夏は過ぎて秋が来る、月日は絶え間無く流れ行く。
しかして二人の間に飽きは無く。
楽しい日々は、終わらない。
きっと、ずっと。
波乱まみれだった暑い暑い夏が終わり、もうじき秋も過ぎ去って冬が来る。一緒に過ごせる時間は確実に減りつつあって、先はどうなるかわからない。
わからないけど、今は二人でいられる時間を楽しもう。あまり人目にはつかないように、それでもなるべくは距離を縮めて。俺たちは、そんな感じで一緒にいる。
そして今日は、どういうわけか。屋上へ出る扉の前で悪戦苦闘する先輩を、俺は微笑ましく見詰めている。
「千夏先輩、素直に鍵借りましょうよ……」
確かこの人、天文部に友達いるから鍵借りられる筈なんだけど。前にジャージ間違えた時も、それで屋上に出たんだし。なのに何でヘアピン突っ込んでガチャガチャやってるんだろうか。ロックピック技能とか持ってるようには見えないんだけど。
「うっさいなぁ……。大丈夫だって、多分もうじき……」
だんだんとイライラしてきたのか口調が荒くなりだしてから、数分経った頃。
小さな金属音と共に、先輩がガッツポーズを取るのが見えた。やれやれ、やっとか。
開け放たれた扉からは爽やかな、でも少しだけ冷たい秋の風が吹き込んでくる。
晴れ渡る空は、絶好の行楽日和を告げている。こんな良い日に学校で勉強なんかしてたら、バチが当たりそうだ。
まあ、それはそれとして。
「よっし、じゃ遅れたけどお昼にしましょうか」
ワンパクな顔で笑う千夏先輩、それを見て俺も思わず笑ってしまう。
屋上でお昼食べたい、と考えて即実行してしまう千夏先輩。歳上に言うことじゃないけど、可愛いな。
――やっぱり俺は、この人が大好きだ。
大好きなんだけど、さあ。
食べ終わってまだ間がないのに俺へとしなだれかかってくる先輩は、ちょっとだけ困る。可愛いけど、うん。
この人は距離感バグってるから、二人きりになるとすぐこうなるんだけど。ここは一応、学校なんですが。
まあ、良いんだけどさ。
でも絶対こんなもんじゃ済まないのが、千夏先輩なんだ。
「さぁて腹拵えも済んだし、じゃ早速
先輩はニヘラっと俺に笑いかけながら立ち上がり、その手を自分のスカートの中へと伸ばしていく。
まるで見せ付けるように……いやまあ実際魅せたいんだろうけど、わざと腰を揺らしながらゆっくりとその中をまさぐる先輩。
そして、スッと下ろされる――ぱんつ。ひょいっと脚を抜いてそれを脱ぐと、先輩はそれを丸めて冬服のポケットに仕舞ってしまう。
「あのー先輩、ほんとにここで……?」
「うん。私一回で良いから、学校でしたかったんだよね。なんかこう、ドキドキしない?」
します、ハイ。多分先輩とは違う意味で。見つかったらどうなるか、とか考えてないんだろうなこの人。
でも下手にゴネると今度は、「屋上は嫌なんだね、じゃあ教室でしようよ」とか言い出しそうで怖い。
基本的に怖いものなしと言うか、感性が歪と言うか。器が大きいんじゃなくて、底が抜けてるんだよな。
俺達が迎えた
何が起こったか、わからなかった。
同居再開を喜びつつも、表立って騒ぐのは照れ臭くて。だから「いつも通り」を心がけてはいたけど、でも。
鎮まらない鼓動をなんとか抑え込もうと、風呂で冷水なんか浴びたりまでしてどうにか取り繕おうとしていた俺は。
部屋へ戻った直後、俯せに押し倒されていた。
「あー……やっぱり大喜くんだー……」
嬉しそうなその声に、背中に乗っかっている重さの正体はすぐに分かった。千夏先輩だ。他の誰でもない。
悪ふざけにしてはタチが悪いんじゃないか、と変に冷静になってはみたけれども、内心は穏やかでいられる訳がない。
千夏先輩に、乗られている。大好きな人が、俺の上にいる。
興奮してはいけない、と思いながらも身体は反応してしまう。
下半身に血流が集中し、熱を帯びていくのをなんとか隠そうと悪戦苦闘していたのに。千夏先輩は俺の服を捲り上げ、風呂上がりの背中を弄び始めたのだ。
何がどうなっているのか、その時はまったく見当もつかなかった。ただ熱く柔らかいモノが背筋をゆっくりと降りていくのが、気絶しそうな程に気持ちよかっただけ。あとになって本人に聞かされて、ようやく分かった。背中にキスされ、舌と唇が這い回っていたという事を。
そして降りていくその快感は、すぐに危険な水準にまで達してしまう。布がずり下ろされ外気に晒されたお尻へと、小さく熱い刺激が降り注ぐ。何度も、何度も。
余りにも強すぎる想定を遥かに越えた感覚に、ガチガチに隆起していく俺。圧迫から解放されたがっているその動きに、知らず知らず腰が浮いてしまう。
恥ずかしい、でも気持ちいい。なにもかもわからないまま、それでも気持ちいい。
「大喜くん、可愛いなぁ……。やっぱり大喜くんがいないと、寂しかったよ……」
先輩の声は、甘く優しい。でもそれは、先輩の一面でしかない。だって先輩はそんなこと言いながら、――もう一人の俺を、いきなり掴んできたのだから。
自分以外が触れることなんかまずあり得ない場所が、大好きな人の手に包まれた。それだけでもう、死にそうな位なのに。千夏先輩は強く握り締めたまま、グイグイと弄りだしたのだ。それもかなりの強さで。優しさを感じるどころか、キツいシゴキとしか思えない膂力で。
「んー……こうかな? こんなだよね?」
あとになって聞いたところによれば、渚さんが「オトコは力一杯しごいてやればいいんよ」とか要らない事を教えてくれたらしい。俺の先輩に何を吹き込んでくれたんだ、あの人は。正直痛い、でもそれが気持ちいい。俯せから腰を浮かせた四つん這いに近い格好で、横から見たら牛の乳搾りみたいにも見えただろう。そんな格好で、大好きな人の手で愛撫されて。これが気持ちよくないわけが、あるもんか。
「……っ、ダ……メっ、出……」
そう言ってしまったのが、楔になった。
先輩に握りしめられたままなすすべも無く、射精は始まってしまう。
「お、おー……。スゴいスゴい、出てる出てるー」
場違いな程嬉しそうな声に促され、ドクドクと精液が迸っていくのが止まらない。羞恥心と罪悪感が、それに追い討ちをかけていく。
これは良くないことだ、
もっと、もっと。
ひっくり返され仰向けになった俺の頭を跨ぐ先輩の身体には、何一つ纏われてはいない。薄く繁った陰毛も、それに隠されたオンナノコも、なにもかも晒されていた。
もっとよく見たい、と思う暇さえなく。それは俺の顔めがけて降りてくる。オトナの言葉で言う、顔面騎乗という姿勢へと。
「んー……息出来る?よね?」
今考えるとそんな心配するくらいなら乗らないで欲しかったけど、でもそんな事を考える余裕なんか無かった。鼻こそ出ていたけれど、顔の下半分は先輩のオンナノコで塞がれているのだから。
息は苦しい、でもそれ以上に夢中になってしまうのが、溢れてくる甘酸っぱい蜜の味。千夏先輩の味が、口のなかを犯していく。女子が濡れるというのがどういう事なのかを体感し、俺の下半身には再び力がたぎり出す。
でもそれより、この味をもっともっと楽しみたい。そんな思いでなんとか舌を動かしては先輩の
とは言えそんな冷静になる余裕なんか無いまま、必死で舌に集中していたその時。
「あ"、ぉ……っ」
低く呻くような声と共に、俺の顔と密着したままのオンナノコが破裂したように大量の蜜を吐き出した。窒息しそうになりながらも、突然締まったオンナノコに舌を噛まれている俺には逃げ場がない。ただ先輩の愛に溺れるだけだ。さっきの俺がした長い長い射精のように、溢れ出て止まらない。
ぼんやりと考えていたのは、その先。この後。
なにもかも分からないまま、それでも。これから何が起こるかは、想像ができていた。
「大喜くんが、好きです。全部、欲しい」
熱に浮かされた表情で愛を囁き、千夏先輩は俺にのし掛かる。何百段もすっ飛ばしておきながら、その瞳には迷いもなにも無い。この人は本当にスゴい人だな、としみじみ思いつつ。俺はただ身を任せていた。
屹立する俺にぎこちない手付きでゴムが被せられ、そこ目掛けてゆっくりと先輩のオンナノコが降りてきた。手順もなにも無いこんなガラッパチな有り様だけど、ある意味では俺たちらしかったんじゃないかとさえ今は思える。
その最中、一瞬先輩の眉間に寄った皺の意味を考える暇もないまま。気が付けば俺は根元まで、先輩の中へ呑み込まれてた。
加減無しに手で捕まれたのが、まだ甘く感じる程に強い圧迫。灼け落ちそうなまでに高まる熱。先輩の内側が、俺を責め立てて止まらない。
少しでも動けば、また射精してしまう。そう理解しながらも、止まっていられない。もっともっと、奥へと進みたい。
先輩も先輩で腰を止めようとしない、きっと止まれないんだろう。俺たちはお互い、バカだから。
込み上げてくる射精感をどうにか抑え込もうと唇を噛み締め、全力で腰を叩きつけながら俺は。順番も何もない歪な快感に、溺れていく。
どんなに時が流れても、きっと俺は忘れない。この夜を。
勢いに任せて突っ走る、それは俺の専売特許だと思ってた。でも先輩だって、相当なんだな。一ヶ月ロクに話もできなかったせいで色々拗れきって、それでついつい襲ってしまったとギャン泣きしながら謝ってきた先輩をなだめながら、俺はそれを思い知らされた。この人は完璧なんかじゃない、気分屋でワガママ。俺と同じくらいにどうしようもない、バカなんだ。
だからこそ今もこうやって、学校の屋上で
熱いキスを交わし、抱き締めあう俺たち。
もし誰か来たら、と思わなくはないけど身体は止まらない。
まあ、良いや。考えるのは、苦手だし。
冬服のブレザーをずり下ろし、ブラウスへ伸ばした俺の手に伝わってきたのは、指が埋まるほどの柔かさ。先輩の、おっぱい。……いや、柔らかすぎないか。
気になってそっと手を滑り込ませると、何の遮るものもないまま滑らかな肌に触れてしまう。
「あの、先輩。……着けてないんですかっ」
「もう冬服だし、上着たままなら誰も気付かないからね。今日は体育無いし」
いや部活はどうする気なんだろう、この人。どうしてこう考え無しなんだろうな、まるで俺みたいだ。
先輩の手が俺を引き出してしごきだしたのに応え、俺も先輩に触れていく。指先がショーツに触れて感じるのは、ヌルついた熱い感触。布をかき分けて中に入り込ませた指は、固く締め付けられながら呑み込まれていく。
指先を動かし中をかきむしるように、押し拡げながら。どんどん激しくなる嬌声と水音を聞きながら、俺も快感に呑まれていく。秋の風を浴びてなお俺は熱く屹立し、先輩の手を汚して存在を主張し続ける。
「ん、元気元気。じゃ、ちょっと……ね」
僅かに身体を離した先輩はスカートのポケットに手を突っ込んで、一枚ゴムを取り出した。
俺たちはまだ、子供だから。
今はまだ、言えないけど。同居生活が終わるその日までには、伝えておきたい。
「あ、そだ。こないだ渚が言ってたの、試して良いかな」
ゴム片手に笑う先輩はそりゃ可愛いけれど、またかい。またあの人の入れ知恵かい。もしかして全部バレてるんじゃないだろうな、有り得なくはないぞ。先輩はハイスペックバカだから。
一応いぶかしんではみるけど、先輩は返事を待たずにゴムの封を切りそして。――口に含んでしまった。
え、と思う暇もなくその顔は俺の脚の間へと向かい、「んー……ぁむっ」そのまま俺を咥えたのだ。
「う……先、輩っ」
柔らかい唇が、蠢く舌先が、俺を愛撫する事しばし。先輩が顔を離したその時にはもう、俺は根元までゴムに包まれていた。
……どういう器用さだろう、この人は。と言うか俺の先輩にこんなことばっかり吹き込んでるのか、あの人は。
「あ、上手くいった。ギョニソで練習したときは、10回やって8回は噛み千切っちゃったんだよね」
なら試さないで下さいよ、と形だけ呆れては見せるけど。こんなにも可愛く笑われたら、責める気にもなれない。
それにそんな暇は無さそうだ、もうじき昼休みが終わってしまう。
「ね、大喜くん。……早めに、しようよ」
金網に手をついて、お尻を向ける千夏先輩。
校庭から見えてしまうかもしれない、なんて思わないよなこの人は。思ったとしても、躊躇わないだろうし。やりたいことは、全部やってしまう人だ。
この人と一緒にいるなら、こっちも覚悟がないとな。
そう思いながら、潤みきったオンナノコへと俺を向ける。早く早く、と誘うように揺れるお尻はとても艶かしいけど、でも正直止まって欲しいです。俺はまだ初心者なんだから、……まあお互い様か。
グッと腰をつきだしながら、覆い被さる形で先輩と重なって。熱く柔らかい肉の壁にプレスされながら、俺は少しずつ先輩の奥へと導かれていく。
何度目であろうとも、この気持ちよさは変わらない。先輩の身体は、すべてが気持ちいいから。
ずっとずっと、こうしていたい。ずっと繋がっていたい。
でもそうもいかない、それは分かっている。
俺たちを急かすかのように予鈴が鳴り始め、二人の身体が同時に一瞬ビクンと震えた。
止めよう、とは絶対に考えないけど。
わずかな時間でも、十分だ。俺たちは、愛し合っているんだから。
「ぁ……あ"、ぃっ~!!」
低く切れ切れの喘ぎは、先輩の本気の声。俺も本気で、先輩の中を抉っていく。
擦り潰されるまま、揃って獣の声を上げ続け。やがて聞こえてきたチャイムの音が、最後を告げる鐘となった。
「んっ、お"ぁ……ーっ」
「出……っ」
先輩が呻くのと、俺が決壊するのはほぼ同時。僅かに硬直し、そして俺たちはコンクリの床に崩れ落ちていく。
愛している。それ以外の感情は、遠くへと落ち消えて。
快感の余韻に浸りながら二人して、そのまま動けなかった。
「やー……五限始まってるねー……」
「ですねぇ……」
身体に力が戻り、ようやく後始末を終えて。俺たちは金網にもたれ掛かったまま、空を見上げている。
授業はサボりたくないんだけどなぁ、俺ただでさえバカなんだから。出席時数まで減ると不味い、飛び級どころか留年してしまう。
それはさすがに良くないし、格好悪すぎる。先輩と一緒にいるためにも、格好つけたい。
大好きな人に、俺をもっと好きになって欲しいから。
「――行きますか、授業。遅刻しても、出ないよりマシでしょ先輩」
「あー……そうだねぇ。まだ
まあそれだと放課後までしちゃうかな、と呑気に笑いながら立ち上がった先輩にキスをする。
キスだけ、それだけ。
続きは帰ってからでいい、時間はたっぷりあるから。
金風吹き行く午後の陽を背中に受け、手を繋いで歩き出す俺たち。
さぁ、行こう。これからの俺たちの為に。