マルスによって中華は統一され、彼を皇帝に仰ぐ者達も現れるようになったが、マルスはそう言う事には興味を示さず、表に立つということはせずに、皇帝は桃香、蓮華、華琳が座す事になり、マルスはのんびりと過ごすことにした。
「ふぅ……疲れたな。」
「んっ❤マルス……♪」
マルスの膝枕で横になって頭を撫でられている、淫の国最強の武将である恋はまるで猫のようである。
恋の頭を撫でると御満悦の表情で眠りに就いた恋を、マルスは自身の部屋のベッドに寝かせると静かに部屋を出て、何処かへと出掛ける。
「マルス様、どちらへ?」
「少し馬に乗って遠乗りだ。夕方には戻る。」
「承知しました。ですが、誰か警護を着けた方が宜しいかと。」
「そうか。なら、思春とバーゲストに頼む事にする。着いてこい。」
「はっ!では「ご主人様ぁ!」………………ちっ。」
愛紗が駆け寄ってきたのを見て何やら思春が舌打ちしたが……マルスは気にしなかった。
「愛紗、どうかしたか?」
「い、いえ、その……し、思春とどちらへ?」
「遠乗りだ。夕方には戻るが……愛紗、訓練は終わってるか?」
「はい!アルトリア殿、牛金らとの合同訓練は終わっています!ですので……その、わ、私も行ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わないぞ。これからバーゲストも呼ぶから着いてこい。」
「はい!ありがとうございます!(抜け駆けなどさせんからな、思春。)」
「ふん……。」
目で語ってくる愛紗に思春は鼻を軽く鳴らして返すと、3人はバーゲストも連れて通りに出掛けたのであった……。
マルスが“気紛れ”で造った“淫”という国……そこは最初は男が女を抱いて楽しむだけの国であったが、マルスが“偶然”助けた者達が仲間に加わったり、頭の緩いと思っていた麗羽が娼館の案を出して、国の一大事業にしたり、本来の歴史ではあり得ないほどに医療や食事、文化を発展させ、時には様々なイベントを催したりして楽しんでいた。
淫の発足前から一緒にいた三馬鹿。それに厳白虎達やマルスが偶然仲間にした牛金、王平、許請、高翔、蒋欽などの幹部ら。
さらに愛紗や桃香達、見目麗しい美少女や美女達やモルガン達美しい女性の英霊達。
それらがマルスの中から消えかけていた温かい“何か”を思い出させようとしていた。
『マルス……。』
「“セラ”……。」
「ご主人様?今、何と?」
「ん?あぁ、昔いた“懐かしい”顔を思い出しただけだ。それより目的地に着くぞ。」
「「「はっ!」」」
マルス達4人は近くの森の入口まで着くと、馬を下りて近くにて休ませる。
森にもマルスが地に栄養を送る魔術を掛けた事で果実が実り豊かになっており、川や長江などの水場にも魚などが多く増えた。
さらに民達にも食いっぱぐれが起きないように鍛冶や装飾、医療などで様々な仕事が行えるようにもしていき、餓死や病死する人間も減っていった。時々不満を持ちつつも欲だけは一人前な者達が奮発的に乱を起こすもマルス達が倒した。
以前の漢王朝を知る民達からすれば、その者達にとって“淫”を建国したマルスは“救世主”でもあり、英雄である。
「愛紗、バーゲスト、思春。お前達やみんなには感謝してる……。」
「「「え?」」」
「いつもありがとうな。」
「ご主人様……!私もご主人様には感謝しております!!」
「私も。メリュジーヌやみんなと共に過ごせて嬉しい限りです。」
「もったいなき御言葉、ありがとうございます。」
3人がマルスに礼をする中、マルスは流れる川を見ていると、そこから視線を動かさずに口を開く。
「出てこい、隠れてるつもりでも分かるぞ。」
「……ちぃっ、女侍らせてるから油断してると思ったんだがなぁ。まぁいいお前をぶっ倒せば、俺様のハーレムロードが切り開かれる!!」
樹の陰から出てきたのは、金髪青目の青年であり、マルスを忌々しそうに見て舌打ちすると、そう言って懐から
「「「っ!!?」」」
「それは……。」
「こいつか?これはなぁ!俺様のボンゴレリングと“死ぬ気の炎”さ!!大空を基礎、嵐、雨、晴、雷、雲、霧の7つの属性を純度の高いレベルで使える!さらに、超直感も持ってるんだぜ?あの馬鹿ツナをぶっ殺して手に入れたんだ!お前がどんな奴かは知らないがなぁ、俺様に「よくしゃべる奴だ。」あ?なんだ……!!!?」
青年はマルスの手を見て顔を青ざめさせる。
マルスの手には3つの“異形の指輪”が填められており、それを見て腰を抜かした。
「な、そ、それは……!?へ、“ヘルリング”!?しかも3個も!!?」
「へ、ヘルリング……?バーゲスト、ヘルリングとはいったい?」
「ヘルは地獄、リングは指輪……つまり、“地獄の指輪”ということでしょう。ですが、あの男は何をそんなに怯えて……?」
マルスの右手には“藍色の宝石が埋め込まれた銀色のリング”、“666”と彫られたリングが、左手には“禍々しい瞳のリング”が嵌められていた。
「……こいつは、ある老人が作ってくれた指輪でな。本来なら“代償”としてリング自身に己の精神を食わせることらしいんだが、こいつらは逆に俺に力を流してくるんだ。まぁそんな事はどうでもいい。……とりあえず、敵…ということでいいんだな?」
ゴオオオッ!!
「ひ、ひいいいっ!!?(な、なんだよこいつの殺気!?い、いや呑まれるな!!俺には“これ”がある!!)か、開匣!!」パシュウウウッ!!
「グルルルルオオオオォォォォッ!!!」
「な、なんだこいつは!!?」
「巨大な、蜥蜴!?」
「こいつこそ!あの馬鹿ツナのチビライオンを越えた究極の匣兵器!!その名も
青年が匣に指輪をセットして開けた匣、そこから出てきたのは巨大な体躯と大顎を持ち、さらに爪などからはオレンジ色の大空の炎を灯していた。
あまりの巨大さに愛紗、思春、バーゲストが構えるが、マルスは構えてすらおらず、それを見た青年は高らかに嘲笑う。
「かははははっ!!何だビビったのか!?当然だよな!何せ地球最高の生物であるティラノサウルス、その力を匣兵器として改造してあり、戦闘能力は通常よりも「
マルスがティラノサウルスに軽く触って技らしき物の名を言うと、大空ティラノサウルスはカチコチに凍結しまい、動かなくなってしまったのだ。
突然の事に驚く青年の眼前に現れるマルス。
「なっ!?お、お前がはっ!?」
「お前は幾つかの“間違い”を犯した。一つ、ペラペラと偉そうに語る物じゃない。戦闘の中では死を意味する。」
「ぐ!?く、くそっ……!?」
マルスに頭を踏みつけられる青年は苦しそうに抵抗するが、動けないでいた。
「2つ、使えるのか使えないのか分からない
「あ、か、返せ!俺の
マルスは青年からボンゴレリングを外すと、それを愛紗に投げ渡す。
「まぁ色々あるが、お前の最大の間違いは、俺を嘗めすぎ。」
マルスが空間から黒い剣を抜くとその切っ先を青年の首に触れさせる。その瞬間、青年は“何か”を察したのか暴れだした。
「うわあぁぁぁぁっ!!!!?や、止めろ!!止めてくれ!!!こ、殺さないでくれ!!!?嫌だ、嫌だ!!折角転生できて、これからハーレムロードが切り開かれる筈だったのに、こんな奴が相手とか!!?神様!!?神様!!?助け『ズバッ!!!』」
「戦闘の意思を示したら命乞いをするもんじゃない。」
マルスは布で刃に付着した血を拭う。
「ご主人様、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ。あと、この蜥蜴、ティラノサウルスは俺が連れていく。色々役立ちそうだからな。それと……覗き見なんて趣味悪いぞ。出てこい。」
「……。」
マルスが声を掛けると、樹の陰から現れたのは裸にパンイチの巨漢、貂蝉であった。
彼のその目にはマルスに対しての憎悪が浮かんでいたのであった……。
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