九尾となった獣、世界を滅ぼす 作:アルターエゴ・タマモナイン
R-18は念の為となっております。
何処にでもあるようなありふれた御話。
一人の人間が超常の存在に力を一方的に押し付けられた。
その力というのがとある世界において傾国の美女、神の分霊、そして人類が滅ぼすべき獣の力だったのである。
厳密に言えば与えられた力は全く別々のもの、しかし起源が同一であった為に相性が良かった――――良過ぎたのだ。
結果、一人の人間が獣に堕ちるのは当然だった。
そしてこれはその獣が世界を滅ぼす御話である。
※
拝啓――――天国のお父様お母様。
私こと◇◇は何故か神の如き超常の存在に力を与えられ、別の世界に転生する事になりました。
何で私なのか、多分理由は無いのでしょう。
いや、本当にどうして私が選ばれたんですかね? 別に私以外でも良かったと思うのですが。
しかも特典として与えられた力がかの有名な型月作品、その中において最強生物の一角である玉藻シリーズの力を与えられました。
キャスター、及びランサークラスの玉藻の前。バーサーカーとして召喚されたタマモキャット。そして光、闇のコヤンスカヤと愛玩の獣。
コヤンスカヤに関しては厳密には玉藻では無いのですが、大本の霊基を持っているということもあり一纏めにされてしまったらしいようなのです。
それだけならまだ良い、いや、本当は良くないのですがよりにもよって人類を滅ぼしたいという強い思いも一緒についてきました。
正確には人理を滅ぼしたいという思いなのでしょうが大した違いはありません。世界を滅ぼすということは人類を滅ぼすということなのですから。
ビーストクラスの霊基を獲得しているが故の弊害かはわかりませんが。卵が先か鶏が先か論争等しても無意味です。
ぶっちゃけ、世界を滅ぼしたいという思いが強過ぎてどうにもならないですから。
「一先ず、この世界がどんな世界なのかを知る必要がありますね」
いかにビーストの霊基を持っていても決して無敵ではありません。
どれだけ弱い相手だって、相性が悪ければ負ける事だってあるのですから。
※
「いやー、今の私でも油断は出来ませんね」
結論から言うと、この世界は『
簡単に説明すると何処にでも居るといえば御世辞になってしまうようなくらいダメダメな少年、沢田綱吉とそんな彼を立派なマフィアのボスにする為にやってきた赤ん坊の家庭教師リボーンの物語。
最終的な戦闘力は油断ならないし、何より私の権能を封じた上で対等に戦えるアイテムを持っている。
はっきり言って世界を滅ぼす上で邪魔にしかならない連中だ。
「まぁ、まだ産まれてないみたいですし何とかなりますか」
世界を滅ぼしたいとはいっても全人類を皆殺しにしたいわけじゃない。
ある程度は残して自分好みの世界にしたいだけだ。それが人類悪なのだから。
と、なると自分がやらなくちゃいけない事は自ずと見えて来る。
先ず主人公である沢田綱吉の確保。場合によっては他にも確保する必要がある。
次に主人公にとって最大の敵である白蘭の殺害。出来る事なら匣の情報を入手してから排除したい。
最後に大空のアルコバレーノの確保。これはアリアかユニ、どちらでも構わない。
「はぁ…………上手くいくか心配ですね」
相性から考えるに、私とこの世界の問題、ほぼ全ての元凶と戦えば間違いなく私が勝つ。
でも今は戦いたく無い相手だ。
「さて、と…………そろそろ動くとしましょうか」
現在自分が居るのは日本のとある病院。
ここで沢田綱吉が生を授かると呪術によって占われた。
産まれたばかりの沢田綱吉を獲得出来る唯一の瞬間。それ以外の時は物心ついてしまうので私と敵対するかもしれません。なので物心つく前に固有結界内で育てれば、私と敵対する可能性も少なくなります。
上手くいくかは賭けになりますが、やってみる価値はあります。
そして、今私は沢田綱吉の前に居る。
「…………成る程、これは中々」
目の前の赤子を見て思わず感心する。
間違いなく才能がある。そして何よりイケ魂だ。
これが一時期はダメダメになるとはとても思えない。そういえばアニメでの描写で力を封印されたという事があった気がする。
「環境が人をダメにする、ということですかね」
良くも悪くも平穏な生活を送らせたいと考える親心が原因なのだろう。
まぁ、それはどうでも良い事ですね。この子はこれから私が貰って育てるわけですし。
「そういうわけで、この子は私が育てますから」
そう言って背後に存在する物に視線を向ける。
私の背後には沢田綱吉の父親、沢田家光が血に塗れた状態で倒れ伏していた。
既に事切れており、死んでいる。
「仮にも裏社会に身を置いている以上、夫婦もろとろ殺されるというのは良くある事ですしね」
本当に上手くいったと自画自賛をしたいくらいだ。
彼に敵対する者に情報を与え、襲撃に来たどさくさに紛れて沢田綱吉の両親を排除する事が出来たのだから。
付け加えると彼の両親を直接殺したのは私ではないし、二人を殺した者も全員処分し終えた所だ。
私がやったのは沢田夫妻の情報を教えた事、武器を横流しした事ぐらいだ。殺し屋だとは知っていたが依頼したわけじゃないし、あくまで彼等自身の意志と他の誰かからの依頼で動いただけだ。
そして、沢田綱吉も手に掛けようとした所を私が救った。
これ以上無いくらいに完璧な結果だ。沢田綱吉を確保出来た以上、もう用は無い。
後はもう何人か戦力が欲しいところだが、取り敢えず可愛い女の子が良いだろう。男の子ならむさ苦しい男が付き人になるよりも、可愛い女の子が付き人になる方が良いと思いますし。
そんな事を考えながら単独顕現を行使して自分の本拠地、誰も知らない無人島に展開した固有結界に帰還する。
――――それから約一年の時が流れました。
沢田綱吉を確保した後、私はクローム髑髏と名乗る事になる少女と綱吉と敵対する事になるブルーベルを確保しました。
彼とは違い、二人とも養子縁組をして自分の所に来ました。
尤も、クローム髑髏もとい凪と違ってブルーベルは引き取るのにかなり苦労しました。結果的に呪術を使い彼女の家族を操って無理矢理承諾させたようなものです。周囲の記憶の操作もやりましたし、めっちゃ疲れました。
そして現在、私は自分の固有結界内で三人の子育てをしています。
「ああもう、ツナ君泣き止んで凪ちゃんぐずらないでブルーベルちゃんは危ないところに行かないでぇ!」
コヤンスカヤの固有結界を自分なりにアレンジした固有結界の中で、三人の自由奔放な赤子達。
使い魔を呼び出して育ててもなお手に余りました。
一気に三人も引き取るんじゃなかった、内心後悔に浸りながら時間は流れていくのでした。