俺は千雪と連れ立って、部屋にあるソファーへ腰掛ける。それから、隣に座った千雪に、牛丼の入った容器を手渡した。
「ありがとうございます」
千雪はそれを受け取って、蓋を開ける。途端に食欲を刺激する香りが、鼻腔をくすぐってきた。
「あっ……」
小さく呟いた千雪が、わずかに眉をひそめる。そして、そのまま俺の方へと視線を向けてきた。
「これ、つゆだくじゃないです……」
「えっ?」
不服そうに唇を尖らせながら、そんなことを言う千雪。
しかし、それも当然で、俺が注文したのは並盛り牛丼二人分。つゆだくに指定するのも可能だが、俺はそんなにこだわりを持っていないから、いつも通りに注文してしまった。
「私、つゆだくが好きなのに……。一緒に食べたのに、覚えていなかったんですか……?」
しかし、千雪は違う。彼女は、つゆだく牛丼派であり、それが至高だと主張していた。以前、千雪と二人で牛丼チェーン店に行ったとき、そんなことを語っていた気がする。
プロデューサーが担当アイドルの好みを把握できていないなんて、失態もいいところだろう。
たかが牛丼で、と笑われるかもしれないが、人と密接に関わる職柄、相手の嗜好を知っておくのも大事なことだ。特に女性——もとい恋人の場合は、より一層気をつけなければならない。
俺は慌てて弁明を試みようとしたが、まずは謝るべきだと思い、千雪に向かって頭を下げた。
「すまんっ! 本当に申し訳ないっ!」
しかし、反応は返ってこない。不安になって、恐る恐る顔を上げてみると、千雪は満面の笑顔でこちらを見つめていた。その瞳の奥に、どろりと濁ったものを感じて、背筋に悪寒が走る。
だが、それは一瞬のことだった。すぐに元に戻り、柔らかな微笑みを浮かべている。
「そんなに謝らなくても、大丈夫ですよ。私たちの仲じゃありませんか」
「……許して、くれるのか?」
「もちろん。それに、つゆだくじゃないのなら、つゆだくにすればいいんです……」
千雪の口角が、ゆっくりと上がっていく。それは、とても楽しげなものに見えた。
「ねぇ? 旦那さま……♡」
「あっ……!」
股間に感じた刺激によって、思わず声が出てしまう。見れば、千雪の手がズボン越しに男根をさすっていた。
「ふふっ、まだこんなに……♡ 準備はバッチリですね……?」
そう言って、千雪は妖艶に笑う。その手つきは、明らかに性感を高めるためのものだった。
「ち、千雪っ。つゆだくにするって、まさか……」
「はいっ♡ 旦那さまから出たおつゆで、牛丼をつゆだくにしちゃおうかなって……♡」
千雪は嬉々として言うと、こちらに身を寄せてくる。今度ばかりは明確に、彼女の意図を理解することができた。
つまり俺の精液を使って、つゆだく牛丼を作ろうとしているのだ。つゆは牛肉の煮汁から作られるし、精液もいわば出汁のようなもの。
あながち間違いではないのだが、それを理解した上でも抵抗がある。
しかし本心では、千雪に搾り取ってもらいたいと思っている自分もいて、どうしようもない気分になった。そもそも、これ以上性欲を抑圧すると、催眠深度がさらに上がってしまうだろう。
今なら催眠の成功率も高いから、千雪に命令を下すことも可能かもしれないが、催眠深度を下げるには俺の欲求を解消しないといけない現状、命令する意味をなさない。俺には選択肢など、もう残されていなかった。
「それじゃあ、服を脱いでいただけます?」
「ああ……」
抵抗する意思を失った俺は、千雪の指示を受け入れて脱衣を始める。ソファーから立ち上がってシャツのボタンを外し、ベルトを緩めて、ズボンとパンツを同時に下ろしていく。
やがて全裸になり、羞恥もなく勃起した肉棒を、千雪の眼前へとさらけ出す形になった。ここが事務所だろうがなんだろうが、今は千雪の言葉に従うしかない。
「わぁ、すごい匂い……! 硬く、そりたって……! それに、おちんちんの先から、おつゆが垂れちゃってますよ……?」
「うぐっ……」
千雪は、うっとりとした表情で俺の男性器を観察しながら、すんすんと鼻を鳴らしている。そして彼女に言われた通り、包皮の先から透明な我慢汁が漏れてしまっていた。
「んっ……。やっぱり、私の好きな味……♡ 牛丼と合わせたら、もっと美味しくいただけそうです……♡」
指先で先端に軽く触れてきたかと思うと、そのまま我慢汁のついた部分を舐め取る。
そして艶かしく感嘆の声を上げたあと、千雪は手に持っていた牛丼の容器を、そばのローテーブルに置いた。
「さあ、牛丼が冷めないうちに済ませちゃいましょう。そこのテーブルの上に、四つん這いになってください」
「わかった……」
俺は指示通りに動き、卓上で両手と両膝をつく姿勢になる。
成人男性が、女性の前で無様に尻を突き出しているという光景は、あまりにも滑稽だろう。
「ふふっ、ワンちゃんみたいで可愛い……♡ 私だけしか見ていないんですから、恥ずかしがる必要なんてありませんよ? 旦那さまがどんな姿になっても、私の想いは変わりませんから……♡」
千雪は、そんなこちらの様子を眺めながら、ゆっくりと近づいてきた。そして俺の尻の前にしゃがみ込むと、すりすりと優しく尻を撫でてくる。
「引き締まってて、男性らしいお尻ですね。でも、ここは柔らかい……」
「うっ……!」
言葉と共に、今度は肛門に指先が触れた。その瞬間、ぴくりと全身が震えてしまったが、千雪はそれを気にせず話を続ける。
「お尻の穴……アナル♡ 旦那さまは、アナルを触られたことってありますか?」
「そ、そんなの……あるわけないじゃないか……」
俺は言葉に詰まりながらも、正直にそう答える。幼児期のオムツ替えなどを除けば、他者に尻穴を触れられる機会などなかった。
「わぁ……! それなら、私が初めての相手ということになりますね! 旦那さまの初めてをもらえるだなんて、嬉しいなぁ……♡ 幸せな思い出として、消えないようにしっかりと、記憶に刻んであげますから……ね?」
千雪はそう言って、心底嬉しそうな声を上げる。その反応を見て、俺は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
「あの、千雪……? 一応聞くけど、何をするつもりなんだ……?」
「何って……決まってるじゃないですか。今から旦那さまには、アナルで気持ちよくなってもらうんですよ……♡」
「えっ……!?」
なんとなく予想していた答えだったが、それでも驚愕せずにはいられなかった。性知識の疎い処女の千雪からすれば、それは未知なる領域のはずなのだが。
「大丈夫です、心配しないでください。ちゃんと勉強してきましたし、最初は痛いかもしれませんが、すぐに慣れていきます。むしろ、病みつきになっちゃうかも……なんて♡ でも、私がそうでしたから、きっと旦那さまもそうなりますっ♡ だから安心して、身をゆだねてくださいね……?」
千雪は、俺の肛門に指の腹を押し当てる。そのまま、ぐりぐりと揉み解すように動かし始めた。
「んっ、くぅっ……!」
「ふふっ、ここも敏感なんですね。おちんちんもアナルと一緒に、ぴくぴくぅ〜って、跳ねちゃいましたよ?」
確かに尻穴への刺激と共に、肉棒の方にもむず痒い快感が伝わってきている。意図せず身体が動いてしまうのは、仕方がないことだろう。
「そうそう、これを移しておかないと……」
びくびくと震えている肉棒の下に、千雪が牛丼の容器を持ってくる。そこから立ち昇る湯気が肉棒に触れて、何とも言えない感覚をもたらした。
「ほら、見えますか? おちんちんのすぐ下に、牛丼があるでしょう? 今から旦那さまには、ここに沢山の白いおつゆを、注いでもらいます♡ ドロっとした、こゆぅ〜い精液を……♡」
「ううっ……!」
「でも、おちんちんには、一切触れませんから……。アナルの刺激だけで、絶頂まで導きます……! アナルでぴゅっぴゅしちゃう、立派な変態さんにしてあげるんです! 私と同じように……ねっ♡」
千雪はそう宣言すると、再び指先で肛門を刺激し始める。言葉どおり、決して陰茎に触れることはなく、ひたすらに尻穴だけを弄ってきた。
「んっ、んんっ……! あっ、くうっ……!」
「ああっ……♡ 旦那さまの、せつなそうな声……すごくいいです……♡ もっと聞かせてください……♡」
千雪が興奮した様子で呟いたあと、不意に尻穴への刺激が止まった。かと思えば、何か湿ったものが尻たぶに触れたような、奇妙な感覚を覚える。
そして、舐められていると理解した次には、肛門へと刺激が移った。
「はうっ!?」
「ふふっ、びっくりしました? 私にも最初、こんな風に舐めてくださいましたよね……♡」
思わず声が出てしまうほどの衝撃だった。まさか千雪は、尻穴に舌を這わせてきたのだ。
「き、汚いから、そこは舐めなくても……」
「汚いだなんて、そんなことないですよ? だって、愛する旦那さまの、お尻の穴ですもん……♡ それに私は、この匂いと味が好き……♡ 旦那さまの汗と混ざった、男性らしい野性的な香り……♡ おちんちんやチンカスとはまた違う、不思議な魅力を感じます……♡ はぁ……♡ 舐めるのが癖になっちゃいそう……♡」
千雪は俺の言葉を軽く受け流しながら、ゆっくりと尻たぶに口づけを繰り返す。ちゅぱっ、という音が響くたびに、俺は羞恥心を煽られた。
「だいたい、旦那さまがはじめに、私のアナルを舐めたんじゃないですか。あのときは、本当に恥ずかしかったんですよ?」
「そ、それは……」
「だからぁ……お返しにぃ……旦那さまのアナルをぉ……ぺろぺろしちゃいますっ♡ いっぱい感じて、たくさん気持ちよくなってくださいねぇ……? んっ……♡」
今度は尻に両手を添えると、ぐいっと左右に割り開いてくる。それから、その中心にある窄まりに吸い付いてきた。同時に、唾液をたっぷりと含ませた熱い舌が、ぬるりと侵入してくる。
「はむっ……! れろっ……! ぢゅるっ……♡ ちゅぷっ、れるっ……♡」
あまりの快感に、腰が砕けそうになる。しかし千雪は、それを許さないと言わんばかりに、しっかりと抱き留めながら、執拗に責め立ててくるのだ。
あの千雪が、アイドルの千雪が、俺のために尻穴を舐めてくれているという事実。それが俺の興奮を加速させ、さらに快楽を貪らせていた。
「はあっ……! あうっ! ああぅっ……!」
「んふふぅ……♡ かわいい声で鳴きますね……♡ きゅんきゅんって、お尻の穴も疼いていますし……♡ ふふっ、もっと可愛がってあげちゃおうかなぁ……♡ んっ……♡ れぇ……♡」
千雪の舌が動くたびに、身体の奥底から熱が湧いてきて、全身を駆け巡る。俺は握りこぶしを作って耐えようとするのだが、どうしても力が入らなかった。
ふと肉棒に目を向ければ、牛丼の上にだらだらと先走り汁が垂れていた。完全に勃起しても剥けきらない包皮の先端から、よだれのように溢れている。
あとで千雪に美味しくいただかれるためだけに、牛丼を子種で、つゆだくに仕上げなければならない。それが今の俺に与えられた使命だと、身体は確信しているようだ。
「んっ……♡ れぇ……♡ じゅるっ、ちゅうっ……♡」
千雪は汚れなど気にせず、一心不乱にアナルを舐め続けている。ざらついた舌の表面で腸壁を擦られるたび、肉棒も連動してびくびくと震えた。彼女に口淫されたときの感覚を、粘膜を通して思い出しているのだろう。
「れるっ……♡ んっ……♡ んんっ……♡」
下品な音を立てながら、何度も出し入れされる千雪の舌。確かな愛がなければ、決してできない芸当である。
俺が千雪のアナルを舐めたときは、お互いにシャワーを浴びたあとだったから、さして抵抗はなかった。だが今の俺の身体は、朝からずっと働き詰めで、一日分の汗と疲労を溜め込んでいる。
排便だって当然しているわけで、それに俺はウォシュレットを使わない派だ。つまりは、そういうこと。
知らないとはいえ、そんな状態でも千雪は、懸命に奉仕を続けてくれる。美しく整った穢れない顔を、下劣な欲にまみれた男の尻たぶに押し付け、穢れきった不浄の穴を、ひたすらに舐め回してくれる。
チンカスだらけの肉棒をしゃぶっていたときといい、千雪にはそういった行為に対する忌避感がないらしい。なら誰にでも、誰のでも、彼女はこうして舐めてしまうのだろうか。
……いや、きっと違うはずだ。俺だから、千雪はこんなにも献身的に尽くしてくれている。そう信じたい。そうであってほしい。
俺だって千雪の身体なら、どの部位でも舐められる。むしろ、積極的に舐めたいと思う。千雪が相手ならば、飲尿をするくらい、まったく問題ない。
だけど、他の女性……アイドル……。例えば、甘奈や甜花のものであれば、どうなのだろう。
彼女たちに対する好意の差を無視すれば、千雪に劣らず魅力的な女性だと感じる。
一生懸命レッスンを行ったあとの、汗だくになっている甘奈の蒸れた身体に、躊躇なく舌を這わせることができるのか。
ゲームに夢中になっていて、真夏なのに風呂に入らなかった甜花の身体を、舐めることはできるのか。
できる。できるのだ。千雪にするように、優しく丁寧に、愛情を込めて。俺は、千雪以外の女性にも、できてしまうのだ。
だとすれば千雪も、俺以外の男の汚物を舐められるということだ。それも、喜んで。蕩けきった雌顔を晒しながら、男根を頬張る姿さえ想像できた。
しかし俺は、千雪を責めることはできない。千雪への愛情は確かなものだが、他の女性に迫られると断りきれないかもしれないからだ。こんなにも受け身で、流されやすい体質なのだから。
もし、今の千雪のように、甘奈が情欲をぶつけてきたら? 千雪に催眠をかける前に、甘奈から告白されていたら、はっきりと断ることができたのだろうか。
……わからない。正直なところ、自信がなかった。
もしかすると千雪は、そんな俺の不安を見抜いているのではないか。だからこそ変態的な行為を強いることで、俺がふらふらしないように、釘を刺しているのではないか。
私しか貴方の欲を受け入れられないと。貴方しか私の欲を受け入れられないと。そんな共依存の関係に、なりたがっているのでは。人間なら誰しもが持つ独占欲を煽って、俺に執着させようとしているのでは。
だとしたら、それはなんといじらしくて、可愛くて、健気で、美しい愛なんだろう。
もちろんこれは、俺の突飛な妄想にすぎない。だが、この考えに至った途端、全身がぞくりと震えた。千雪が俺のためだけに身体を張ってくれているという仮定に、たまらなく興奮してしまった。
そして同時に、千雪に対して申し訳ない気持ちにもなった。彼女の献身を裏切ってしまうのではないかと、怖くなった。
千雪は俺のことを、心の底から好いてくれている。その事実は、もう疑いようもない。
けれど、それは催眠アプリによって、無理矢理引き出された感情だ。背信行為とまではいかないにしても、不義であることに変わりはない。
千雪の想いに報いるためには、自身への戒めとして、催眠が解けるまで彼女との情事を拒むべきだ。わかっていながら、俺はそれをしなかった。できなかった。
俺の本心は、千雪との性行為を望んでいるから。それに催眠深度という、欲望の解放を後押しする免罪符がある以上、歯止めを利かせることなど不可能だった。
「んっ……♡ んっ♡ んっ♡ んんっ♡」
俺があれこれ考えている間も、千雪の奉仕は一秒たりとも中断することなく、むしろ激しさを増していた。送られてくる快感に身を任せれば、不安要素などすぐに頭から消え去ってしまう。
千雪は、俺のことだけを想ってくれている。だから、俺も余計なことは考えずに、千雪だけを見ていれば良い。それだけで、お互い幸せになれるんだ。そう自分に言い聞かせながら、快楽に溺れていく。
しかし、アナル舐めは気持ちいいものの、射精に至るほどではない。そして、ただでさえ敏感な部位を刺激されている上に、絶妙に焦らすような舐め方なのだ。
千雪は、アナル責めだけで俺を絶頂させると言っていたが、俺にとっては寸止めの状態が続いているだけだった。それを千雪が意図しているのかはわからないが、とにかくもどかしくて仕方がない。
「はあっ……! はあっ……! ち、千雪……! もうっ、もういいからっ……!」
「……ふふっ、そうですね。とりあえず、ここまでにしておきましょうか……」
俺が涙声で懇願すると、千雪は奉仕を止めて口を離してくれた。その最中、名残惜しそうに尻穴へ息を吹きかけられ、背筋がぞくりと粟立つ。
「旦那さまのなら、いくらでも舐め続けられますけど、今はお射精してもらうのが、最優先ですし……。それじゃあ、しっかりとアナルがほぐれたところで、いきますよ……? えいっ……!」
「うぁ……!」
興奮冷めやらぬまま、ふたたび尻穴へ侵入してくる感覚が襲ってくる。先ほどの舌とは違う何かが、ゆっくりと挿入されていく。
舌では届かない奥まで入り込んでくるそれは、おそらく指だ。細くてしなやかな千雪の指が、直腸を押し広げながら進んでくる。
「痛みはないですか? 濡れてますし、ちゃんと爪は切ってますから、大丈夫だと思うんですけど……」
「あ、ああ……」
千雪が心配そうな声で問いかけてきた。それに対し、俺は生返事をすることしかできない。それくらい、余裕がないのだ。
痛みは無いけど、それでも異物感は拭えない。舌よりも長いそれが、前よりも深いところにまで届いており、未知の感覚に恐怖すら覚えてしまう。
しかし、その感情を、千雪には悟られないようにした。
俺は彼女の尻穴に、おのれの我欲にしたがって、指よりも太い肉棒を突き入れた男だ。その際、千雪が順応してくれたから良かったものの、もし傷つけていたらと思うと、ぞっとする。
だから、指程度で弱音を吐くわけにいかない。女性の前では強がりたい。そんな安っぽい見栄が、俺を支えてくれていた。
「よかった……。それでは、このまま続けますね。今から指先で、旦那さまのツボを探っていきますので、変な感覚があったときは、私に教えてください」
千雪はそう言って、指先を軽く曲げたりしながら、腸内を弄り始めた。
トントンと何回かノックするように叩かれた後、今度はぐいっと押し込まれる。そのたびにビクビク反応してしまう俺を見て、千雪がくすくすと笑うのだ。嘲笑されているわけではなさそうだが、少し恥ずかしい。
「おっ……!」
やがて、あるポイントを突かれた瞬間、強烈な快感に襲われた。これまでとは段違いの衝撃に、思わず悲鳴に似た声が出てしまった。
「ふふっ、見つけちゃった……♡ ここなんですね……?」
千雪は俺の反応を見逃さず、そこを重点的に責め始める。最初は小刻みに、次第に大胆になり、最終的にはぐりぐりと力強く押された。
「おおっ……! んぉっ……! そっ、そこっ、はぁっ……!」
「はい、前立腺ですっ! 男性にしか無い、とっても気持ちよくなれるところらしいです……♡ ネットで調べたものだから、本当なのか心配でしたけど、ちゃんと感じられるみたいで安心しました……」
話で聞いたことはあったが、体験するとこんなにも凄まじいと思わなかった。射精感とは別の意味で、身体がおかしくなりそうになる。
肉棒は肉棒にしか、乳首は乳首にしか快感がいかないが、前立腺の場合は全身に快楽が走るのだ。自然と腰が浮いて、足先がピンッとのび、頭の中が真っ白になる。
これがドライオーガズムというやつだろうか。射精をしていないのに、絶頂を迎えているかのような錯覚に陥ってしまう。
だが、射精と違って、絶頂後の余韻が無い。むしろ、どんどん気持ち良くなっている気がして、怖くなる。この状態がずっと続くなんて、とても耐えられそうにない。
「は、はっ……はひっ……! や、やめっ……!」
「ん〜? ……ふふっ、だぁ〜めっ♡ まだ始まったばかりじゃないですか……♡ これからがいいところなんですよ……? それに、ぴゅっぴゅもしてないのに、止めるわけがないでしょう……?」
俺がどれだけ情けなく懇願しても、千雪は指の動きを止めてくれない。むしろ、さらに激しく動かしてくる始末だった。
女性の細指一本で翻弄される俺の姿は、さぞかし滑稽にうつるだろう。しかし、今の俺はそれどころではなかった。内側から与えられる刺激が強すぎて、何も考えられないのだ。
脳みそが蕩けて、馬鹿になってしまいそうなほど、強い快感が襲ってくる。今までの人生で味わってきたどんな性行為よりも、気持ち良いかもしれない。
「あはっ……! いいっ、いいですっ……! もっと鳴いて、喘いで、乱れてください……! 女の子みたいに穴をいじられて、震えながら感じている姿、とっても素敵です……♡ 私しか知らない旦那さま……私だけの旦那さま……♡」
「むっ、むりぃ……! こわっ、こわれ……るぅ……!」
「はいっ♡ 壊れちゃってください♡ 旦那さまが壊れても、私がお世話するので大丈夫ですよ……? 私の愛で、何度でも補修してあげますからね……♡ ふふっ……♡ だからぁ……はやく出しちゃえっ♡ お尻の穴だけでイっちゃう変態さんになっちゃえ……♡ えいっ、えいっ……♡」
遠慮など知ったことかと、執拗に前立腺を弄られて、そのたびに視界がチカチカと点滅し、意識が飛びそうになる。理性などとうに吹き飛んでおり、もう自分が何を言っているのかすら分からない。
もはや今の俺は家畜。千雪の愛玩動物であり、彼女が牛丼を美味しくいただくために汁を吐き出す肉牛。獣のような喘ぎ声が漏れ出るのも、当然のことなのだ。
「うぅ……あううぅっ……!」
そして、より一層強く前立腺を押し上げられたとき、尿道を熱いものが駆け上っていく感覚を覚えた。
それは勢いよく飛び出していくのではなく、ゆっくりと時間をかけて放出されていく。確かに射精しているのだが、射精とはまた違った長く続く快感に、俺はただ身を任せることしかできなかった。
「わぁ……! おちんちんの先から、白いのが出てますよぉ……! とぷとぷぅ〜って、溢れてきてます……! 本当に前立腺を触るだけで、お射精できるんですねぇ……」
俺が吐精する様を見て、感嘆の声を上げながらも、千雪は指の動きを止めることはない。
通常なら射精している最中に責められると、快感よりも不快感が増してくるものだが、今はそんなもの微塵も無かった。むしろ、もっとしてほしいとさえ思ってしまう。
前立腺を弄られることによって得られる快楽は、想像を絶するほど凄まじいものだった。壊れた蛇口のように、いつまでも精液を垂れ流してしまう。
そして、だらだらと牛丼の上に落ちる白濁とした液体を眺めながら、俺は脱力してテーブルへと突っ伏してしまった。もう、心も身体も限界だった。
「あはっ! とんとんってすると、いくらでも出てきますね……! お肉が見えなくなっちゃうくらい、たっぷりと注がれてますっ……! 旦那さまの愛が、こんなにもたくさんっ♡ とっても美味しそう……♡」
しかし、それでも千雪は、俺の身体に快楽を与え続ける。手に取ったおもちゃを手放さない子供のように無邪気に笑いながら、俺の尻穴をひたすらに虐め続けた。
二十代前半ながら大人な女性と思われがちで、283プロに所属しているアイドルの大半が未成年であることから、本人もそうあろうと努力をしている千雪だが、内面は実のところ十代の少女に近い。
それは、彼女のプロデューサーだから分かることだ。アイドルという仮面を脱いだ素の桑山千雪は、初恋に浮かれる少女となるのだろう。
今まさに彼女は、それを発揮していた。普段は優しいお姉さんを演じている分、こういうときに反動が出てもおかしくない。
俺だけが知っている千雪の姿に、胸の奥が熱くなる。性行為をしている間は、彼女を独占しているという実感を持てるのだ。
だが——
「えっ……ええっ?」
俺の前方から、素っ頓狂な声が聞こえてきた。一瞬、千雪の声かと思ったが、すぐに違うと気づく。
なぜなら、千雪は俺の後方に居て、今も尻穴に指を入れっぱなしだったからだ。そもそも事務所には、俺たち以外誰もいないはずなのに、いったい誰が。
「はづき……」
後ろから千雪の声が聞こえると同時に、俺がゆっくり頭を上げると、そこには見覚えのある人物が立っていた。
「プ、プロデューサーさんっ……。なんで、裸……? それに……千雪も……」
部屋の入り口で、ドアノブに手をかけたまま立ち尽くしているのは、事務員のはづきさんだった。
いつもは柔和な笑みを崩さないが、今は目を見開いて驚いている様子。
それもそのはずだ。仕事場である事務所で、同僚の男が全裸で行儀悪くテーブルの上に四つん這いになっていて、その男に尻を向けられている友人の女性。修羅場としか言いようがない光景が、広がっているのだ。
「……どうしたの、はづき。忘れ物でもしちゃった?」
この状況で冷静に言葉を紡ぐのは、千雪だった。普段通りの落ち着いた口調だが、どこか冷たい印象を受ける。
俺は身動きもできずに、ただ二人の様子を伺うことしかできない。
そして、そんな俺の尻に、千雪の指が突き刺さっているのを見たのだろう。はづきさんは、さらに困惑の表情を浮かべていた。
「……どうなの?」
「え、えぇっと……。私はただ、プロデューサーさんの仕事を、お手伝いしに……。さすがに徹夜させるのも、可哀想かなって……だから……その……」
はづきさんは、いつになく歯切れの悪い言葉を口にしながら、俺と千雪の顔を交互に見たあと、視線を床へと落としてしまった。
「そう。でも、私がプロデューサーさんと二人で片付けるから、大丈夫よ」
「そ、そっか……。そうすると私は……お邪魔かしら……?」
「うーん、お邪魔かなぁ……?」
「……うん、だよね。じゃあ、あとは恋人の二人で、しっぽりどうぞ〜……なんて。し、失礼しますね〜!」
千雪との問答の後、はづきさんは逃げるように去っていった。
そうして残された俺と千雪の間に、気まずい沈黙が流れる。つかの間の出来事だったが、あまりに衝撃的な展開だったため、まだ頭の中が整理できていなかった。
「見られちゃったなぁ……」
そんななか、最初に口を開いたのは千雪のほうだった。その声色は焦っているというより、どこか怒気を含んでいるような気がする。
「……ああ。でも、見られたのがはづきさんだったから、まだ良かったんじゃないか? 俺たちの関係を知っているし、言いふらすこともないだろう」
実際、はづきさんは真面目な女性だし、口も堅い。痴態を見られたのは恥ずかしいことではあるが、火が燃え移ることはないはず。
そう思っての言葉だったのだが、なぜか千雪は嘆息して、納得できないといった様子だ。
「違うんです……。誰だろうと、旦那さまのこの姿を見られるのは嫌ですっ……! 私だけのものなのにっ、私しか知らないからこそ、意味があるのにっ!」
「はうっ……!」
珍しく感情的になった千雪が、俺の尻に指を立てる。爪を切っていなかったら、血が出てもおかしくないほど強く。
それから尻穴に挿入したままの指を、ふたたび動かし始めた。終わったと思っていた行為が再開されたことに、思わず驚きの声をあげてしまう。
「こうなったら、もっと情けない姿になってもらわないと……! はづきの記憶に残った旦那さまよりも、もっともっとダメにしてさしあげます……!」
鬼気迫る勢いで、千雪は声を荒げた。そして、これでは足りないとばかりに、もう一本指を入れようとしてくる。
新たに加わった異物感に、俺は背筋が凍るような感覚を覚えた。千雪の細い指とはいえ、経験の浅いうちに二本ともなると、かなりの圧迫感がある。
このまま続けられたら、尻穴が壊れてしまいそうだ。だが、千雪に責められることに慣れてしまった俺の身体は、彼女の指を拒むことができない。痛みや不快感すら快感に変えて、全身にじわじわと気持ちよさが湧き上がってくるのだ。
はづきさんに痴態を見られたことで、ある種の一線を越えてしまっていたのかもしれない。歪曲した性癖が開花してしまったのか、それとも初めから持っていたものなのか。どちらにせよ、もう歯止めが効かなかった。
「や、やめっ……てぇ……!」
俺の口からは、絞り出したようなか弱い声が出る。しかし、その言葉と裏腹に、身体は尻を千雪に突き出して、さらなる刺激を求めていた。
嫌よ嫌よも好きのうちとはよく言ったもので、今の俺はまさにそれだった。女性に適用される表現だろうに、男の俺が使ってしまっている。それほどまでに、俺の理性は崩壊していたのだ。
「ふふっ、こぉんなにお尻を押し付けながら、かわいい声でおっしゃっても、説得力ないですよ〜? 旦那さまのアナルは、離れないでぇ〜って、きゅんきゅん締めて来てますし、おちんちんもぴくぴく跳ねさせて……♡ もう、素直じゃないんだからぁ〜♡ えいっ……♡」
もちろん、千雪もそんなことは百も承知だ。俺の反応を見て止めるわけもなく、くすくすと嗜虐的な笑い声を上げつつ、執拗に前立腺を弄ってくる。
そして同時に、尻たぶに添わせていた手を、肉棒のほうへと移動させた。震えっぱなしのそれを握り込むと、ゆっくり上下に擦り始める。
「おちんちんには触らないって言いましたけど、もうアナルでお漏らしさせたから、いいですよね……? ふふっ……♡ おちんちんもお尻と一緒に、いい子いい子しましょうねぇ〜♡」
射精後の余韻に浸っていた男根と前立腺を同時に責られると、あまりの快楽に意識を失いそうになった。しかし絶え間なく襲い来る刺激によって、強制的に覚醒させられる。
くちゅくちゅと鳴る卑猥な水音が、脳をかき混ぜる音のように聞こえてきて、思考力がどんどん奪われていく。
もう千雪にされるがまま、ただひたすらに喘ぐことしかできなかった。
「はあっ……あっ、あぁ……!」
「ふふっ♡ その調子ですよ〜♡ 旦那さまはぁ……千雪だけのものなんだぞってことをぉ……しっかり教え込んでさしあげますねぇ……♡」
情けない声が漏れ出るたび、千雪は嬉々として指の動きを激しくする。
指で作った輪っかでカリ首を重点的に責めてきたり、根元から先端へと絞り上げたり、ときには揉みほぐしたりと、緩急をつけながら巧みに愛撫してきた。
「中から前立腺を叩かれてるのに、よわよわな先っぽまでいじめられたら、気持ちよすぎて、おかしくなっちゃいますよね……? でも、それは怖いものじゃなくて、幸せなことなんですよ……? 旦那さまは今、幸福の絶頂に至ろうとしているんです……。私の手で、私だけが与えてあげられるものによって、満たされようとしているんです……♡ だから、裸で何一つ身を隠せない状態のまま、私の愛を受け止めてください……♡ 旦那さまの恥ずかしいとこ、ぜぇ〜んぶ見せてください……♡」
千雪は甘くささやき、男根を扱く速度を上げた。潤滑油にまみれた包皮が、滑らかに亀頭の上を滑っていく。
粘膜には直接触れられていないけど、敏感すぎる箇所への刺激は、それでも十分すぎた。そして前立腺を押されれば、下半身全体が痺れるような快感に襲われる。
当然そんなことをされると、俺の我慢など一瞬で終わる。湧き上がる射精欲に身をまかせて、欲望を解放させるしかなかった。
「あがっ……! ……あぁ?」
しかし、確かに射精しているような感覚があるのに、実際には何も出ていない。ドライオーガズムとは違う感覚なので、これが噂に聞く空イキというものだろうか。
気持ちというより、辛い、苦しい。男の性欲は射精することで発散されるものなのに、それができないというのは拷問に近い。
寸止めとも違うのは、脳が射精したと錯覚していることだろう。だが実際には出ておらず、愚息はいつまでも射精を渇望してしまうのだ。
「……ん〜、こんなにぴくぴく気持ちよさそうにしてるのに、どうして出ないんでしょう……」
千雪は不思議そうに呟いた。
たとえ女性でも、精液が枯渇しているからと分かりそうなものだが、俺が一度の性行為で何回も射精しているのを見ているせいか、そういうところまで頭がまわっていないらしい。
もう打ち止めだと言葉で伝えようにも、口がうまく動かない。出てくるのは、意味をなさないうめき声だけだった。
「もしかして、我慢してます? それとも、刺激に慣れちゃいました……? ……じゃあ、もぉ〜っと強くしてあげないと……ですね?」
俺が何も言わないことを、千雪は別の意味で解釈したようだ。妖しい声色で囁くと、男根の包皮を一気に剥いて、露出した亀頭を手のひらで包み込んだ。
「ひっ……!」
唐突に剥き出しの弱点を握られ、俺は息が詰まるほどの衝撃を受ける。今まで感じたことの無い、痛みすら覚えるほど鋭い快感が走り抜けた。限界を超えた快感は、苦痛にしかならない。
それでも千雪の手は止まらず、そのまま容赦なくごしゅごしゅと扱く。
前立腺も変わらずに責め立てられているので、俺は狂ったように悶絶することしかできない。
「くふふっ♡ 気持ちよすぎて、言葉も出ませんか〜? いいんですよ、かわいい喘ぎ声を聞かせてくれるだけで……♡ 私には、それで十分伝わりますからぁ……♡ 旦那さまの身体が、叫んでるんです……♡ もっと、もぉ〜っといじめてぇ〜って♡ だぁいすきな千雪に、おちんちんもお尻も、ぜぇんぶ壊してほしいんですよねぇ……♡ よしよし……♡ ちゃんといい子にしていたら、たっくさん可愛がってあげますからね〜♡」
ねっとりと甘くささやかれ、背筋がぞくりと震えた。千雪の声色は優しく、まるで子供をあやす母親のようだった。
しかしその実、言っていることは真逆。俺のことを、徹底的に屈服させようとしているのだ。
その動力源は、はづきさんへの嫉妬心だろう。痴態を見られただけで、ここまで昂らせてしまうとは。もし浮気などしようものなら、どうなるのか想像もつかない。
そして同時に理解する。この狂気じみた愛情は、もはや病的ですらあると。しかし、そんな恐怖も、今は快楽によって押し流されてしまう。
「いい子なら、私の言うことが聞けますよね〜? お尻とおちんちんをいじめられながら、ぴゅっぴゅ〜って、できるよねぇ〜? 私が見てきた旦那さまの、どのお射精よりも、もっともぉ〜っと情けない、本気のお漏らし……♡ 見せて欲しいなぁ……♡」
とんでもない要求に戦慄するが、今の俺に拒否権はない。しかし、無い袖は振れないように、出せないものは出せなかった。砂漠をいくら掘ったところで、水が出てくることはないのだ。
「旦那さまなら、きっとできます……♡ 私がこんなに愛してるんだもの……♡ だからぁ……頑張ってください……♡ ほぉ〜ら、がんばれっ♡ がんばれ〜♡ お射精っ♡ お漏らしっ♡ ぴゅっぴゅだぞ〜♡ えい♡ えいっ♡ えいっ……♡ しこしこっ♡ とんとんっ♡ ぴゅっぴゅっぴゅ〜♡」
千雪の加虐的な奉仕と、被虐心を煽る応援を受けて、それに応えようと尿道がぱくぱく開き始め、何かが上がってくる感覚があった。煮えたぎった欲望が、出口を求めて駆け上ってくる。
でも、射精というより、これは——
「あぁ……! あああぁぁっ……!」
次の瞬間、ぷしゃあっと勢いよく液体が噴き出した。それにともなって尻穴がきゅうっと締まり、千雪の指を食い締める。
この放尿にも似た感覚は、紛れもなく潮吹きだった。前に経験したときよりもずっと長く、強烈な解放感と爽快感がある。
「わあっ……! 潮吹きっ! じゃぶじゃぶ出てる……! おちんちんがビクビク震えて、アナルの締め付けも一段と強くなって、とっても気持ちよさそう……♡」
狂おしいほどの絶頂の証を見せたことで、 千雪は満足したようだ。嬉々として感想を述べているが、俺はそれどころではない。
それから、永遠に感じられるほどの長い快感が過ぎ去り、俺が脱力してテーブルに突っ伏すと、ようやく千雪は尻穴から指を引き抜いた。肉棒を絞っていた手も、ゆっくりと離される。
圧迫感が無くなるとともに、それ以上の喪失感を覚えてしまい、ぽっかりと空いているのが見なくてもわかるほどに、俺の肛門はヒクついていた。
「ふふっ、たくさん出せましたねっ! 上手にお射精できて、偉いですよ~♡」
あれほど加虐的に責め立ててきた千雪は、一転して聖母のような慈しみに満ちた声色で褒め称えてくる。社会人になって肯定されることが少なくなった今では、その言葉が身に染みて嬉しく思えてしまう。
「旦那さま……? 見てください、ほら……」
いつの間にか俺の正面へ回ってきた千雪が、そう呼びかけてきた。俺は未だ回復しやらぬ身体に鞭打って、おもむろに顔を上げる。
「旦那さま特製つゆだく牛丼が、出来上がりました〜! ドロっとした精液と、瑞々しい潮がたっぷりかかってて、とぉ〜っても美味しそうですねぇ……♡」
そこには、満面の笑みを浮かべた千雪の顔があって、手に持った牛丼の容器を誇示するように掲げている。
彼女の言う通り、どろりと濃厚な白濁汁と、透明なさらりとした汁が具に絡みつき、淫猥な雰囲気を醸していた。それは、つゆだく牛丼というより、チーズ牛丼と表現したほうがしっくりくる見た目だ。
どちらにせよ、まったく美味しそうには見えないが、彼女にとってみれば違うらしい。
「それに……んっ……♡ 手に旦那さまの匂いが、染み付いちゃってます……♡ はむっ……れろっ……ちゅばっ……♡」
千雪はテーブルの上に容器を置き、それから俺の尻穴に挿れていたであろう指を、まるでフェラチオのように舐め始めた。余すことなく味わおうと、丹念かつ情熱的に舌を動かしている。
それが終わると、今度は竿を握っていた手のひらを、鼻先に押し付けるようにして嗅ぎ始める。精液と我慢汁の混合臭が、千雪の興奮をさらに高めていくようだった。
「ふふっ……♡ もう我慢できないので、メインディッシュを、いただいちゃいますねぇ……♡」
あらかた堪能し終えたのか、千雪は名残惜しそうに口から手を離し、箸と容器を手に取った。そして卵の白身のように白くヌメついた精液を、肉や米にしっかりと混ぜ合わせてから、箸で飯をすくう。
それには、ドロっとした粘着質の糸が引いており、いかにも食欲を削ぐ見た目をしていた。しかし、千雪はそんなことは気にせず、大きく口を開けてぱくりと一口。
「んっ……んんっ……♡」
見せつけるように俺の目の前で何度も咀しゃくし、飲み込んでみせる。
今しがた出したばかりの汚物と言えるものが、千雪の喉を通っていく光景に、俺は背徳的な悦びを感じてしまう。
そのまま千雪は、箸を休めることなく、どんどんと食べ進めていく。言葉を発さずに夢中になって牛丼を頬張る姿からは、幸せそうな雰囲気が滲み出ていた。
その表情は、俺の肉棒を頬張っているときと同じだ。目尻を蕩けさせた雌顔を晒しながら、愛おしそうに奉仕してくれているときの、幸福感に満たされた千雪のそれだ。以心伝心とでも言えばいいのか、言葉にしなくても愛されていることが伝わってくる。
愛情は、深く重く濃密になるほどに、変態的で狂気的になり得るのだと、俺はこの短期間に思い知らされた。それは性行為に結びつけることで、さらに加速するのだとも。
「んくっ……はぁ……♡ ふふ、ごちそうさまでした! とっても美味しかったですよ、旦那さまっ♡」
千雪は最後のひとくちを飲み込むと、満足げな笑顔を見せた。
そして米粒ひとつ残さず綺麗になった容器と割り箸をテーブルに置き、改めて俺の方へと向き直った。
俺はというと、未経験の尻穴を激しく責められ、限界まで絞られたせいか、全身に力が入らず、いまだ四つん這いで突っ伏したままである。
「……あら、動けないんです?」
「あ、ああ……」
「あはっ♡ 腰が抜けちゃうくらい、気持ちよかったんですね……?」
俺の無様な姿を眺めて、千雪はくすりと微笑んだ。それから、俺を優しく抱き起こし、ローテーブルの端に座らせてくれる。
俺は情けないことに腰が抜けて、彼女に支えられなければ、まともに立ち上がることもできなかった。身体中が疲労困憊で、特に下半身は感覚が鈍くなっている。
「おちんちんも、泣き疲れて萎んじゃってます……♡ 私のために頑張ってくれたんだから、ねぎらってあげないといけませんね……?」
俺の前にしゃがんだ千雪が、すっかり萎えている竿を摘み、すりすりと指先で亀頭を撫で回しはじめた。それは快感を与えるのではなく、あくまで労るような手つきだ。
「こんなに弱々しくなって……♡ よしよ〜し……♡ 旦那さまのここは、いつも素敵ですけど、今日は特に格好良かったですよ……♡ 私のことを想って、潮吹きまでしてくださったんだもん……♡」
潤滑油たっぷりのローションまみれになっているような、ぬるりとした優しい刺激が心地良い。
普段なら、そんなささやかな触れ合いにも過剰に反応してしまい、俺の意思とは関係なく勃起してしまうのだが、節操のない愚息もこれ以上は無理だと感じているのか、許してくれと言わんばかりに萎えたままだった。
「ただ、お漏らしするときの、旦那さまの表情を見れなかったのが、ちょっと残念です……。きっと、とろっとろに蕩けた顔で、恥ずかしそうにしてたんでしょうねぇ……♡ いつもは凛々しくて、頼りになるプロデューサーさんが、赤ちゃんみたいに泣きじゃくっちゃうなんて、私にしか見せられない姿だと思うと、ぞくぞくしちゃいます……♡」
しかし、そのせいで俺は気を失うこともできずに、千雪の痴態を脳裏に焼き付けることになってしまう。目を細めながら嬉々として語る彼女の言葉には、底知れない執着心が滲んでいた。
でも、それが俺への愛であることは確かなので、不思議と悪い気分ではない。狂気的な独占欲は、愛情の深さの証でもあるから。俺の人間性は、すっかり千雪の色に染まってしまったようだ。
「前立腺責めも、気に入っていただけたようで、何よりでした……♡ この……おちんちんの先っぽもそうですけど、旦那さまの弱点を見つけられたことが、すごく嬉しいんです……♡ 私しか知らない、あなたの弱み……もっとたくさん見せてくださいね……?」
千雪は妖艶に微笑むと、俺の股間へと顔を近づけた。そして、ふぅっと息を吹きかける。
ゾワゾワするような快感が背筋を走り、俺の身体はぶるりと震えてしまう。そして脱力しきったまま、なす術もなく彼女に弄ばれるしかない。
その様子を楽しむように、千雪は何度も何度も、執拗に亀頭へ息を吹きかけ続けた。
「だめだっ、また……!」
「まあっ、まだぴゅっぴゅしてくださるんですか……? ふふ、とっても元気ですね……♡ いいんですよ、私になら好きなだけ、出したいときに、何度でも……♡」
やがて、俺の肉棒は小刻みに痙攣をはじめ、射精の前兆を見せる。しかし、萎えたままで精も根も尽き果てている肉棒からは、もう何も吐き出すものはない。それでも尿道を駆け上がるものがあるのは確かだ。
だとすれば、この感覚は何なのか。ムズムズするような焦燥感が募っていく。
「これは……」
そう、尿意だ。俺は、猛烈な尿意に襲われていた。前立腺責めでの射精と潮吹きで、肉棒の感覚が麻痺していたせいだろうか、今の今まで気がつかなかったのだ。
おそらくコーヒーに含まれるカフェインが、利尿作用をもたらしているのだろう。短い間に二杯も飲んだのだから当然か。
「おちんちんも綺麗にしないといけませんし、お口でお手伝いしますね……?」
千雪が舌を突き出し、ぱっくりと口を開けた。そのまま、ちゅぷっという湿った音を立てて、俺の竿を口内に収めていく。
温かくてヌルついた粘膜に包まれるのは、凄まじく気持ちが良い。だが、今はそんなことをしている場合ではなかった。
このままでは、千雪の口に排尿することになる。アイドルを、恋人を、言葉通り便器扱いすることになってしまうのだ。比喩表現ではすまされない。
「ち、違うんだ千雪っ! 俺は、小便がしたくて……」
「ん〜?」
俺には千雪を振り解く力も残っていないので、彼女の頭に手を置きながら、声を上げるしかなかった。
しかし抗議をしても、彼女は俺の竿を口から離そうとしない。上目遣いにこちらを見つめるだけだ。
「んふふ……♡」
そして妖しい声を喉で鳴らし、千雪はゆっくりと舌を動かしはじめた。小便だから何だと言わんばかりに、俺のものを舐め回していく。
舌の上に乗った亀頭の裏側を、すりすりと擦り上げ、カリ首の段差まで丁寧になぞられる。その度に、ぞわぞわとした快感が広がっていった。
それは決して強い刺激ではないが、我慢できるようなものでもない。ほとんど感覚がないはずの肉棒が、ビクビクと脈動するのを感じた。
「あぁっ……!」
ものの数秒も経たないうちに、俺は情けなく喘いでしまう。すると、千雪は嬉しそうに目を細め、いっそう激しく責め立ててきた。
にゅるにゅるとカリ首に唇を引っ掛けては、ちゅうっとキツく吸い上げる。震えっぱなしの亀頭を撫でるように這うのは、ざらついた舌の感触だった。その二つを同時に味合わされると、もはや為す術もない。
尿道の奥から、熱いものが込み上げて来るのを感じる。膀胱を圧迫されるような苦しさを覚えながらも、快楽に屈した身体は、彼女の奉仕を受け入れてしまっていた。
「で、出るぅっ……!」
そして、とうとう限界が訪れた。
俺は千雪の頭を抱え込み、腰を前に突き出してしまう。直後、鈴口から勢いよく液体が噴き出した。それは紛れもなく黄金水であり、千雪の口腔へと容赦なく注ぎ込まれていく。
尿道から溢れ出る小便は止まらない。さながら決壊したダムのように、俺は放尿を続けた。
しかし、それを恥ずかしいと感じる余裕すら無く、ただただ強烈な解放感に酔い痴れ、千雪の髪を掴んで、乱暴に股間を押しつけてしまう。
「んんっ……! ごきゅっ! ごくっ……!」
千雪は一瞬だけ驚いたように身体を震わせたが、すぐに順応して、俺の小便を飲み下していった。
ごきゅごきゅと喉を鳴らす音が断続的に聞こえて、それがたまらなく俺の興奮を煽った。
精液を飲ませたりするのは、男女の営みとしても、そこまで特殊なものではないだろう。だが、小便を飲ませるというのは、どう考えても異常な行為だ。
SMプレイならばともかく、通常ではまずあり得ない。そもそも、そんな発想が出てこないはずだ。
しかし千雪は、俺の尿を飲んでいる。嫌な顔一つせず、むしろ積極的に受け入れているのだ。
俺も昨日、飲尿をしたのだが、淫らな雰囲気に当てられて意識が朦朧としていたせいか、あまり記憶には残っていなかった。
だが、今ならはっきりとわかる。俺は、自分の排泄物を恋人が飲み込んでくれているということに、言いようのない悦びを感じていた。つまり千雪も、同じ気持ちを共有してくれているはず。
これは呪縛。千雪は俺に、変態的な性癖を植え付けようとしているのだろう。普通なら幻滅されてもおかしくない行為を進んで受け入れることで、俺への愛情の深さを示しているのだ。
他の女に手を出すなど考えられないほどに俺を縛り付け、独占したいと思っているに違いない。性的嗜好を歪めるのは過程に過ぎず、最終的に俺の全てを手中に収めるための布石なのだ。
そう考えれば辻妻が合う。今までの行動にも納得ができる。しかし同時に、あまりにも都合の良すぎる展開だとも思った。
「じゅるっ! ずぞっ! じゅるるぅっ……!」
やがて長い放尿が終わると、千雪は最後の一滴まで搾り取るようにして吸い上げてくる。尿道に残っていた残滓までも、丁寧に吸いつくされてしまった。
そして名残惜しむように、ちゅぽんっという音を立てて、千雪が俺のモノを解放する。彼女の唾液で濡れた肉棒は、もう降参だと言わんばかりに、力を失っていた。
「……ふふ、喉に残っていたおつゆが流されて、スッキリしました♡ 旦那さまが注いでくださった愛は、ぜぇ〜んぶ私の中に受け入れましたから……♡」
千雪は心酔しきっているような表情で、自身の下腹部を撫でる。その様子からは、小便を飲んだという嫌悪感は一切感じられなかった。
「これから私と混ざり合って、溶け合って、一つになって、糧になっていくんです。血となって、肉となって、骨となるんです。桑山千雪を形作る全てが、あなたのものになるんです。心も、身体も、何もかも、奥底まで。魂の底にまで刻み込まれたこの想いは、決して消えることはありません。永遠に、永久に、永劫に……」
「な、なんで……そんなにも……」
「覚えていないんですか? いつかの夜、観覧車に乗ったあと、二人きりのときは遠慮するなって、おっしゃってたじゃないですか。それに、言葉よりも行動で示す方が、わかりやすいですよね? だからこうして、あなたに教え込んでいるんですよ。私がどれだけ本気なのかということを。私は、絶対に離れませんから。どんなことがあっても、何があろうとも、一生、一緒にいますから。そうやって誓いを……操を立てているんです。それが、愛というものでしょう? 違いますか?」
違わない。間違っていない。だが、それを肯定してしまうと、何か恐ろしいものが目覚めてしまいそうな気がした。
俺が何も答えられずにいると、千雪はゆっくりと立ち上がって、こちらへ歩み寄ってくる。そしてそのまま、俺の身体を抱き締めてきた。
なすがままに豊満な胸の谷間へと、顔を埋めさせられる。柔らかな感触に包まれて息苦しさを覚えたが、それは決して不快ではなかった。
「いいえ、答えなくてもいいです。あのとき、愛してると言ってくださった。それで十分ですから。私の手を取って、ステージの上に連れて行ってくれた。その瞬間、世界が色づいたように、輝いて見えたんです。観客はただ一人、あなただけ。それでもいいの。百人、千人、一万人の人たちを笑顔にするよりも、たった一人の大切な人を、幸せにしてあげたい。これが、私の夢。桑山千雪の全てなんです」
重い、と思った。ひたむきすぎて、純粋すぎて、真っ直ぐすぎる。こんなにも深い愛情を向けられても、それに見合うだけのものを、返せそうにないから。
それでも俺は、逃げてはいけない。彼女の気持ちに、応えなければならない。それが、責任というもの。
千雪は、俺がスカウトした女性だ。オーディションを受けにきた子たちのように、最初からアイドルになりたかったわけじゃない。
アイドルの道へと誘うということは、一人の人生を大きく変えてしまうということ。
実際に千雪は、好きだった雑貨屋の仕事を辞めて、俺について来てくれた。仕事上、辛くて苦しい思いをすることも多かったのに、弱音を吐かずに頑張ってくれた。
そんな彼女に対して誠実でありたいと思うのならば、今ここで逃げるなんて選択肢はない。
だから、今度は俺の番。千雪の夢を叶えるために、全身全霊をかけて、プロデュースをするのだ。
「ちゆ——」
くぅ〜。
俺が言葉を紡ごうとしたそのとき、なんとも間抜けな音が鳴り響いた。
音の発生源は、俺の腹。空きっ腹のうえ、疲労をともなう性行為したのだ。腹の虫が鳴ってもおかしくない。
「……くっ、ふふふっ! もう、旦那さまったら、ムードが台無しですよ?」
「ははっ……」
俺の身体を抱きしめていた千雪が、ぷっと吹き出す。それから身体を離し、優しく微笑みかけてくる。
その雰囲気は、先ほどまでの狂気じみたものではない。いつもの優しいお姉さんの千雪に戻っていた。
「でも、私だけ先に、いただいちゃいましたからね。旦那さまにも、食べてもらわなきゃ。……はい、どうぞ」
そう言うと千雪は、テーブルに置かれていた容器と割り箸を手に取って、俺に渡してくる。それは、俺の分の牛丼だった。
「お箸は持てますか? 無理そうなら、私があーんして、食べさせてあげますけど……」
「そ、それくらい、自分でできるって……!」
力は抜けたままだが、これ以上醜態を晒すのは恥ずかしかったので、千雪の提案を断る。そして、残念そうな表情をしている彼女を横目に、手に持った牛丼へと視線を落とす。
容器の中には、少し冷めた白米と、その上に乗っている肉と玉ねぎと紅しょうが。食欲を刺激する香りが漂ってきて、またもや胃袋が刺激される。
射精によって消費したエネルギーを取り戻すためにも、さっさとかきこんでしまおうと思い、ごくりと唾を飲み込みながら、割りばしで具材を掬い上げる。何か糸を引くような感触がしたが、まあ気のせいだろう。
「い、いただきます」
そのまま口元まで運ぼうとしたとき、千雪が意味深な表情を浮かべながら、こちらを見ていることに気がついた。
「どうしたんです?」
「……いや、見られながらだと、ちょっと恥ずかしいなって……」
「そんなの、いつものことじゃないですか。私のことは気にせず、どうぞ召し上がってください」
確かにそうだ。以前から食事中、俺はずっと千雪に見られていた。
俺が食べる姿をじっと見つめて、美味しいかどうか尋ねてきたり、感想を求めてきたり。それに違和感なく過ごしていたが、今になって気まずさを覚えてしまったのだ。
千雪が抱いている狂気的な愛情を、身に染みて実感したからかもしれない。一挙一動が監視されているようで、なんだか落ち着かない気分になる。
「……そうだな」
だからといって、現状なにかできるわけでもない。見ないでくれと言うのも変だし、この場では、いつも通りに接するしかないだろう。
千雪の眼差しを受け止めつつ、ひと呼吸置いてから口に運ぶ。そして咀嚼すると、甘辛いタレと牛肉の旨味が口内に広がっていき、空っぽになった身体へ染み渡るようだった。
「おいしいですか?」
「ああ。腹が減っていたから、余計にな」
俺が飲み込むと、千雪がそう尋ねてきた。素直に答えたものの、やはり落ち着かない。それに店売りの同じ物を食べたのだから、感想を聞くまでもないだろうし。
もしかして、何か別の意図があるのだろうか。例えば、さっきのコーヒーみたいに——
「ふふ……。ええ、その牛丼には、私の愛を注いでいます。愛は、分かち合うものでしょう? だから旦那さまにも、味わっていただかないと。私と同じ気持ちになれるように……」
俺の心を見透かしたかのように、千雪は妖艶な笑みを浮かべる。そして立ち上がったかと思えば、自身のスカートを捲り上げ始めた。
「えっ!?」
突然のことに驚き、声を上げてしまう。しかし俺の戸惑いをよそに、千雪は躊躇うことなく下半身を露出させていく。
シミ一つ無い真っ白な太腿が否応なく視界に入る。それから、さらに上へと目線を移動させると、薄い逆三角形の恥毛が映った。
「ほら、見てください……。触ってもいないのに、こんなにも濡れちゃっているんですよ……?」
一瞬、なんで下着を履いてないんだと思ったが、千雪が秘部を見せつけるように足を開いたことで、その疑問は霧散する。
彼女の言う通り、割れ目はぐしょぐしょに湿っており、膣内から溢れた蜜液が内股を伝っていた。そこから漂う蒸れた淫臭が、俺の興奮を煽っていく。
「私だけつゆだくをいただくのも、悪いかなぁって思ったので……。旦那さまが気持ちよくなって、おつゆを出すたびに、私もたくさんおつゆを出していたんです……♡」
千雪の指先が、自らの陰唇へと伸びていき、くぱぁっと左右に開いた。サーモンピンクの粘膜が露わになり、粘っこい糸を引きながら、膣口がヒクついているのが見える。
どうやら、そこから漏れ出る雌汁が、俺の牛丼にかかっているらしい。普通なら嫌悪感を抱くのだろうが、俺にはもう、それすら興奮材料にしかならなかった。
千雪の雌穴を視界に捉えたまま、牛丼をかきこむ。雌汁が混入されていると一度意識すると、先ほどよりずっと濃厚な味わいがして、自然と頬が緩んでしまう。
「ふふっ、そんなに勢いよく食べて……。でも、もっとゆっくり味わってほしいかなぁ……」
「んんっ……」
千雪の言葉に反応するも、俺は手を止めなかった。一刻も早く、千雪の体液を口に含みたい。そんな欲望に支配されながら、俺はひたすらに箸を動かした。
気づけば、あっという間に容器は空になっていた。味を楽しむ暇もないほどの早さで、すべて平らげてしまったのだ。
「……ごちそうさま」
「はい、お粗末さまでした」
俺が満足気に呟けば、千雪は嬉しそうな顔を浮かべながら、いそいそと服を整え始める。しかし、すぐに動きを止めると、何か言いたそうにこちらを見つめてきた。
「どうした?」
「……えっと、ですね……。その……」
もじもじと太ももを擦り合わせ、言葉を詰まらせる千雪。その様子を見て、すぐに察することができた。
「……悪い、実はまだ足りないんだ。もっと千雪を味わいたいんだけど、いいか?」
「は、はいっ! 私も旦那さまに、いっぱい食べてほしいです……!」
千雪の言葉を遮って告げれば、彼女はパッと表情を明るくさせる。
あんなにも愛液を分泌していたのだから、とうぜん性欲も持て余しているだろう。そう思っての提案だったが、正解だったようだ。
それに俺だけが気持ちよくなって終わりというのも、なんだか気が引ける。千雪も満足させてやりたいし、雌汁まみれの秘所を綺麗にしてやらないと。
「さあ、どうぞ……♡ 満足するまで、いくらでも召し上がってくださいね……?」
千雪は、スカートを脱いでからソファに腰掛けると、大きく股を開いていく。そのままM字開脚の姿勢を取ると、両手で自分の秘所を割り開いて見せた。
そこは相変わらず濡れそぼっていて、雄を受け入れる準備は万端といった様子だ。
肉厚の媚びまんこは、呼吸に合わせてヒクついており、膣穴からよだれを垂らしながら、今か今かと男根を待ち望んでいるように見える。
クリトリスも包皮の上からでもわかるくらい勃起して、その存在を主張していた。はやく弄ってくれと言わんばかりに震えている様は、とても可愛らしく思える。
それからアナルに目を向けると、こちらもまた物寂しいのか、きゅうきゅうと収縮を繰り返して、俺のことを誘惑してきた。
さすがに昨日の行為だけでは、まだ排泄器官としての機能は保ったままらしい。キュッと窄まった肛門のシワを眺めながら、そんなことを考えた。
「見ているだけじゃなくてぇ……はやく弄ってほしいなぁ……♡ おつゆが溢れちゃいますよぉ……?」
俺がいつまでも観察していることに、焦れったさを感じ始めたのだろうか。千雪は切なげな吐息を漏らすと、悩ましい声を上げながら腰をくねらせた。
その言葉に従って、俺は割れ目へと顔を近づけていく。すると、甘酸っぱい香りが鼻腔を満たしていき、脳髄が痺れるような感覚に襲われた。
やはり天然の淫臭は一味違うようで、嗅いでいるだけでどんどん気分が高まってくる。
もう催眠だとか事務所だとかアイドルだとか、そういう千雪との行為を阻むものは頭の中から抜け落ちていて、ただ目の前の女体を貪ることしか考えられなくなっていた。
「もうっ、焦れったいなぁ……! えいっ……!」
「んぶっ……」
業を煮やした千雪によって、後頭部を押さえつけられてしまう。そして強引に割れ目へと押し当てられた。
くちゅりという音とともに、ぬめついた粘膜が顔面に触れて、口内に生暖かい液体が流れ込んでくる。それは先ほどよりもさらに濃厚で、濃密で、それでいてまろやかな味わいをしていた。
直に摂取することで、より強く感じる雌汁の味。千雪100%の蜜は、まるで麻薬のように脳内を犯してきて、思考能力を溶かし尽くしていく。
もう俺の心は肉欲に支配され、それ以外のことは考えられない状態になってしまった。
そのまま流されるままに、俺は千雪の雌穴を舐めて、吸って、しゃぶって……。思う存分、女体の味を堪能したのであった。
そうして情事は終わり、結局仕事が片付いたのは、日を跨いだあとだった。いっときの休憩のはずが、たっぷりと楽しんでしまったのだ。
それでも、千雪が仕事を手伝っていなければ、もっと時間がかかっていただろう。本当に頭が上がらない。
それから、千雪を送っていこうとしたところ、深夜だと寮に帰りづらいと言い出したので、自宅に泊めることとなった。
アイドルの持ち帰りという、危険な橋を渡る行為に不安を抱いたものの、千雪が望むなら仕方がないと、自分に言い聞かせる。
それに、肉体的にも精神的にも疲弊していた俺には、彼女と隣り合いながら眠りたいという欲求もあったのだ。リスクに釣り合うリターンと考えれば、むしろ得をしたような気分だった。
「おやすみなさい……」
ベッドに横たわった俺たちは、お互いの手を握り、寄り添いながら眠りにつく。
裸で添い寝している今でも、千雪は性的なアプローチを仕掛けてこない。帰宅中に催眠深度を確認したところ、数値は0になっていたので、欲求は満たされているはず。
俺も出し尽くして疲れているし、このまま朝までぐっすり眠れるだろう。
しかし、毎日このようなことを繰り返していたら、俺の精神と肉体は堕落しきってしまうかもしれない。
少しずつ千雪に依存しているのが分かる。依存させられているというのも理解できる。それでも構わないと思ってしまう自分がいた。
「んっ……」
そんな心境を知ってか知らずか、俺の手を握る千雪の力が、少しだけ強まる。その愛情に応えたいと思いつつも、俺は彼女よりも強く握り返すことができない。
催眠をかけたという後ろめたさが、拭えずにいるのだろう。やはり、本当の意味で俺たちが結ばれるのは、催眠が解けたあとでなければ無理なようだ。
左手に感じる千雪の体温。安らかな寝息。
罪悪感に苛まれながらも、その心地良さに身を委ねるように目を閉じれば、意識はすぐに暗闇の中へと溶けていった。