私はお父様の目を離れて自由になった、そう勘違いをしていた。
冒険者として、クルセイダーとして、依頼に真摯に当たり、それなりの成果を上げて来た。
……だが、そんなのはまやかしだ。
私はいつだって、いや、あの日自分の処女膜を自ら破ったあの日から私は自由になりたいと思いながら、貴族の娘としての責務に板挟みになってがむしゃらにこなしてきたに過ぎない。
依頼人のために?
冒険者としての名誉のために?
ははっ、そんな綺麗な事を考えていなかった。
犯されたかった、壊されたかった。
自分と言う存在を貶めて、地に踏み躙られて、人としての尊厳を破壊し、一番下へ、下の下の更に下へ、この美麗な肉体を、高潔な精神を、砕いて欲しかった。
ああ、でも、日和ってしまった。
痛みを、苦しみを、求めながらそれに反する耐久スキルを得た。
痛みを受け続けたいからと、長く苦しみたいからと、そんな防波線を引いてしまっていた。
だから、おんおんと爛れた関係になって気付いた。
私は私の価値観を壊してくれる誰かを求めていたのではなく、このどうしようもなくふしだらな被虐性癖を認めて愛してくれる誰かを求めていたのだと。
ははは、自分の事ながら何ともロマンチストな事だ。
だから、私よりも五歳も歳下で小柄な、けれど精神年齢は高くその手の経験も確かな男性のような少女に恋焦がれてしまったのだろう。
そこらの男たちと違って身なりも綺麗で人柄も良く、汚らしさから遠く離れた美しい肢体を持つ少女に確かな色気を感じていた。
なのに、なのにだ。
彼女の視線は男性の其れと似通っていて、私の鍛えた肢体に確かな欲情と肉欲の感情が感じ取れた。
そして、聞けば勇者候補として異世界で死んだ男性であり、此方の現地人として産まれ変わる時に女性になってしまったのだと言うではないか。
ああ、嗚呼、私はそれを聞いた時に喜びに震えた。
彼女は男性でありながら少女でもある。
そして、逞しい男性のような包容力と無邪気な少女のような嗜虐性癖を持ち合わせていた。
私が求めていたものを全て内包した宝箱のような人だったのだと、私は歓喜し、敬虔なエリス教徒であった事を深く感謝した。
「……ふふふ、こんなにも恵まれていると言うのに、それ以上を求める私は強欲だな……」
今日はおんおんとは約束をしていない。故に此処には来ないだろう。
廃エリス教会の一室、自分が持ち込んだ柔らかなベッドに身を任せて、来る筈も無い少女を待ち望んでいた。
前におんおんと鉢合わせた時のように、持ち運べる程度の魔導冷蔵庫とそこそこの値がするワインとチーズを部屋に設置して、この場所を快適にすべくこっそり動いていた。
おんおんはあの容姿でお酒好きな一面がある。
あの勢いで酔い潰れない辺り何かしらのスキルなのだろうが、それとは別に単純にお酒が好きなのだろうなと思う。
……喜んでくれるだろうか。
それとも私もおんおんのように卑猥なアイテムを用意して、発情期の犬のように期待を込めて誘うべきだろうか。
いやはや、おんおんのヤる気は凄かった。
相当に溜まっていたんだろうなアレは。
あの獣のような肉欲の孕んだ視線は凄かった。
私も思わずただの雌になっていたからな……。
おんおんの心が男性である事をこれでもかと理解した瞬間だったな。
「っと、少し濡れてしまった……。……うぅ、おんおん……」
「ふむ、呼んだかララ」
「ああ、恋しくて仕方がないんだ。……っておんおん!?」
「ははっ、前とは立ち位置が逆だな。魔導冷蔵庫に……ワインか。ありがとう、確かにこう言う物も用意しておくべきだったな」
「あ、あぁ……」
「なんだ、照れてるのか。んふふ、可愛い奴め」
思わず枕に顔を埋めた私の近くに座ったおんおんは揶揄うような声色で笑っていた。
うぅ、何たる不覚……、まるで恋焦がれる乙女ではないか、恥ずかしい……。
小さな掌が後頭部に乗って、梳くようにして髪を撫でられる。
宥められているのだと深く自覚する中、この小さな優しさに心に温もりが灯ったような気がした。
あぁ、駄目だ。分かっていたつもりだが、この思いを抑えきれない。
半身になって、慈愛を含んだ視線で笑みを向けるおんおんに両手を差し出した。
何を求めているのかを理解してくれたおんおんはクスリと微笑を浮かべて、ベッドに上がって私を正面から抱き締めてくれた。
こんなにも小さな身体なのに、どうしてだろうか、こんなにも大きな愛を感じるのは。
「なぁ、おんおん」
「なんだ?」
「……その、以前は好き合った女性は居たのか?」
「何だ、藪から棒に……。居なかったよ。年齢イコール彼女居ない歴だった」
「そうか……、なら、わ、私はどうだ?」
「……今の私は女だぞ?」
「あぁ、分かっている。貴族の娘として取るべきではない事だと分かっている。だけど、駄目なんだ。私は、私は……、おんおんの事が好きなんだ」
「ララ……」
少しだけ驚いた様子のおんおんの表情に心臓がバクバクと高鳴る。
緊張と興奮で呼吸が荒くなり、冷静を突き抜けた精神状態であると一周回って分かるような心地だった。
私の胸に抱かれたおんおんは少しだけ瞑目して、身体を起こして私を見下ろすようにいつぞやの体勢になった。
「もう、成長は見込めないんだぞ。身長も伸び辛くなったし、多分ずっとこの姿のままだ」
「良いじゃないか。綺麗な姿を保てるのなら」
「……生理も止まった。私は子を産む事はできないだろう」
「構わないだろう。私が産めば良い」
「…………私はこの瞳に存在するダークリングがある限り死なない。ララ、いつか君に置いて逝かれる事になるだろう」
「それは……初耳だぞ」
「初めて言ったからな。頭を捥がれようが、身体を真っ二つにされようが、全身を切り裂かれたとしても、私は灰の姿へと変わって篝火の下に生き返る事ができる。……私は火の無い灰だからな、恐らく……」
そこでおんおんは言葉を止めて、何かを考えるように口ごもった。
何かしらの誓約、またはとんでもないデメリットでもあるのだろう。
それこそ、人智を越えた所業の対価のような何かを抱えているのだろう。
それでも、私は……おんおんを抱き締めた。
「だからと言って一人になる必要は無いんだろう? なら、死が私たちを分かつまでずっと一緒にいて欲しい」
「……ララ。その選択をいつか後悔する時が来るぞ、それでも、私を求めるのか……?」
おんおんの黒い瞳と視線が重なる。黒い瞳の中に燻る炎のような色を見て、それに吸い込まれていくような心地だった。
彼方此方に視線が行き、色々と考えては消してと言う葛藤が感じ取れる。
ああ、おんおんは真剣に私の事を考えていてくれたんだな。
いつか、おんおんを置いて死ぬであろう私の気持ちを考えてくれたのだろう。
なんて、優しい人なんだ。けどな、そんな数十年後の事を考えるのは正直言って馬鹿だと思うぞ。
だから、私は、今この時を以て貴族令嬢である自分を置いていく事にした。
此処に居るのは、ダスティネス家の一人娘ではなく、ただのララティーナとして答えよう。
「ああ。私の人生に君が必要だ。どうか、私の愛を受け止めて欲しい」
困惑に揺れる瞳に浮かぶその灰色のリングを認識してなお、私は口説き文句を放った。
おんおんは力なく私に寄り掛かるようにして抱き着くと、か細い声で言った。
「……ありがとう。これからもよろしく」
そう涙混じりのふにゃりとした笑みを魅せた。その愛おしさに私の心は爆発寸前だった。
何て綺麗な笑顔だろう。今まで見た事の無いような美しさに私はただ、見惚れていた。
ああもう限界だ。こんなに可愛らしい姿を魅せては内なる感情が抑えられない。
抱き締めながら寝返りを打つように上下を入れ替えて、その小さな唇を奪った。
私のキスをおんおんは拒む事無く受け入れて、いつぞやの時とは逆に、私が咥内を蹂躙した。
腰ほどまで伸びる美しい黒髪に紅混じりの透き通る黒瞳、肉付きは痩せ気味だが成長途中のツンとした乳房や張りのある小さなお尻で魅了するおんおんを、私が襲い掛かっている事実に興奮が込み上げる。
まるで神聖な無垢なる少女として選ばれた聖女を祭壇で犯しているかのような心地だった。
小さな吐息が、聞こえてくる喘ぎが、空気を求めて呼吸するその音すらも、何もかもが愛らしくて可愛らしい。
唇と唇を重ね、無防備に開いた咥内で舌を絡め合わせ、快楽を貪り合う。
ああ、あの時のおんおんもこんな気持ちだったのだろうか。
おんおんが私の初めてを奪った、あの日のように。
目の前の相手を求める感情で頭が一杯になって、とろんとしたその瞳に愛おしさを感じて、その快楽をもっと与えたいと願ってしまう。
嗜虐性癖でも被虐性癖でもない、目の前の相手を愛したいと言う感情に突き動かされて私はおんおんとのキスを求め続けていた。
「んっ、ぷはぁ、随分と……、積極的だな、ララ」
「ふふっ、おんおんへの愛が爆発してしまったんだ」
「……そっか。私もそんな気持ちだ。あの時以上に、心が通っている気がして、とても気持ちの良い気分だ。んふふ、こんなにも胸が温かいのは初めてだ。ああ、気持ちが良い……」
「私も同じだ。好きだ、愛してる」
「……あぁ、私も愛してる」
私の頭を抱き締めるようにおんおんの両腕が重なり、二人で愛を貪るように唇を交わした。
まるで舌で性交をしているかのように、私たちの唾液が行き来する。
愛して、愛して、愛して、愛して――言葉に形容できないこの想いをぶつける。
重なって生じた温もりがどうしようもなく心地良くて、此処におんおんが居るのだと分かるのが嬉しくて、時折気持ち良さそうに声を漏らすのが愛おしくて、重なった肉体の熱さにどうしようもなく興奮して……。
まるで、二人で溶け合っているような心地だった。なんて、甘美な、幸せなんだ……。
痛みとか、苦しみとか、背徳感や自虐感情などとは掛け離れた快楽に溺れる。
ああ、これが男女の営みなのだろう。種としての原初的な感情なのだろう。
私という雌は、おんおんと言う雄を求めているのだ。そして、同時に私が雄で、おんおんが雌でもあるのだ。
嗚呼、何て、気持ちの良い心地なのだろう。
おんおんと重なって触れている部分全てが心地良い。
お互いに体温の上がった肢体が気持ちが良い。
気付けばお互いに呼吸を忘れるような長く深いキスをしていて、酸欠の苦しさからふと正気に返る。
「けほっ、こほっ、うっ、はぁ、はぁ……、はぁ。まずいな、病み付きになるなこれは」
「ぷはぁっ、はぁーっ、はぁーっ、……だ、唾液で溺れるかと思ったぞ……」
「す、すまない。加減が効かなくて」
「ふふっ、ふはっ、あははははは、良いよ。それだけ私の事を好きになってくれたんだろう?」
「それは……、まぁ、そうだが」
「だから、良いよ。こうして受けに回るのも新鮮で良いかもしれないな」
そうくつくつと笑うおんおんの言葉に少し同意する。
前みたいに頭が沸騰するぐらいにめちゃくちゃにされるのも好きだが、こうして愛に溺れるような甘い遣り取りも好きになっていた。
息絶え絶えなおんおんのしおらしい姿もまた可愛らしい。
「汗で衣服が大変な事になってしまったな……」
「む、そうだな……。流れに乗ってしまったが、脱いでおくべきだったかもしれないな」
「……んふふ、ララ、脱がせて?」
「……ああ」
囁くような声で耳元に甘ったるい口調のおねだりを聞いてしまって、私もその気になってしまった。
黒いシャツのボタンを外していき、おんおんの汗の匂いがむわぁと解き放たれ、くらりと来てしまった。なんてえっちな匂いをしているんだ……。
開かれた合間に鼻を落としてその芳醇な匂いを吸い込む。
……麻薬と言うのはこういうのを言うんだろうな。
この匂いならば四六時中嗅いでいても飽きない事だろう。
ベールを剥ぐようにシャツを開けば、きめ細かな美しい白い肌が露わになった。
そして、慎ましい胸を保護するインナートップをずらせば、綺麗な桜色の乳首がツンと立っていてどうしようもなく劣情を催す。
思わず掌を這わせれば私のそれとは違った柔らかな硬さが返って来て、優しく触れればぴくりぴくりとおんおんが敏感に反応する。
その小動物めいた仕草が可愛くて仕方が無く、服を脱がせる事も忘れて乳房への愛撫に思考がズレ始めた。
「んっ、あっ、んぅ、んんっ、ぁあっ、あっ、そ、そこはっ、あっ」
おんおんの可愛らしい喘ぎ声が聞こえて来て興奮によって理性の箍が外れていく。
ぷっくりと小さな乳輪に沿って立ち上がった乳首を口に含むように食べてしまう。
くにりくにりと舌と唇で挟み込んで先端を舐め上げると身体が跳ねるようにして反応を返す。
どうやらおんおんは胸が敏感のようだった。
……もしかしたら一人遊びの時に弄っているのかもしれないな。
片方の乳首を舐め上げている間に、もう片方の乳首に親指と人差し指で掴むようにしごきあげる。
だんだんとおんおんの反応が強くなり、腰を仰け反らせて私を押し上げる。
そして、一際大きな甲高い嬌声を上げて痙攣するように仰け反った。
「いっ、イクっ、イッ、クッ――――――、あ゛っ、はぁ、はあっ、はぁ、あっ」
息絶え絶えに顔を蕩けさせて喘ぐおんおんの様子から絶頂したらしい。
胸への愛撫を止めてぐったりとしたおんおんの衣服を脱がしていく。
黒いシャツ、七分丈ズボン、インナーの上下を、脱がし終える。
鴉の濡れ羽色と言うらしい艶やかな黒髪をベッドに散らしながら、その純白な美しい肢体を露わにしたおんおんの色気は凄まじく、女である私でさえも生唾を飲む艶めかしさがそこにはあった。
サブタイトルに内容の概要乗せ……
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る。(キャラ+番号+内容)
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ない。(キャラと番号のみ)