日本の夏場。都会の緑にすら群がるセミの鳴き声が微かに聞こえる中、志歩と七緒がベッドの上で向かい合っている。カーテンに遮られながらも部屋を照らす日の光を浴びながら、志歩は自らの上着をたくし上げた。
暑さと緊張によって吹き出した汗が肌に浮かび、汗臭さに混じる女性特有の体臭が辺りに充満する。そしてなにより下着は付けておらず、慎ましやかな胸が外に晒されていた。付けるほどの形も整っていないからなのか、はたまた暑さから蒸れることを嫌ったのか、それは本人にしか解らない。
「恥ずかしいから、早くしてよ」
そんな志歩に催促されて七緒はそんな彼女の胸の頂に手を伸ばす。何故このようなことになったのか、話は少しばかり遡ることになる。
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Leo/needの面々は日々プロを目指して練習を続けている。セカイも良い練習スペースだが、現実の貸しスタジオも利用する徹底具合である。そんなスタジオを家族で経営しているのが七緒の家族であり、メンバーの面々と知り合うのは時間の問題であった。そして今日もまた練習のために皆でスタジオを訪れていた。
「あっつーい!」
しかし季節は夏に差し掛かる頃。直射日光に当てられながら向かう道のりは決して楽なものではない。自然とラフな格好になりながらも、そんな暑さに耐えかねて声を上げたのは咲希だった。
「暑い、って言ってもこのくらい大したことないでしょ。ライブの照明の方が」
「でもこっちの方が暑いもん!」
「なら、私のベース持ってみる?」
「うっ、それは遠慮しよっかな……」
特に重いギター/ベースケースを担ぐ一歌と志歩は一段と暑さを感じてしまう。暑い暑いと声に出していれば嫌でも実感してしまうと、嫌った志歩の指摘で咲希は口をつぐんだ。そんな素直さも彼女の魅力であるのだが、決して口に出さないのが志歩である。
やがて貸しスタジオへとたどり着き、受付を済ませてスタジオへ。冷房の利いた部屋で各々が荷物を置いていると、一人の男性スタッフが入ってきた。
「皆さんお疲れ様です。冷たい飲み物を用意したので、演奏前にもし良かったら」
「わーい! ありがとうなーくん」
「ありがとう。ちょうど喉が渇いてたから」
「お茶なら持ってきてるけど……折角だし貰っちゃおうかな」
「ありがとう、七緒君」
断る理由もなくスタジオの外でそれらを受け取る四人。それを差し出した本人こそ七緒その人であった。ひんやりとした麦茶が喉の渇きを潤しながらも、軽い雑談を挟む面々。そんな間に水を差すように一匹の蚊が舞い込んだ。姿は見えないものの、時折耳元で漂う独特の音で存在は確認できる。
「最近多くなってきたよね。虫よけスプレー、使ってて良かった」
「私はしてないな……早く練習、始めよっか」
「うん、そうだね」
刺される前に、と会話を切り上げてスタジオの中へと進む面々だが、蚊もまた漂う汗の臭いに誘われてその小さな体を滑り込ませた。やがて練習が始まり、楽器の音にかき鳴らされて羽音は皆の耳に届かない。密室で四人の獲物を目の前に吟味が始まる。
四人の中で最も濃い臭いを発しているのは一歌と志歩。その二人に狙いを絞るも、一歌は虫除けスプレーを事前に使用していた。そうなると必然的に狙われるのは一人だけ。暑さからシャツ一枚という無防備さで中へと侵入を許し、背中や脇の下といった部位を満遍なく吸っていく。
場所を転々とし前の方へと狙いを定める。なだらかな右の丘の麓、ほんのりと濃い肌色の部分に針を突き立て血を吸い上げる。片方が終われば左の丘へと導かれ、今度はその頂に針を突き刺した。最後の晩餐を味わおうと、痒みの原因となる唾液をたっぷりと送り込み。
「っ!」
志歩の平手が服ごと蚊を叩き潰した。演奏も終わり気付けば血を吸われていたのだから当然である。既に刺された部分で痒みを感じていたことも発見に繋がった。しかし、刺されていれば後の祭り。特に左の胸には針が残っており唾液をくまなく送り込まれていた。
「志歩ちゃんどうしたの?」
「あぁうん、さっきの蚊に刺されたみたい」
「大丈夫? お薬持ってきて貰う?」
「ううん平気。このくらい我慢出来るし、練習も始まったばっかりでしょ」
志歩の変化に最も早く気付いた穂波が声をかけるが、練習を優先する志歩の性格から一蹴されてしまう。本人がそういうのなら、と彼女もまた練習に戻るのであった。
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「お疲れ様ー」
「お疲れ様。今日の咲希、すっごくノリノリだったね」
「えへへ、夏の暑さもふっとんじゃえーって演奏してたんだ。ちょっと熱くなりすぎちゃったかも」
「……………」
練習を終えて後片付けをする四人だが、志歩だけ何かに気を取られていた。終始手をシャツの中に入れようとしたり、壁に背中を押し当てたりと挙動不審な彼女を見て、再び穂波が声をかける。
「志歩ちゃん、大丈夫?」
「……大丈夫、痒いだけだから」
実際蚊に刺されただけなので気にする必要はない。ただ当の本人は他から見てもかなり辛そうである。背中には手が届かず、ただ悶える彼女の有り様は普段の彼女とはまるで違っていた。
「やっぱり、なーくんにお薬持ってきて貰おうよ」
「いや、いい……」
「それって、彼氏だから?」
「……………」
一歌の決定的な問いに黙って首を縦に振る。みっともない姿を見せたくない、とプライドが全てを後回しにしてしまった。しかし耐え難いのも事実。お互い天秤にかけながら時間は無駄に過ぎていき、結局なにも言い出せないまま、帰路へと付く為店を後にしようとしていた。
「あ、志歩さん。少し待って下さい」
「えっ……?」
そんな中ピンポイントで呼び止められ、七緒は店の奥へと消えていく。残った三人は察しのいい彼のことだと、詮索もせず店を後にする。やがて戻った彼の手の中にはチューブ型の軟膏があった。
「これ、虫刺されに良く効く軟膏です。良かったら使ってください」
そのまま手渡され我関せずとカウンターに戻る。そんな優しさが身に染みながらも、一つの問題を解決するためその服を引っ張った。
「背中刺されてるんだけど、手が届かないから」
「……男ですよ?」
「だから何?」
何か問題があるのかと詰め寄る彼女に押し負けて、七緒は部屋へと案内した。狭い男の部屋にクッションの一つも用意されているわけもなく、クーラーも入っていない蒸し暑い部屋でベッドの上に座り再び汗をかく。シャツの中に隠された背にはいくつもの赤い斑点が点在していた。それを除けば若々しい透明感のある白い肌である。
「んっ……」
痒みによって敏感になった肌に指が走り、少し声が漏れてしまった。見えない部分を優しく滑り何度も往復されるのは、どこか性的にも感じてしまう。痒みはくすぐったさに代わり、やがてもどかしさへと変化していく。痒みが引く心地よさとは別の感情が育ち始めた時、指を離された。
「はい、お疲れ様でした」
「っ……!?」
そんな声と共にシャツを下ろされ、無防備だった胸の頂が擦られる。刺された中でも最も痒い部分であり、最も感じてしまう場所。蚊の置き土産とばかりに残された唾液が苛めていることなど、彼が知るわけもない。今まで我慢していた部分をこうも容易く刺激され、あげく更なる痒みをもって訴えられる。そう、自分は我慢していたのに、彼のせいでこうなってしまった。
「ねぇ、やるなら最後までやってよ。中途半端でしょ」
そんな意味を込めて、志歩は口を開いた。
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そして、現在。二つの胸には二つの腫れがある。一つは麓、一つは頂上。痛みを与えないように軟膏をたっぷりと指に含み、触れる。
「んっ……」
一方は直接触れることもないが、もう一方は直に刺されてしまっている為直接塗りたくるしたない。二度と痒みが訪れないよう念入りながらも、出来る限り優しく丁寧にゆっくりと軟膏を胸に馴染ませていく。
ヌリヌリ
「あっ、んん……」
フニフニ……♥️
「あっ……♥️ くぅ……ん」
クニクニ♥️
「ん、んん……♥️ はぁ……♥️」
女性として敏感なところを終始指で弄くられ、声が次第に艶を増していくと同時に、本来の形を取り戻していく。攻められる指に反発する志歩の勃起は、七緒の執拗な指の動きになすすべなく沈んでいく。それでも控えめな胸とは対比的に頂だけが周りを巻き込んで主張を続けていた。
もはや性的以外何者でもない刺激に、何度も腰が跳ねてお腹の辺りに熱が溜まっていく。合わせて股下から広がっていく熱さと、膀胱の中でお潮が音を立てている気がした。
「終わりました……」
指を離す七緒の視線は未だ固く勃起した頂に注がれており、軟膏の影響か荒々しい吐息まで感じられる。うっすらと滲む汗とほんのり赤く高揚する肌が、志歩という存在をより淫靡に写し出された。
「──まだ赤くて、固くなってる。もっとしっかり塗らなきゃダメでしょ」
そういって志歩はシャツとショートパンツを脱ぎ捨てて自らの胸を主張する。濡れているショーツの上からは小さなテントもはっており、誘っていることなど一目瞭然。そんな頂に誘われるように釘付けになる七緒は、上と下の両方に手を伸ばし、空いた片方の胸に唇を寄せた。
チュウ……クチュッ……♥️
「んっ、ふぅ♥️ なにも一緒にって言ってな──アンッ♥️」
レロレロ……シコシコ……♥️
「あっ、アッ♥️ ちょっ、と待っ♥️」
ハミハミ♥️ クニクニ♥️
「激しっ♥️ 漏れっ♥️ イッ、イクッ♥️」
それは志歩自身も予想してなかったのか、敏感なところを全て同時に攻め立てられる。舌遣いの上手い執拗な攻めに咥えて満遍なく扱き上げられる上下の勃起。自分で慰めることでも得られぬ快楽の蹂躙に、激しく体を悶えながらも耐えていたが限界を迎える。
「イクッ、イックゥゥウウ♥️」
絶頂を迎え緊張の解けた志歩の股下から勢い良くお潮が飛び出し、受け止めたショーツがずぶ濡れになる。吸い込む余地がなくなった分はベッドの上へと溢れ落ち、大きなシミを作っていた。
そんな志歩の濃厚な雌の臭いに当てられて七緒の股間が大きく膨れ上がる。何かを期待しているのか、単純な興奮なのかは解らないが、どちらにせよ志歩はそれを見つめ淫らに微笑んだ。
「そっちも腫れてるなら、たっぷり塗らなきゃね」
潮と愛液で存分に濡れぼそった秘部を持ち上げ、むき出しにした陰茎へと塗りたくる。遮るショーツは投げ捨てられ阻むものは何もなく"薬"は含ませた。後はしっかり全体に塗り込んで馴染ませることが重要である。更に高さを増す腰はそのまま腰を上まで持っていき、勢い良く腰を下ろした。
ずっぷぅぅうう♥️
「んぐぅ! 挿入った、ァ♥️」
「志歩、さん……!」
「七緒のせい、だからねっ! 人の乳首とクリ、弄んで……♥️」
卑猥な挿入音が響き合い、本来の目的など忘れて腰を振る。元より七緒の手によって引き出された性欲であり、彼氏である彼が責任を取るべきだ。そんな建前と共に、このまま彼にイカされっぱなしというのは性に合わなかった。やるからには真剣を謳う志歩は負けず嫌いの節があり、過程はともかく最後で勝ち逃げは許さない。
「だって、志歩さんが、あっ、塗ってって……」
「だからって、クリトリス、はっ! 刺されてないっ、でしょっ♥️」
「だから、お仕置き……!」
激しく腰を上下させて膣壁へと押し当てる。貧相な体故、彼に勝つには諸刃の剣の如く刺激を与える他ない。快楽の形を中に覚えさせられる様に打ち付けられ、互いの限界が近付いていく。脈打つ陰茎から上ってくる熱を感じて締め付けたが、押し倒され引き抜かれてしまう。それでも強引な仕草から激しく膣内で擦れ合い、絶頂へと導くには充分であった。
「イクッ♥️ ンンンンンッ♥️♥️」
仰向けの体に満遍なく精液が撒き散らされ、赤みを帯びた肌を白に染め上げていく。志歩の股間からも最後の一絞りと軽く潮を吹いていた。気絶するほど強いものでは無かったものの、しばらく動けない志歩は七緒の手を握りしめていた。
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やがてお互いが落ち着く頃にはすっかり日も落ちて、シャワーを済ませた二人。軟膏が効いて痒みもすっかり治まっており、そんな志歩を見送っていた。
「色々あったけど、別に悪くなかったから」
「あぁ、えっと、ありがとうございます。また今度も皆さんでいらしてくださいね」
「……次は流石にシないと思うけど」
顔を赤く染めうつむく二人。こんな淫らな関係を志歩が求めているわけではない。互いが互いを支え合えるような理想的な関係こそが本懐である。今回は一種の事故のようなものだと割りきってしまえば、日常の思い出として溶けていくだろう。
シャワーを浴びた後のほんのり火照る体に浮かぶ汗。そんな臭いに誘われて、夜の街を飛び交う蚊がまたも志歩の服の中に舞い込んだ。ショーツの上から一番濃い臭いを放つ、ツンと浮き立つ突起に針が挿入される。やがて仕事を終えた侵入者は満足げに飛び去っていった。
「……?」
「どうしましたか志歩さん」
「いや、何でもない」
ムズムズ──♥️ ムラムラ──♥️
あれだけやっておきながら、満足できないわけがない。それでも次第に並々ならぬ感情が沸き立ってくる。そんな彼女が痒みに悶え始めるのは、少し後の事であった。