「カイルいつまで閉じこもっている?引きこもり犯みたいで勘違いしてしまうぞ」
「さあ、早くドアを開けよ。朝餉の準備をしておる、一緒に食べよう。汚れているミスティオラ様の体も清めねば」
「その通り、我等は生まれは違えどニダヴェリーナを支える同胞だ。ミスティオラ様が犯した尻拭いを皆でじっくり腹を据えて協議せねば」
(あぁ、お主らは事故と称してミスティオラの頭を強かに打ち付けるだろうよ。ヒステリックな女共め)
ドアをぶち破る準備を悟られぬように語りかけおって。
こんな薄いドア丸太で2、3回叩けばすぐに壊れる。
(まずいのう、熟睡しとるミスティオラの顔に毛布を押し付け寝返ろうか)
いや、それが一番不味い。
ネッドを敵に回したら儂惨死する。
熊より強いオーガの巨体を引き千切る力で嬲られて死ぬそれが一番嫌。
一番ベストなのは早くネッドが戻って来て逃亡するから儂もそれに追従する事!
友達少ない私ニダヴェリーナにもう戻れないしな!!
(だから、はやく帰ってきてくれよぉネッド・・・)
「苦労をかけたなカイル」
と優しい声が儂の耳に入った。
儂は声がした方向つまり上を向くと天井から長い黒髪が垂れ金色の瞳が特徴なダークエルフが儂を見ていた。
「オ、オ、オリガ様ぁっ!!」
「違う、似てるけど違う」
儂が腰を抜かしているとソイツはよっと天井から降りパタパタと服や頭をパシパシと手で払う。
あっ、ネッドか。
髪は埃で黒く見えたのか
「オリガ様に伝えた、ニダヴェリーナへもう戻れないから南へ行き連れ去られた同胞を救い出しに行くと」
「あっ、やっぱり逃げるんじゃな。でもニダヴェリーナはどうする?」
「・・・ほとぼりが冷めるまでオリガ様に託します」
ドアの外に漏れぬように今後の事を小声で話す儂ら。
なんじゃろ、ヤバイ状況なのに悪戯をするみたいでドキドキしてきた。
「身を寄せる先はあるのでそこに身を寄せ地盤を固めていきます」
「そうか、なら私も連れて行ってくれよ。こんな状況であんたの味方をしたんじゃ。ニダヴェリーナにはもう帰れん」
「・・・えーっ」
「えーってなんじゃ?!えーって!ミスティオラとの邪魔はせんから連れて行け!!ニダヴェリーナに居たら儂イビられて孤独死する!」
「はいはい」
ぐっ、この野郎。
しょうがねえなぁっと嘆息しやがって、腹立つわ。
手に入れた美女二人で楽しむ魂胆じゃったなこの助平爺が!
元を辿れば貴様の巻いた種じゃというのに。
あからさまに肩を落としたネッドは熟睡しているミスティオラを抱きかかえる。
「それじゃあ行きますか」
「いや、持ち方が違うじゃろ。普通は膝を抱えたお姫様抱っこじゃろ」
コイツ赤ちゃんを持つようにミスティオラの体を抱き締めとる。
ミスティオラの胸を自分の胸に押し付け尻を手で持つ赤ちゃん抱っこ。
コイツこんなに助平じゃったんじゃな。
儂は嘆息してネッドの肩を掴むと奴は短い呪文を唱えた。
すると、その部屋は神隠しがあったかのように誰も居なくなった。