【書籍化】エロチートを授かってタイムリープしたので、2度目の人生はクラス一の美少女を抱き潰す 作:月見ハク
ミキの車の助手席で、流れていく風景を眺める。
派手な振動と排気音。
そういえば、2度目の人生でミキを虜にしてしばらくは、よくこの車で移動していたな。
懐かしさに遠い目をしていると、ミキの声が容赦なく現実に引き戻す。
「とりあえず、会社のほうは何とかなりそうだよ」
タメ語に戻っている。
まだ数時間しか経っていないのに、ミキはもう気持ちに整理を付けたようだ。やっぱり優秀な女だ。病気を治して、右腕にして良かった。
「仮想通貨を円に換金したら、全部
多分1000億円以上にはなる。ネムが傾いても、ミキならこの資金を使って立て直せるだろう。
少ないが、ミキの人生を奪った慰謝料だ。
「ふふ…ありがたくいただくね」
俺とミキとの間に、多くの言葉はいらない。
それくらい、言葉も肌も交わした。
「しかし、見つかったら俺、殺されるかもなー。世の中めちゃくちゃにしちゃった気がするし」
「まあ、恨まれることばっかりしてきたもんね」
女にしてもそうだ。
スキルが効いている状況で犯したあみやメイちゃんはともかく、ユイカなんて、最初はただの八つ当たり強姦だしな。
ミキは、「でも…」と前置きして、言葉を続けた。
「わりと感謝してる人もいると思うけどな……私みたいに」
「そっか」
「まあ私ももう、アラタくんに男としての興味ないんだけどね!」
「そっか」
まったく……何年一緒にいたと思ってんだ。
その言葉が嘘だってことくらい、すぐ分かるわ。
相変わらず、可愛いやつ。
ただ、このミキの気持ちの落とし所は、俺にとってずいぶん都合のいいパターンなんだよな。
いくら事後対応が神でも、レイプした事実は変わらない。それだけでも、殺されるくらいの理由にはなる。スキルが消えるってのは、そういうことだ。
まあ、その程度の覚悟なら、初めてミキを襲ったときに決めてある。
ただ、今はまだ死ぬわけにはいかない。
「あと、どのくらいで着く?」
問いかけると、ミキはカーナビの画面をちらりと見た。
「10分くらいかな」
ミキの反対側の耳に插入されたイヤホンからは、今もひっきりなしに護衛班からの状況報告が上がってきている。
さっきからミキは、俺とのんきに会話しながらも、凄まじいドライビングテクニックを披露していた。
やがて車は、エリカと不審者の進行方向を先回りする形で、路地の角に停まる。
「アラタ君、本当にここでいいの?」
「うん、いいよ。イリーガルな手段を取るかもだから、護衛班も撤収させちゃって」
「分かった」
「ごめんな……ありがとね」
「ほい」
そう言ったミキは、いつものようにヘラヘラしている。
それ以上、言葉はいらなかった。
さて、行きますか。
***
俺は路地から出ると、何食わぬ顔でエリカに声を掛けた。
「やっほ~、ぐ、偶然だね。たま、たまたまコンビニの帰りでさ~」
噛んでしまった。
俺は偶然を装って事あるごとに現れるストーカーか!
いや、ストーカーか。
「根室…!?」
あれ、予想外って顔じゃないな。どっちかと言うと、ホッとしてる?
すると、パッと車のヘッドライトが光り、目がくらむ。
薄っすらとした視界の中、エリカの背後から急発進してきたワゴン車が、エリカに横付けするのが見えた。男が出てきて、エリカに手錠を付けたかと思うと、あっという間に車に押し込む。
俺はすでに走り出していた。
目の前でワゴン車のドアが閉まり、男がアクセルを踏み込む。
ドアの取っ手を掴むも、すぐに振り落とされて道に転がる。
エリカを拉致したワゴン車は、路地を曲がり、見えなくなった。
俺は体勢を立て直しながら、追いかける。
この辺りはエリカの家の近くだ。
つまり、路地の一つ一つに至るまで、俺の脳内にインプット済ということだ。
体が軋むほどの全力疾走で、ワゴン車の進行方向を先回りする。
民家の生け垣を飛び越えると、ちょうどワゴン車が向かってくるところだった。
「てめえこのやろおおおおお」
俺は民家の庭に置いてあった自転車を持ち上げると、ワゴン車に向かってぶん投げた。
アドレナリンが出ているせいか、すっごい軽い。子どもがおもちゃをぶん投げたかのように、自転車は一直線に飛び、ワゴン車のフロントガラスにぶち当たった。
急ブレーキの音と、ガシャンッという凄まじい衝突音が響き、ワゴン車は停止した。
走り寄ると、男はハンドルに頭をもたげ、気絶していた。
俺は運転席の窓ガラスを掌底でぶち破ると、手を差し込んでドアロックを外す。
急いで後部座席のドアを開けると、エリカを横抱きに持ち上げ、救い出した。
「エリカ、大丈夫!? ケガしてない?」
「大丈夫。私は無事だよ」
よかったああああああ。
あ、手錠外してあげないと。
ふと運転席を見ると、男の姿がない。
視線を動かすと、男が路地を逃げ去っていくところだった。
「あんの野郎ぉ…」
猛スピードで追いかけると、男が路地を曲がろうとする。
ゴギャッ。
鈍くて不快な音がして、男が、仰向けに倒れ込んだ。
近づくと、道に赤黒いものが広がっている。
それを見下ろすように、バールのような物を持った姫島ハルが、静かに立っていた。
バールのような物からは、ポタポタと赤いものが滴っている。
「ハル…」
お前、何でここに?
なんて問答をしている場合ではない。
俺は男のポケットから手錠の鍵を探し出すと、一目散に来た道を戻った。
「あ、アラタ、ちょっ…」
***
俺はエリカの手錠を外すと、救急車とパトカーを呼んだ。
俺とエリカは、たまたま交通事故に居合わせたカップルということにしておいた。カップルだ。
目撃者は俺たち以外にはいない。
男が意識を取り戻すまでは、交通事故ということで処理されるだろう。
男は、ちょっと前に電車で俺が馬乗りでボコった、あの電車男だった。
逆恨みするなら俺だろうに、エリカを攫うあたり、馬鹿の思考は読めない。
病院の診察室の扉が開き、エリカが出てきた。
「エリカ! どう? 綺麗な柔肌に傷とかアザとかシミとかできてない?」
俺はエリカの全身を舐め回すように視姦する。相変わらず吸い付きたくなるようなカラダだ。
「根室、顔がヤラしい。……傷もアザもないよ」
「そっか! 良かったぁ…」
「それで、どうして姫島さんがいるのかな?」
チッ、さっきから完全無視してたのに、心優しいエリカは、俺の隣にいる姫島ハルをスルーできなかったようだ。
まあ、こんなに自分を睨みつけてくる女がいりゃ、当然か。
つーかコイツ、何エリカにガン飛ばしてんだよ。犯すぞ。
「…アラタ、エリカちゃんに聞いてみなよ。僕のことどう思いますかって」
だから何言ってんだコイツ。
スキルから解放されたエリカが、俺をどう思うかって?
聞きたくねーよ!
ここはとりあえず、黙る!
「エリカちゃんも、もうスキルの虜じゃなくなったんだからさ。もうアラタに関わらなくていいんだよ?」
だからなんでコイツは、相槌もないのにセリフを進められんのかな。一人で話し続けるのって、現実だと喋る方はけっこう辛いんだぞ。
「やっぱり姫島さんも、タイムトラベルした人なんだね」
でもさすがエリカ、頭もキレて可愛い。
おおかた姫島ハルは、「神」から「スキルを消すスキル」でも与えられたタイムリーパーなんだろ。
そんで今から、動機が明かされるパートに移ると。
「…エリカちゃんも、そうなんだ」
ああ、姫島ハルは俺だけかと思ってたのか。
「エリカちゃんの言う通り、あたしは…」
あ、ヤバい。コイツ話長いんだよな。一旦止めよう。
「はいストップ〜! とりあえずここ、病院の中だから。外に出て話そうな」
「え、ちょっ、アラタ…」
俺はスタスタと廊下を歩き出す。エリカも姫島ハルも、俺に付いてきた。
どうせロクな動機じゃないんだ。ならば聞くだけ面倒というもの。隙を見てエスケープしよう。
***
病院の外へ出る。
薄っすら明るい。そうだ、今日は満月だった。
俺はエリカを見つめる。
「エリカ」
「なに?」
「月が綺麗ですね」
「…ありがと」
ここまでのやり取りの感じ、スキルの効果が切れても、俺を即拒否するつもりはなさそうだ。
ただ、俺からスキルが無くなったら、エリカに残るのは何だろう。セックスパートナーとしても、エリカの騎士としても役立たずになった俺か?
それはエリカの嫌いな、「嘘吐きのヤリチン」なだけの男だ。
「ねぇ、何でエリカちゃんはアラタとそんなふうに話せるの? もう、好きでも何でもないでしょ?」
コイツ…ずかずかと聞きたくないこと聞きやがって。犯したろか。
まあコイツでは勃たないんだが。
「…姫島さんには、関係ないでしょ」
「もう吹っ切れようよ。アラタに興味があるのは、好きなのは、私だけ。私、アラタが好きだから。素のアラタが好きなの」
何回好き好き言うんだよ。好意もしつこいと嫌われるぞ。
俺のようにな!
そんな姫島ハルを華麗にスルーしたエリカが、俺をじっと見つめていた。
「根室は、ハルちゃんと寝たの?」
「そんなの関係ないじゃない!」
すかさず姫島ハルが叫ぶ。
しかし、エリカは動じない。
「私は、根室に聞いてる」
エリカの曇りなき
「いや、なんか勃たなくて…」
インポテンツになったかもでして。
「アラタ大丈夫だよ。新しい一歩を踏み出せば、ちゃんと勃つよ。もう吹っ切れよう? エリカちゃんのことは忘れてさ」
それは、無理――。
「それは、無理だよ」
あれ、俺喋ってないんだけど。
俺の心の声がエリカの口から飛び出したぞ?
「根室が、私を忘れたりするのは、無理なの」
「はぁ!? 何言っちゃってんの? どんだけ自意識過剰なの? 仮に忘れられないとして、何なわけ? あんたもうアラタに興味ないでしょ? さっさと振って解放してやんなよ!」
恐いです。女同士の喧嘩、恐い。
もっと冷静に話し合いましょうよ。
「だから、無理なの。根室は、私のだから」
「はああぁ!? なんなのこの女! おかしい、こんなの聞いてない、どうなってんの!」
俺にも何がなんだか。
あと、コイツさっきからうるさいな。入院患者さん達が起きちゃうだろーが。
「ひっ…」
ん?
どうした姫島ハル。
急に黙りこんで、目を見開いて、エリカを凝視したりして。
「アラタ、魔王が、いる…」
俺は、その姫島ハルの妄言を否定できなかった。
エリカは、笑っていた。
無邪気な少年のように。下賎な者を見る女王様のように。
満月に照らされたエリカの笑顔は、無垢で、恐ろしくて、美しかった。
空気が、変わった。
エリカが、優雅に一歩踏み出す。
「姫島さん、あなたは、誰?」
姫島ハルは、一歩後退りながら答える。
「あたし…は、権田トウリ…」
「そう」
頷くエリカ。
うん。誰?
いやまてよ、確か。
――『電車内でタバコ注意され暴れた男、高校生に取り押さえられる』
あのネットニュースに載ってた電車男の名前、権田トウリ(30)だ!
つまり、電車男=権田トウリ=姫島ハル=電車男ってことか?
いや色々おかしいだろ!
「その女の子の体は? 不思議な声が用意してくれたの?」
エリカ、まったく動揺してないんだが。
また一歩、姫島ハルに近づく。
姫島ハルは、諦めの表情を浮かべ、地面にへたり込んでしまった。
「生まれ変わる時に…神様が、新しく用意してくれた。権田トウリに戻るのは、嫌だったから。ちょうど生まれてすぐ死んだ赤ちゃんがいて、そこに乗り移った、みたいな…」
そんなパターンもアリなのか、「神」よ。
でもそうか。だから姫島ハルはさっき、電車男を待ち伏せできたんだ。自分自身があそこで、ああなることを知っていたから。
「ふうん。で?
うわ、エゲツな…。権田トウリには戻りたくないって言ったばかりなのに。
「ひっ……あの、アラタの、全てを奪うこと、です」
笑顔で近づくエリカの気迫に、姫島ハルはもう決壊寸前だ!
「詳しく、聞かせてくれる?」
「はい、あの…電車でアラタに、殴られて、最初はその、悔しくて。でもアラタの形相が忘れられなくて…。それまで、あんな風に人に見られたことなくて…皆、無関心だったから…」
え、それで俺、恋されたの? 男に!?
まあ、そういう恋の形を否定はしないが、ずいぶん倒錯的な嗜好だなおい。
「あのアラタの行動が、全部エリカちゃんの為だったと思うと、なんか腹が立って…それで、あの、魔王…じゃなくてっ、エリカちゃん…さんを襲ったんですけど…」
いや、エリカにビビり過ぎだろ。
当のエリカは、軽く頷いて先を促す。
「み、見ての通り、返り討ちに遭いまして。まあやったのは私…未来の自分だったんですけど。3年くらい下半身不随になりまして…その間も、アラタのことを考えてまして、その時は恋とかじゃなかったと思うんですが…」
あ、なんかホッとしてしまった。
「ある日、神様から20年前に戻すっていうお告げがありまして…でもあたし、気持ちが整理つかなくて、ぐちゃぐちゃなまま、気づいたら、こうなってまして…」
うわ、やっぱ馬鹿だ。
369日も猶予があったのに、明確な望みをイメージできなかったとか。
「で、生まれ変わって、唐突に分かったんです。あたしの能力は、アラタの不思議な力を消し去ることなんだって。そんで、アラタの理想の女の子になったんだって!」
「…へぇ、根室の理想って、こんな感じなんだ」
エリカの笑顔が、ピシッと固まった気がした。
姫島ハルも、「ヒッ…」と声もなく震えている。
まさに、蛇に睨まれた蛙。「時かけ王子」の悪役令嬢と、それを手玉に取る魔王のようだ。
そして、俺は今、ただの傍観者だ。
エリカが無言で続きを促す。
「あ、あの、それで、あたし、理解したんです。あたしの望みは、アラタの心を奪うことなんだって。それからは、ずっとアラタを追いかけて、そしたら、本気で好きになってて…」
結局、恋したんかい。
なんか俺、一生分は姫島ハルに告られてる気がするな。
でも、そんな姫島ハルに勃たなかった理由が分かったわ。
エリカに2度も手を出すようなヤツに、俺が勃つわけがないんだよな。
魂すらも嗅ぎ分けてしまう俺。
一途にエリカを思い続けるからこそ、成せる業だ。
「で、でも、実際に会ったアラタは、エリカさんだけじゃなく、色んなコに手を出してて…あたしが告ってすぐに、図書準備室なんかで……だから、能力を消すのを実行に移そうって。そしたらもう、アラタはあたしのものになるって、思ったのにぃ…うぅ、ぐすっ」
「図書準備室…?」
ゆらりと、エリカが振り向いて、俺を見る。
俺の体は、流れるように土下座の体勢をとっていた。
「うえぇん、どうしてよぅ…神様は、望みを叶えてくれるんじゃなかったのぉ…?」
泣きじゃくる姫島ハル。いつのまにか、それを見下ろす距離まで近づいていたエリカが、そっと姫島ハルの涙に拭った。
「多分ね、叶うかどうかは、望みの強さで決まるんだよ」
「あ、あたし、3年も、地獄みたいな入院生活で、ずっと、ずっと願ってたのに…!」
「3年…」
エリカの顔から、スッと笑顔が消えた。
「たかが3年、祈ってたくらいで、私に敵うわけないよ。私は何年も何年も、起きてから寝るまでずっと、根室のこと、望んでたんだから。私の地獄を、舐めないで」
「へ? 何言って…だって、エリカさんは…」
姫島ハルは、エリカの地獄のような17年を知らないんだ。混乱するのも無理はない。
「でも、トウリくんには感謝してるんだ」
「え?」
「多分、あなたも、私の願いの一部だから」
「ま、魔王…」
だから魔王じゃ…ないとも言い切れない圧が、今のエリカにはあった。
すっかり抜け殻のようになった姫島ハルは、ヨロヨロと立ち上がると、駐輪場に置いてあったバイクに跨り、去っていった。
心無しか、バイクの排気音も元気が無い。
さらばだ、姫島ハル。
お前のルックスとポテンシャルなら、この先、いくらでも幸せになれるだろう。
ここからが、本当のリスタートだ。達者でな。
〜fin〜
***
「根室、ちょっとジュース飲みたいから、自販機寄ろうか」
終わってなかった。
俺はこれから、エリカに色々聞かなければならないのだ。
主に俺のこと好きなのか? とか、俺と付き合う気があるのか? とか。
エリカは、スタスタと暗い病院のロビーを横切り、階段を登る。
「あっ…」
目の前のエリカが、ふらりと揺れた。
危ないっ!
俺は当然のごとく、エリカの背中を受け止める。
「大丈夫? 体調悪い?」
「ううん…ちょっと疲れちゃって」
「どうして?」
スキルの活性化の効力がなくなったから?
病気が再発したか!?
心臓がキュッと縮む。
「夜通し根室探してたら、くたびれちゃった」
お、俺のことを?
心臓がトゥンクと高鳴る。
ガコンッ。
自動販売機から、オレンジジュースのペットボトルが出てくる。
エリカはそれを取り出すと、キャップを外すことなく、手の中で遊ばせていた。
「飲まないの?」
「うん、口直しにとっとく」
「口直し?」
「ふふ…」と笑うエリカは、これから悪戯を仕掛ける子どものようだった。
「ところでさ、トウリくんが言ってた魔王って…」
チッ、あの野郎、こんな女神みたいな天使を魔王呼ばわりしやがって。
「確か、『時をかける第八王子は悪役令嬢に転生して武術を極めます ~あっさり魔王を倒したら女王になってくれと頼まれたがもう遅い! 私(俺)は拾ったエルフ娘とのんびり異世界スローライフを楽しむのでお引き取りを』に出てくる、魔王のことだよね?」
「え、なんでエリカがそれ知って…」
「知ってるよ。根室の愛読書でしょ。根室のことならいっぱい知ってる」
呆気に取られる俺に、エリカはドッキリ成功とばかりにニヤリと笑った。
自動販売機の明かりに照らされた笑顔が、俺の心を射抜く。
「ねえ、覚えてる? この病院」
そう言って、エリカは暗い廊下を歩き出した。
その背について行きながら、思い出す。
「エリカが、前の人生で入院してた病院、だ」
突き当たりの病室にたどり着いたエリカは、躊躇うことなくドアを引く。
中を覗くと、誰もいなかった。
エリカが入院していた部屋。
俺は、無人のベッドに近づく。ここでエリカは、浅倉に犯されて…。
トントン、と肩を叩かれた。
振り返ると、エリカが片手で俺の腕を掴み、もう片方の手を俺の頬に添えた。
て、天地投げか!?
「…んちゅ」
え? この唇はエリカの感触。
キスされた。え?
そして、あれ?
股間が熱い。フル勃起してる。
「大きくなったね」
ニコッと笑ったエリカが、あろうことか
「…んむっ…んれろぉ、ちゅろ…じゅぼ、じゅぼ、じゅぼ、じゅるるる…」
俺の弱い所を熟知した上で、いたわるような、それでいて激しく求めるような、そんな極上のフェラだ。
全神経が股間に集中し、全感覚でエリカの口内を感じる。
体が震えて、立っていられなくなりそうだ。
腰から尿道にかけて、何かがせり上がってくる感覚。力んで止めようとするが、無理だ。
「ううっ…エリカ…出るっ」
「ひぃよ、らひれ……じゅる、じゅろろろろっ」
精巣の中身まで吸い上げるような強烈なバキュームに、俺は音のない悲鳴を上げながら射精した。
思わずエリカの頭を掴み、ぐりぐりと股間に押さえつける。
エリカの喉奥目がけ、何度も精を発射した。
「んぐ」と苦しそうに呻きながらも、エリカは精液を飲み干す。
「…ぷはっ……うぇ、やっぱり不味いや」
エリカは、オレンジジュースのキャップを外し、ごくごくと飲み始めた。
俺は腰が砕けてしまい、ベッドに座ってしまう。
やがて、エリカが服を脱ぎ始めた。
エリカの艶めく肌が、形の良い膨らみが、美味しそうな秘所が、あらわになっていく。
そのあまりに蠱惑的な姿に、またも肉棒が剛直する。
「目の前で私が脱ぐの、好きでしょ? 根室」
はい、大好きです…。
俺は、さっきから目から涙がこぼれていた。
これは何の涙なのだろうか。
「私も、脱がせてあげる」
エリカは俺のTシャツに手を掛けると、ゆっくり脱がした。足元のジーパンとパンツものけられ、俺たちは全裸で向かい合う。
エリカに肩を優しく押され、俺はベッドの上に大の字になった。
エリカが、俺の二の腕にキスの雨を降らす。
唇が触れた所が、熱を帯びる。
「ちゅ…んちゅ…根室の腕、鍛えられてて、この手で触られるとね、いつもキュンとなるんだ」
エリカが、俺の胸板を撫で、顔を埋めた。
「根室の胸も、好き。ここに包まれると、安心する」
エリカが、俺の太ももや膝を揉んだ。
「私のところに、すぐ駆けつけてくれるこの足も…大好き」
一度、俺の肉棒にキスをしたエリカは、耳元まで顔を寄せてきた。
「ねぇ、上書き、して?」
俺の理性はすっ飛んだ。
エリカが何年も地獄を見ていたベッドで、俺はエリカを犯す。抱いて、抱いて、抱き潰す。
俺たちはぐるりと回転し、位置を交換した。
そのまま、月明かりで妖しく輝く裸体に、覆いかぶさった。
「エリカ、浅倉におっぱい吸われた? …れろっ、んちゅ、ちゅるちゅる…」
「んあっ…あ、あんっ…うん…いっぱい、吸われた…あふんっ、んんっ」
ならいっぱい吸ってやる。とびきり優しく。
舌で乳房全体を舐め回し、柔らかさを確かめる。乳首を転がし、時おり吸い上げた。
その度にエリカの背中が跳ね、愛しさが込み上げる。
「ここも、いじられた?」
俺はエリカのマンコに手を伸ばし、膣口に指を入れる。
「ふぁ、んっ……いつも、指で、乱暴に…あっ、や、ああんっ」
指だけか。なら俺はめいっぱいクンニで責めよう。
チュクチュクと膣内をかき混ぜ、ジュルジュルとクリトリスを吸えば、エリカは面白いように鳴いた。
「しっ…エリカ、声抑えて。他の病室に聞こえちゃうよ」
「う、うん……んゆっ、んむぅ…むり、根室、だめ…きもちくて…ん、んんんっ♡」
あーヤバい。もー無理。
「エリカ、挿れるね」
コクコクと頭を振るエリカにキスをしながら、俺は腰を埋めた。
ズブブブブッ…ズブンッ。
肉棒がエリカの柔肉をかき分けながら、一気に奥へ到達した。チンコを膣壁が包み込み、クニクニと愛撫してくる。
俺は、ゆっくり腰を動かした。
ズチュ…ズチュ…ズッチュ…ズチュッ…。
「んあっ…ん…きもちい♡ ねむろの…きもちいよ……あんっ…すき♡ ねむろ…すき、すきなの…」
これは夢だろうか。
いや夢でもいいや。
さっきからもう、ずっと射精してるような快感が、ずっと。
「う…やばい、イく、出るっ」
信じられないほどの快感が襲ってくる、予感がする。
ダメだ、これは夢じゃない。
今はスキルがない。任意避妊ができないぞ。
「いいよ、中に、だして…」
その言葉に、俺の堤防が決壊した。
洪水のような射精感に、全身が震える。
ドビュルルルルルッ、ドビュルルルルッ、ドビュルルル、ドビュルル、ドビュルル…!
「はあっ、あっ、ああっ♡ んっ、んんんんんっ―――― ――」
俺とエリカは、同時にイった。イき続けた。頭が狂ってしまうほどに、絶頂に襲われ続けた。
荒い息遣いが、病室に充満する。
「…ねむろの、まだでてる…よ、ふふっ…♡」
まだ出ているが。死ぬほど気持ちいいが。思考は少し落ち着いてきた。
束の間の賢者タイムだ。
つまり俺のターンだ!
聞かなければ。
特にさっきから、語尾にハートマークがいっぱい付いてる件!
「エリカ、一体どうゆう…ことなん?」
「ふふっ」と笑うエリカが可愛くて、また腰を振りそうになるが、我慢だ。
「たぶん、根室の能力が消えたから、私の能力で上書き…されたんだと思う」
エリカの……能力!?
あれ、エリカはただ、「私に起こる全部から、助け出して欲しい」と望んだはずじゃ…。
能力なんて、聞いてないぞ。
「ごめんね、根室。私、一つだけ根室に嘘ついた。私、もっとちゃんと、イメージしたんだ、望みを」
エリカが俺に嘘!?
それは許せないな。お尻ペンペンモミモミだ。
「どんなことを、望んだの?」
「私に起こる全部から、助け出してくれる、
そこは王子様、とかだろおおおぉ。
誰が守護霊やねん!
「でね、そんな守護霊様に、超人的な力を与えるのが、私の能力」
えっへん、と得意げな顔をするエリカはクソ可愛いが。
なるほど合点がいったぜ。
どうりでさっきエリカを助ける時、走って車を先回りしちゃったり、人んちの生け垣飛び越えちゃったり、人んちの自転車を軽々投げちゃったりできたワケだわ。
「やっと、私の望みが叶った。変な能力が消えて、大好きな根室が、守護霊様になってくれた」
そんな恋する乙女のような顔をされたら、俺も全てを許す他ないじゃない。
「多分トウリくんは、私の願いを叶えるために、用意された存在なんだと思う」
全てはエリカ(魔王)の手の平の上だったってことか。
姫島ハルも、俺も。
正直、エリカの祈りのパワーを舐めてたわ。もはや井戸に棲む長髪姐さんばりの、呪いと言っていいかも。
所詮、小さき者はどうあがいたって、大きな存在の前には無力なのだ。
まあ、あがくつもりなんて、さらさら無いんだけど。
「だからね…根室…」
顔を真っ赤に染めたエリカが、泣きそうな顔で見つめてくる。
あ、ダメ…。そんな顔されたら俺、心臓止まりそう。
「一度しか、言わないから…聞いてね?」
なんでそんな不安そうなの?
大好きな俺に否定されたらどうしようとか、思ってんの?
死ぬほど可愛いかよ。
「うん、聞くよ」
何を言われても、俺は全存在を掛けて肯定する自信があるよ。
「…お願い、もう私以外、見ないで」
理性が爆発した。
ここまでのお話を全面改稿し、書き下ろし要素をふんだんに加えた電子書籍1~2巻が好評発売中です!
『2度目の人生はクラスで一番可愛い彼女を抱き潰す』
【Kindle】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CXYBGV7K
【FANZA】
https://book.dmm.co.jp/product/4537512/b126afrnc01425/