三次創作 ~あの娘たちの幸せはこれから先へーー~ 作:幻想猫
FGO世界のアリーシャは『これがわたしの聖杯戦争』で遠坂凛に救われた後の彼女。
ここでも召喚された際に起こった事故で生前を含めた今までの記憶を失くしてる。
わたしと女神のバレンタイン(アリーシャのバレンタイン、霊基第一・第二編)
イシュタルの場合
「……あれ?扉に何か挟まってる」
シミュレーションルームでの戦闘を終えた白髪の少女は自分の部屋へ戻ろうとしていた時、扉に何かが挟まっている事に気付いた。
「これって、手紙だよね?」
挟まっているものが手紙だとわかり、それを手に取った少女は中身を見る。
『 記憶喪失のアナタへ
深夜12時の食堂で待ってるわ
イシュタル 』
手紙の差出人はイシュタルだった。
「うん。いつも通りの時間だね」
約束の時間になるまで待ち遠しくなった少女は微笑んだ。
「あ、そういえば明日はバレンタインだっけ?」
明日がバレンタインである事を思い出した少女はある事を思いつく。それを考えながら彼女はベッドに向かい横になる。数分後には寝息を立てていた。
~数時間後~
「うぅ…今は何時……?」
目を覚ました少女は時計を見る。針は11時35分を示していた。
「早いかもしれないけど、行った方が良いかな?」
少女は洗面台で顔を洗って着替えた後、部屋を出て薄暗い廊下を歩きながら食堂まで向かった。食堂へ辿り着いた時、そこだけが明るい事に気付いた少女が辺りを見渡すと、椅子に座って彼女が来るのを待っているイシュタルの姿が見えた。
「イシュタルお待たせ!」
「あら、もう来たの?10分遅くても良かったのに」
イシュタルは少女が予定よりも早く来た事に驚いた。
「えへへ。イシュタルとの約束が待ち遠しくて仕方なかったから」
「嬉しい事を言うのね。それじゃ、今日は何を作るの?」
「そうだね。明日はバレンタインでしょ?だからパンケーキが作りたい!」
「バレンタイン……。そういえばそうだったわね。それにパンケーキか……。わかったわ。今から一緒に作りましょう!」
「うん!!」
話し合いの末、2人でパンケーキを作る事が決まった。少女がパンケーキの生地を焼き、イシュタルが彼女の作ったものに盛り付ける為の果物を切ったり、ホイップクリームに必要な材料を混ぜるなどの作業を行った。
「んぅ~!イシュタルと一緒に作ったパンケーキすっごく美味しい!!」
「当然でしょ?私とアナタが作ったんだから」
2人は満面の笑みでパンケーキを堪能する。
「……そうだ。アナタに聞きたい事があるの」
「聞きたい事って何?」
パンケーキを完食した後、真剣な表情でイシュタルは少女を見つめる。
「ここでの生活には楽しい?」
「楽しいよ!こうしてイシュタルと一緒にいられるし、ブーディカやキャット達と料理をしたり、他の英霊達から色んな事を学んだり出来るもの!」
「そうなの?楽しそうで良かったわ」
少女が心から楽しいと言っている姿を見たイシュタルは安心する。彼女は知っている。メディアが目の前の少女を快く思ってない英霊を集めて排斥を企んでいる事を。
「後もう一つ。隣のテーブルにあるパンケーキはどうするの?」
イシュタルが顔を向けた先には、たくさんのパンケーキがテーブルの上に載っていた。
「これの事?エレシュキガルやブーディカ達に会ったら渡そうと思ってるの」
「そうなの?(あぁ、だからたくさん作ってたのか)」
「みんな喜んでくれるかな?」
少女は不安そうな顔をする。
「アナタが一緒にいて楽しいって言った人達が、嫌そうな顔をすると思ってるの?」
「そ、そんなはずないよ!?イシュタルと一緒に作ったんだもん絶対喜ぶよ!!」
イシュタルの言葉を聞いて少女は全力で首を横に振る。
「ふふっ。明日が楽しみになってきたわね」
「うん!!」
こうして2人の時間は幕を閉じた。
だが少女達のバレンタインは始まったばかり。
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エレシュキガルの場合
少女はエレシュキガルを訪ねて扉を叩く。
「エレシュキガル!わたしだけど、入って良い?」
「アナタなの?開いてるから入って良いわよ?」
「わかった!お邪魔します!」
エレシュキガルから入室の許しを得た少女は彼女の部屋へ進む。
「良く来たじゃない。嬉しそうな顔をしてどうしたの?」
「ふふふ。はいこれ!エレシュキガルにあげる!今日はバレンタインだから!!」
そう言って少女は満面の笑みでエレシュキガルにあるものを渡す。
「あ、ありがとう。中を開けても良い?」
「うん!良いよ!」
エレシュキガルは机の上に少女から渡されたものを載せて中を開ける。その中にはたくさんの果物とホイップクリームが盛り付けられたパンケーキが入っていた。
「これってパンケーキよね?アナタ1人で作ったの?」
「違うよ?昨日の12時に食堂でイシュタルと一緒に作ったの」
それを聞いたエレシュキガルは少女と仲の良いイシュタルに対しやきもちを焼いた。
「ねぇエレシュキガル。一緒に食べよう?2人分の使い捨てフォークを持ってきたから」
「……良いの?」
不安そうに聞くエレシュキガルに対し少女は笑顔で頷く。
「……美味しい。食堂でいつも食べるデザートよりずっと美味しいじゃない!」
「本当!?良かったぁ。喜んでくれるか不安だったもの」
少女の喜ぶ姿を見たエレシュキガルは微笑ましい気持ちになる。それから暫くの間、2人は部屋の中で楽しそうに会話を弾ませる。
「あ、大変。そろそろシミュレーションルームへ行かないと!キャット達と戦う約束をしてたんだった!」
「もう行っちゃうの?」
「ごめんねエレシュキガル。話の続きはまた今度にするから」
そう言って少女はパンケーキに使った使い捨てフォークを持って部屋を出て行く。
「またね……」
エレシュキガルは小さな声で少女の背中を見送った。部屋で1人になった彼女は少し寂しい気持ちになる。
(そういえば、イシュタルやシトナイが言ってたわね。あの娘を危険視する英霊がいるって)
『エレシュキガル。メディアには気を付けなさい。あいつはあの娘の命を狙ってる』
『赤いコートを着てない方のシロウとあの娘を合わせない方が良いわ。絶対悪い事が起こるから』
エレシュキガルは彼女達の言葉と同時に、図書館で集まっていた少数の英霊が少女の排斥を企んでいる会話を偶然盗み聞きした事を思い出す。
(……っ。図書館にいた英霊達の話が本当だったとしても、あの娘を傷付ける訳にはいかない!)
エレシュキガルの中で、何があっても少女を守るという想いが強くなる。
「村正達にもあの娘の事を話さなきゃ。あの娘は絶対幸せにならなきゃいけないなのだわ!」
そう言ってエレシュキガルは真剣な顔で部屋を出て行った。
こうして彼女らのバレンタインは幕を閉じたのだ。
軽いキャラ説明
アリーシャ:記憶喪失の少女。髪の色はまだ真っ白で、これから赤くなっていく。イシュタルとエレシュキガルの事が好き。
イシュタル:金星の女神。他の英霊達に警戒されてるアリーシャの事が放っておけない。深夜によく一緒に料理を作る程仲が良い。
エレシュキガル:冥界の女神。アリーシャの笑顔が好きで、一緒に居るのが楽しいと思ってる。