暑い国の夜のこと。
ここは、エジプトのルクソールのホテルの寝室。
連日の過酷な旅の疲れで、ぐっすりと眠っていたジョセフは、はっと目を覚ました。
体が動かない。金縛りとかではない。
起き上がろうとすると、ベッドの四隅に両手両足を引っ張られるようにして手錠で嵌められ、拘束されている。
(なんじゃ、これは?)
異常事態に気付くとともに、冷静に辺りを観察しようとする。
視界の隅に女の後ろ姿を見つけた。
赤いフードの服にノースリーブのシャツ。ストッキングに包まれた長い脚。
そして、なにより目を引くのは、黒いタイトミニに強調されたヒップラインだった。
(イイ尻だのぅ)
こんな状況だというのに、心の中で思わずそんなことを呟いてしまった。
その女は、ジョセフが目を覚ました事に気付くと、腰をくるりと回して、こちらに近付いてきた。
美人の後ろ姿には、がっかりすることが多いものだが、フードの中から垣間見える銀髪に、褐色の肌.
そして、どこか人を挑発するような面構えは……はたして、予想以上の美貌だった。
「ようやくお目覚めね、ジョセフ・ジョースター」
その女は厚くはれっぼたいセクシーな唇を振るわせ、語りかけてきた。その垂れ目は男を誘う魅力があった。
「こんな美人に知り合いはいなかったはずじゃが…」
お世辞を言う余裕もなく、呆気に取られながらジョセフは言った。
「初めまして。私は、マライア」
赤いフードの付いたコートを着た彼女は、腰を屈めて、名乗りをあげた。
その下に着ている薄いベージュ色のシャツは二本の赤いラインが入っており、その膨らみで大きく突き出ていた。
大きく空いた胸元からは谷間が零れそうになっており、シャツは短く、ヘソまで見えた。
大きな胸に比して腰はくびれていて、それを黒のミニスカートがタイトに引き締めている。
ストッキングに包まれた長い脚が生え出ていた。
大胆な露出もさることながら、抜群のスタイルだ。
腕には茶色の手袋を身に付け、脚元はというと赤いピンクのリボンをワンポイントで付けた靴を履いており、
彼女がセクシーなだけでない、可愛らしい性格であることを想像させた。
マライアと名乗ったその女は、妖しげな笑みを浮かべ、ジョセフの周りを囲むようにゆっくりと歩いた。
視線の先を、彼女の揺れるヒップが横切る。
部屋の反対側でしゃがむと、備え付けの冷蔵庫の扉をがちゃりと開けた。
彼女のその後ろ姿をじっと見つめる。
大きな尻の両側からふくらはぎがはみ出ている。ほっそりとしたウェストに背中…。
その尻から背中のラインを見ていると、撫でてやりたい衝動に駆られる。
いやいや、見惚れている場合ではないと、隣のベッドの方を見た。やはりアヴドゥルはいない。
窓は大きく開け放たれていた。ここは二階だが、そこから入ってきたのだろう。
猫のように。
「ゴホン…アヴドゥル達は?」
「心配しないで。貴方の仲間は皆、無事よ。…余計なことは考えない方がいいわ」
夜だが、窓から見える風景は、月光でナイル川の水面がきらきらと照らされて、絶景だった。
夜景をバックに美女と二人きり。こんな時でなければ、絶好の状況だろう。
「ワインはいかが?」
「いらんな」
「そう…? 私はいただくけど。一口だけ」
そう言うとマライアは、コップにグラスの一口分だけ注ぎ込んだ。
月明かりが彼女のシルエットを、青白く妖しく引き立てる。
女は、上体をそらし、口を大きく開く。
顎筋から喉、丸みを帯びた胸へと続く美しい嶺線が浮かび上がる。
グラスを傾ける。オレンジ色のリップを塗った唇に、液体が呑み込まれていく。
喉を鳴らせながら…。
「んぐっ んぐっ」
飲み干してしまうと、マライアはフフっと唇を拭った。その一つ一つの所作に、目が釘付けになってしまう。
――このマライアという女は、明らかに『スタンド使い』の刺客だ。
ジョセフは自分が既に相当不利な状況にあることを理解していたが、別の疑問を抱いた。
アヴドゥル達は、どこか別のところに部屋を借りて移したのか。
寝ている間に、これだけのことを仕掛けてくる手練れであるのに、なぜすぐに始末してこないのか。
…なにか交渉の余地があるのではないか。
「あなたが何を考えているか当ててみせましょうか。『この女、何が目的だ?』でしょう」
台詞の先読みをされては、黙ってはいられない。
「男に女性の気持ちが分からんのは永遠の課題でね。お若いレディ。その手のことは、常日頃から考えておるよ」
「口が上手いのね、ジョセフ。今夜はご挨拶にきたの」
「挨拶じゃと?」
マライアはテーブルに置いておいた煙草を取り出した。ライターで火を付け、ゆっくりと燻らせ始める。
両腕を組むと、その間の二つの膨らみがいやでも強調された。
「暑いわねぇ」
「………」
なかなか質問に答えず、女は、ぱたぱたとわざとらしくシャツの胸元を引っ張り、あおいでみせる。
中の二つの膨らみは揺れて、零れ落ちそうになる。
ホテルの椅子を側に寄せるとジョセフの正面に置いて、そこに座った。
「私達は明日になったら、殺し合いをしなきゃならないのよ。 そういう『運命』なの」
「そいつは、悲しい運命じゃのぉ。できれば、御免こうむりたいところじゃ。この拘束を解いてくれると嬉しいんじゃが」
「そういうわけにはいかないのよぉ、私はDIO様の部下なんだから」
マライアは、フフンと、手袋に包まれた指で、口元を隠し、大きく煙草を吸うと、口をすぼませ、ジョセフの鼻先にそっと吹きかけた。煙を、わざと匂わせられるその振る舞いは、からかわれているようでもあった。
さっきから、口とは裏腹に攻撃してくる気配すら見えない。
それどころか…ジョセフを引き付けること……それ自体が目的の一つなのか。
「ここにはいない花京院の居場所だとか、あなた達のスタンドの弱点だとかを教えていただけないかしら」
「それはできんな」
ジョセフは彼女の真意を掴めずにいた。軽く挑発的な言葉を投げかけてみる。
「あんたのような若い女性がDIOのヤツにつくのはもったいないぞ。他にいい男がいくらでもいるじゃろう」
「フン、わたしがDIO様を裏切るはずがないでしょう」
マライアは、吐き捨てるように言った。DIOへの忠誠心は本物のようだった。
「その煙草だって、美容によくないのぅ」
「余計なお節介はやめてちょうだい」
プライドが高く自分のスタイルを崩されるのを嫌がる女だというのも分かってきた。ジョセフはブラフも交えて、言葉を繋いでいく。
「DIOより、ワシらの仲間にならないか。悪いようにはせんぞ」
「バカにしないで。DIO様は私を、見初めていただいた方。あなたの方こそ、DIO様の部下におなりなさい」
「ほう?」
「貴方達を始末しろと言われているけれど、貴方だけは、私に負けを認めるなら、助けてあげてもいいわ」
多勢に戦うよりは、リーダー格の男ひとりを籠絡すれば、残りの男達も落とせる。そう考えているのかもしれない。
「『イヤじゃ』と言ったら?」
マライアは、憮然とした態度で座りながら、ミニスカートの脚を組み替えた。
椅子がギシとわずかに音を立てる。
そのはちきれそうな太腿は、今にも触れそうな距離にあり、中身まで見えそうなぎりぎりの角度だった。
「どこを見ているのかしら?」
「…い、いや、これは、その…」
そして、椅子から立ち上がると、煙草を傍のテーブルの灰皿に捨て、ジョセフの寝ているベッドに横座りした。
「……な、なにをするつもりじゃ」
彼女は、ジョセフのパジャマの上半身に触れた。その手袋の上の二の腕もまた、美しく締まっていた。
その手は機敏に動き、ボタンを一つずつ外していき、なかばはだけられてしまった。
雄々しく生えた胸毛に、厚い胸板が露わになる。
「あら…お歳だと思っていたけれど…たくましいのね」
彼女は、感心したように、言葉を漏らす。どこまで本気なのだろう。
手袋に包まれた手で、その胸板を少しずつまさぐっていく。
マライアはベッドの上に乗り、ジョセフの横に寄り添ってきた。
息もかかるぐらい、女の顔が近くにある。
近くで見て、やはり若い女だと思った。20代前半、孫ぐらいの年だろう。
そして、美しい。
銀幕から抜け出てきたような女優顔負けの美貌。
厚い唇を今にもキスしそうなほど近付けながら、女は呟いた。
「すぐに私にイヤなんて言えなくなるわ」
「大した自信じゃな」
「ウフフ…」
女は余裕を崩さない。自分によほど自信があるのだろう。
ぴたりと横腹に張りついてくる。マライアの薄いシャツ越しに柔らかい胸が、押し付けられる。
(Oh…これは…)
乳房を下腹部に「むにぃ」と押し付けながら、美しく長い脚をジョセフの脚に、少しずつ絡ませてくる。
計算し尽くされた女の動きだと分かっていても…抗うことはできなかった。
つつーと、手を腿から下腹部、腹の下から胸板の上へとなぞり滑らせ、そのまま、ジョセフの頬、そして、髭をもみもみと撫でてくる。
「だって、おじさまは……」
その瞳で男を見つめると、甘ったるい声で囁くのだった。
「……じきに私のとりこになるんだもの」
マライアと名乗る彼女は、どう見ても若かった。娘のホリーよりも若い。まだ、20代というところだろう。
ジョセフとはお爺ちゃんと孫ほどの年の差はあるだろう。
「年はいくつだ?」
「あら、女性にそんなこと聞くものではないでしょう? そのお年で、どこかで習わなかったのかしら?」
「……」
やり返されて口ごもる遥か年上の男に、マライアは挑発するかのように、横から体を押し付ける。
「や、やめるんじゃ」
そんな若くはちきれんばかりの体を押し付けながらマライアの指は、ジョセフのパジャマの上を泳ぐようにをゆっくりと撫でていく。男の腹は筋骨隆々としていた。マライアは顔を近付けて言った。
「ずいぶんと、鍛えているのね…」
「お褒めにあずかり光栄じゃ…」
「あら、本気で言っているのよ」
若い女性に褒められて悪い気はしない。
マライアは男の乳首をつまみ、長い舌を伸ばすと舐め始めた。
ペロ…ペロ…
「きっと、あっちのほうも逞しいのね?」
首筋をそっと舐め回し、彼女は、男の唇に己の唇を近付けた。
顔を背けようとしたが、追いかけられるように頬を手で抑えられ、女の厚い唇が重ねられる。
「逃げちゃだめよ」
「こらっ…やめ…」
「んんっ」
抵抗も空しく、ついに美女に唇を奪われる。柔らかい唇から体温が伝わってくる。
「ん…ふぅ……どう?キスのお味は」
彼女は、ようやく唇を離した。キスしていても目を瞑ったりなどしない。
遥か年上の男を、初心な少年とでも扱うような余裕を見せている。
「こんなジジィ相手でも、嬉しいのか?」
「あら?私は本気よ…このお髭もチャーミングだし…」
マライアの指は、ジョセフのズボンの上をゆっくりとなぞっていく。
最初は触れるか触れないかぐらいの刺激だったのが、ズボンの下は少しずつ盛り上がってきてしまった。
(いかん…)
すると、今度は、形を確かめるように手指を押し付け、擦ってくるのだった。
(おおっ……)
わずかだが軽い刺激に疼いてしまう。
「フフ…」
マライアは、続けてぱちんとズボンのボタンを外す。
膨れ上がった下着が飛び出した。
「あらあら…ここ…どうして硬くなっているのかしら?」
マライアの色気に反応してしまっていることは隠しようが無かった。
その指は、そっと形を確かめるようにトランクスの上に乗った。
すりすりとトランクスの上から柔らかく擦られる。
棹のくびれの辺りから裏筋あたりをたくみな手さばきで、なぞられていく。
トランクスが突っ張り、中のあるものが硬直していく。
もどかしくなる。
そんな男の心理をマライアは読みきってるいるようだった。
さんざん焦らすように撫でられた後、トランクスから、それを取り出した。
女によって一枚一枚脱がされていく。
エジプトの乾いた熱気に、男の一番、熱いものがさらけ出される。
「大きいわ…」
マライアは、率直な感想を漏らした。それは、明らかにアメリカ人の平均以上を越えた大きさだった。
「Oh…」
指で輪っかを作り、肉棒を捉えると、手袋越しの柔らかい刺激で、擦られる。
シュルシュル…
「興奮しているの?…フフン…」
「私にも言ってくれないかしら。私のドコが魅力的?」
さらに、むにむにと乳房で脇腹を圧迫し、ペニスをシコシコと擦りながら、聞いてくる。
彼女のペースに押し切られて、言ってしまう。
「その胸に…」
「に?」
「綺麗な脚かのぅ」
「うふふ…嬉しいわぁ」
マライアは、それに応えるように、彼の右足を挟んだ両脚をますます、強く絡ませてきた。
胸板は彼女の唾でびしょびしょになっている。
そして、その間も片手でしごかれ続けて与えられる緩やかなペニスへの快感…
「私の言う通りにしていれば…」
マライアは、男の腰に手を回し、パジャマのズボンを下まで引き下ろす。
中から盛り上がったトランクスも続けて降ろし、最後まで脱がされる。
あのトランクスはスージーQが用意したもの…それを思い出すと、どうにも胸が痛んだ。
「ご期待に沿うことを、してあげるわよ…もっと…」
ジョセフは、身動きできないまま、屈辱的に敵の女に下半身の全てを露出されていた。
だが、その中心部は、どう見ても屹立してしまっていた。
そのヒクヒクと動く硬くなったものをおちょくるように、マライアは言うのだった。
「ねぇ。おじさまぁ? わたしはこれをどうにかしてあげたほうがいいのかしら?」