日本の情緒溢れる和室に通された二人は、どこか懐かしいい草の香りに癒しを覚えていた。窓の外には広大な山岳風景が広がり、コンクリート作りの建物に日常を覆われた二人にとっての非日常を演出していた。加えてベランダには刻々と注がれ、浴槽を満たす備え付けの温泉が仄かに湯気を立てている。
「あ、温泉もあるね」
「本当ですね。うーん、僕達には勿体ないかも」
普通の高校生である一歌と七緒が泊まろうにも数十万は下らない、お茶の間テレビの向こう側の光景が目の前にあった。そのきっかけは行きつけのショッピングモールで抽選をしていたことから始まる。普段のデートの思い出にと参加した結果、一歌が偶然にも特賞の温泉旅館ペアチケットを引き当て、二人でやってきたのだ。
「今年の運、使いきっちゃったかな」
「ははは、なら実力で勝ち取るだけですよ。でも今は楽しみましょう」
「うん、そうだね。ありがとう七緒君」
決してこの状況が嫌なわけではないが、身に余る幸福で意識が追い付いていないのも事実であり、となれば今駆け抜けている青春の一ページを刻めればと願ってしまうわけで。折角ならこの運をプロデビューのきっかけに使いたかった、なんて思ってしまう一歌に対し、十分に実力が身に付いていることを知っている七緒がフォローに入る。
彼の言う通り貴重な時間であることはかわりなく、荷物を置いてまずは一息。備え付けのお茶を淹れつつお菓子に手を付ける。それがかなりの美味でありバンドメンバーのお土産にと一目散に名前を調べるのは、いつもの一歌らしかった。
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それから二人は旅館の探索や一足早いお土産屋の確認などで時間を潰し夕食の時間となる。普段は口に出来ない逸品の数々に舌鼓を打ち、後片付けを任せて浴衣に着替え温泉へと向かった。備え付けのものもあるが、今使うことはない。一足先に上がった七緒は当たり前のように一歌が出てくるのを待っていた。やがて、女湯の暖簾をくぐり待ち人が現れる。
「ごめんね七緒君、少し遅くなっちゃった」
「いえ、僕が勝手に待ってただけ……」
温泉に向かう時にも見た一歌の浴衣姿であったが、湯上がりのほんのりと火照った頬に普段よりも艶を放つ黒髪が魅力的に映る。浴衣特有の正面から見える首元の肌色にも少し見とれてしまい、七緒は思わず言葉を失った。
「どうしたの?」
「ああ、えっと、綺麗だなって……」
「もう、人前だよ。でもありがとう」
着飾っているわけでもなく、公衆の面前でもある場所ゆえに軽く返すもお礼は忘れない。一歌もその実、火照って赤くなった七緒の浴衣姿にときめいていた。湯上がりという魔力に当てられながら二人は部屋へとたどり着くも、そこにはとある光景が広がっていた。
食事は当然のごとく片付けられていたものの、机も同じくは収納されており畳の上には布団が並べられている。しかも互いの距離を開けないようピッタリとくっついていた。夕食を終えて温泉にも入ったとなれば後は寝るだけであり、旅館の対応としては何も間違っていない。
二人は度重なる非日常の風景に失念していた。付き合っている者同士が同じ部屋で眠るという現実を、まざまざと並べられた寝具が見せつけている。既に夜の営みを一歌の部屋で経験済みであり、加えて湯上がりの互いの姿に色目を使ってしまった以上期待が胸を叩いた。
「と、とりあえずゆっくりしよっか?」
「そ、そうですね」
しかし、二人は未だ奥手であった。ここまで準備が整っているのにも関わらず自らの感情に見て見ぬふりをするのが得意。とりあえず布団に座り、何か話題を切り出そうとしても互いの見慣れぬ姿に見とれてしまう。初手のきっかけを失った為に今さら何も言い出せず、気まずい沈黙が二人の間に流れた。
「そ、そうだテレビ! テレビ見ましょう!」
「うん! そうだね、何かやってないかな」
すかさず七緒がテレビをつけるも土地が違えば局も違う。些か古風なテレビに映し出されるのはいつも見るようなバラエティではなく、地方の特集番組のようなもの。それでもと諦めずにチャンネルを変えていると。
『あんっ!』
「「!」」
女性の喘ぎ声が響く。テレビでは女性が男性と交わり淫らな声を上げている。あまりの映像にリモコンは手から滑り落ち、チャンネルを変えることを許さなかった。昔の旅館で見られる有線放送というものだと二人が知るのは後の事。今はただ目の前に広がる映像に視界を奪われていた。
朧気ながら頭のどこかに浮かんでいた光景を見せつけられ、互いの体に反応を示す。七緒の股間は血が集束され浴衣を掻き分けんと硬度を増していき、一歌の股下は熱が集まりとろみを帯びて割れ目から滲み出ていた。
やがて時間切れを告げるかのごとくテレビはブラックアウトし、映像は途切れてしまう。しかし二人の感じた興奮はその程度で止まることを知らず、一歌は最も分かりやすい七緒の反応をまじまじと見つめていた。
「ねぇ、一歌さん」
「なに、七緒君」
照明を落とし月明かりだけが頼りの部屋で、言わなくても分かっているのはお互い様。ただ先に欲望をぶつけたのは七緒の方だった。
優しく肩を押されて布団の上に倒れ込めば、となりに沈む男の姿。浴衣の襟に手がゆっくりと伸びていき、中へと掻き分けられていく。同年代の子よりも少しだけ発育のいい一歌の部分に触れた時、驚いたように口を開いた。
「ブラ、してないんですね」
「だって、浴衣だから……」
「浴衣だから、期待しちゃいました?」
「~~~!!」
『風情がある』や『苦しいから』といろんな理由を考えられる筈だが、ただこの時のためを思っての準備と言われた分、顔を真っ赤にして彼の胸を叩く。しかしその勢いはまるで痛みを感じないもの。ただ抗議の念だけが少女を動かしていた。
「ごめんなさい。お詫びに気持ちよくしますね」
「あっ、んっ……!」
一歌相手に強く出る七緒は、エスコートの意味も込めて手のひらで柔らかな双丘の柔肌を撫でる。ほどよく返す感触を楽しみながらも、一歌の反応を見てどこが気持ちいいかを探していた。それを彼女も分かっており、本来なら気分を高揚させる材料でしかない部分でも、相手に触れられる位置を特定できず甘い声が漏れていた。
撫でる指先は次第に頂きを目指していき、赤く染まった中心地の麓へたどり着く。そのまま頂上へと登りきるかというところで、クルクルと指先が麓をなぞり始める。明確な焦らしであり一歌の興奮を高めるには十分すぎた。
「んっ……七緒くっ、んっ、くすぐったい……!」
「もう少し我慢してて下さいね」
ギターの演奏によって固いものの温泉でふやけた指先から受ける刺激は性的な物とは少し遠く、敏感な部分のむず痒さに体を震わせていた。次第に頂きは我慢が出来ないと主張を始め、プックリと丘の上にもう一つの小さな丘が現れた。
そこは丘の中でもすこぶる敏感であり、麓を撫でるむず痒さを体の中の熱に変換していく。主張し大きくなった分、先ほどと同じ動きでは指先や爪が側面をなぞりもどかしさも大きくなっていた。あまりに器用な指の動きに彼の卓越した演奏技術も納得できる。その対象がギターから一歌に変わっただけなのだ。
そしてもう片方の手は一歌の帯を解いた後、空いた丘へと指が這い寄り、同じ過程を踏んで麓を指先がクルクルと回る。知っている感覚であっても到底我慢できるものではなく、簡単に敏感な丘を見せてしまった。解けた帯のせいで胸元は全て外へと晒け出されており、その手を阻むものはない。
「はぁああ……ふぅうう……」
体の中の熱は下腹部へと集束していき、浴衣で見えない内股は抵抗するように擦り合わされている。熱の籠った吐息も胸の奥の熱を冷ますための送風に過ぎない。ただ感じる感覚を弱めることなど出来る筈もなく、彼女の限界は近かった。
そんな中七緒の指が離れ供給が止まる。寸止めとは違う感覚に心の余裕と安心を取り戻した一歌は、安堵のため息をつこうとして。
──クニッ♥️
「んっ、ふぅうううう……!!」
双方の頂きを突かれた。心の余裕という隙を通り抜けた快楽信号は直接脳に響き、蓄積していた熱は安堵のため息となる筈だった口から容赦なく溢れ出す。それでも足りない分は腰を震わせ絶頂の合図となる。
「胸だけで、またイッちゃった……」
呆然と見上げる天井と期待に震える腰。二人の夜はまだ始まったばかりである。
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──シュッシュッ♥️
──シコシコ♥️
衣擦れにも似た音が響く。一歌の手の中には七緒のそびえ立つ男根が握られており、マッサージのように上下させながらシゴいていた。こうやって自らの手で彼のモノを触れるのは始めてであり、最初はその熱さと固さに驚くほど。こうなったのも七緒の胸部に対する執着と行為の数々であり、そのお返しとお礼を兼ねたものであった。
彼に気持ち良くなってもらうには激しい行為が必要。しかしまだカウパーも薄く、ラブホテルの様にローションが置いてあるわけではない。あくまで旅館であり健全な公共施設である。温泉で多少滑らかさを取り戻しているとはいえ、滑りが悪い分彼のモノを傷つける不安もあった。性の知識が疎い少女は頭を悩ませる。
「あの、唾液で濡らせばいいと思いますよ」
「あ、そっか、そうだよね」
その辺りは漫画や同人誌といったジャンルで熟知しているだけあってすんなり助言が飛ばした。納得した一歌の口が開き、滴る唾液が七緒の男根にかかる……筈だった。
「んっ、れろっ……んちゅ……」
「んんっ!? 一、歌さっ……あぁっ!?」
口から伸びた舌はそのまま男根へと触れ、根本から捲れた先端までくまなく舐め回していく。濡れた部分は手によって押さえれ逃げることは叶わない。そんな中でも七緒の表情の変化を見逃さなかった。
「(この辺りがいいのかな?)」
──チロチロッ♥️
──ピチャピチャ♥️
ちょうどカリ裏と呼ばれる部分を舌先で器用に、かつ的確に捉える。元よりLeo/needとしてのボーカルギターを務め、曲のジャンルから高速の歌詞などを巧みに歌い上げる滑舌の持ち主。舌使いにおいて彼女の右に出るものはいなかった。
──コリコリコリッ♥️
「れろぉ……」
「ああぁ! 一歌さん、それダメ、イッ……!」
──ビュルルル!
トドメとばかりに肉棒の先端に舌先でほじられ、何とか我慢しようと踏ん張る七緒だが本来大人しい少女の攻めのギャップとテクニックにいつもの勧告すら間に合わず、白濁色の粘液をぶちまけた。
凛々しい顔と黒い髪に容赦なく降り注ぎへばりつく。顔で受けたのも始めての体験であり、戸惑いを隠せない。
「ん、すごい量……」
普段はゴムの中に注がれるため放出されている量は分からなかったが、それでも普段からこれだけの量が出ていると考えると優秀さが際立つ。しかもまだ彼の男根は完全に萎れていない。
「ねぇ、アレって持ってきてる?」
「アレは、ごめんなさい。今日はちょっと……」
こうなる想定をしていなかったのと、旅行ということで荷物も違う為ゴムを忘れていた七緒。一応コンビニで揃えられなくもないが、始まってしまった以上止めるのは無粋でしかない。
「実は今日、安全日なんだ」
肩を落とす彼に向けて放たれた言葉。今それを伝えるのか、理由は一つだけだった。
二人の夜は、終わらない。