実家を出て、一人暮らしを始めてから、随分と年数が経った。ホームシックになることもなく、順調に日々を過ごしていたと思う。
そして、アイドルのプロデューサーとなり、多忙を重ねた今、俺にとって自宅とは、帰って寝るだけの場所になっていた。
安らぎを得るには程遠い生活だが、それでもなんとかやれているのだから、問題はなかったのだ。今まで、は。
「ふう……」
今日も仕事を終えて帰宅した俺は、玄関の扉の前で、大きな息をつく。それから、スマホを取り出し、トークアプリを立ち上げた。
アプリを開くと、そこには千雪とのやり取りが表示されている。可愛らしいぬいぐるみのアイコンから、吹き出しが出ており、そこには彼女の送信したメッセージが、映し出されていた。
『お疲れ様です。今日は何時まで、お仕事ですか?』
そのメッセージが届いたのは、16時頃。今日の業務は、わりと捗っていたので、ほどほどに残業をして、切り上げる予定だった。なので俺は、こう返信した。
『19時には終わるかな』
すると、すかさず千雪からの返信が。
『じゃあ、お部屋で晩御飯を作って、待ってますから。残りのお仕事、頑張ってくださいね!』
つまり今、俺の部屋には、千雪が来ているということだ。
昨日、状況が状況だったので、彼女に合鍵を渡したものの、返してくれと言い出せずに、そのままになっている。あまり目立つ行動をしてほしくはないのだが、それを彼女に言ったところで、馬の耳に念仏だ。
まあ自宅の中なら、何をされようとも、他人にバレる心配はない。この安全地帯で、できる限り千雪の欲求を満たしてやるしか無いだろう。
そう思いながら、俺は鍵を差し込み、ドアノブを引いた。
「おかえりなさいませ」
俺の目に映ったのは、廊下に正座している千雪の姿だった。目尻を下げて微笑む姿からは、普段通りの優しさを感じるものの、その雰囲気はどこか妖艶さを感じさせるものだった。
まるで主人を迎える妻のように、彼女は三つ指をついて、頭を下げる。その動作に合わせて、彼女の編み込んだ髪が、ふわりと地に触れた。
「……た、ただいま」
しかし、まさか出迎えられると思っていなかったため、面食らってしまう。
「……ずっと、その姿勢でいたのか?」
「いえ、そろそろ帰ってくるかなと思って、準備をしていただけです」
顔を上げながら言う彼女を見て、ふと違和感を覚える。それは、彼女の服装にあった。
今の千雪は、ワイシャツ一枚だけという格好をしており、その胸元が大きく開いているのだ。おかげで、彼女の豊満な乳房により生み出された谷間が、はっきりと見えるようになっていた。
余った袖から伸びる白い指や、裾から覗いている太腿も、より色っぽく感じられる。
「あ、この格好ですか?」
俺の視線に気付いた千雪が、自分の体を見下ろしながら言った。それから、おもむろに立ち上がり、その場でくるりと回ってみせる。
すると、当然のことだが、彼女の動きに合わせるようにして、ワイシャツの裾が翻り、スカートのような役割を担い始めた。
その結果、千雪の下着が露わになるわけだが、それがまた、なんともいえないエロさを醸し出しているのだ。
淫靡な雰囲気の中に潜んでいる、大人っぽい黒のショーツ。それに包まれている柔らかそうなヒップラインが、視界に飛び込んできて、思わず生唾を飲み込む。
「プロデューサーさんのシャツを、借りちゃいましたっ。彼シャツって言うんですよね、これ」
そう言って笑う千雪だったが、その言葉の意味を理解しているか怪しいものだ。確かに、男物の服を着ている女性というのは、魅力的に見えるものだが、それにしても、ここまで扇情的だと、目のやり場に困る。
正直なところ、かなり興奮していた。ズボンの中で、肉棒が硬くなっていくのがわかる。
千雪が着ているのが、俺のシャツということは、当然ながらサイズは大きい。なので、袖や丈の余り具合が、妙に背徳的に見える。
そして、胸のボタンを外しているせいか、豊かな膨らみが零れ落ちそうになっており、そこに目を向ければ、どうしても意識が吸い寄せられてしまう。
このままではまずいと、俺は頭を振って、煩悩を振り払った。そして、靴を脱いでから、廊下に上がると、改めて彼女に向き直る。
それから、できるだけ平静を装いながら、声をかけた。
「そんな格好、俺の部屋にいるときだけにしてくれよ?」
「もちろん、プロデューサーさん以外には、見せませんよ……」
頬を赤らめながら、恥ずかしそうに千雪が答える。どうやら、わかってくれたようだ。
ほっと一安心したところで、俺はスーツの上着とネクタイを外す。すると、待っていたかのように、千雪が近寄ってきた。
「上着、預かりますねっ」
そのまま自然な動作で、それらを受け取ると、リビングまで持っていく。俺も、その後に続いていくと、彼女はハンガーに掛けてから、壁際のラックにしまってくれた。
それから振り返ると、俺の顔を見ながら微笑む。
「プロデューサーさん」
「なんだ?」
わざわざ改まって呼びかけて、何か大事な話でもあるのだろうか。
「これ、ベッドの下にあったんですけど」
そう言って、千雪が指を差した先にあったものを見て、俺はぎょっとした。
ローテーブルの上に、雑誌の山と、透明なビニール袋に入っているピンク色の物体が置いてあり、その横には、見覚えのあるパッケージのDVDもある。
それらは全て、俺が購入したアダルトグッズだった。掃除でもしているときに、見つけられたのだろう。
「こ、これはだな……」
恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じながら、言い訳の言葉を探したが、うまく頭が回らない。
男の一人暮らしで、そういうモノを持っていること自体は、そこまで不自然ではないはずだが、千雪にだけは知られたくなかった。
好意を抱いている、抱かれている女性に、自分の性癖を知られるのは、やはり気恥ずかしいものがある。
しかも相手は、その手の知識には疎いと思っていた千雪で、なおのこと羞恥心は大きかった。
「いえ、いいんです! プロデューサーさんも、一人の男性ですから、こういう物に頼りたくなりますよね!」
俺の反応で察したのか、千雪が穏やかな口調で言う。その表情からは、軽蔑の色などは読み取れず、むしろ、どこか嬉しそうにも見えた。
予想外の反応に戸惑いながらも、ひとまず安堵のため息を漏らす。千雪は優しい子だから、変な偏見を持たずに受け入れてくれたのかもしれない。
しかし、次に彼女が発した言葉で、俺の考えは全くの勘違いだったと気付かされる。
「でも、もう必要ないですよね? 私が、恋人の私が居るから……。これからは、私だけを頼ればいいんです……」
そう言うなり、千雪は俺の手を掴んで、自らの胸元へと導いた。
ワイシャツ越しとはいえ、柔らかく温かい感触が伝わってくる。さらに、彼女の手が、俺の手をぎゅっと握りしめてきたことで、振り払うこともできなくなった。
「私が、この部屋にいる間は、貴方の妻として、お世話をさせて下さい。家事はもちろん、おちんちんのお世話も、頑張りますから……」
妖艶な雰囲気を放ちながら、千雪が耳打ちしてくる。その声音は甘く蕩けるようで、まるで脳が犯されているかのような錯覚を覚えた。
勃ちっぱなしの肉棒が、ズボンの中で痛いほどに膨張している。じわりと熱いものが染み出していく感覚があり、下着の一点を濡らす。
「あれらは、私が処分しておきます。いいです……よね?」
「……ああ、まかせるよ」
「ふふっ、素直でいい子ですね。……そうそう、本やDVDは分かるんですけど、このピンク色の柔らかい物は、なんですか?」
「それは……」
俺の手を掴んだまま、千雪が尋ねる。
どうやら、オナホの存在に気づいたらしい。隠すことでもないかと思い、正直に打ち明けることにした。
「オナホールといって、女性器に見立てた穴に、ペニスを挿入する……自慰用のおもちゃのような物だ」
説明しながら、俺は思わず顔を背けてしまった。いくらなんでも、直接的な表現すぎると思ったからだ。
「オナホール……」
千雪は、俺の手を離し、テーブルへと近づくと、まじまじとピンク色の物体を見つめている。
それから、おもむろに手を伸ばすと、袋から取り出して、指先でつついてみたり、軽く握ってみたりしていた。
その光景を見ていると、心臓がどくんと高鳴る。
皆から愛されているアイドル桑山千雪が、俺の部屋で淫具に触れているという事実だけで、興奮してしまうのだ。
そんな俺の様子に気づいているのかいないのか、千雪はこちらを振り返ると、小首を傾げながら問いかけてきた。
「こんなゴムのかたまりみたいなもので、気持ちよくなれるんですか?」
不思議そうな顔をしながら、彼女は手に持ったそれを、ぺちんと叩く。
それから、今度は、ゆっくりと俺に見せつけるように、人差し指を膣口を模した部分に這わせた。
「手でするよりは、ずっと気持ちいいと思うぞ」
「ふぅん……」
生唾を飲み込みつつ答えると、千雪は興味深そうにうなずく。そして、そのまま指先をオナホの中に押し込み、ピストンするように動かし始める。
千雪は、しばらく無言で弄っていたが、やがて満足したのか、そっと指を引き抜いた。
「……試してみましょうか」
「えっ? 今から——」
俺が聞き返すのとほぼ同時に、千雪は俺の手を引いて、寝室へと向かった。
それから、普段の彼女からは想像もできないような荒々しい手つきで、俺の服を脱がせていく。
あっという間に全裸にされると、ベッドの端に腰掛けさせられて、背後に回った千雪に抱きしめられた。
いつの間にか、彼女も全裸になっており、背中に感じる柔らかな膨らみの感触が、直接肌に伝わってくる。首筋にかかる吐息も、くすぐったい。
「おちんちんは、もう準備万端みたいですね……」
千雪は、俺の股間に触れると、優しく撫でるように揉んできた。同時に、耳元で囁かれた甘い声で、びくりと身体が震えてしまう。
彼女の細い指先が触れるたび、肉棒はさらに硬度を増していき、ぴくっぴくっと脈動を始める。
その様子は、頭を撫でられて喜ぶ犬の尻尾のようだった。
「とりあえず、こんにちはをしましょうね。さあ、元気に挨拶して下さい……」
千雪はそう言うなり、肉棒の皮を剥き、敏感になった亀頭部分を露出させた。
外気に触れたことで、ぞくりと寒気が走るが、同時に、これから何をされるのかという期待感が湧いて来る。
「ああ……! すごい濃厚な匂い……! ちゃんと、約束を守ってくれたんですね……? えらいえらい……」
耳元で、千雪が熱っぽく呟いている。
それから彼女は、俺の肩口に顎を乗せると、鼻腔をひくつかせて、すーすー、と呼吸を繰り返した。
まるで、獲物の臭いを嗅ぐ肉食獣のような仕草だ。でもそれは、どこか愛情を感じさせるものであり、嫌悪感はない。
しかし、こんな小便と汗の混じった体臭の何が良いのかは、まったく理解できなかった。
だが、当の本人はご満悦らしく、何度も大きく深呼吸を繰り返すと、俺の首筋へと舌を伸ばしてくる。
れろぉ……と唾液たっぷりのそれが肌の上を這い回り、思わず身震いしそうになる。
そのまま、ちゅっ……と吸い付くようにしてキスをすると、千雪はようやく顔を離した。
「……いけませんね。目の前に、ご馳走を並べられると、つい食べてしまいたくなるんです」
彼女はそう言って笑うと、手に持っていたオナホを、そっと俺のペニスにあてがってきた。
「これ、このまま挿れても、いいものなんでしょうか?」
「あ、いや……ローションを中に入れてからの方が……」
「はあ、ローション。でも、濡らせば問題ないですよね?」
千雪は、再び俺の肩に顎を載せる体勢になると、オナホを自身の顔の前に持っていく。そして、指先で軽く膣口を開くと、そこに唾液を垂らし始めた。
ぷっくりとした唇から流れ出る透明な液体が、ピンク色の性具へと落ちていく。やがて、十分に濡れたところで、千雪はもう一度オナホを、俺の肉棒へあてがった。
「挿れますよ?」
「その前に、空気抜きをした方が……」
俺の使っているオナホは、非貫通型であり、挿入する際には、内部の空気を抜いておく必要がある。やるのとやらないのとでは、快感に大きな差が出るのだ。
「いちいち手間がかかりますね……。こんな面倒な物を使わなくても、私が——」
千雪は俺の言葉を聞くと、呆れたようにため息をついた。ぶつぶつと何かをつぶやきながらも、オナホを握りしめて、空気を抜き始める。
ぶちゅっと音を立てて、空気と千雪の唾液が混ざったものが逆流してきた。それが、亀頭の先端にかかり、ぞくっとした感覚が襲ってくる。
「今度こそ、いきますよ……?」
やがて、すべての空気が抜かれると、千雪は改めて、俺の肉棒に狙いを定めた。そして、ゆっくりとオナホの入り口を押し広げながら、それを中に沈めていく。
ぐにゅっ、という感触とともに、暖かな粘膜に包まれるような感触がやってきた。そのまま、内部にかたどられたヒダが、肉棒全体を刺激してくる。
「奥まで、入っちゃいましたね……」
千雪の言う通り、肉棒の根元付近までしっかりと入り込んでおり、圧迫感が凄まじい。
「それで、この後は、どうすれば良いんですか?」
「て、手でやるのと一緒で、オナホから抜けないように気をつけて、上下に動かすんだ。ゆっくりでいいから、少しずつ早くしていく感じで……」
「なるほど……」
俺の指示通りに、千雪は手を動かし始める。
最初は、ぎこちなかった動きも、次第に滑らかになってきて、ぐちゅぐちゅという音が響き始めた。千雪の唾液と、俺の我慢汁が混じり合い、卑猥な水音を奏でている。
粘度の高いローションとは違い、さらりとしていて、あまり滑りが良くはない。そのためか、より強い刺激となって伝わってきた。
「気持ちよさそうですね……? 貴方の惚けた顔、とても好きなんですけど、今は見ても嬉しくないんです。どうしてだと思います?」
千雪が、オナホを動かす手を緩めることなく尋ねてくる。俺は、首を横に振って、分からないと答えた。
すると、彼女はくすっと笑みを浮かべ、耳元で囁いてくる。
「それは、偽物のおまんこで、気持ちよくなってるからですよ……!」
それは、甘い吐息のように聞こえたが、どこか冷たく、苛立った口調だった。だが、それについて追及するよりも先に、千雪がオナホを強く握り込んで、動かし始めてしまう。
ぐちゅっ、ぐちゅっ……と、先ほどより激しい音を立てながら、肉棒全体を擦り上げてくる。
「ぁ……!」
加減を知らない乱暴なピストンに痛みを感じるが、それ以上に強い快楽が押し寄せてきて、俺は声を上げてしまった。
しかし、千雪の手の動きは止まらず、むしろ激しさを増していく。
「私には挿れてくれないのに、こんなものばっかり使って……! 許せませんっ!」
千雪は、さらに強く握ると、一気に引き抜きにかかる。そして、亀頭が外に出ようかといったところで、再び最奥まで押し込んだ。その動作を、何度も繰り返される。
存分に空気が抜かれて、真空状態に近くなったオナホには、凄まじいバキューム力が生まれており、強烈な快感を生み出していた。精巣まで持っていかれそうになり、思わず腰を引いてしまう。
「なに、気持ちよくなってるんですか……! 私が手でするより、息を荒げて……!」
しかし、千雪はそれを許さない。俺の身体に腕を回して固定してくると、逃げられないようにしてから、激しくオナホを扱いた。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ……!!
粘液が絡み合う音を聞きながら、暴力的なまでの快楽に耐えることしかできない。目の前がチカチカとしてきて、限界が近いことを知らせてくる。
それでも、千雪は責めをやめず、ラストスパートをかけてきた。
そして、なすがままになっていると、ついに射精感がこみあげてきてしまい——
びゅくっ! どぴゅっ! どくん、どくん……!
オナホの中に、大量の精子を吐き出してしまった。
射精中も、千雪は扱き続けてきており、最後の一滴までも搾り取ろうとしてくる。
やがて、ある程度出し終えると、千雪はようやく手を止めてくれた。
「随分と、早いですね。そんなに良かったですか?」
「あ、ああ……。それは、もう……」
俺が呼吸を整えている間に、千雪は肉棒からオナホを引き抜く。ぽんっという音を立てて引き抜かれた後には、たっぷりと出した白濁液が穴から溢れ出していた。
千雪は、それを手のひらで受け止めて、まじまじと見つめると、舌先で舐め取る。その姿は、淫靡そのもので、見ているだけで興奮してしまうほどだった。
千雪は、手についたものを綺麗にし終わると、肩越しにこちらを見やる。真横に顔があるため、視線が至近距離でぶつかり合った。
その瞬間、俺の背筋にぞくりとしたものが走る。千雪の目つきが、明らかにいつもと違っていたからだ。
瞳の奥に、仄暗い感情が渦巻いているように見え、吸い込まれそうになる。ステージで歌っているときのような煌めきはなく、底知れぬ闇が広がっていた。
「とても、濃いです。貴方の出したもの。今まで味わったことがないくらい……」
千雪の瞳から目を離せないでいると、彼女はそう言って微笑んでくる。口元は笑っているのに、目は笑っていない。本能的に恐怖を感じて、ごくりと唾を飲み込んだ。
すると、千雪は俺の身体に抱き着いてきて、そのままベッドに押し倒してきた。仰向けに寝転がされた状態で、覆い被さった彼女の顔を見上げる。
相変わらず微笑を湛えているが、どこか怒っていそうな気配を感じた。
何をされるのか分からず身構えていると、彼女はゆっくりと顔を近づけてくる。そして、耳元で囁いてきた。
「私より……オナホールの方が、好きなんですか?」
それは、普段よりもずっと低い声で、まるで脅されているような気分になる。俺は慌てて首を横に振って否定した。
「嘘……ですね。あんなに濃いのを、偽物のおまんこにぴゅっぴゅして……。私がしているときより、気持ちよさそうにして……」
しかし、千雪はそれを信用していないようで、さらに言葉を続けてくる。
耳元で囁かれるたびに、ぞわりとした感覚に襲われて、全身が震えてしまう。なんとか弁解しようと思うのだが、上手く言葉を紡ぐことができなかった。
すると彼女は、俺の胸板に手を這わせてきて、乳首に触れてきた。
かりっ、くりっ……と爪を立てながら、何度も引っ掻いてくる。痛みを感じるほどの強さだったが、徐々に甘い痺れが生まれ始めて、俺は小さく声を上げてしまった。
だが、それでも千雪は手を止めてくれない。執拗に弄られ続けて、だんだんと硬度を増していく。
「オナホールに出しても、妊娠するわけじゃないんですよ? ママにならないんですよ? なのに、どうして私じゃなくて、オナホールで気持ちよくなっちゃうんですか……?」
千雪は、さらに質問を重ねてきたが、答えることができない。恥ずかしくて言えるはずがなかった。
オナホで気持ちよくなっているところを見られて、その相手に責められているなんて。
「私なら、赤ちゃんを作れますし、ごっくんだってしてあげられます。ママになって、いっぱいよしよししてあげられます……。それなのに……どうして……!」
千雪の問い詰めるような口調を聞いて、思わず身体が強張ってしまう。どうにか誤魔化そうと、頭を働かせるが何も思いつかない。
すると千雪は、ふっと表情を和らげたあとに、優しい声色で話しかけてきた。
「……ふふっ。貴方は、素直じゃない子でしたね。でも、身体は正直な子です。なので、今日は、徹底的に可愛がってあげようと思います」
千雪はそう言うと、俺の額に自身の額をくっつけて、じっと見つめてくる。鼻先が触れ合い、彼女の艶かしい吐息を肌で感じた。
それから、俺の下半身に手を伸ばして、未だ固く反り返っている肉棒を掴むと、上下に擦り始めた。
十分に潤滑された肉棒は、滑らかに扱かれて、すぐに快楽を感じ始める。先程までのオナホとは違う、生身の人間の温もりと柔らかさが伝わってきて、自然と腰が浮いてしまう。
「いいでしょう? 私の手……。貴方の弱いところを、全部知ってるんですから……」
千雪は、俺の反応を見て満足げに笑うと、亀頭部分を手のひらで包み込んでくる。そして、そのままぐりぐりと撫で回してきた。
敏感になっている先端は、それだけで強烈な刺激を生み出して、頭の中が真っ白になってしまう。
「口……開けてください」
言われた通りに口を開けると、千雪は唾液を垂らしてくる。どろりと糸を引きながら落ちてくるそれを、舌先で受け止めると、彼女の匂いや味が広がっていく。
その瞬間、頭がくらくらとして、思考力が鈍っていくのを感じた。同時に、麻薬のように作用して、もっと欲しいという欲求が生まれてしまう。
「貴方には、私がいないと駄目なんです。私だけを見ないといけません。私以外で気持ちよくなってはいけないんです。今回は、オナホールだったから許しますけど、他の女性に目移りしたら……分かりますよね?」
肉棒を扱かれながら、そんなことを言われて、俺はこくりと首を縦に振る。すると、千雪は嬉しそうに微笑んで、さらに大量の唾を吐き出してきた。口内に、並々と注がれる。
「飲まないでくださいね? 口の中に溜めて、そのままにしておいてください……。私の味を、覚えておくために……」
言葉を発する余裕もなく、ただ黙って千雪の言葉に従う。
「はい、素直でいい子には、ご褒美をあげましょうか……。おちんちん、もっと気持ちよくなりたいですよね?」
千雪は、そう言いながら、今度は指先でなぞるようにして、亀頭を触ってくる。縦横無尽に這い回る細い指先に、びくんっ、びくんっと身体を震わせて反応してしまう。
五本の指先は、それぞれ別の生き物であるかのように動き回り、カリ首に引っかかったり、裏筋をくすぐるようにして、的確に性感帯を刺激してくる。
しかし、手つきが優しすぎるがゆえに、絶頂に達することができない。じわじわと高められる快感に悶えていると、不意に耳元に唇を寄せられて、囁かれた。
「……出したいですか? 白いのを、ぴゅるるぅ〜って、出しちゃいたいですか……?」
甘く蕩けるような声で問いかけられた俺は、もう我慢することができなかった。欲望のままに、こくりと首を振って肯定する。
すると、千雪は妖しく笑い、さらに言葉を続けた。
「ふふっ、だ〜めっ。まだ出させてあげませんよ? もっと可愛い顔を見せるまでは、絶対に射精を許しませんから……」
彼女は、再び俺の額に自身の額を合わせると、じっと見つめてくる。
ご褒美をくれると言ったのに、なんで焦らすのか。死刑宣告にも等しい言葉を聞いて、思わず泣きそうになる。
「いい顔です……。その調子ですよ……。私にしか見せない顔を、もっともっと見せてください……」
千雪は、優しく語りかけながら、さらに唾液を垂れ流してくる。先程と同じように、舌先で受け止めると、千雪は満足げな笑みを浮かべた。
「おちんちん、涙でぐしょ濡れですね……? でも、まだまだ泣かせますから……。ふふっ、楽しみにしてください……」
そう言うと、またもや亀頭を責め立ててくる。指先で撫で回すように、何度も何度も往復させる。決して強くはない、絶妙な力加減で、執拗に責めてくる。
俺の手足は、金縛りにでもあったかのように動かず、快楽によって脳細胞が破壊されていくのを感じながら、腰をくねらせて身悶えることしかできない。
溢れ出る我慢汁でべとついた肉棒は、千雪の手で弄ばれ続ける。
やがて、彼女の手の動きに合わせて、腰が勝手に跳ね始めると、千雪は嬉しそうな声を漏らした。
「わあ……! ダンス、お上手ですねぇ……! かくかく、へこへこって……可愛い……。アイドル顔負けの、お下品ダンス……素敵です……!」
そんなことを言われても、反論することはできない。今の俺は、ただひたすらに情けなく喘ぎながら、無様に腰を振るだけの家畜だった。
しかし、千雪は俺の反応を見て楽しむだけで、一向に絶頂へと導いてくれない。生殺しのまま放置されて、気が狂ってしまいそうだ。
このままではまずいと思った俺は、必死になって懇願する。唾液の溜まった口では、上手く喋れないので、目で訴えかけることにした。
もう限界だから、早く楽になりたい。この苦しみから逃れたい一心で、恥を捨て去って媚びを売る。涙で視界が滲んでしまうほど、俺は惨めに感じていた。
すると、千雪はそんな俺の姿に興奮を覚えたようで、頬を赤く染めながら、息を荒らげる。そして、嗜虐的な笑みを浮かべると、耳元で囁いた。
「くふっ……。じゃあ、指で輪っかを作ってあげますので、そこに向かって腰を振ってください。ただし、私の声に合わせて、ですよ?」
そう言って、千雪は右手で作った輪を、カリ首にあてがう。その瞬間、ぞくりと背筋が震えて、期待で胸が高鳴った。
ようやく絶頂を迎えられるのだ。そう思うと、自然と口角が上がり、だらしない笑顔になってしまう。
「数字を十、数えますから、ゼロになったときにだけ、射精を許します。もし、それまでに出しちゃったりしたら——」
そこで言葉を区切ると、千雪は意地悪そうに笑う。
まるで悪魔のような笑みに、恐怖を感じると同時に、どうしようもなく惹かれてしまう。
それから彼女は、たっぷり間を空けてから、言った。
「私の初めてを、捧げさせていただきます♡」
千雪の言葉を聞いた途端、心臓がどくんっと大きく脈打つのを感じた。
好意を抱いている女性の、アイドルの処女を奪えるというのは、男としてこれ以上ない喜びだろう。まして、それが自分に向けられたものであれば、なおさらである。
だが、それだけは避けなければならない。俺は、彼女のプロデューサーなのだから。それに、催眠状態の中で、彼女を抱くわけにはいかないのだ。
「本当は、貴方からしてくれるのを待ってたんですけど、もう待ちきれなくて……。価値観に囚われるのは、もうやめにします。別に女性からしても、問題ありませんよね……? だって私たちは、恋人同士なんですから……」
千雪が、俺の肉棒にまたがって、ゆっくりと腰を落としていく様を思い描いてしまい、思わずごくり、と唾を飲み込んだ。膣内に挿入して、膜を破る感覚を想像すると、射精感が高まってくる。
千雪は、そのまま一気に体重をかけて、奥まで貫くのだろうか。それとも、焦らすように入り口付近を擦ってくるのか。
いずれにせよ、最高に気持ちいいことは、間違いないはずだ。
「貴方が、私を大事にしてくれているのは、分かっています……。ゆっくりと時間をかけて、愛を育むつもりなんですよね? でも、私は今すぐ欲しいんです……。ほら、触っていないのに、もう……」
千雪は、カリ首に輪っかをしたまま、自身の秘部へと持っていくと、竿の先でなぞるように動かし始めた。
そこは、愛液で濡れそぼっており、触れるたびにくちゃくちゃと淫猥な音を立てる。俺の、雄の種を欲しているのだと分かってしまう。
誰の侵入も許したことのない膣内を、思う存分蹂躙したいという欲望が湧いてくる。何度も何度も腰を打ち付けて、子宮の奥底にまで精を注ぎ込んでやりたい。無防備な卵子に向けて、大量の精子をぶちまけて、受精させてしまいたい。千雪を、アイドルの千雪を、俺だけのものにしてしまいたい。
そんな暴力的な衝動を、歯を食いしばって耐える。まだだ。我慢しろ。今はその時じゃない。絶対に屈するな。
そんなことを考えているうちに、秘部から肉棒を離される。そして、千雪は俺の顔を見ながら、にっこり微笑んだ。
「貴方の弱いところが好きですけど、もちろん強いところも大好きです。優しい笑顔が、一生懸命頑張ってくれるところが、どんな時でも諦めずに、私の手をとって導いてくださるところが……全部、ぜーんぶ、大好きなんです……」
甘い言葉をかけられながら、優しく頬を撫でられる。慈しみに満ちた手つきに、心が癒されていくような気がした。
「だから、ぴゅっぴゅ我慢して、つよつよなプロデューサーさんを、見せてくださいね……?」
そう言って、輪っかをぎゅっと締め付けてきた。思わず唾液を飲み込みそうになるのを、必死になって耐える。
「ごっくんも我慢ですよ? 私の味を堪能しながら、びゅー♡ びゅー♡ ってお射精するんですから……。ふふっ、楽しみですね……?」
千雪は、輪っかをぐりぐりと回転させるようにして弄ってきた。亀頭が刺激され、快感で脳みそが蕩けそうになる。
その後、輪っかを緩めて、亀頭の先にあてがった。
「私が、いち数えるたびに、ゆっくり腰を浮かせて、引いて……。それを繰り返してください。途中で、ぴゅっぴゅしそうになっても、動きを止めちゃ駄目ですよ? ちゃんと、最後まで、腰振りを続けましょうね……」
耳元で囁かれる甘美な誘惑に耐えながら、ゆっくりと息を吐く。欲望に負けないよう気を引き締めた。
数字を数える声を聞き逃さないよう、聴覚に集中する。やがて、カウントダウンが始まった。
「いきますよ……? ……じゅ〜う」
千雪の声に合わせて、俺は腰を前後に動かし始める。
指輪っかに向かって、亀頭を押し込むようにすると、僅かな抵抗を感じた後、ずるりと抜けていった。そしてカリ首を、きゅっと締まった指が包み込んでくる。それだけで、射精感が高まっていく。
だが、我慢だ。尻の穴を、きゅっと引き締めて、欲望に抗う。
そのまま、ゆっくりと腰を引いていくと、再び亀頭に指が絡みついてきて、敏感な部分を刺激してくる。
まるで、膣内に挿入しているかのような錯覚を覚えてしまう。いや、子宮口を貫いて、子宮内まで犯している気分だった。
現実ではあり得ない感覚だからこそ、余計に興奮してしまう。
「きゅ〜う……。はぁ〜ち……。なぁ〜な……」
その間にも、千雪のカウントは徐々に進んでいく。動きを止めるわけにもいかないので、ただひたすらに腰を振り続けた。
「ろぉ〜く……。ごぉ〜お……。よぉ〜ん……」
あと少し、もう少しだけ耐えれば解放されるのだ。その思いだけで、どうにか意識を保つことができた。
だが、それまで耳元で囁いていた千雪が、突然舌を這わせてくる。そのまま、耳を舐め続けられ、ぬるりとした感触と、淫靡な水音が脳内に響いた。
身震いするような感覚に襲われて、思わず動きを止めたくなる。しかし、その間も、千雪のカウントは、容赦なく続く。
「はぁ〜ん……。ひぃ〜い……。いぃ〜ひ……」
もはや、射精することしか考えられなくなっていた。早く終わらせたい。この生殺しの快楽から解放されたい。そんなことばかり考えてしまう。
それでもなんとか我慢できたのは、これまでの積み重ねがあったからだろう。
千雪とは、二人三脚で歩んできた。辛いこともあったけど、お互いに支え合いながら、ここまでやってきたのだ。
だから、きっと今回だって大丈夫だ。我慢できるはずだ。
そして——
「…………ぜろ♡」
これまで耐えてきたものが、すべて決壊した。
射精寸前の強烈な快感に襲われた俺は、為す術もなく絶頂を迎えてしまう。
二発目にもかかわらず、噴水のように溢れ出した白濁色の液体が、互いの身体に降り注ぐ。その後も、壊れた蛇口みたいに、びゅるびゅると放出し続けた。
「まだですっ、まだ止めちゃ駄目ですっ♡ びゅーびゅー♡ びゅーびゅー♡ って、全部出し切ってくださいっ♡」
射精中、千雪は亀頭を輪っかで締め付けながら、上下に激しく扱いてきた。残滓を全て絞り出すように動かされ、強制的に射精させられる。
射精直後の亀頭を扱かれ続けるという未知の体験に、全身が痙攣する。あまりの気持ちよさに、口内に溜まっていた唾液を飲み込んでしまう。
俺と千雪の体液が存分に混ざったそれを飲み下すと、頭の奥底に熱のようなものが生まれた気がした。それが全身に広がっていき、徐々に思考能力が低下していく。
もう何も考えられない。ベッドのシーツを握りしめ、されるがままになっていた。
「ふふっ、どぷっ♡ どっぷっ♡ って出てますね……? 奥の底に溜まった、こゆぅ〜いのも、ぜ〜んぶ吐き出しちゃいましょうね〜♡」
勢いは衰えて、もはや透明な汁が垂れ流しになっているだけだった。
しかし、千雪の手つきは全く変わらない。より一層激しい動きで、搾り取ろうとしてくる。
限界を超えた快感によって、視界が明滅し、苦痛を感じ始めたとき、突如として、尻穴が収縮を始めた。
それに伴い、尿意を我慢しているような、不思議な感覚に襲われる。そのまま、肉棒から何かが出てしまいそうな感覚に、恐怖すら覚えた。
「ん〜? もしかして、逃げようとしてます? くふふっ……♡ だぁ〜めでぇすよぉ……♡♡」
このままではマズイと思い、必死に腰を引くが、千雪がそれを許さない。
指先がカリ首を引っ掛けて、離さないのだ。そして、そのまま上下に擦り上げられ、射精欲が高まっていき、それから、凄まじい尿意も込み上げてくる。
「ああぁっ……!」
思わず漏れ出た情けない声と共に、俺は三度目の絶頂を迎えた。それと同時に、鈴口から熱い飛沫が上がる感覚を覚える。
射精というよりも、放尿に近い感覚だった。透明な液体が大量に吹き出して、シーツに染みを作る。
「……えっ? これ……」
千雪も異変に気付いたのか、不思議そうに首を傾げている。だが、それも一瞬のことだった。
すぐに笑顔を浮かべると、指先で掬うようにして、こちらに見せつけてくる。
「潮吹き……ですよね? 私も、何度か経験したことありますけど、こんなに出るなんて……。それにしても、さっきの声……とっても可愛かったですよ♡」
千雪の言葉を聞いて、顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
今すぐ逃げ出したくなる衝動に駆られるが、絶頂の余韻のせいで、まともに身体を動かすことすらできなかった。
「初体験が、お預けになったのは残念ですけど、貴方の格好いいお射精と、可愛いお漏らしが見れたので、今日は満足ですっ。でも二度と、私以外で気持ちよくなっては、駄目ですからねっ? 約束ですよ? ……返事は?」
「は、はい……」
「ふふっ、素直でいい子ですっ」
俺の意思とは関係なく、もう千雪から与えられる刺激以外では、射精することができないようになっていた。俺の身体は、完全に屈服させられてしまったのだ。
しかし、意思までは、かろうじて支配されていない。あのまま快楽に身をまかせて、途中で射精していれば、なし崩しに千雪と繋がることができたのにもかかわらず、俺は耐えられた。
この精神力があれば、催眠アプリなど使わなくて済んだだろうに。だが、いっときの誘惑に負けて、全てを棒に振ってしまった。
後悔先に立たず……いや、あと26日を耐えきれば、全て元通りになるはず。それまで、我慢すれば良いのだ。
「では、私はもう寮に戻りますね。晩御飯は、キッチンに置いてあるので、もし冷めてたら、温めて食べてください」
「ありがとう……。いただくよ……」
「本当は、一緒に食べるつもりだったんですけど、時間を使いすぎちゃったので、またの機会にしましょう。……あ、コレは持っていかないと——」
そう言って、ベッドに放られていたオナホを鷲掴みにする。そして、俺の眼前に突きつけると、淫靡な笑みを浮かべながら、語りかけてきた。
「私とコレ、どっちが好きですか?」
「千雪……です」
「……くふっ♡」
俺は即答した。もう、それ以外に答えはなかった。
俺の返答を聞くと、千雪はとても嬉しそうな表情をする。そして、ゆっくりと唇を寄せてきた。
互いの吐息が感じられる距離まで近づくと、そのまま、そっと口づけされる。
「知ってます。たっぷりと、見せてもらいましたから……ねっ♡」
千雪は、最後に俺の頬を撫でてから、部屋を出ていった。その足取りは軽く、鼻歌すら聞こえてきそうだ。
やがて、着替えやらの身支度を終えた千雪が、部屋の扉から顔を覗かせ、手をひらひらさせてくる。
それに応えるように、手を振ると、彼女は満足げに微笑んで、去っていった。
嵐のような時間が過ぎ去り、ようやく一安心できる。大きくため息を吐き出すと、身体中の力が抜けていくようだった。
このまま眠ってしまいたい欲求に駆られるが、ぐっすり眠るには、この惨状をどうにかしなければならない。
部屋に残されたのは、千雪の残り香と、汗と精液と愛液の匂いが混ざり合った、なんとも言えない臭い。そして、先ほどまでの行為によって、汚されてしまったシーツだった。