不感症まふゆとセックスしないと出られない部屋。
二人の関係は初期状態です。
〈まふゆ〉
今、私達は知らない場所にいる。セカイに行くつもりが真っ白な壁に覆われて、ベッドといろんな道具が並んだ部屋。扉はあるけど、今は七緒が頑張って開けようと努力してる。でも非力な彼が力づくで何か出来るわけもなかった。
「ダメですね、うんともすんともいいません」
「そっか。なら、あそこに書いてあることは本当なんだね」
肩を落として戻ってくる七緒へ、部屋の一角にある額縁みたいなものを見るように促した。そこに書いてあったのはこの部屋の名前みたいなもの。
『セックスしないと出られない部屋』。なんてふざけた名前なんだろうって思ったけど、時間が経つほど信憑性を帯びてくる。開かない扉と止まったスマホ、ミク達の助けも望めない。
「(セカイが変化して、こんなことになったのかな)」
今まではセカイに色んなものが現れたりして、私の心境変化を表現していた。だからこんな部屋に七緒と二人きりで閉じ込められた、ということ自体が私の想いに関わってるのかもしれない。
「(七緒は、いつも頑張ってくれてる)」
同棲を初めてからは身の回りのことを全部やってくれてるし、趣向を凝らして趣味とか遊びを教えてくれた。食事だって味がわからない分、匂いとか見た目から美味しそうにしてくれてる。
それら全てが温かいものだと気付くのには、時間をかけすぎたみたい。
「(七緒となら、別にいいかな)」
この部屋に七緒と来た意味や理由はわからないけど、別に七緒となら問題ない。早く出てミク達に会うために準備しよう。
ベッドに腰を掛けて周りを見る。元からそんな気にさせるためか、ローションとかバイブとかコンドーム、果てには媚薬って書かれた小瓶や飲み物まで置いてある。媚薬なんて大半は危ない薬でしかないけど、セカイにあるから多分安全だと思う。でも、使うこともないかな。
私はなんとか他の手段を考える七緒に声をかける。
「七緒、もういいよ。出たいなら方法は一つしかないから」
「でも、まふゆさん」
「大丈夫」
いつもの上着を脱いで、シャツを見せる。ロングスカートは流石に下ろさない。
「七緒となら、気にしないから」
◇
ベッドで互いの服を脱がして気持ちを高ぶらせていく。私の露出が多くなる度に、七緒は顔を真っ赤にしてたから可愛いなんて思ったりもした。
こうして下着姿になって気付く彼の興奮。パンツ越しに勃起したペニスがテントを張っている。ジッと見つめてたら恥ずかしいのか両手で隠してしまった。
「あんまり、見ないで下さい」
「どうして七緒が恥ずかしがるの?」
「どうしてって、みっともないから」
生理現象として当たり前の事だから恥ずかしがることはない。それに普通なら女の子の方が恥ずかしがるはず。私はなんとも思わないから平気だけど。
そんな女々しい彼には、私から行動して本当に問題ないってことを教えないといけない。手を伸ばし、パンツ越しのペニスに指を立てた。
「はうっ!?」
「熱くて、固い……それに大きいね」
「やめ、まふゆさ、ん! そこ、ダメ!」
人差し指で先っぽやスジを軽くなぞってると、隠してた手が勝手に避けていく。私の手より熱いペニスはビクビク動いて、押し込んだ指に負けずと押し返してくる固さがあった。 守りがなくなったところに右手の指全部でシコシコしてみたら、七緒がやめてって言ってくるけど口だけだった。顔は気持ち良さそうにしてるし、ペニスはもっとビクビクしてるし、このまま続けてみよう。
シコシコ、シコシコ
「顔は可愛いのに、こっちは随分雄々しいんだね」
「顔は関係な、いっ! んんっ、もう、イきそう!」
「もう出るんだ。感じやすいのかな」
彼の言葉を信じて手の動きを早くしてたら、先走りの汁がパンツに染みだしてる。知識を元に限界が近いのを知り、そのまま手を止めることはなかった。
「まふゆさ、イくっ!」
ビクビクが一番強くなった時、ドロドロの精液がパンツの中に溢れる。栗の花みたいな普段嗅がないような臭いが辺りに広がって射精したことを教えてくれる。
私の手でイかさたことは嬉しいけど、精液自体はドロドロであんまり気分は良くない。
「ん、れろっ」
試しに手に付いたのを舐めてみるけど、特に何もない。強いて言うなら臭いが口の中に広がっただけ。それを見た七緒はまた顔を赤くしてたけど、しばらく勃起は出来そうになかった。
「じゃあ、今度は七緒の番だね」
お母さんに買って貰った、特に思い入れのない紫の下着を見せつける。女の子だから色気のあるのを、なんて言ってたけど私には関係ない。……ただ、こんなことになって七緒を誘う道具として使えるのは、嬉しい誤算だった。
モミ、モミ
「………」
ブラジャー越しに私の胸を揉み始める七緒。特になにも感じない。強いて言うなら初めてなのか、手が震えてるし息も荒い。ただ強くするんじゃなくて、優しく揉んでくれてるあたり彼の優しさを心で感じられた。
モミモミ
「………」
「あの、まふゆさん。どう、ですか?」
「別になんともないよ」
それでも彼にとっては心配みたいで声をかけてくれる。本当のことしか言えない私も、ありのままの感想を口にするだけで雰囲気もあったものじゃない。
すると今度はショーツ越しの股に指を這わせ始めた。
モミモミ、コスコス
「ここはどうですか?」
「……別に」
「そう、ですか」
触られている感覚はあっても、気持ち良くはない。だからといって七緒以外に触らせる気は全くないけど。私の放った一言で、彼は見るからに落ち込んでしまった。
「ごめんなさい、気持ち良くさせられなくて」
「七緒は悪くない。私、感じづらいから」
謝ってきたことに対して本当のことを打ち明ける。昔はムラムラする気持ちもあったし、少しだけ自慰だってやったこともある。でも好きなことがわからなくなって、味覚を失った頃にはなにも感じなくなった。
「痛いのは流石に危険信号だからわかるけど、でも他は感じないんだ」
「そうだったんですね」
「だから七緒は悪くないよ」
不快に思わなかったことが、今になって不満として押し寄せてくる。だからといってなにか出来るわけもなく、このまま大人しくセックスするしか私には残されてなかった。
「大丈夫ですよ。ここはセカイですし、必要なものは揃ってるはずですから」
俯く私にベッドの横で陳列していた色んな道具を見せてくれる七緒。そういえばそんなものもあったな、なんて思いながら私が気持ち良くなれる道を探し始めるのであった。
◇
「最初はローションですね。マッサージします」
「ん、ありがとう。ブラジャーは邪魔だからベッドの隅に置いておく」
「わかりました」
七緒に背を向けてホックを外せば、重力に従って胸が垂れる。大きいだけで得することもない塊を鬱陶しく思いながら、うつ伏せになった。
トロトロのローションを背中に垂らされて、イヤらしい七緒の手が私の体を撫でていく。普段感じやすい脇とか横腹も触られるけど、何も感じない。
ただ、ローションのヌチョヌチョした音が変に艶っぽく聞こえてくる。体を直に触られてるのに不快じゃない。なんていうか、心地良い。
ヌチョ、ヌチョ
「どうですか?」
「……何も感じない」
「わかりました、次ですね」
背中を満遍なく撫で回された後は仰向けになる。異性の前で初めて晒す胸が、だらしなくプルンと揺れて七緒は思わず唾を呑んだ。
「大きい、ですね」
「大きいだけだよ。それより早くして」
「あっ、はい……」
七緒にとっては魅力的に映るみたいで、鼻の下を伸ばしていたから早くしてと急かした。またもイヤらしい手がローションで滑りを増して撫で回していく。今度はお腹と、胸を重点的に。
サワサワ、ヌチョヌチョ
「どう、ですか?」
「別に何も」
撫でるというより、お腹はたまに指を押し込んだりして中の様子を探ってる感じで、胸にいたっては完全に揉んでいた。しかも夢中になってるからか背中よりずっと時間をかけてる。
サワサワ、モミモミ
「まふゆさんのおっぱい、大きいのにハリもあって素敵です」
「それで得したことないけど」
「でも、これから得するかもしれませんよ」
「……そうだと、いいけど」
現に七緒が夢中になってるのは得というべきかもしれない。触ってくる手がずっとヌチョヌチョって体を撫でて、鼓動が早くなっていく。不快に思わない分心が少しずつ温かくなってきて、心臓にも現れているんだろうか。
「(イヤらしいけど、嫌じゃない)」
このまま七緒に全部任せていい。そんな気持ちで彼を受け入れる。そんな彼の指が、私の乳首を掠れた。
コショッ……
「ふっ」
「どうかしましたか、まふゆさん」
「なんでもない。少し
息が漏れたけど問題ない。特に気にすることもないからされるがままに体を預けておく。すると彼は何かに気付いたのか、乳首をくすぐり始めた。
コショコショ
「んっ、七緒、何してるの?」
「いえ、ここもマッサージしようと思って」
「そう。ふっ、好きにしたらいいよ。嫌じゃないから」
そう、ただ
コショコショ
「んっ……ふっ……」
スリスリ
「ふっ、んっ……」
コチョコチョ!
「ん!」
ピクンッ!
長い時間かけて乳首を弄られ続け、最後に強くされると体が少し跳ねた。感じたことない刺激が乳首から伝わって、お腹の中にある何かが反応した気がするけど、一瞬だったから気のせいかもしれない。
「このくらいで良さそうです。なら次はこっちで」
追加のローションを股のところに流し込まれる。ひんやりした感触だけど、何よりショーツが濡れてぴったり張り付くのが慣れなかった。
「今度は、ここをマッサージするの?」
「はい。痛かったら言ってくださいね」
「うん」
さっきと同じで股の間に指を這わせてコスコスしてくる。今回はローションたっぷりで擦れるというより撫でて来る感じが強い。張り付いたショーツも守ってくれないのがある意味新鮮だった。
ヌチヌチ、コスコス
「(さっきと同じところを触ってるだけなのに、何か違う)」
鼓動が止まらず、どこかでなにかを期待してしまう。何故だか頭と顔が熱くて冷静に分析できなさそうになかった。
ヌチヌチ、モジモジ……
「まふゆさん、お股が動いてますよ」
「気のせい、だよ」
「わかりました。続けていきますね」
股が動いてる、なんていわれるけど私にはわからない。ただイヤらしい指が私の股を擦ってるだけで、嫌な気持ちはしない。ただ鼓動が強くなって、体が勝手に動いてるだけ。気持ちいいのはまだ来ない。
ヌチヌチ、モジモジ……
「ん……七緒、いつまでするの?」
「まふゆさんが気持ち良くなるまでです」
「そう。ふっ、ん、難しいと思うけど」
クチクチ、モジモジ
「クリトリスは感じずらそうですね。ならこっちで」
「本当に、いろんな所、触る、ね。んっ」
コシュコシュ、モジッ!
「んっ、くっ!」
「ここがいいんですね」
ショーツ越しに感じたくすぐったさが、勝手に体を動かした。気のせいじゃないけど、くすぐったい
ベッドの上で仰向けになった私に、今度はくすぐったかった場所を重点的に攻められた。
コショコショ
「んっ、くすぐったい、だけなのに、ふっ、嬉しいの?」
「くすぐったいのも、感じてる証拠ですから」
「そんなこと、はっ、ないと、んっ、思うけど」
くすぐったいのは、気持ちいいじゃない。逆に言えば不快な気持ちにさせる方が大きい筈だ。それなのに、んっ、七緒はさっきから指でコチョコチョ乳首、いっ、と、お股の間、ふっ、ばっか、り攻めて、楽しんでる、だけ。
コチョコチョ、コチョコチョ
「七、緒っ、少し、しつこいよ、んっ」
「くすぐったいの、止まりませんか?」
「止まるわけ、な、いっ。七緒がっ、くすぐる、から、あっ」
コチョコチョされる度、お腹の中に熱い何かが溜まっていく。乳首っ、と、お股っ、から、熱いのが流れ込んできて、こんな感覚、知らない。くすぐったい、だけ、なのにっ。
「七緒、んっ、少し、止め、ふっ、てっ」
「わかりました、最後にします、ね!」
最後、という言葉を聞いて安心する。これ以上されたら何か、わからないものに支配されてしまいそうで怖かった。そう、言ってくれた七緒は。
クニッ、コリッ!
「んあっ……!」
乳首とお股を同時に強くする。その瞬間、お腹の中に溜まった何かが、トロリと溢れた気がした。
「(さっきのは、何? 私の知らない何かが、ここにあるの?)」
「まふゆさん、汗だくですよ。喉乾きませんか?」
「あ、うん……」
どうやらマッサージにくすぐりと長時間体を触られたせいか火照って汗をかいてたみたい。喉も乾いたから置いてある飲み物を貰おう。
「んっ、ふう……あれ?」
冷たい水が体の火照りを癒して心も落ち着けてくれる。しかしそう思ったのもつかの間、またも火照りを取り戻し体の奥から熱くなる感覚が沸いてくる。
まさかと思って並べられた道具をみれば、媚薬と書かれた小瓶の蓋が開いていた。
「七緒、もしかしてさっきの水に、媚薬を……」
「はい。でも味がわからないのは危ないですね。誰かに盛られるかも」
「……そう、だね」
今は七緒相手だから良かったというべきか、それとも七緒でも怒るべきか。でも、そんなことより今は……
ムズムズ、キュン
「んっ、ふぅ……」
七緒に散々触られた体が、うずいて仕方がなかった。