長い夜を越えて、気持ちは伝わる。
ただ、意図した通りとは限らない。
良くも悪くも、それが人生。
果たしてその先はどうなるものか。

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甘いアオよ来たれ

 ……鼓動が早すぎて、頭がおかしくなりそう。

 やはり反動だろうか、中途半端に距離を置いたりしたから歯止めが聞かなくなりつつある。

 自分から言い出しておいて、よくもまあと思う。

 どこまで見下げ果てた先輩なんだ、私は。大喜くんを振り回して、気を遣わせて。

 いつの間にかこんなにも、ワガママになっていたんだな。

 まったく、どうしたものだろうか。

 何故か椅子に座ったまま寝ている大喜くんの顔を眺めながら、私は考える。

 これは世に言う――据え膳、ではなかろうか。

 

 期待に応えられず、でも許されてしまった。ブザービーターを決め損ね、最後の最後でチームを敗北させた私が、次期キャプテンだなんて。私はそんなに立派な人間じゃない、頼られたくない。誰かにすがりたい、子供みたいに泣きたい。そんなのはそれこそ許されない、そんなのは分かっているけど。だけど、辛い。

 そんな私のワガママを大喜くんは、受け入れてくれた。何も聞かず、ただ誕生日を祝ってくれた。

 誰かを頼りたいと思って、最初に出てくる人。強がらずに甘えて良い人。大喜くんは、そういう存在。つまり私は大喜くんを――好き、なんだろう。

 そして土砂崩れのせいで一泊することになって色々と話した結果、蝶野さんと付き合ってる訳じゃない事も分かった。分かってしまった。

 後(・)は(・)私(・)の(・)考(・)え(・)一(・)つ(・)、という事だ。ここからどう動こうとも、咎める人はいない。

 一晩は、長い。朝まではまだ、百万年もある。

「大喜くん、寝てますか……?」

 顔を寄せてそっと尋ねても、返事はない。当たり前だ。それに寝た振りが出来るほど、大喜くんは器用じゃない。

 息がかかるほどの距離で、その寝顔を覗きこむ。

 ……可愛いなあ、なにこの可愛い生き物。正直私よりずっと可愛いんですけど、この子本当に男子高校生ですか。

 その小さな可愛らしい唇に、そっと指で触れてみた。柔らかく、暖かい。つまりとにかく、気持ちいい。それを感じてしまった私は、もう我慢が効かなくなっていた。

「ん、……っ」

 気が付けば私は大喜くんに、初めてのキスをしていて。密着した唇から伝わる熱が、口内を通って脳まで蕩かしていく。

 蕩けた脳が垂れ流す甘い快感に、どんどんと身体が熱く燃え上がる。

「ん、んむっ、――っ」

 何度も何度も、顔を離してはキスしてを繰り返す。見るまに大喜くんの顔は私の涎で汚れていくけれど、それさえ興奮を煽ってくるだけだ。その興奮は止まらない、溢れだしてお腹の下に溜まっていくのが分かる。それを掻き出すように、キスしながらショーツの中を指で抉っていく。

 大喜くんの前で、オナニーしている。もし見付かれば取り返しが付かない、こんな状況で。

 それそのものが、堪らない。

「……そう、だ」

 脱力し投げ出された大喜くんの腕を見ていて、ふと思ってしまう。

 こ(・)れ(・)を(・)使(・)っ(・)た(・)ら(・)、ど(・)う(・)だ(・)ろ(・)う(・)。

 良くない思い付きのままに腕をそっと掴み、そして脚で挟み込んでみる。

 思ったよりも逞しいその腕に、私の汚れたショーツがぐちゃりと音を立てて密着した、その瞬間。

 頭の奥で稲光が走るように、快感が弾けとんだ。

「ぁ……っ、~!!」

 伝わる肌の温もりが、意外と肌目細かい質感が、際限無く私を追い込んでいく。必死で腰を振り、大喜くんに私を擦り付けて。

 もっともっとと貪欲に、大喜くんを汚し続けている。

 そしてそれは、止まらない。本能の赴くまま、激しいオナニーが止められない。

 瞼の裏にはバチバチと火花が飛び、すべてが白く染まっていく。

「――……っ!?」

 フッと意識が遠退く感覚と共に、下半身が制御を失う。ただでさえドロドロだったショーツがとうとうダメになった、見なくてもそう確信できるほど大量に汚液が垂れ流されているのが分かる。

 大喜くんの腕はすっかり私にマーキングされ、汚れきっているけれど。それさえ気にならない程に、快感の余韻は深い。こんなに激しくイッたのは、いつ以来だろう。

 大喜くんだから、気持ち良かったんだ。他の誰でもこうはならない、大喜くんでなければ。

 ――私はずっと、こうしたかったんだ。線なんか引きたくない、遠慮なんかしたくない。

 蝶野さんには、渡さない。大喜くんは私のモノだ。

 

 心の奥から湧き出る独占欲はきっと、良くない感情だろう。それでも私は、もう引き下がれない。

 大喜くんはきっと、朝まで起きやしない。今は、チャンスなんだ。

 震える手で浴衣を捲り上げ、中へと手を伸ばしていく。その奥を、目指して。

「ん……っ」

 内側にある布地をずり下ろして、対面する。そこにある大(・)喜(・)く(・)ん(・)自身と。

 部活後に感じる汗の蒸れた匂いにも似た、でも何処かが違う。きっとこれが、男の子の匂いなんだ。

 そしてその根源――オトコノコは、どう形容して良いか分からない形をしている。象の鼻とか蛇とか聞くけど、それとも異なる気がする。オトコノコは、オトコノコとしか例えようがない。いやまあ、別に何かで例える必要もないんだけど。

 指先で恐る恐る触れてみた、その瞬間。ビクンと走った振動に、背筋が凍りそうになる。

 まさか起きたか、と警戒するも大喜くんは天使の寝顔。……そう言えば渚が前に言ってたな、オトコノコは寝てても反応するって。本当にそうだとは思わなかったけど、敏感なムスコさんってわけか。

 指を走らせてなぞり上げると、頭をもたげるように動くのが何処かユーモラス。本当に寝ているのかどうか疑わしいくらいだけど、まあ大喜くんだし小芝居なんか出来ないだろう。

 調子に乗って弄っていくと、オトコノコはムクムクと大きく逞しくなっていく。最初は垂れ下がって見えたのに、今はもう天井を向いて聳え立っているんだから、随分と成長の早い子だ。それに膨張が最大限に達したからか、先端にある開口部からは透明な液が溢れ続けている。これも濡れてる、ってことなのかな。

 それを掬い取り、粘液まみれの指先を一舐め。……うん、美味しくはないな。オトコノコの味って、しょっぱくて苦い。世の中にはオトコノコを口に含む愛(・)し(・)方(・)もあるらしいけど、私はちょっとキツいかも。でも逆はいつかして欲しいかも、大喜くんの口で気持ちよくなってみたいな。

 まあ、そんな日はかなり先なんだろうけど。蝶野さんと付き合ってないったって、告白はされてるし。蝶野さんを振ってまで私と付き合いたい、とか思ってくれるかな大喜くんは。

 ……無理かもな、こんな寝込みを襲うような女だし。

 そう、そんなのは分かっている。分かっていても、止まれない。

 倒れないように大喜くんの姿勢を調整し、脚を開かせて。そのまま向かい合って、大喜くんを跨ぐ私。オナニーの残滓で汚れたショーツは既に脱ぎ捨てられ、その内側がオトコノコと対面している。

 このまま、腰を進めれば。私と大喜くんは、結ばれるんだ。

 同意なんか無い、強引でメチャクチャな話だけど。それでも、私が大喜くんの初(・)め(・)て(・)になれる。そして大喜くんが私の、初(・)め(・)て(・)になる。

 きっとそれは、大きな意味をもつだろう。例え記憶に残らなくても、大喜くんの身体(オトコノコ)は私を忘れない。蝶野さんとシても、他の誰かとシても、その度に私を思い出すんだ。

「ふ……ぅっ」 

 決意を込めて、ゆっくりと。私は大喜くんを抱き締めるように、腰を下ろしていく。

 タンポンでさえ滅多に使わない私の中が、それよりずっと硬く太い異物に押し拡げられているのが伝わってきた。

 聞いていたほどの痛みや違和感は無く、それよりもとにかく熱い。脚の間から入ってきた熱が内臓を駆け上がり、頭の芯を焼いていく。

 そのまま私は腰を落としきり、大喜くんの身体に着地を果たした。みっしりと私の中が大喜くんで埋まり、僅かな隙間さえ無くなった粘膜同士が癒着していく。

 このままずっと、繋がっていたい。でも――こ(・)こ(・)か(・)ら(・)動(・)い(・)た(・)ら(・)ど(・)う(・)な(・)る(・)か(・)、私はそんな思いも抱いてしまう。腰を上下に動かして中を擦ると、気持ちいいらしい。普段は中を弄らないけど、興味はある。

「ぁ……っ」

 僅かに身体が揺れただけで、声が漏れてしまう。ずにゅりと中で音がした、大喜くんのオトコノコが私の内側を引っ掻いた。それだけの事が、気が狂う程気持ちいい。

 大喜くんにすがり付くように、首下へ吸い付きながら。腰が、止まらない。

 もう戻れない、戻りたくない。バレるならバレてしまえ、と捨て鉢な快感に溺れ始めたその時。

「ぅ、……ぁ」

 大喜くんの身体が、まるで寝返りを打つように揺れ動く。

 予期しない動きで私の中は大きく抉られ、勢いで更なる深みへとオトコノコが到達した。何物も触れてはいけないくらい奥にある、私の生命そのものが突き上げられる。

 限界は既に越え、もう抵抗さえ出来ないまま。血が出るほど唇を噛み締め、私は今まで達したことの無い高みまで叩き上げられていく。これ以上は存在しない、それほど強烈な絶頂はでも。

 ――まだ、入り口でしかなかった。

「……!?」

 お腹の奥で何かが破裂した、そうとしか思えない。大喜くんのオトコノコが撃ち震え、私の中が充たされていく。快感を強制する、恐ろしい液体で。

 一瞬毎に身体が痙攣し、意識が切り裂かれていく。気を失う暇さえ無い。

 登り詰めたまま降りられない快楽地獄は、一向に終わってくれない。

 もうこれ以上、イキたくないのに。

 

 漸く波が引いて動けるようになるまで、どれくらいかかっただろうか。

 大喜くんの上から降りて初めて、私は自分がどういう状態だったのか知ることができた。

「あー……、これ、精液かー……」

 私の中からトロトロと溢れている白い粘液の正体は、多分そうなのだ。大喜くんは相変わらず天使のような愛らしい顔で寝ているから、尋ねるわけにはいかないけど。

 つまりあの凄まじい体験は、膣内射精されたせいだったらしい。どうも体質のせいなのか何なのか知らないが、ああも暴力的にイキ狂うものだとは知らなかった。

「ん、――あれ?」

 なにかを忘れているような、そんな気がする。大事なことのような。

 大事なこと、大事な――。

「あ"」

 溢れ落ちて床に染みを作っている精液を見ながら、私はやっと思い出した。

 これは、不味いぞ。朝までに、いや大喜くんが目覚める前に、全部片付けなければ。

 他にも大事なことがある気はするけど、まずそっちをどうにかしないと。

 大喜くんの身体を拭くのは勿論、あちこち汚れてるのも隠さないと。

 ああ、もう。私はどうしてこうも無計画なんだろう。

 

 17歳になってから数日が過ぎて、私は今日も悶々としている。

 あの日は大喜くん相手に我慢できなくなったけど、時間が経って冷静になると思い出すだけで冷や汗が止まらない。

 寝込みを襲って、一方的に犯して。どう考えても犯罪だ、大喜くんをなんだと思っているんだ私は。

 でも。

 ――でも。

「気持ちよかった、な……」

 大喜くんの全てが、気持ちよかった。大喜くんを愛した、それ自体が死ぬほど気持ちいいのだ。

 冷や汗が引くと逆に身体は火照りだし、オナニーに耽ってしまう。毎晩この繰り返し、我ながら浅ましい女だ。

「大喜くん、大喜くん、大喜く……んっ」

 指をどんなに食い込ませても、あんなに奥までは届かない。膣内射精の快感は、一人では絶対に味わえない。

 あの境地には、オナニーでは辿り着けないんだ。

 ただ一枚の壁が、あんなにも厚く思える。あの向こうには大喜くんがいる、なのに出来ない。してはいけない。

 ああ、辛いな。セックスが、したい。でも他の誰かと、なんてのは怖い。大喜くんがいい、大喜くんじゃなきゃイヤだ。また大喜くんに跨がって、お腹の中をゴリゴリと抉られて、奥に精液を浴びたい。

「……しちゃおうか、な」

 あれこれと考えなければ、話は簡単なんだ。このままドアを開けて隣へ行って、大喜くんを襲えばいい。

 そうだ、簡単じゃないか。どうせ大喜くんはもう夢の中だろう、この間だって気付かれやしなかった。

 一度芽生えた都合のいい考えは、心にしっかりと根を張り巡らせていく。

 身体はもう、動き出していた。

 

「お邪魔しまー……す」

 小さく呟く声に、やはり返事はない。当然だ。

 ベッドに横たわる大喜くんは、やっぱり可愛い。萌えという概念の具現化というか、とにかく可愛い。

 一晩中だって眺めていたいけど、でも。今したいのは、するべきは、そうじゃない。

 蹴り上げられたのか捲れた布団を更に持ち上げる、大喜くんの身体がよく見えるように。

 仰向けになった大喜くんの、脚の間あたり。パジャマの内側から自己主張している、オトコノコにそっと触れてあげる。布越しでもその存在ははっきりと感じ取れる、大喜くんの一番大事な場所。

「苦しそうだね……。今出してあげるねー……」

 布をずり下ろして圧迫から解放してあげると、闇のなかでも分かる程元気にオトコノコが震える。

 たかだか数日ぶりだけど、息災で何よりだ。

 再会を祝して頭を撫でてみると、元気一杯に大きくなろうとする様がなかなか愛らしい。さすが大喜くんの一部だ。あの味を思い出すと、キスしてあげる気にはならないけど。

 さて、こっちも準備をしないと。……まあさっきまでオナニーしていたから、特に何をする必要もないか。

 とりあえずベッドに乗って大喜くんを跨ぎ、大喜くんのオトコノコに私のオンナノコを対面させる。早く早くと涎を垂らして次の動きを待っている辺り、さすがは私の一部。欲しがりさんめ。

 しかしがに股になってこんな場所を拡げて、随分とひどい格好ではあるな。ま、良いか。格好つけてられるほどの余裕はない、期待で頭がおかしくなりそうなんだから。

 早速腰を落とし、覆い被さるように身体を沈めていく。どんな風に入っていくのかは見えないけど、イメージは出来る。

 先が膨れた形のオトコノコが私の中を拡げながら突き進み、グリグリとあちこちを刺激していく様子を脳裏に思い描くのは結構楽しいし。

 ……実際どういう感じなんだろう、どうにかして見れないかな。大喜くんの先にカメラでもくくりつけて……いや無理だな、さすがに裂ける。

 それはまた、今度考えればいい。今は私を満たしてくれる、この健気なオトコノコに集中しよう。

 やがて降下は止まり、陰毛同士が絡み合う気配。根本まで大喜くんを呑み込んだ、という事。

 さて、ここからだ。

 膝に力を入れて僅かに腰を浮かせ、そして落下する。中が擦れるのは勿論、衝撃で奥が突き上げられるのが気持ちいい。これこれ、この感じだ。これをもっと味わってから、大喜くんに膣内射精させればいい。そうすればまた、あの狂おしい快楽に溺れられる。

 甘い霧が脳内に立ち込め、お腹の中で蠢く気配以外が遠くへと消えていく。

 ただ夢中で腰を上下させ、貪るだけの時間が過ぎて。

 もうじきだ、もうじきあの濁流がやって来る。

 そう期待を燃え上がらせた、その時。

 一瞬大喜くんの寝息が止まり、そしてその目が薄(・)く(・)開(・)か(・)れ(・)た(・)。

「ん、ぁ……れ? せんぱ……い?」

 むにゃむにゃと可愛らしい、無邪気な顔。こんなに愛らしい天使のような生き物を、私は犯している。なんて背徳的で、けしからん事か。理性の電流が背筋を駆け抜け、頭に痛烈な一撃を見舞ってくる。全てお仕舞いだ、身の破滅以外に先はない。なのにそれが、――堪らなく興奮する。

 ワルイコトは、気持ちいい。そんなの分かりきったことじゃないか。オナニーを覚えた小学生の頃、何度お母さんに叱られたか。してはいけない、ワルイコトだと何度もお説教されて。その度に、隠れてするオナニーが気持ちよくなっていったじゃないか。

 まだ大喜くんは、目覚めきっていない。今すぐ止まって寝かしつけたら、すべて夢だと思ってくれるかもしれない。だ(・)か(・)ら(・)こ(・)そ(・)止(・)め(・)ら(・)れ(・)な(・)い(・)、もっともっと取り返しがつかなくなりたい。

「んふー……大喜くん、おはようー。まだ真夜中だけどね」

「おはようござ、い……ま、す?」

 何が起きているのか分からない様子の大喜くんが、挨拶を終えた次の瞬間。

 その身体が、大きく跳ね上がった。

「な、……なんっ、先輩、いっ!?」

 狼狽という言葉を体現したようなその姿は、とても可愛らしい。でもあんまり騒がれるのも困るかな。

「大喜くん、もう遅いんだからシー……だよ。由紀子さんたち起きちゃう」

 小さくて可愛い唇を指で押さえて、私は微笑んでみせる。取り返しがつかなくなるのはいいけど、乱入されて引き剥がされるのは御免だ。

 だから、大喜くんには大人しくして貰わないと。まあ声さえ出されなければ、抵抗したところで問題ない。私の腕力なら、正面からでも制圧出来るだろう。伊達や酔狂でバスケ部のエースを張っているわけじゃない。

 とは言え、だ。出来れば大喜くんにも、楽しんでもらいたいな。その方が精液もいっぱい出そうだし。

 さっきから頭の後ろ側がチリチリして、焼き切れそうだ。そろそろ射精して欲しい、またあの絶頂感に包まれたい。そう願いながら腰を振っているせいか、私のなかにいるオトコノコもビクビクと震え出している。

 ……なのに。

 なかなかそれがやって来ない。

 まだかな、と思いつつ大喜くんに目をやると、目を固く閉じ唇を噛み締めているのが見えた。

 我慢している、という事なんだろうか。なんでそんな殺生な事をするんだろう、この子は。

 遠慮しているのか、それとも。……それとも?

「ね、大喜くん。出していいよ、て言うか早くしてね」

 繋がったまま身体を倒して耳元で囁くけど、駄々をこねる小さい子のようにいやいやをするばかり。

 そこまでして堪えるなんて、どういうつもりだろう。

 だんだん腹が立ってきたから腰を速めてやるけど、それでも尚ベッドに爪を立てて射精を食い止めようとするから不思議だ。

 ――と。

 食い縛っていた大喜くんの口から、僅かに言葉が漏れた。

「ダメ、です……! 中で出、したら……出来ちゃ、いま……すっ」

 出来る。その言葉の意味を理解するまで、数秒。

 ああ、なるほど――そ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)か(・)。あの日忘れていた大事な事は、それだったか。

 そしてもうひとつ、理解した。どうしてあんなにも、膣内射精が気持ちよかったのか。

 それはワルイコトだから、取り返しがつかない事だから。それがあの快感の、正体だったんだ。

 なら、するべき事は一つしかない。

 もっともっと、取り返しがつかなくなるまで――ワルイコトをしよう。

「良いよ、大喜くん。このまま出して。大喜くんの赤ちゃん、欲しいな」

 なにもかもブチ壊して、全部台無しにしよう。だってそれが、死ぬほど気持ちいいんだから。

 私の言葉が楔になったのか、大喜くんの身体が一瞬脱力し。そして、決壊した。

「――!? ぁ、う"ぅ……!!」

 凄まじい勢いで精液が迸り、私が充たされていく。目には見えなくても、それが子宮から伝わってくる。あの初めての時より更に激しい、意識をズタズタにしてしまう凶悪な快感が私を塗り潰す。

 大喜くんは泣きながら射精し続け、それを受け止める私もいつしか感情の箍が外れたのか泣いていた。

 ベッドの上で二人、グチャグチャになりながらイキ狂う。それはあまりにも、気持ち良すぎて――。

 

 私は自分で思うよりずっと弱くてズルくて、悪い子だ。

 そう自覚して以来、毎日が楽しくて仕方がない。

 ワルイコトだとわかった上で大喜くんを使(・)う(・)のは、とっても気持ちいいから。

 これから私は考えなしのツケを払わされるだろうし、苦労もするだろう。それがバネになって、私を更に高い位置へと運んでくれる。

 さあ、もっと。もっともっと、ワルイコトをしてやろう。

 




キングの小説の一文で「九月まではまだ、百万年もある」というのがあったような。
確か……夏休みが始まるシーン?

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