「ただいま」
自宅の玄関の扉を開けて中に入ると、部屋には明かりが点いていた。食欲をそそるようないい匂いも漂っている。
俺は一人暮らしだが、それに疑問を抱くことはない。なぜなら今日も彼女が訪れており、夕飯を作りにいきますと事前に連絡を受けていたからだ。
帰宅の合図から間もなく、リビングのほうからパタパタとスリッパの足音が聞こえてきた。
「おかえりなさぁい〜っ!」
主人に駆け寄る犬のように、千雪は俺の元へと小走りでやってくる。それも裸にエプロン一枚という、卑猥極まる格好で。
一歩踏み出すごとに、彼女の大きな胸がたゆんったゆんっと揺れるのが見える。もう見慣れた光景だが、やはり何度見ても情欲を昂ぶらせるものがあった。
「今日はお早いですね?」
「ああ。明日は浜辺で、水着の撮影があるだろ? 朝早くに行かないといけないから、残業は軽めにしてきたんだ」
「そうでしたね。ビーチでの撮影は久しぶりだから、わくわくしちゃうなぁ……!」
千雪は嬉しそうに、胸の前でガッツポーズのような仕草を見せる。その動作に合わせて、豊満な乳房がぐっと持ち上がった。相変わらず、見事な形と大きさだった。
やはり業界も千雪のプロポーションの良さを認めているのか、そっち系の仕事が多く舞い込んでくる。清純派のお姉さんアイドルとして売り出されている彼女だが、そういった路線もいいだろうということで、事務所からもGOサインが出ている。283プロに所属しているアイドルの中で、数少ない成人組であることも関係しているのかもしれない。
実際、千雪の肉体美を活かすようなグラビア仕事は、大成功と言っていいほど反響が大きかった。特に写真集の売上はかなりのものらしく、ネットニュースでも話題になっていた。
このIカップ爆乳を持ちながらウエストはくびれていて、さらにヒップまで大きいという奇跡的な体型。合わせてルックスも抜群なのだから、人気が出るのも当然といえば当然の話である。
正直、アイドルよりもアダルト女優のほうが向いているのではないかとすら思う。男の理想と欲望を詰め込んだかのような体つきを持ち、本人もとんでもない好色だし。
「ふふっ……」
そんなことを考えているうちに、いつの間にか千雪の顔が目の前にあった。吐息がかかるほどの距離感だ。
薄く化粧をしているものの、それでもなお美しいきめ細やかな白磁のような頬。少し垂れ気味の目には長いまつ毛が影を落としており、ぷっくりとした唇は桜の花びらを思わせる薄紅色をしていた。
至近距離で見ても欠点らしいものが見つからない。むしろ顔立ちの端正さをより強く感じてしまうくらいだ。
「今日もお仕事、お疲れ様でした……」
そう言って彼女は目をつぶり、顔を近づけてきた。
これは一種の習慣というか、暗黙のルールのようなものになっているのだが、出勤と帰宅の際にはキスをすることになっているのだ。
半同棲生活を始めた頃は互いにぎこちなかったものだが、今ではすっかり慣れてしまった。当然俺は、それに逆らうことなく彼女の腰を抱き寄せて、おもむろに唇を重ねる。
「んっ……♡」
ふわりと柔らかな感覚が伝わってきて、甘い香りが鼻腔を満たす。そのまましばらくの間、俺たちは触れ合うだけの口づけを交わしていた。
しかし、このままでは終わらない。千雪は俺の首に手を回して、舌を入れようとしてくる。そして、それを察した俺もまた、同じように彼女の身体を強く抱きしめ、口腔内へと侵入する。
「あむっ……れろぉ……ちゅぱ……んぅ……くちゅ……れる……ぢゅる……♡」
ぬるりと唾液が絡み合い、互いの粘膜が擦れ合う。淫靡で背徳的な快感に酔い痴れるように、俺たちはひたすらに求め合った。
「んん〜……じゅるるるっ……! ……んはぁ……!」
最後に千雪が、俺の唾液を貪るように一際大きく水音を立て、ようやく接吻が終わる。彼女の口周りには漏れ出た大量の唾が付着しており、いかに激しく貪っていたかを物語っているようだった。
「ふふっ……おいしぃ……♡」
とろんと蕩けた表情を浮かべながら舌なめずりをする余裕がある千雪とは対照的に、俺は力が抜けてその場にへたり込みそうになる。
一日の仕事を終えて疲労が溜まっているところに、これだ。それにいつもより長く濃厚なものだったので、余計に体力と気力を消耗していた。正直、立っているだけでやっとという状態だ。
「お食事もお風呂も準備できてますけど……どうされます?」
彼女は自身のうなじに手を当てながら、流し目で俺に尋ねてくる。そんなことを聞かれたのは初めてだったが、あまり動揺することはなかった。
というのも、こんな状況で食欲が湧くはずもなく、また、入浴の気分でもない。そして、スラックスの上からでも分かるほど股間は膨らんでいて、とてもじゃないが収まりがつかない状態になっていたからだ。なので、答えは一つしかなかった。
「……千雪が、欲しい」
俺は掠れた声で、彼女に懇願するように言った。
すると、彼女は嬉しそうな笑みを浮かベながら、俺の前でしゃがみ込み、ベルトに手をかける。
「ここでするのか……?」
「はいっ! いつでもどこでも、私は構いませんので……♡」
「そ、そうか。まあ今は家の中だしな……」
「ふふふっ……! 私のために、お仕事を頑張ってくださった旦那さまを、たっぷりと癒やしてさしあげますね……?」
カチャリ、と金具の音が鳴り、ファスナーが開かれる。そして手慣れた手つきでスラックスと下着を同時にずり下げられた。
すでに限界まで勃起している肉棒は、ぶるんっと勢いよく飛び出してきた。その瞬間、千雪は目を丸く見開き、ごくりと生唾を飲み込む。
「わっ……すごいです……! もうこんなに大きくなって……♡」
千雪は、まるで子供のように無邪気に笑いながら、竿の根元から先端までを指でツーっとなぞってくる。それだけでも十分に気持ちいいのだが、まだ始まったばかりである。
「それに……んっ♡ 匂いもすごく濃いですね……! はぁ……すんすんっ……んんっ……♡」
そう言いつつ、千雪は亀頭に鼻先を近づけて、包皮の中から漂ってくる強烈な臭いを嗅ぎ始めた。
千雪に懇願されたあの日から、包皮の中を洗った記憶がなく、彼女が口淫をしてくれるときくらいしか汚れは落ちないのだ。外回りで汗をかいた日も、千雪の尻穴に挿入したときも、そのままにしている。
そんなこともあって、今の陰茎はきっと酷い悪臭を放っていることだろう。
だが、千雪は嫌な顔ひとつせず、むしろ喜んでくれているようだ。彼女から提案してきたことなのだが、本当に大丈夫なのか心配になってくる。衛生的にも問題があるはずだし……。
「あぁ……♡ たまたまちゃんもパンパンで、汗の蒸れた匂いが染み付いてます……♡ お仕事中も私のことを考えて、えっちなお汁をた〜くさん作ってくださったんですね……?」
千雪は竿を持ち上げつつ、陰嚢に鼻を押し当てると、深く息を吸い込んだ。それから、今度は舌を出して竿の裏筋を下から上へと舐め上げてきた。
「くぅ……!」
「ふふふっ♡ まずは、お外から綺麗にして差し上げますね……? ぺろぉ……れろれろぉっ……ちゅっ……ちゅぱっ……んんっ……れっ……ちゅっ……♡」
吸い付くようなキスを交えながら、千雪は縦横無尽に舌を動かして、竿を唾液まみれにしていく。そのたびに、下半身全体が甘く痺れるような快感に襲われる。
身を清めることなく行為に及ぶ、いわゆる即尺というプレイ。恋人だとしても抵抗があって然るべきだが、当然千雪はそんなことは気にもしていない様子だった。これも愛がなせる業なのだろうか。
「んふふっ♡ しょっぱい味がしますよぉ……? んっ……んっ♡ ……れろれろっ……ちゅっ♡ ちゅぱっ……ちゅるるっ……んんっ……♡」
唾液を潤滑油代わりにして、千雪は丹念に肉棒へ奉仕してくれる。特に、竿の裏筋とカリ首を中心に。そこが男の、俺の弱いところだと知っているからだ。
彼女の性技が記憶されたフォルダには、男を悦ばせる様々な知識が記されているのだろう。それに日々の性交を通して培われた経験が合わさり、今や熟練の娼婦のようなテクニックを持っている。それを、まだ男を知らない生娘が行っているのだから、そのギャップで興奮も一層増すばかりだ。
「たまたまちゃんも、労ってあげないと……。いつも私のために、赤ちゃんの種を作ってくれてるんだもん……♡」
そう言うと、彼女は玉袋に優しく手を添えて、揉みほぐし始めた。
「うぐっ……!」
「わっ、痛かったです……?」
俺が思わず声を上げると、千雪は慌てて手を離した。
男根とは違い、睾丸は明確な男の急所だ。触られるだけでも痛みを伴うことがある。玉を持つことのない女性にされれば、尚更のこと。
「ああ、少し……」
「ごめんなさい、私ったら加減がわからなくて……。男性はここを触られたら気持ちいいって、聞いたんですけど……」
また偏った性知識を仕入れて……と思いつつも、多少なりとも感じてしまったのは事実なので否定はできない。力加減さえ間違えなければ、ここは敏感な部分なのだ。
「気持ちいいかは人によるけどな……。俺は少し感じたよ」
「……優しくすれば、大丈夫でしょうか……? でしたら……んっ……」
千雪はそう言って竿を持ち上げると、玉袋へと顔を近づけた。そして、そっと唇で触れてくる。
「千雪?」
「痛かったら、おっしゃってくださいね……?」
「なにを……はぅ……!」
俺の返事を待たずに、千雪は片方の陰嚢を口に含んできた。
柔らかく温かい口内に包まれた瞬間、全身に甘い感覚が広がり、俺は小さく喘いでしまった。
その反応を見てか、千雪はそのまま飴でも転がすように、口の中でころころと玉を弄ぶ。
「んむぅ……んんっ……ふーっ♡ んっ……♡」
舌で玉全体を舐め回しつつ、竿を持ち上げた手は上下に動かして刺激してくる。
「ひもひいいれふくぁ……? んんっ……ちゅっ……れっ……♡」
そうやって口で愛撫しながら、千雪はこちらを見つめてきた。返事のかわりに彼女の頭を軽く撫でると、嬉しそうに目を細める。
「んん〜っ♡ んっ……♡」
俺の反応を確認した千雪は、もう片方の玉袋を口に含み、同じようにしゃぶり始めた。
「あぁ……っ!」
火照った口内の温かさが心地よくて、情けない声が出てしまう。熱に弱く、刺激に慣れていない急所を容赦なく責め立てられて、腰がカクカクと震える。
もちろん、それだけではない。彼女が奉仕してくれている光景が、あまりにも扇状的すぎるのだ。
「ふふっ、もっふぉひへあへまふぅ……♡ はむっ……♡」
千雪は上目遣いで俺の顔を見ながら、両手を使って竿を扱いており、握り込んだ亀頭をすりすりと手のひらで擦って、もう片方の手で根元からカリ首までを扱き上げていた。熟練の娼婦も顔負けの手管である。
「こりょこりょ〜♡ んちゅっ……れろれろぉっ……ちゅぱっ♡」
彼女の口内で曲芸のように玉が跳ね回り、舌の上で転がされる。痛みはなく、ただひたすらに快感だけを与えられ続けていた。
扱かれている肉棒も唾液でまぶされているおかげで、ぬるぬるとした感触が伝わってきて、それがさらに快感を高めていく。
そのせいで、もう射精寸前にまで追い詰められてしまっていた。
「千雪……もう……っ!」
「……ちゅるっ」
俺が限界を告げると、千雪は扱いていた肉棒を解放して、今度は根元をギュッと掴んでくる。そして玉袋も口から出すと、意味深な笑みを浮かべた。
「あっ……あれ?」
てっきりそのままイカせてくれると思っていたのに、寸止めされてしまった。竿の根元を握られているせいで、尿道を昇ってきていた精液は行き場を失い、逆流してしまう。
「ふふっ、そんなお顔しないでください。焦らしてるわけじゃないですから。ちゃんと最後までしてさしあげます……♡」
そう言いながら千雪は竿の先端を握り込み、包皮を下へずらし始める。我慢汁が大量に分泌していたこともあり、あっさりと剥けてしまった。
そして、ぬらぬらとした粘膜が露出され、包皮の中にこもっていた熱気が解放される。途端に鼻につく、むわっとした匂い。
汗と尿。それから漏れ出た先走りの混じった、雄臭い原始的な香りだ。
「んんッ……♡ ふっ……ふーッ♡♡」
俺自身でさえ不快に感じるような悪臭。だというのに、千雪は頬を紅潮させ、うっとりとした表情でそれを感じていた。
俺が千雪の腋臭を嗅いだ時と同じように、彼女も俺の体臭で興奮しているのだ。そう考えると、ますます股間が疼いてしまう。
「はっ……♡ はっ……♡」
千雪は興奮を抑えきれない様子で、その敏感になった先端へと顔を寄せてきた。
「っ……♡ ……すんっ。……んっ♡ んんっ……すぅ〜……ッ♡」
そして、俺のモノに自分の鼻を押しつけて、息を吸い込む。
すんすんと小刻みに呼吸を繰り返し、俺の蒸れた男根のフェロモンを味わっているのだろう。そして、その度に吐かれる熱い呼気は、むわりと湯気を立てそうなほどに濃厚な性欲にまみれていた。
「ああ……素敵です……♡ 男性の……とっても濃い旦那さまの匂いがします……♡」
千雪はそう言って、陶酔しきった表情を見せる。それから彼女は、大きく口を開けて——
「んむぅっ♡」
「……っ!」
亀頭を口いっぱいに含んだ。
その瞬間、下半身から背筋を伝い、脳天にかけて電撃のような快感が突き抜ける。口内の温かさに包まれただけで、腰砕けになりそうだった。
しかし、それで終わるはずもない。ゆっくりと根元のほうへ飲み込まれていき、やがて陰毛が千雪の顔に触れる。そこでようやく、彼女の頭の動きが止まった。千雪の喉奥まで到達したのだろう。
「ごっ……ふぅ……」
千雪は苦しげな声を漏らしながら目を閉じていたが、しばらくすると目を開いて、こちらを見つめてくる。
「……ふふ♡」
喉の奥まで異物を飲み込んで苦しいはずの彼女が浮かべたのは、嬉しそうな微笑みだった。目尻に少しばかり涙を溜めながらも、どこか恍惚とした表情をしている。
そのまま、千雪の頭が前後に動き始めた。根元からカリ首あたりまでは唇で締め付けられながら、亀頭の部分は舌全体で舐め回されて。
「じゅっ……! ごちゅっ……ぢゅるっ♡ んっ……おいひぃ……♡ ぐぷっ……!」
「うぅ……! い、いきなり……!」
激しい水音とともに、強烈な快楽を与えられる。唾液が泡立つほどの激しさだったが、決して痛くはない。むしろ気持ちよすぎて、意識が飛びそうになるほどだった。
さらに俺が反応するたびに、彼女の口内がきゅうっと締まるのだからたまらない。
「ふふふっ♡ ……じゅるるる〜ッ! ぶっぽ! ぐっぽッ……!」
上目遣いで俺の反応を見た千雪は、舌を裏筋に押し当てて、一気に吸い上げてきた。頬にくっきりと陰影が差し、端正な顔立ちが卑猥な形に歪む。
奉仕というより、搾り取るかのようなフェラチオ。息をつく暇もなく責め立てられて、俺は快楽に悶えることしかできなかった。
「ち、千雪っ! まってくれ……! もう少し、ゆっくりぃ……っ!」
「……んふっ? ゆっふひ? んんっ……ちゅるるるる……んぽっ♡」
千雪は、俺の情けない懇願を聞き入れてくれたようだ。根元まで咥え込んだ唇が先端に近づくにつれて、肉棒は千雪の口に引っ張られていった。
そして、ポンッとコルク栓を抜くような小気味よい音をたて、肉棒が解放される。
「はあぁ……!」
ようやく与えられた休息に、思わずため息が出てしまう。
「うーん、ゆっくりは難しいです。おちんぽちゃんが可愛くて、ついいじめたくなっちゃいますから♡ ねっ?」
千雪はいたずらっぽく笑いながら言うと、ふたたび俺の股間に顔を埋めていく。それから裏筋を舌先でチロチロとくすぐるように舐める。
射精直前の一番敏感になっている状態だ。少し触れられただけでも、電流が走ったように腰が跳ねてしまった。
「旦那さまも昨日、私が許してください〜♡ ってお願いしても、やめてくださらなかったでしょう?」
「それは……千雪も気持ちよさそうにしてたじゃないか……」
レッスン室での情事を思い出して、顔が熱くなるのを感じた。確かにあの時は、俺も理性を失ってしまっていたかもしれない。
でも、あれはお互い様だろうと思う。言葉とは裏腹に、もっとして欲しいという感情が透けて見えていたからだ。
「ん〜? 私が悪いとおっしゃるんです?」
「そうは言ってないよ。ただ……千雪が……その……魅力的すぎるからさ……」
俺の言葉に反応してか、千雪の目がすっと細められた気がした。
「……ふふっ。旦那さまはぁ……えっちな千雪は嫌いなんです……?」
「……まさか。千雪に嫌いなところなんてないさ……」
「じゃあ、一緒ですよ、私たちは。考えていることも、感じていることも……んっ♡」
千雪はそう言いながら、俺の陰茎の裏スジを何度も往復するように、優しく舐めてくれる。焦らすようなその愛撫に、ますます我慢汁が溢れてきた。
「一度ペースを掴んでしまえば、私も旦那さまも……んっ♡ 同じ、ですね♡」
そして、今度は亀頭に舌を這わせてくる。敏感な粘膜をぬるりと舐められて、背筋にぞくぞくとした快感が走る。
「するほうも、されるほうも……あっ♡ お互いが気持ちよくなる方法を知っていて……♡ ふふっ♡ やっぱり私たち、相性ぴったりです♡」
千雪はそう言って、幸せそうに笑った。確かに、一辺倒になりがちな性交において、千雪との行為には飽きというものがない。
彼女はいつも、俺を気持ち良くさせようと、一生懸命になってくれる。そんな彼女に応えたいと思うし、何よりも彼女自身を気持ち良くしてやりたい。
「……そうだ。私がすると加減できなくなっちゃいますから、今度は旦那さまが動いてみます?」
「俺が……?」
「ええ。私の口を使って、好きなようにしてください。私はそれに合わせて、お手伝いしますので」
そう言われても、どうすればいいのかわからない。戸惑っていると、千雪は微笑みを浮かべたまま、大口を開けた。
「ひゆひの……ほなほーるれふ♡」
つまり千雪を性玩具に見立てて、自分が快楽を得るためだけに好き勝手に犯せということだろう。俺は彼女の言葉に従い、そそり立った肉棒を口にあてがう。
「んっ♡ ちゅる……♡」
「くっ……」
熱く火照った口腔内へ侵入すると、すぐに舌で歓迎された。ざらついた表面を裏筋が滑っていき、思わず声が出る。
しかし、俺が動きを止めると、千雪もそれ以上は動かなかった。まるで俺を待っているかのように、じっとしている。
どうやら、こちらが何か指示を出すまで、動くつもりはないらしい。これなら、存分に千雪の口内を堪能できる。
「……しばらく、そのままで頼む」
俺はそれだけ告げると、ゆっくりと腰を動かし始めた。一時は射精直前まで高められたこともあり、敏感すぎて激しく動かすことはできない。なので、まずは浅いストロークで慣らすことにした。
千雪は俺の指示通り、舌を裏筋に当ててくれたまま動かないでいてくれている。おかげで、彼女の唾液が潤滑油となり、スムーズに抽送することができた。
「ん……んんっ♡」
一方的な快楽に浸りながら、彼女の顔を見下ろす。
端正な顔をした美人なのに、口をいっぱいに広げて肉棒を受け入れてくれているせいか、ひどくいやらしく見える。
人にされるのとは違って、自分のペースで腰を振ることができるのもいい。そして自分だけが快楽を得るために、恋人を道具のように扱っているという事実が、俺の興奮を高めていた。
「ほごっ……♡」
抽送の角度を変えて、頬肉の裏側を亀頭で擦るように突いていく。つるつるとした粘膜の感触が心地良く、つい夢中になってしまう。
舌を絡められたり吸われたりすると、たまらない快楽を感じるが、刺激が強すぎるため長く続けることができない。だが、このくらいの刺激であれば、ゆったりと楽しむことができそうだ。
「……千雪、いったん口を閉じてくれないか?」
「はいっ」
しばらく口内の感触を堪能した後、肉棒を引き抜いてそう伝える。もちろん、千雪は従順に言うことを聞いてくれた。
そうして、閉じられた唇の前に亀頭を添える。それから竿に手を添えて、唇に先端を押し当てた。
そのまま挿入はせずに、柔らかな弾力を味わうように何度か押しつける。その度に、ぷっくりと膨れた桜色の唇が形を変えた。
「んん〜♡」
口紅を塗るように、先走り汁を塗りつけていく。千雪はそのたびに甘い吐息を漏らし、物欲しそうな表情を浮かべる。
「……ダメだぞ? 俺に任せるって言ったんだから」
「くぅん……♡」
嗜虐心を煽られ、わざと意地悪なことを言うと、彼女は子犬のような鳴き声を上げた。普段、大人っぽい雰囲気のある彼女が見せる可愛らしい仕草に、ますます情欲を掻き立てられる。
それから頬や鼻に亀頭を擦りつけて、漏れ出た雄汁を肌に染み込ませていった。美しい絵画に絵具をぶちまけるような背徳感を覚えつつ、それを飲み込む征服感がたまらない。
俺の作品。俺だけの千雪に染め上げてやる——そんな暗い欲望が芽生え始めていき、無意識のうちに手が動いていた。
「はあ……! はあ……っ! 出すぞ、千雪ッ!」
溢れ出る欲望を握り込み、みずから慰め始める。限界まで高まっていたそれは、数回扱いただけであっけなく果ててしまった。
びゅくびゅくと脈打ちながら白濁液が放たれていき、千雪の顔を汚していく。
「え、わっ……!」
千雪は驚いたような声をあげつつも、顔を背けようとはせず、目を閉じて受け止めてくれた。その献身的な姿に胸が熱くなり、さらに精巣から精液が絞り出されていくのがわかる。
「はあぁ……」
やがて長い射精が終わり、尿道に残った残滓まで絞り出すために軽く扱き上げる。最後に千雪の鼻に先端を擦りつけるようにしてから、一歩だけ後ずさった。
改めて千雪を見ると、ひどい有様だった。顔一面余すことなく白濁としており、さらに前髪にもべったりと精子がかかっている。髪に付着したソレらは重力に従って垂れ落ちてゆき、顔の輪郭に沿って何本もの跡を残していった。
それでもなお美しく思えるのだから不思議だ。雪化粧とでも言えばいいのだろうか。表面上は白く綺麗に見えるが、雪は塵や埃を吸い込んでいて汚いものだ。それと同じように、千雪に降り注いだ熱い雪もまた汚れているのだと思うと、得も言われぬ高揚感を覚えた。
「……もう大丈夫です?」
「あ、ああ……」
千雪は目の周辺に付着した精液を指で掬い取ってから、目をぱちくりとさせた。その表情からは驚きこそ感じられたものの、嫌悪感のようなものは感じられない。そのことに少しだけ安堵したところで、徐々に冷静さを取り戻していくのを感じた。
「すまん、千雪」
「……はい? 謝ることなんてありました?」
「いや、いきなり顔にかけちゃったし……。それに髪にもかかってるから……洗わないと」
「旦那さまのなら平気です。でも欲を言えば、中に欲しかったかなぁ……なんて♡」
そう言うと、千雪は自分の腹部に手を当てた。それは口内射精のことを指すのか、はたまた——
「そもそも私たちの仲じゃないですか。このくらいで気に病む必要なんてないんですよ?」
「でも、髪はな……。女の命だっていうし、大切にしないとだろ」
「……私が大切にしているのは、あなたを愛し、それから愛されることです。それ以外の道には進みません。だから、あなたが望むことなら、なにをされてもいいんです」
柔和な雰囲気から一転。千雪が真剣な眼差しを向けてくる。その目には一切の迷いがなく、ただ純粋に俺への愛情を伝えようとしているのがわかった。
それから、おもむろに俺の肉棒へと手を這わせてくる。細くしなやかな指が、愛おしむように優しく撫で上げてきた。
「髪が女の命というのは、間違いじゃないです。だとすれば、こういうのはどうでしょう……?」
「なにを——」
俺が反応する隙もなく、千雪は自分の編み込んだ後髪を、肉棒へと巻き付けていく。あっという間に俺の醜い欲望は、彼女の艶やかな茶髪によって覆い隠されてしまった。
「ふふふ……。私がこうした意味、もちろん言わなくてもわかりますよね……?」
有無を言わせぬ口調で問いかけられる。しかし、それは俺の口から答えを聞きたいというよりも、確認に近いものだったのだろう。その証拠に、彼女は返答を待たなかった。
「うっ……!」
肉棒を髪で包んだまま、ゆっくりと上下に動かされる。普段から手入れを欠かしていないであろうキメの細かい滑らかな毛束が絡みつき、すべすべとした感触を与えてきた。それがなんともいえない心地良さで、思わず声が出てしまう。
「私の髪、気に入っていただけたみたいですね……? おちんちんが、ぴくぴくぅ〜って、髪越しでもわかるくらい震えてます……♡」
千雪は嬉しそうに言いながら、手の動きを速めていく。射精後で萎えかけていた陰茎にドクドクと血液が流れ込んでいく感覚がした。
女性の髪を性的に扱うなど考えたこともなかったが、いざやってみると存外に心地良い。今まで経験したことのない快感と興奮に、俺はすっかり虜になっていた。
それを、千雪みずからの手で与えられているというシチュエーションも相まって、どんどん昂ぶっていくのを感じる。
「私の髪も、愛する旦那さまの愛情をたっぷり受けて幸せそう……♡ どんなに高級なコスメよりも、贅沢な美容法かもですね!」
精液まみれのうっとりとした顔で言うものだから、冗談なのか本気なのかわからない。だが、どちらにしても興奮を煽る材料にしかならないのは確かだった。現に、俺の愚息は痛いほど張り詰めてしまっているのだから。
そして敏感になった亀頭を擦られ続けていれば、またすぐに限界を迎えそうになる。
「ふふ、イキそうなんですね……? どうぞ遠慮なく出してください……♡ 私の髪で気持ちよくなって……♡ ぜぇ〜んぶ中で受け止めますから……!」
そう言って微笑むと同時に、手の速度が一段と増す。滑りの良い髪が竿全体を包み込み、根元から先端にかけて搾り取るかのように擦り上げられる。
「大好きです……愛してます……あなた……♡」
その瞬間、頭の中で何かが弾けたような感覚とともに、粘ついた精がほとばしる。間髪いれずのニ射目にもかかわらず、その勢いはまったく衰えていないどころか、むしろさらに激しく、長くなったようだった。
「は……ッ」
その最中は息を吸う暇もなく、吐精が終わる頃には呼吸困難に陥りかけていた。それほどまでに強烈な快楽だったのだ。
「わ……! こんなにたくさん……! 見てください、ほらっ♡」
千雪は嬉々とした様子で、みずからの髪に絡まった白濁液を見せびらかしてきた。照明の光を受けて、てらてらと輝く茶髪はひどく淫猥なものに感じられる。俺が出したものは、漏れ出ることなく彼女の髪束に受けとめられていた。
「今夜はトリートメントいらずかなぁ……なんて。洗い流さないのもアリかもしれませんね?」
「……かけておいてなんだけど、それはさすがに……」
「そうですか? うーん、残念です」
そう言いつつも、肉棒に付着している残りカスを自身の髪で拭っていく千雪の表情は、どこか満足げだった。
ザーメンパックが施された顔もそうだが、とてもアイドルが晒していい姿ではない。しかし、そんな千雪の痴態を拝めていることに喜びを感じる自分がいた。
親兄弟でも見られない千雪がここに居るのだ。俺だけの特権……。
「ふふふっ。とってもいいお顔をしてます……」
「……ああ、それだけ気持ちよかったからな」
「良かったです。順調だなぁ……怖いくらいに……」
千雪は立ち上がって、俺の顔を覗き込んだ。その瞳の奥に宿る感情は、俺にも読めない。
「お風呂、行きましょうか。明日は早いですし」
「そ、そうだな……」
「中にもいただきたかったけど……我慢しますね? なにも今日で終わりじゃないんだから……ふふっ!」
無邪気に笑う千雪は、いつも通りの彼女に見えた。しかし、顔と髪にぶちまけられた欲望が、そうではないことを物語っている。
もうあまり罪悪感を抱かないのは、なにをやっても受け入れてもらえる安心感からだろうか。あるいは千雪と交わりすぎて、単純に慣れてしまっただけかもしれない。いずれにせよ、今の俺にとっては好都合だった。
——もっと彼女を汚したい。
そんな黒い感情が、胸中に渦巻いているのだから。