未題 - 巫女トノ猥談ヨリ着想 ソノ後 作:荒木田久仁緒
「ねえ霊夢さぁ~ん、荷物、返してくださいよ~」
情けない作り笑いを浮かべ、元から低い頭を更に低くして、揉み手をしながら河童はそう言った。
「はあ? 返すわけないでしょ。ほら帰った帰った」
箒で砂埃をざっざか掃きかけてやる。うわ、と声を上げて飛びのいた顔が、一瞬うきぃと歯を剥いた表情になり、だけどすぐまた愛想笑いへと戻った。
「そう言わずにさぁ。これ、このとーり!」
「拝むならあっち。お賽銭も忘れずにね」
「いるかどうかもわかんない神なんて拝んでもなぁ」
「失礼なこと言わないでよ、いるに決まってんでしょ! 見たことないけど」
きっかけは数日前、たまたま人里で河童のアジトを発見したことだ。
大通りや長屋街、歓楽街などからは離れた地域。問屋の倉庫なんかが並んでいる、そう人通りの多くない川べりの一角に、その小さな建物はひっそりとあった。巧妙にカモフラージュされていたけど、あいにく私はカンの良さが自慢だ。
こいつらは普段から人間相手の商売に余念がない連中で、祭りとなれば飛んできて屋台を広げたりもする。まあ、それは神社の利益にもなるし、正体を隠してこっそりやっている分には、長らく大目に見てもきた。ただ、直接人里の中心部に乗りこんでくるというのは話が別になる。何事にも、わきまえるべき境界線というのはあるものだ。そこらへんを見張るのも、私の仕事のひとつなのだから。
そんなわけで一発しばき倒して、二度と里の中にアジトなんか作るんじゃない、と釘を刺してから、罰としてそこにあった道具やらなんやらを幾らか没収した、という話で、今こいつが返してくれと言っているのは、その没収した荷物のことだった。
しかし、どんなに頭を下げられようが、返せないものは返せない。なぜなら。
「食い下がったって無駄。だって、もう燃やしちゃったし」
「も、燃やしたぁ!?」
それを聞いた河童の目と口が真ん丸くなり、ぱたぱたぱくぱくと閉じたり開いたりした。
「売っぱらおうかとも思ったけど、よく考えたらあんたらの道具って使い方ぜんぜんわかんないし。でも罰は罰だからね」
「おまっ……あ、あれはなぁ……このっ、お前、勝手に他人のっ、あーもうっ……!」
悔しそうに歯を食いしばって、握った両手を上下にぶんぶん振る。うーん、なんか面白いぞこれ。なんて思って、ちょっと笑いそうになったのをジト目の裏に隠し、私は改めて念を押すことにした。
「人里に一切近づくな、なんて言わないけど。私の立場として見過ごせないことはある、当たり前でしょ? 何かやりたいんなら、事前に話くらい通してちょうだい、今後は」
「わかったよ……」
はぁ、と息を吐いて肩を落とし、背を向け歩き去ろうとして、そいつはもう一度振り向いた。
「なあ……ほんとに全部燃やしちゃったのか?」
「炭とか灰とか、金物っぽい部品の燃え残りくらいなら、裏にあるけど。持ってく?」
「……いや、いい。はぁ~あ、まったく、これだから道具の価値のわからないやつは……」
ぶつくさ言いながら鳥居をくぐり、石段を降りていく。
でも、その声色に、少しだけホッとした響きが混ざっていたことに、私は気がついていた。
没収する、と言ったとき、あいつはずいぶん慌てていた。
お願いだから返してくれ、ってガラにもなく頭なんか下げたりして。
妙に必死な態度に違和感を覚えたけど、その時はまだ、その理由はわからなかった。
気づいたのは、荷物を神社に持ち帰り、どう処分しようか考えていたときのこと。
大きな袋から転がり出てきた、用途不明の雑多な道具に紛れて、それはひっそりとあった。
角ばってガチャガチャとした、端的に言えば硬い道具の中で、
これは、商品だ。
それも何か……特別で、高価な。
そう直感した。
あいつは、これを人間に売りさばくつもりだったのだ。しかも、こっそりと、おそらく一部の金持ち向けに。あのアジトは倉庫などではなく、そのための拠点。
おそらく、そこまでは間違いない……けど。
それはそれとして。
私は改めて、その物体を検分しつつ、思う。
これは一体、何なのだろう。
肌色をした、細長い棒状で、先端が少し膨らんだ、奇妙な形。柔らかくて適度な弾力のある、ぷにぷにした表面の、見たこともない材質。河童の開発した新素材だろうか。
でも、ただの棒だ。河童お得意の、アレコレ変な動きをする機械のたぐいには見えない。霖之助さんに見せればわかるかな……そんな風に思いながら、なんとなくそれが気にかかって、いじくり眺めていた私は────
「……これ、って、まさか……」
唐突に、気づいてしまったのだ。
それが男の人の、アレを、模したものであることに。
◆ ◆ ◆
宴会もない、静かな夜。
雨戸と障子をぴったり閉じ、小さな行灯ひとつだけの薄暗い部屋で、私は布団の上で横向きに寝転がっていた。片手で本を持ち、そのページをめくりながら。
それだけなら、ただ寝付けない夜長に本を読んでいるだけ……そう見えるだろう。
読んでいるのが、限られた女の子にだけこっそり貸し出してもらえる秘密の本で、寝巻きの隙間から入ったもう片方の手が、足の間に差しこまれていなければ。
ふと意識する自分の鼻息が徐々に荒くなっているのを感じつつ、私はページをめくる指を動かし、下腹部の割れ目をなぞる指を動かし続けていた。
本の内容は────人間の女の子に優しくされた妖怪が、やがて成長したその子を里からさらい、洞窟に閉じこめてひたすら抱き続ける、という、よくあるふうのお話。
最後はちょっと悲しい感じで終わるその本を、ひとまず読み終えて閉じ、文机の上に乗せてから、私は仰向けになって寝巻きをそっとはだけた。
その寝巻き一枚の下は、何も着けていない身体。目を閉じ、読んだばかりの本の中身を思い返しながら、あらわになった胸に、そしてまた割れ目にも指を這わせる。
「はぁ……」
息が、かすかに声となって漏れる。それを誰かに聞かせる想像の中で、胸の先をつまむように揉む。
まだ、あんまり大きくないけど。でも、本に出てくるヒロインのように、たっぷりと重いおっぱいになったつもりで……誰かに、それを掴まれているつもりで、手のひらを膨らみに添えて。
ちょっとだけ広げた足の間、付け根のところをそっと撫でる。
そこも、まだ毛は生えてない。
……もう、生えててもいいと思うんだけど。
普通はどれくらいから生えるものなんだろう? よくわからない。やっぱり恥ずかしくて、他の子には聞きにくい。妖怪の話はアテにならないし。
そのうち生えてくるもん、と今は忘れることにして、すっかり湿っている割れ目を少し広げるように、その隙間にめりこませた指先を、上下に何度も動かし、だんだん下のほうへと移動していく。
いま閉じた、よくあるエッチな話の本には、一つだけちょっと変わった要素があった。
その妖怪は、普通に正面から娘を抱きながら、同時に尻尾を変化させたアレで、お尻の穴も一緒に犯していた、という点が。
「だめ……そんな、とこ……」
つぶやきながら、そのすぼまりを、濡れた指先で撫でる。
お尻の肉の谷間に、ふわふわした温かさが広がって、その中心がひくひく
あの夢を見た日から、私は時々……いや、割と頻繁に、こうしてお尻をいじるようになっていた。
お尻の穴で、エッチなことをする────そういう世界もある、程度の知識でしかなかったその行為。
それを現実の体験として……いや、夢なんだけど、夢じゃないというか、とにかく実感してしまった私の興味は、急速にその場所へと向かい、そういう本を好んで借りるようになり、さらには実際に自分のそこへ指を伸ばし────そうして既に、幾つかの発見を重ねてもいた。
時間をかけてほぐしていけば、指の二、三本くらいなら楽に入るということ。
割れ目やお豆ほど敏感ではないけど、確かにそれは、キモチイイということ。
そして何より……いけないことをしている、という意識に、とても興奮すること────
中指の先端を、ゆっくりと、その中心に押し当てる。
さっきお風呂で中まで綺麗にした穴は、もうだいぶ柔らかくなっていて、それをじわりと飲みこんでしまう。
「あぁ……」
深く呼吸し、手のひらでアソコ全体を撫でるようにしながら、私はその入り口に指を何度も出し入れした。力を抜いているつもりでも、無意識にきゅっと締めつけてくるその中は、確かに自分の身体なのに別の生物のようにも思える。だけど指を動かし続けるうちに、その小さな口もだんだんゆるんで、その辺り一体がぷっくり膨らむみたいに熱くなってくる。
薬指も添える。でも、足を閉じたままのお尻の隙間はやっぱり狭くて、そのまま押しこむのは無理があった。ちょっとだけためらって、膝を上げ、太股を大きく開く。……いや、違う。開かされるんだ。私を抱こうとしている、その妖怪の手で、無理やりに……。
────お前が悪いんだぞ。
さっき読んだ本のセリフ。
そのやりとりを、思い出す。
────お前が俺に触れて、人間の匂いをつけたせいで、俺は山から追い出されてしまった。
────そんな……私は、そんなつもりじゃ……。
────うるさい。俺にはもう仲間がいない。ずっと一人寂しく、この洞窟で生きていくしかない。お前のせいだ。お前の……
「ごめんなさい……許して……」
指が二本、少しの抵抗を乗り越えて入る。直後はやっぱりきつい。でも、すぐにその力も抜けてくる。ひねるように、ちょっと開くように動かしながら、また少し奥へ。アソコを撫でる手のひらを伝って、指先へ流れていく私のお汁が、その滑りを滑らかにする。
────こっちも犯してやる。
くちゅくちゅと、
────後ろでも感じているのか。人間は淫らだな。ここがいいのか?
こりこり、かりかり、入り口が引っかかれる。そこからじんわり広がる刺激の波に、足を震わせ喉を鳴らす私を、見下ろしている誰かの顔は────やっぱり、
「………さん」
ずっと昔から見上げ続けてきた、その人の名を、ギリギリ声にならないように口だけで呟き、その顔をまぶたの裏に映しながら、私はもうしばらくお尻をいじったあと、すっかりゆるんで粘液に濡れたそこから指を離し、布団のわきに置いてあるものに手を伸ばした。
河童の荷物の中にあった、アレ。
まとめて燃やす前にこっそりと、それだけ抜き取って隠したもの。
握りしめ、持ち上げたそれの先端を、私はまず、割れ目の上にあてがった。
そのまま上下に動かして、溢れているお汁を塗りつける。
「んっ……」
そのもちもちした表面で、アソコがぬるぬる
あの夢の中で感じたアレは、ほんとにこんな感触だったかな、と少し思って、だけどもうずいぶん前のその記憶は、やっぱりだいぶ薄れてよくわからなかった。そうするうちに、その先っぽの膨らんだ部分が十分に濡れたところで、私はそれを立て、割れ目の中心にちょっとだけ押し当てる。
「あ……う……」
そのままソレが、私の中へ、奥深くまで押しこまれる感覚を、思い出し、想像する。
あのとき初めて知った、現実にはされたことのない行為。男の人の体が自分の中に入ってくる、あの感じ。
セックス。
その、まだ知らない、いつか知りたいことを、ちょっとだけあの人の顔と共に夢想してから、私はソレをそこから離した。
そう、それはダメ。本当にそこに入っていいのは、あの人だけ、なんだから。
だから……今は、こっち。
少し下へずらし、そのもう一つの場所へと押し当てなおす。
そうしてゆっくり力を込めると、まだ少し拡がったままだったその孔が、さらにじんわり拡げられて、その先端がめりこんだ。
そのまま、ぐりぐりと、こじるように、ひねるように、私はソレでお尻の穴を刺激し始める。
「ん……あ、ふ……」
ソレは、私の指三本よりも少し太い。だから、そうして押しつけていても、奥まで入ってはいかなかった。先端の少し細くなった部分が、ちょっとばかりめりこんでいるだけ。それでも、自分の少し内側の部分が、大きなかたまりで押され擦られる刺激は、柔らかいけれど結構大きい。それをじっくり味わいつつ、私はあの夢で知ったもう一つの行為、お尻の穴を奥まで貫かれる感覚を思い出していた。
「だめ……そこはダメ……」
そんな白々しい言葉を漏らす一方で、お腹の裏側を叩かれたあの衝撃を脳裏に蘇らせながら、だんだん動きを大きく、強くしていた私の手が、少しだけ沈んだ。
「あっ……!」
お尻が、さっきよりもまた少し拡がって、棒がもう少し深くめりこんだのだ。
いったん手を止め、その大きな異物感にお尻がなじむまで待つ。
「あぁ……ふぅ……」
以前にも、お尻で感じ始めて、いっそうそこが柔らかくゆるんでくると、こうしてちょっと深く入ることがあった。それでも、膨らんでいる一番太いところまでは、まだまだ届かないけれど。
でも、そんなことを繰りかえしているうちに、だんだんそのめりこみ具合が深くなっているように思えて、それがいつかその膨らみを越え、この棒がそのままお腹の奥まで入ってしまう日が来るような気がしていた。
抵抗が薄らぎ、力の抜けてきた孔を、またぐりぐりいじる。
さっきよりも少し奥に、その鈍い振動が伝わり、お腹の中に、頭の奥に響く。
そしてまた、ちょっとだけその先が沈んだ。
「っあ……。あ、あ……」
深い。
こんなに深く入ったことはない気がする。
抵抗は確かにあるけれど、押し返す強い反動はもうなかった。私はすぐにまた手を動かす。じんじんと熱い孔が、そして孔を越えた体の中が、その棒とずりずり擦れあい、拡げられて、じわりとまたその先へ沈む。
「あっ……あっ、んっ、ああっ……」
沈む。また沈む。沈んでいく。
手を動かすたびに、腕に力を入れるたびに、私のお尻が拡がっていく。
おかしい。今日は変だ。手が、拡がりが止まらない。
どうなってるの、私のお尻。
じりじりと、その孔が伸びていく感覚がする。棒を押すたびに、何度でも、どこまでも。そう、まるで本当にどこまでも、拡がっていってしまいそうな────
そのことに、わずかな恐怖を覚えた、その時だった。
ずるん、と急に棒が滑り、拡がり続けていたお尻が、きゅっとすぼまる。
同時にお腹の中に広がる、重い圧迫感。
「あっ!?」
一瞬遅れて声が出て、それから更にもう数秒たってから、震える指でそっとその孔を撫で、私は何が起きたかを理解した。
「入っ、ちゃっ、た……」
あの膨らんだ先端が、すっぽりと、私の中に入っていた。
その下の、ちょっと細くなっている部分を、少し縮んだ、だけどしっかり拡げられたお尻の穴が、じんわりと締めつけている。
その衝撃的な事実に、私の頭はぐるぐる揺らされて、しばらく身動きできなかった。
あの夢で感じた、あの感覚。
私の体の中に、太くて長いものが入ってしまう、信じられない経験。
「ああっ……」
声と一緒に、長く息を吐く。
吐く息につれてお尻がゆるんで、またぬるりと棒が私の奥へ入ってゆく。
いま、セックスしてるんだ……私。
そんな妄想の確認に胸を震わせながら、私はさらに手に力を込めた。
一番大きなところが入ってしまえば、あとの進みは滑らかだった。
割れ目からこぼれたお汁で濡れた入り口は、ちょっと引きずられながらもヌルヌル滑って、棒を奥へと飲みこんでいく。
「だめ……そんな深くまでなんて、だめ……」
夢の中でも叫んだ言葉を、小さくつぶやきながら、結局その深いところまで、私はそれを押しこんでしまっていた。
少しお尻とお腹が落ち着くのを待って、今度はそれをゆっくり引き出す。
逆向きに引っ張られ、めくれ上がるお尻の感触。そこにまたあの膨らみが引っかかったところで、再び奥へと差し入れる。
「ふぁ……。あ、んん……。はぁあ……」
そう、男の人は、こんな風にアレを、女の子に出し入れするの……それが、セックス。
あの時は、もっと激しかった気がするけど。
でも、今はこれでも、ちょっと苦しいくらいの刺激だから……。
────熱いな。絡みついてくる。気持ちいいぞ。
────いや……恥ずかしい……。
────ここも好きだろう。一緒にしてやる。
お豆が、濡れた指先で摘ままれる。
ぬるぬる撫でられ、皮を剥き上げられて、敏感な裏側をこすられる。
────ああっ、駄目っ、イく、またイッちゃうっ……!
────かわいい声だな。いいぞ、何度でもイけ。いくらでもしてやる。
呼吸が熱い。
お豆が、アソコが、お尻が熱い。
お尻を出入りするアレの動きが、いつの間にかひどく激しい。
くちゅくちゅ、ぷちゅぷちゅって、エッチな音がしてる。
────俺も出すぞ……霊夢っ……!
そうして、身体の奥にあの人の熱い精が注がれるのを感じながら……私はぎゅーっとお豆を押しつぶし、アソコを震わせ、何度も何度も、アレをお尻で締めつけていた。
◆ ◆ ◆
その日から、私はそのイケナイ遊びに、すっかりハマってしまった。
エッチな気分になるたびに、ソレをお尻に差しこんで、男の人に犯される想像をしながら、禁断の快感をむさぼった。
最初のころは入れるたびに毎回キツかったお尻の穴も、すぐにソレに馴染んで、というか、ソレの味を覚えて、したいと思った時からもうムズムズと緩みはじめて、勝手にソレを受け入れる準備をする、やらしい穴になってしまった。
遊びはあっというまに日常になり、日課になり、時には一日に何度も、しかも日の高いうちからしてしまうようになって……そして、そんなある日、それは起きた。
はしたなくも真昼間から、障子を閉めきって私がソレを楽しんでいた、まさにその時。
魔理沙が、来たのだ。
「どうした霊夢、なんか顔が赤っぽいぜ。風邪か?」
「えっ、いや、別に……ああ、ちょっと寝不足だからかも……」
ちゃぶ台の向こうに座る魔理沙の問いかけに、平静を装ってそんな返事を返す私の下半身は、およそ平静とは程遠い惨状を、それでも何とかスカートの下に押さえこんでいた。
ソレを抜いて、どこかに隠すヒマなんてなかったのだ。
その長くて太い棒を、ほぼ根元までお尻の中に飲みこんだまま、私は今すぐにでも逃げ出したい状況を、どうにも逃げ出すスキのない状況を、下半身に意識の主導権を握られた頭で魔理沙の話を聞きながら、必死で耐え忍んでいた。
「……ってさ。あいつも少しは外出すればいいのに。まあとにかく本は入手できたんで……」
「ふーん……」
話の内容なんか、頭に入ってこない。ただ、うわのそらで相槌を打っているだけ。
とにかく、早く話に飽きて帰ってほしい。いつものお喋りだって、普段はそんなに長くないのに。
だけど、今日の魔理沙はなにやら大きな発見か進展があったらしくて、ひどく饒舌に長々とその口をぶん回していた。
本当は、そんなに長いわけではないのかもしれない。だけど、少なくとも私の体感では、それは果てしなく長い時間に思えていた。
「……というわけで、これから忙しくなりそうだぜ。あ、そうそう、ここらで一杯、お茶が怖くなってきたんだけど」
「う……」
……立てない。
立ったら、アレが抜けて、スカートから転げ出て、魔理沙の目に留まってしまう。
運良く抜けなかったとしても、私のアソコはもうぐしょぐしょで、それは間違いなくスカートまで染みている。つまり、魔理沙に背中を見せることができない。おまけに、パンツを膝上までずりおろしたままなのだ。後ずさりながら小股で台所に向かうなんて、不自然すぎて絶対バレる。
って言うか、忙しいならさっさと帰ってその研究に戻ればいいのに、この……!
「なんだ、もしかして茶葉も尽きちゃったのか?」
「……そこまで困窮してないってば。面倒なだけ。欲しいなら自分で淹れてよ、出涸らしでも何でも」
そうだ。魔理沙がお茶を淹れに立ってくれれば、せめてこれを抜くくらいは……。
「えー? まあいいや、私も面倒だし。それでさあ、うまいこと使える道具がないかと思って、香霖の……」
こいつ、いつもは勝手に淹れて勝手に飲むくせに、今日に限ってっ……!
ああ、ほんと、何をやってるんだろ、私。
ちゃぶ台を挟んで、魔理沙が目の前にいるのに。
その目の前で、お尻にこんなもの突き刺して、下着も半脱ぎで、股間を濡らしているなんて。
お尻の中で、アレが、動いてる。
前後左右にふらふら揺れて、私のお腹をかきまわしてる。
……違う。アレが勝手に動くわけない。
動いてるのは……私の腰のほう。
腰が……勝手に動いちゃってる。
行くことも戻ることもできない、この宙ぶらりんの状態で……ずーっと熱いままムズムズしてるお尻が、どうしてもモゾモゾ動いちゃって……それがまた、余計にムズムズして……。
「……つまりさ……霊夢?」
「うん……」
やめたい。今すぐやめたい。やめなきゃいけない、こんなこと。
今、すぐそこに、魔理沙がいるのに、やめられない。
「おい、霊夢」
「そうね……」
シたい。今すぐシたい。アレを掴んで、お豆に指を這わせて、思いっきり。
今、すぐそこに、魔理沙がいるのに────
「霊夢!」
「ひえっ!?」
大声に顔を上げ、私も声を上げた弾みで、ぎゅっと締めつけたお尻の下から、ぞくんと何かが背中を駆け上がる。
目の前に、身を乗り出した魔理沙の顔があった。
「どうしたんだよ、絶対大丈夫じゃないだろ」
額に手が添えられた。
魔理沙の手が、私に触れている。
その触れた場所から、一続きの皮膚の先、スカートの下で、今こんなことをしている、私の身体に。
ぞくぞくが、もう一段大きくなった。
「あ……う……」
「……熱はない……かな? でもやっぱり、具合悪いんだろ」
私の、そして自分の額にも当てていた手を下ろし、そう言って開いた魔理沙の目が、また私を見る。
「人の話聞いてないし、身体ふらふらしてるし、目もしょぼしょぼだし。それに」
心配そうな顔で、私の顔を覗きこむ。
その鼻が、目の前でかすかに鳴った。
「なんかちょっと、ヘンな匂いするし」
「────!!」
……嗅がれた。
気付かれて、しまった。
私の、恥ずかしいニオイが、魔理沙に────
「体調は体臭に出るっていうからな」
……それが何のニオイなのかは、わからなかったようだけど。
だけど今、私のそのニオイが、魔理沙の鼻に届いてしまったということは、間違いのない事実だった。
「寝不足だって言ってたっけ? どうせまた遅くまで本読んでたんだろ」
「うん……」
それは嘘じゃない。本当のこと。
なにを読んでいたのかは、言えないけれど。
……魔理沙は、ああいう本、借りてるのかな?
特別書架の貸し出しは、秘密厳守。他人のことは、教えてくれないから。
「辛いようなら昼間からでも、布団で寝てたほうがいいぞ。敷いてやろうか?」
「……うん……いや、大丈夫。それくらいは、自分でするから……」
「そうか? じゃあ私は帰るけど、あったかくしてろよ。今の時期、風邪ひくと長引くぜ」
そう言って立ち上がり、敷居の上で一度だけ振り向いた魔理沙は、無言でふらふらと手を振る私をやっぱり心配そうな顔で見て、ちょっとだけ笑ってから飛んでいった。
「っ……」
座ったまま、上半身と腕だけを伸ばして、私は障子を片方閉めた。
「っあ、くぅっ……」
少し体を動かしただけで、お腹の奥にソレがビリビリ響く。
もう片方の障子が開いたままだけど、そこまで手が届かない……それどころじゃない。とりあえず、私の姿が外から見えなくなれば、それでよかった。
ゆっくりと、膝の上からスカートをまくる。
案の定、お尻のほうの生地は股間を中心に、お漏らしでもしたみたいにびっしょり濡れていた。かすかに酸味を帯びた熱い空気が、そこからむわっと立ちのぼる。
「ふぅ……ふ、っう……」
またいつ、誰かが来るかもわからない。さっさとアレを抜いて、すべての後始末をする。それが正解だし、直前まで私自身、そうするつもりだったと思う。
だけど、そのとき私の手は、ただ衝動にまかせて太股の付け根へ、湿り気の中心へと、勢いよく滑りこんでいた。
指先が敏感な突起に触れた、その瞬間。
「────っ!!!! ……っあ……いっ……!!」
たったそれだけで、私はイッた。
背中がのけぞる。腰が跳ね上がり、また落ちた弾みで、お尻のアレがさらに深く、私の奥をえぐる。
「ひっ……! う、あっ、あ~~~~っ……!!」
バランスを崩し、ちゃぶ台の上に倒れこんだ体を震わせて、私は激しい絶頂の波に身を任せていた。
波は、長かった。
頂点を過ぎた後も、体は熱い水に包まれて、肌の上を小さな波が何度も揺り返し、そのたびに私は震え、よだれと共にかすれた鳴き声をこぼし続けた。
「……っは……は、あ……はぁ……」
ようやく、波が収まってくる。まだ荒い息に体を揺らしつつ、余韻に浸りながら、ちゃぶ台の上でぼんやりと脱力する。
ああ……すごく、大きかった。どうして、こんな……。
ただ、お豆にちょっと触れただけなのに……こんなに激しく、イッちゃうなんて……。
なんでだろ……そんなに、興奮してたのかな……。
……興奮、してた?
自由に触ることも、動かすこともできない、あんな状況で?
あんな状況だから……?
魔理沙の目の前で……今にもバレるかもしれないって、ドキドキしてたから?
まさか……そんなこと……。
お尻が、きゅうっと、アレを締めつけた。
……駄目。もう、抜いて……やめなきゃ。
また、誰かが来たりしたら……今度こそ、ごまかせない。
一人でエッチなことしてたのがバレる……そんな、恥ずかしいこと……。
ダメッ……てばっ……。
やだ……勝手に腰が……動いちゃう……。
お腹の中で、アレが、動いてるっ……。
ああ……駄目、だめ、ダメ……なのに……。
そう、もしかしたら今、障子の向こうに誰かいるかもしれないのにっ……。
よりにもよって、あの天狗だったりしたら……。
写真を撮られて、バラまかれて……幻想郷じゅうに、私がエッチな子だって、知られちゃうっ……!
だから、だからこんなのっ、もう、やめ、なきゃ、だ、か、らっ、ぁあっ……!!
────だから、私は。
半分開いた障子の陰から、誰かが私を見つめている、その視線を妄想しながら、お尻をくねらせ、股間に差しこんだ指を激しく動かして────もう一度、イッた。