女の子が少ない世界にTS転生した 作:アリス
大切な長期休みがネトゲであっという間に溶けてしまったという苦い思い出が前世の記憶にはありますが、人は過ちを繰り返すのでしょう気が付けば入学式当日でした。
どうしましょう全然高校生活開始する気分ではありません。最近の私は散歩に行って近所のお兄さんに下着をチラ見せしながらSMOの話をしたり、部屋でSMOをやったりするネトゲ廃人待ったなしライフを送っていました。
一応親の目もあり夜中の2時過ぎまでネトゲ三昧といった生活はしなかったのでかろうじて生活リズムなどは崩れないまま4月1日を迎えることが出来ましたが、最近はダークエルフごっこのせいで自分がダークエルフな感じがしてたり現実でも体術の心得の補正がかかっているような気もしたりと確実に副作用が出ています。
初日から遅刻は勘弁してほしいので気は進みませんが部屋のクローゼットから制服を取り出しました。制服はシングルブレストのブレザーで胸にはポケットがありその下に学校のエンブレムが既につけてありました。シャツと夏服用のセーラーシャツはそれぞれ白青黄色の三種類、チェック柄のスカートはベージュ、赤、青の三種類、リボンとネクタイは赤と紺の二種類とバリエーションがたくさんあったのですが女子は着飾ってこそとお母さんが全部買っちゃいました。学校の制服って結構高いイメージがあるのですが良かったのでしょうか。
毎日どんな組み合わせで着ていくか悩んでしまうかもしれません。今日は入学式があるのでオフィシャルな感じがする白のシャツに紺のネクタイ、青のスカートという組み合わせで行くことにしました。服を着ているといつも通り太ももにベルトを着けて短剣を装備しないことに少し違和感を覚えます。ゲームやりすぎですヤバイてですね。それから下着はちゃんと透けないように派手じゃないものを選びました。
いつも隙だらけの女の子の下着とガードが堅い女の子の下着、どちらが男性は見たいでしょうか。答えは顔次第です。でも両方かわいい子ならきっとガードが堅いハズの女子の下着が見えたほうが嬉しいと思います。なので最初はガードをカチカチに固めていきます。
座るときも他の女の子みたいに万が一のないように手で押さえながら座ったりします。前世の記憶がよみがえる前の私に戻るだけですね。
学校指定のスクールバッグはなんと革製でした。前世の記憶ではジャージの生地みたいな安っぽいバッグだったのですが、附属高校なだけあってかちょっと高級な感じでした。
入学式のパンフレットと中学生の時から使っている筆箱とノートを忘れずに入れました。これだけ技術が発展していても前世と似たような荷物にすこし面白くなってしまいます。
「亜里沙~!そろそろ時間だよ~!」
お母さんが下から呼んでいます。ARデバイスで話せばそんなに大声出さなくてもいいと思うのですが、お母さんらしいなと思っちゃいます。慌てて降りていくと女性警護員のフル装備をしたお母さんが玄関で待っていました。
「うわ、お母さんどうしたのその恰好」
「ん?これかい?亜里沙に変なちょっかいかけよう何て思わないように脅しておこうかなと思って」
娘の入学式にライオットシールドは要らないと思います。そんなに襲われそうに見えるのでしょうか。
「盾はちょっと止めてほしいかな」
「そうかい?じゃスタンロッドにしておこうか」
お母さんはライオットシールドを下すと腰のベルトに大型バッテリーと接続されたスタンロッドをさしました。それ、私用で使っていいものなのでしょうか。
今日はお父さんが車で学校まで送り迎えをしてくれますがワガママを言って通学は電車通学にさせてもらいました。理由は社会経験です。
お母さんはかなり嫌そうな顔をしていましたが、女性専用列車に乗ることを約束したら許可してくれました。専用車両ではなく専用列車すら時折ダイヤルに組み込まれているのはすごいと思います。
学校につくとけやき並木が立派な校門前で記念写真を撮りました。なんだか平和な家族って感じがします。お母さんがフル装備していなければ。
敷地内に入ると一斉に視線が突き刺さります。やはり女の子が珍しいのでしょうか。それともやっぱりお母さんがヤバいのでしょうか。大学生の人達も興味深そうに私たちの方を見ていました。
掲示板に張り出されている紙を見て自分のクラスを確認します。ARデバイスで通知すれば終わるようなこともきっと大切なことなのでしょう。
「あ、あったよおかあさん。私2組みたい」
お母さんに話しかける私の声が聞こえていたのか、2組の掲示板の前にいる男の子達が一斉にガッツポーズをとっていました。早くも仲が良さそうですね。
「じゃあ一旦お別れだね。へんなやつがいたら私に言うんだよ?」
「お母さん大丈夫だから」
お母さんは周りを威圧するような冒険者みたいな歩き方をして去っていきました。やっぱり脳筋ぎみな気がします。私は下駄箱に行き上履きに履き替えると教室に向かいました。
1ー2の看板が書かれた教室の扉は閉まっていて、中からは既に打ち解けたのか楽しそうな会話が漏れてきています。
すっごい入りづらいです。どうやって扉を開けたら良いんでしょうか。無言?おはようございます?
「ねぇ邪魔なんだけど」
教室のドアの前でもじもじしていると後ろから声をかけられました。振り返ってみるとガラの悪そうな女の子がきげん悪そうに立っていました。女の子の日でしょうか?つらいですよね。
「ごめんなさい少し躊躇っちゃいました。はじめまして私内藤亜里沙って言います」
「あ、そ」
差し出した握手をスルーしてギャルちゃんは教室の中に入っていきました。どうしましょう普通に泣きそうです。このままでは最悪な初対面になってしまうので慌ててギャルちゃんを追いかけて教室の中に飛び込みました。
「結構教室って広いですね」
「……」
「あ、席見つけました。窓際から一列隣みたいです。貴女はどこら辺でした?」
「……」
ギャルちゃんは視線すら会わせず教室内を歩き続けて居ます。前世の記憶ごと心がおれそうですね。席を見つけたギャルちゃんは椅子に座りました。
机の目の前に回り込んで話続けます。こうなったら意地ですからね。
「廊下側なんですね。休み時間じゃないと貴女とお話しできませんね」
「雅だ」
「え?」
「赤瀬雅だよ。アナタアナタってあんたは私の嫁か?」
「貰ってくれるのですか?」
やっと答えてくれたのでつい冗談で返してしまいました。
「はっ。亜里沙は貰い手には困らないだろ」
笑い飛ばしながら赤瀬さんは答えてくれました。なんだ、ちゃんと私の自己紹介聞いててくれたんじゃないですか。
「雅ちゃんも困らなそうですよ?」
入学式初日から着崩している制服はにあっていますし、最近流行り出してるルーズソックスもバッチリです。気の強そうな女の子ですが、男の子からは人気が出るでしょう。
「考えてねぇよ」
ポケットからあめ玉を取り出しながら否定する雅ちゃんの返答を聞いて周りの男子ががっかりしています。
というか教室に入る前はあんなに五月蝿かったのにいつの間に誰もしゃべっていません。様子をうかがうにしてももう少しわかりにくくしてほしいです。
しばらく雅ちゃんと一方的に雑談をしていると別の女の子達が近づいてきました。
「ごきげんよう!!!ワタクシ白錦風璃ですわ!!!」
声がでかい。
「ほら、貴女も挨拶を!」
爆音デスワ娘の後ろから小さい女の子が押し出されます。
「あ……う……柴垣萌……です……」
声が小さい。
「良い挨拶ですわ!!!!」
どうしましょうキャラの濃さで勝てる気がしません。援交やってそうランキング1位に秒速で到達しそうな雅ちゃんに、重力を無視したドリルへアのお嬢様?な白錦さんに、うじうじ系小動物目隠れ隠キャの柴垣さん。私なんて巨乳と前世の記憶くらいしか要素が無い淫キャですのに。
「あ、あの!私もいいですかっ!」
丁度教室に入ってきた女の子が、集まってる私たちを見つけて近づいてきました。
「鈴木怜奈ですっ!」
ザ・普通の女子って感じの子が挨拶してきました。この子とは仲良くなれそうです。
「赤瀬雅だ」
「内藤亜里沙です」
白錦さんの圧力に無視をしたら余計うるさくなりそうだと思ったのか雅ちゃんは素直に自己紹介をしていました。
「皆様良い挨拶ですわ!!!!これでこのクラスの女子は揃いましたわね!3年間よろしくお願いしますわよ!!」
私たちは半ば強制的に連絡先を交換しました。自席に戻ると名前の順で座席が配置されているせいで女子で私だけ男子に囲まれていました。良いですね。
周りの男の子とも挨拶をしていると担任の先生が入ってきてホームルームが始まりました。