……なんか新しい妖怪生まれたりしないよね? って言うか私の責任とかにならないよね?
まあ、それはそれとして。
やっぱり、これは恥ずかしいんだけど……。
……聞いてくれる?
また人里に入り込んで、飲み屋から少し離れた道端で、酔って帰る人を待ってたとき。
ちょうどそんな人が来て、撫でてもらっててさ。
そのうちに、その、また片足上げさせられて……それも、もう何度もされてるから、だいぶ麻痺してたっていうか……恥ずかしいは恥ずかしいけど。やっぱりドキドキしながら、続けてトントンしてくれるのを待ってたんだけど……。
その人、なかなか足下ろしてくれなくて。
片足掴んで持ち上げたまま、じーっと私のそこを見てるの。
ムズムズする感じと一緒に、流石に恥ずかしさが大きくなって、振り払おうかと思ったその矢先に。
頭が薄くて背が低くて、地味な冴えない顔で、如何にもモテなさそうな感じの、そのオジサンがさ。
「……この際、犬でもいいか」
……って、ボソッと。
逃げたってば。
私にだって、相手と場所を選ぶ権利ってものが……いやそうじゃなくて、そんな姿でなんて……いや、違くて、ああもう! とにかく逃げたの。
全力で逃げて、しばらく走って、人気のない路地に逃げ込んで。
だけど……。
アソコが……そのへんの毛が濡れそぼるくらい、ぐっちょぐちょで……。
熱くて熱くて、今すぐシたくてたまらなくて……。でも、ちょうどうまくコスりつけられそうなものが、そのあたりには見当たらなかったのよ……。
だから……。
その場で、人型に戻って……。
満月の毛深い身体なのに、素っ裸で、それも人里の真ん中で、誰か路地を覗き込んだら全部見られちゃうのにって、頭が沸騰しそうな中で、思いっきり……。
必死に声抑えて、でも抑えきれないまま……イッちゃったんだ……。続けざまに二回も……。
その日から、そんな風に人に見られそうな場所でするのが癖になっちゃって……。
最近じゃもう、満月の夜以外にも、裸で、人型のまま……。
……こんな私って……変かなぁ……?
だよね……。
やっぱり、ヘンタイなんだ、私……。
え?
ああ、うん。確かに貴女のがそれ以上のヘンタイだわ。
……いや、慰めになってないから。全然。
でも……ありがと。
へっ?
どうせヘンタイ同士だから……って……。
ひ、人型で、並んで一緒にシようって……何言ってるのよ! もし誰か来たら……!!
来たら……そんな……。
……。
い、いや、やっぱりないって。ないないありえない。
首なし女よりは可能性ある? 褒めてるつもりなの? それ。
って言うか、たとえ貴女にでも、毛深いの見られるのはヤだし……は? また頭消すの?
……誰か来ても、一人で逃げるからね。