【書籍化】エロチートを授かってタイムリープしたので、2度目の人生はクラス一の美少女を抱き潰す 作:月見ハク
ミキがタクシーを降りたのは、国内屈指の高級ホテル・ゴールドウィンホテルだった。
俺たちも急いでホテルに入ったが、すでにミキの姿はない。
もともとチェックインしていたのだろう。
仕方がないので、俺たちは待合ロビーのソファーに座り、入り口を見張ることにした。
もし春日ユキトが現れたら、こっそり後をつけて部屋を割り出す。
それがエリカの考えたプランBだった。
「エリカ、くれぐれも無茶しないようにね」
「……わかってる」
エリカが、いささかムスッとした様子で答える。
なんとエリカは、何度かミキを尾行したことがあるらしい。
一人で、真夜中に。
そんなことをタクシーで得意げに話すもんだから、俺は頭にきて、とりあえず一人で危ないことするなとキツく注意した。注意した上で、無理やり濃厚ベロチューの刑に処しておいた。
バックミラー越しに運ちゃんがチラチラ見てくるのもなんのその、最後のほうはお仕置きとか忘れて、エリカの唇をむさぼるのに夢中になった。
「もし春日が来なかったらさ、今日はこのホテルに泊まってセッ…」
「根室うるさい。見張りに集中して」
エリカは不機嫌そうに入り口を見つめている。
「へいへい」
適当に相槌を打ちつつ、俺も入り口をボーっと見つめる。
正直、春日には現れて欲しくない。
ミキには、数百億円分の仮想通貨やら金地金やらを譲ってある。
ネムの経営もV字回復した。
エロチートの力で病気も事前に根治させたし、今も体調が悪くなった気配はない。
そんであのルックスと中身だ。はっきり言ってイイ女だ。
男だって、よりどりみどりのはず。
前の人生のように、春日みたいなチャラ男に引っかかる要素も、麻薬にのめり込む要素もないはずだ。
だから。
どうか取り越し苦労であって欲しい。
「根室、来た」
俺たちの視界の先。
ホテルの入り口に、
マジで、来やがった。
春日はフロントの前を通り過ぎ、エレベーターホールへと向かう。
「根室、行こう」
エリカが俺の腕を引っ張り、春日の後を追う。
物陰から、エレベーターホールをのぞく。
春日は立ったまま貧乏ゆすりをしている。落ち着きのないヤツだ。
「私、ちょっと行ってくるね」
「俺もいく」
「ダメ。さすがに警戒される」
「チッ…絶対、無茶すんなよ。危なくなったらすぐ呼べよ。はいこれ付けて」
エリカに小型のマイクとワイヤレスイヤホンを渡す。
慣れた様子で装着したエリカは、帽子とマスクを外して春日のほうに歩いていった。
チーンという到着音がして、春日とエリカがエレベーターの中に消えていく。
俺はイヤホンごしにエレベーター内の様子を聞きながら、非常階段で上を目指す。
やがて、イヤホンごしにチーンと音がした。
エレベーターが止まったらしい。
扉が開く音がする。
『あの――』
エリカが、春日に声をかけたようだ。
どうやら一緒にエレベーターを降りたらしい。
『――春日ユキトさん、ですよね?』
『あ? 誰アンタ、週刊誌?』
思った以上にガラの悪そうな声だ。
確か前の人生では、半グレやらヤクザやら、裏社会とどっぷり関わってたとか報道されてたな。
腕っぷしも強くて、週刊誌で芸能人喧嘩自慢なんてくだらない特集を組まれてんのも見たことある。
そんでイケメン。
つまりクズチンピラだ。
『いえ、春日さんのファンです』
とてもファンとは思えないエリカの無機質な声に、ちょっと笑ってしまう。
『あ~まぁそっか、こんな記者いないわな。アンタ…高校生?』
『高校生です。握手してください』
『いいよ………アンタ、手、あったかいね』
殺す。
こいつエリカの手ニギニギしやがったな。
エリカのさらさらプニプニの肌撫で撫でして、勃起してるに違いないぞこのクズ…!
『あの、ここに泊まってるんですか?』
『あぁ? そうだよ。アンタは…家族旅行かなんか?』
『いえ、大学受験の下見で…一人で泊まってます』
『ふぅん…………じゃあ、あとで俺の部屋くる?』
『え、でもご迷惑じゃ…』
『ああ大丈夫大丈夫。今日は仕事の打ち合わせでさ、部屋に女の人もいるから安心してよ。旅行のいい記念になるんじゃない?』
『彼女さん…とかですか?』
『いやいや、仕事のアレだから』
『そう、ですか…なら、ぜひ』
『じゃあ後で連絡すっから、アドレス交換しよっか』
俺は、春日への殺意を抑えるのに必死だった。
しばらく非常階段で、フーフーいいながら呼吸を整える。
『根室、まさか屋上いないよね?』
イヤホンからエリカが話しかけてきた。
「いるわけないだろ」
『……ふーん、今日は真剣なんだね。で、今どこ?』
「非常階段に来て」
すると、上階のほうで扉が開く音がした。
あそこは25階…最上階か。
俺は非常階段を駆け上がり、25階の踊り場でエリカと落ち合った。
「エリカ、春日にエッチなことされなかった?」
エリカの手を握り、ソフトに抱きしめ、お尻を触る。
「今、されてる」
エリカはムッとしつつも、俺の痴漢行為を受け入れた。
***
非常階段の踊り場で、しばし待機する。
非常灯の下、二人しゃがんで春日からの連絡を待つ。
お互い無言だ。
もう、かれこれ72分30秒くらいは経っている。
俺は、なんだか落ち着かなくて、ずっとソワソワしていた。
エリカが、そんな俺の手をずっとサワサワしてくれる。
『ヤダナ~、メールキタナ~、コワイナ~コワイナ~』
テレビによく出てる怪談師の声が、暗い非常階段に響く。
「あ、音切り忘れてた」
エリカのメール着信音だった。
なんちゅーセンスや。
「春日から?」
「うん、2509号室だって」
「じゃ、行こっか」
非常階段から25階のエレベーターホールに入る。
俺はそこで一旦待機し、エリカが一人で廊下の先へ進んだ。
2509号室の前に着くと、コンコンとノックをする。
カチャリと扉が開いて、エリカが「お邪魔します」と言って中に入っていった。
『やーいらっしゃい。ジュースでも飲む?』
『ありがとうございます』
『そこのソファー座ってて』
『はい』
室内の反響や、歩いている感じから、相当広いスイートルームのようだ。
『はい、どうぞ。未成年だからオレンジジュースな』
『あの、お仕事関係の女の人って…』
『あ~なんか疲れたっつって、寝ちゃったみたいなんだよね』
『そうですか。ちょっと見ていいですか』
『は? あ、おいっ、ちょっと!』
スタスタ歩くエリカを、ドタドタと春日が追いすがる。
ガラガラ…と、おそらくベッドルームの引き戸を開ける音がして――。
『根室、きて』
俺は一瞬で2509号室の前に移動する。
念のため、廊下の天井にある監視カメラを睨み、機能を停止させる。
扉の電子ロックを見た瞬間に、ロックが解除される。
扉を開けると、ガゴンッと内鍵が引っかかったので、そのまま内鍵をぶっ壊して中に入った。
広いリビングルームに入ると、隣り合うベッドスペースの前にたたずむエリカ。
その肩を、春日の汚い手が掴んでいた。
「は? 誰おま――」
「てめぇこのやろおおおおお!」
俺の頭が沸騰する。
一瞬で春日の目の前に移動する。
ふと、エリカの視線の先――ベッドルームを、見てしまった。
ベッドに、全裸の女が寝ている。
そのそばには、注射針が転がっていた。
まさか。
まさかな。
「うぅ~ん…」
ベッドの女が、気だるそうに寝返りを打つ。
ふんわり開いた目が、俺を見つけた。
「あれれぇ、アラタくんがいる~?」
ろれつの回らないミキの声を聞いて、俺の理性がプツンと切れた。
ポコッと、頭にピンポン玉が当たったような感触。
見れば、春日がガラスの灰皿を持って、目を見開いていた。
「な…んだコイツ、かってぇっ…」
そりゃあネムロマンだからな。
というか、躊躇なく鈍器で頭ぶん殴れるとか。
うん、こいつは消えてもいいヤツだ。
俺は、右ストレートを繰り出す準備を始める。
「根室、ストップ!」
エリカの必死な声が、俺の脳髄に響く。
……ああ、分かってる。
今の俺が殴ったら、多分、こいつの体は爆発四散してしまう。
エリカの前で、そんなスプラッター映画みたいな光景は見せたくない。
いや、エリカは好きかもしれないが。
さて、どうすっかな。
うん…少し冷静になってきた。
ちなみにこの間、エリカが「ストップ」と言ってから0.1秒しか経っていない。
とりあえず、春日がもう一度俺に灰皿を振りかぶり始めていたので、その拳にデコピンをしてみた。
拳の骨が砕ける感覚。
むっちゃ気持ち悪い。
そしてまた、0.1秒ほど考える。
色々思案した結果、チンコを潰すくらいで許してやることにした。
なんとなくできそうな気がしたので、春日の股間を見つめる。
ブチュっと睾丸が潰れた感覚。
ふぅ、とため息をついて、体感時間を一般人レベルに戻す。
その瞬間、春日が「うぐぅ」とくぐもった声を発し、前のめりに倒れ込んだ。
泡を吹いて、ピクピクと気絶している。
「よし、根室よく我慢した」
エリカのお褒めの言葉を背中に受けながら、俺はベッドに駆け寄る。
「ミキ、大丈夫か!?」
「あれーやっぱりアラタく~ん? えへへへ~…」
目はトロンとしていて、顔は別人のようにゆるんでいる。
俺の知っているミキのどの顔でもなかった。
「アラタくぅん、会えてうれしいねぇ~」
しなだれかかってくるミキを、俺は受け止めることしかできない。
すると、背中に軽い体重を感じた。
いつのまにかエリカが俺におぶさっている。
「根室、急いで病院に連れて行こう」
「あ、ああ…そうだな」
「根室、飛べる?」
「うん」
俺はミキにシーツを被せ、お姫様抱っこをする。
ミキは、「んふふ~」と笑いながら、俺の胸にしがみついてきた。
そのままリビングに戻ると、外の夜景に向かって駆け出す。
バリィィンッ――!
飴細工のような窓ガラスが弾け、俺たちは宙に飛び出した。
重力に逆らうことなく、落下する。
25階分の窓の光が、一瞬で過ぎていく。
まばゆいガラス片とともに、俺たちはホテル裏手の森の中へ着地した。
ガラスが降り終わる前に、俺は地面を蹴って、再び空に舞う。
近くの高層ビルの屋上に着地すると、また次の屋上へ跳ねる。
俺たちは夜の街をピョンピョン飛びながら、行きつけの病院へ向かった。
***
暗い病院の廊下。
俺とエリカは、ミキの診察と治療が終わるのを待っていた。
またしても、お互い無言で。
ベンチではなく地面にへたり込んだ俺の手を、エリカがずっとニギニギしている。
俺たちがいるのは、診察室ではなく、まるで高級ホテルのようなVIPルームの前だ。
この病院は、ネムが間接的に経営に関わっている。
今、ミキを診てくれている医師も、昔からネムがパトロンになり、色んな無理を聞いてもらっている人だ。
口は固いだろう。
前の人生のように、ミキがマスコミに追われまくるようなことにはならないはずだ。
春日ユキトのほうにも、治療スタッフを回しておいた。
うん、大丈夫。
大丈夫だ。
「根室」
呼ばれて顔を上げると、エリカが俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめん。考えごとしてた」
「ううん、それはいいんだけど……聞きたいことがあって」
「なに?」
いつも、根室のことなんて全てお見通しだから、みたいな顔をしているエリカが、俺に何かを聞いてくるなんて珍しい。
とりあえず、何を聞かれても俺は「エリカを愛してるから」と答えよう。
「どうして、ミキさんをビジネスパートナーに選んだの?」
「それはエリ――」
ハッとして固まる。
エリカ関係ないやん。
どうして。
どうしてだっけ?
前の人生で、高校時代にはよくグラビアでその節はお世話になって。
30代でビジネスに成功するほどの商才の持ち主で。
いろいろと都合が良かったから?
いや……それだけじゃなかった。
確か、ミキのインタビュー記事を見たんだ。
「神」から369日後にタイムリープさせるって宣告があって、過去の出来事を勉強しているときだった。
週刊誌で「過去に成功したあの人は今」みたいな特集があって、そこに出家して頭を丸めたミキが載ってたんだ。
ミキは家庭環境が複雑で、ガキの頃から自分に自信がなくて、認められたくて色々頑張って、でもいつも不安で、何かに依存していないとダメだった……みたいなことを語っていた。
俺は、「結局仏様に依存してんじゃん、みじめ〜」なんてクソみたいな独り言を吐いた気がする。
でも、その時なぜか、タイムリープしたらミキをパートナーにしようと決めたんだ。
自己肯定感が低くて。
不満だらけなのに、どこかで幸せになるのが恐怖で。
いろいろ器用にこなすくせに、根本的に不器用で。
ああ、そっか。
「――俺に、似てたんだ」
俺は、独り言のようにつぶやいた。
「ふうん」
やや間があって、エリカが返事をした。
俺はまたしてもハッとする。
意味ありげに「俺に似てたんだ…」とか、エリカに言うことじゃないだろ。
俺は「でもエリカを愛してるから」と取り繕おうとして、やめた。
エリカが、興味深そうに、VIPルームの扉を見ていたからだ。
その顔には、嫉妬や敵意みたいなのが宿っていないように見えたから。
やがて扉が開き、部屋から医師が出てきた。
「根室様。ミキ様の診察が終わりました」
***
ミキは、ベッドの上でスヤスヤと眠っていた。
「ミキの容態は?」
「だいぶ過剰に摂取されてますね。死に至るほどではありませんが。ただ…」
「ただ…?」
「これまで何度も静脈血管に注射されてるようですね。ポンプって言うんですが、一度でも血管に注入すると依存性ってずっと残るんです。今後もミキ様からは薬物を遠ざける必要がありますね」
なんだよそれ。
薬物中毒者ってことか?
ミキがジャンキーってか。
笑えねー。
俺が黙っていると、空気を読んだらしい医師がVIPルームを出ていった。
俺とエリカで、ミキの寝顔を見つめる。
スヤスヤと、能天気な寝息を立てている。
「…いいよ、根室」
エリカに、謎の許可を出された。
「いいって、何が?」
「根室の変態能力って、病気とか治せるんでしょ? ミキさんのも、全部治してあげて」
「は、何言ってんの。それに俺、姫島ハルに能力消されて――」
「私が許す」
その瞬間、俺の下腹部が火を吹いたように熱くなった。
久々の「チート性器」の感覚だ。
意識を股間に集中させて、6つの機能を確認してみる。
1つ、分泌される精液は女に極上の快感を与える。
2つ、一度精液を体内に取り込んだ女は、その精液の虜になる。
3つ、分泌される精液は任意で避妊モードになる。
4つ、分泌される精液は女にとって美味になる。
5つ、分泌される精液は女の体を活性化させる。
6つ、性行為で女に痛みを与えない。
…全部戻ってら。
「戻った…」
「そっか。うん、やっぱりね」
エリカは、どこか諦めたような顔をした。
凄いな。
なんでもエリカの手のひらの上かよ。
そんな人生大歓迎だけど。
けど、この能力を戻したってことは…。
「いい…のか?」
「うん……根室がミキさんを抱くのは、どうやら私の願いを
「いやでも、俺はエリカだけを見るって誓ったわけで、エリカもそれを望んだから――」
「根室の」
「え?」
「根室の射精管理は、私がするから」
「はい?」
「ほら、行って」
トンと背中を押される。
なんでかそれに逆らうことができず。
俺はよろめきながら、ミキのベッドに歩み寄った。
背後で、ドアが閉まる音がする。
エリカが部屋を出ていったのだ。
わけがわからん。
わからんけど、なんとなく分かる。
エリカは多分、ずっとこうなることを予感してたんだ。
だから、屋上であんなに泣いて…。
それで、吹っ切ったんだ。
「…アラタ君?」
いつものミキの声がした。
見ると、いつものミキの笑顔があった。
「ミキ、元気か?」
「うん、元気だよー」
「そっか」
「うん。……ふふっ」
「どしたん?」
「いやね、アラタ君、ひっさしぶりに敬語やめてくれたなーと思って」
「ああ、そうだな」
「うんうん。やっぱりこっちのアラタ君のほうがいいなー。最近なんかよそよそしかったし?」
「まあな」
エロチートが消えて。
ミキがチートの支配から解放されて。
俺は、ミキとは他人として接することにしたんだ。
それが一番いいと思ったから。
「…アラタ君」
「うん?」
「愛してる」
「知ってる」
何年の付き合いだと思ってるんだか。
まったく。
「ねえ、アラタ君……気持ちいいこと、しよ?」
「…気持ちいいこと?」
「うん、私、知ってるんだ~魔法のお薬。ふわふわして、何でもできる気分になれるの。それで、すっごく気持ちいいんだよ? だからね…」
「うん」
「アラタ君の力でさ、なんとか…手に入れられないかなぁ?」
…全然いつものミキじゃなかった。
まったくこのバカ。
コロっとクスリの虜になっちまいやがって。
「はあぁぁぁぁぁぁっ~……」
俺は今世紀で一番大きなため息をついた。
まあ、俺は?
女と見れば見境なく腰を振るクズのヤリチンレイパーですし?
「ミキ」
「んー?」
「そんなん忘れるくらい気持ちよくするから、覚悟しろよ」
俺は、ミキに覆いかぶさった。