※この作品はR-18です。

遊戯王のスケベ文   作:鮪の中落ち

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仮置
01.怪奇との邂逅――ファーストコンタクトは逆レイプ!?


 その日、緒形靖夫はいつものように、自身が警備を担当している会社ビルから自宅への道程を歩いていた。

 春らしい、何処か澄んだ空気を味わいながら、緒形は朝日に照らされた細道を行く。その手には、24時間営業スーパーのロゴが印刷されたポリ袋が提げられている。袋口から顔を出す葉物野菜が、彼の歩みに合わせて揺れていた。

 早朝だからか車通りも人通りも無い道を進んでいくと、周辺の景色が変化していく。田舎とはいえ、曲がりなりにもビル街くらいはあった街中から、藪や暗い色の木々が彩る辺鄙な世界への移り変わりだった。木々に囲まれた、湿っぽい雑木林。その外れを切り開き、小山のようになっている地面を均してどうにか整備したような場所に、緒形の暮らす家はあった。広い庭や屋根から木々や草花が伸び放題になった、傍から見れば放逐されたようにも見える平屋建て。そここそが、緒形が寝食を行う家だった。

 壊れ、蔦植物が巻き付いたままの門の間を通り抜けると、そこは玄関だった。場違いささえ感じさせる金属製の扉を開けるために、緒形はジーパンのポケットから鍵を取り出そうと、一瞬、目線を下に遣った。

 そこに、見慣れないものがある。門によりかかったような恰好の何かがあった。はじめは森の方から何か転がってきたのだろうか、と思っていた緒形だったが、その物体は微かだが、上下に動いているように見える。困惑気味に、緒形はしゃがみ込んでそれを見た。

 それは、緒形の目が狂っているのでなければ、少女であるように見えた。

 透き通るような青い色彩でありながら、それに反比例するようなぼさぼさの髪と、病的に白い肌。千切り取った布切れを巻き付けただけのような黒い装い。朝日を受けて輝く紅玉色の髪飾りは、その余りにもあんまりな服装と噛み合わない、宝石のような色を見せていた。明らかに異常であるように、緒形には思えた。

「……おい」

 肩を掴み揺する。小さい肩だ。首が座らずかくんと落ちる。だが、まだ息はあるらしく、呻くようなか細い声が薄い唇の向こう側から漏れた。困ったような表情を浮かべながら、緒形は少女を横抱きに持ち上げると、器用に玄関の鍵を開け、少女を抱えたまま中に入っていく。ばたん、と。人の気配らしい気配の存在しない雑木林外れの道路に扉が閉まる音が響いた。

 

 

 

 少女が目を開けたのは、一通りの処置を終えた緒形が、ちょうど台所で鍋に火をかけた頃だった。

「……ぁ」

「お目覚めかい?」鍋の中に卵の中身を落としながら、「少し待ってな。最低限モノは食わせてやる」

 ゆらり、と少女は幽鬼のように上体を起こす。暫し辺りを見回して、その後自身の身体に視線を落とす。そして、台所で作業をする緒形の背中を見た。緒形は俎板の上の刻み葱を鍋に放り込んでいた。

「……っと、ほれ。まずは食え」

 言って、緒形は少女が座るソファの前――年季の入ったスツールの上――に鍋の中身を移した茶碗をスプーンと一緒に置いた。それは玉子粥だった。葱の香りが混じったそれを、少女はじっと見つめたまま動かない。

「……いや、食っていいぞ? それくらいはやるさ、人でなしにはなりたくねーんだよ」

 緒形と玉子粥を交互に見遣ってから、少女はスプーンを握り込み、乱暴に掬って口に運ぶ。特に熱がる様子も見せず、少女は玉子粥をどんどん飲み込んでいってしまう。

「そんなに腹減ってるのか?」

 少女は何も言わない。はぁ、と溜息を零しながら、緒形は台所にコップを取りに行った。

 少女が茶碗の入った玉子粥を食べきるのに、五分もかからなかった。緒形が水を入れたコップを置いてやると、少女はひったくるようにコップの中身を飲み乾していく。やっぱり熱かったんだな、と緒形は思った。

「落ち着いたら出てけよな。帰るなりなんなりできっだろ」

 茶碗を持ち上げ、緒形は流し台に放り込む。水を張った盥に茶碗が沈む。皿洗いを終え、手を拭った後も、少女はその場にいた。まあそのうち出ていくだろう、と緒形は自室に引っ込もうと少女に背を向けた。

 瞬間、緒形の背中に衝撃が走る。決して大きな衝撃ではない。何かが飛び込んできたような感触がある。振り向くように見てみれば、少女が緒形の背に顔を埋めるように張り付いていた。

「な、何だいった――」

 疑問を口に出し切ることは叶わなかった。何故ならば、凄まじい力で少女が緒形をその場に縫い止めようとしたからだ。その細腕からは考えられない、万力じみた膂力だった。思わず声を漏らした緒形に対し、少女は彼を背中側に引っ張って応えた。フローリングに思い切り後頭部をぶつけた緒形の視界に星が散る。緒形が気付いたときには、少女が緒形の腹の上に陣取っていた。緒形の視線が少女のそれとぶつかり合う。その目は、血走ったような赤色に染まっていた。

「……あはっ」

 それは少女の声だった。何処か、自身の下に敷いた緒形を馬鹿にしたような、侮蔑の感情が混じった音だった。

「ありがとねおにーさん。まさか生き永らえることが出来るとは思わなかったよ」

「……そりゃどうも?」

 間の抜けた返答に対し、少女は思わず吹き出した。

「いやいや、違うよ」少女は下卑た笑みを浮かべたまま、「私の栄養源って、ああいうのじゃないからさ?」

 同時、少女が緒形に噛みつこうとする。首を狙われていると反射的に判断した緒形は咄嗟に腕を盾のようにしてその攻撃を防ごうとするが、少女はそのまま腕に食いつく。牙のような鋭いものが筋繊維を掻き分ける感触と、何か液状のものが押し込まれた感覚がした。

「無駄よ」まるで、足掻く獲物を見下すような目だった。「私の毒は筋弛緩毒。身体の何処に刺さっても効果覿面なんだから」

 自信に溢れる物言いを証明するように、緒形の身体から急速に力が抜けていく。もはや、緒形は指一本すら動かせそうになかった。

「あはっ、回りが早いね、大当たり!」

 緒形の腹の上に尻を乗せたまま、少女はちろりと紅色の舌を出す。その姿は蠱惑的であり、魅惑的であり、扇情的であるように緒形には感じられ――緒形は自身の思考が浮つき始めていることに気がついた。

「ど、く――」胡乱な眼が少女を捉える。「お前は、何者だ? ……いや」

 筋弛緩毒の影響で口を動かすことすら難しそうにしながらも、緒形はその言葉を紡ぎ切る。

「お前、"何"だ?」

 その疑問に、少女はくすくすと笑いながら答えた。

「私? 私は"蟲惑魔"だよ? 簡単に言えば、人食いの昆虫――ま、今の私にそんな力はないんだけど」

 伸し掛かるように、蟲惑魔と名乗る少女は緒形の顔に己の顔を突き合わせる。蜂蜜のような、癖になる甘ったるい香りが緒形の周りを包み込んでいく。自身の身体が火照っていく不自然な感触に、緒形は思わず顔を顰めた。

 その様子を確認して、蟲惑魔は引き裂くような笑みを零してから、半開きになったままの緒形の口に己の唇を突っ込んだ。顔筋に力が入らない緒形は抵抗できない。蟲惑魔は舌を突き刺すように突っ込むと、緒形の口腔を舐り始める。蟲惑魔の舌伝いに垂れ落ちる唾液を、緒形は甘いと思う。まさしく甘露だった。ぐったりとした緒形の舌を蟲惑魔の舌が引き上げる。絡みつき、吸い上げ、舐る。ぐちゅぴちゃちゅぴ、と。ふたりを繋ぐ口から艶めかしい水音が零れ落ちていった。

「ぷは」つう、と銀糸の橋が蟲惑魔の口から伸びる。「どう? 私の"蟲毒"。……まあ、聞くまでもないかな?」

 息を切らしながら、蟲惑魔は後ろを見る。緒形の胸の上に乗る蟲惑魔の視界には緒形の下半身が見え――ジーパンの股間部を押し上げ、今にも突き破らんとする剛直の隆起の様子がそこにはあった。緒形の顔が赤い。そこに張り付く表情は羞恥では無く、疑念。それでも、緒形の思考回路は結論を導き出せる程度にはまだ働いていた。

 言うなれば、強制的な発情を引き起こす媚薬。それこそが、この蟲惑魔が施した毒の正体なのだ。

 そして、それを理解したところで、もう緒形は逃げられない。蟲惑魔はにたりと笑って、緒形の剛直に手を添える。びくり、と緒形の身体が跳ねた。これも蠱毒の影響だ。今の緒形は全身が鋭敏なのだ。ズボン越しに蟲惑魔が撫で擦るだけで、緒形の腰がびくびくと震える。その様子に、蟲惑魔は満面の笑みを浮かべた。

「――じゃ、いただきまーす」

 薄い唇に付いたふたりの唾液の混合物を舐め取りながら、蟲惑魔は屹立せんとする男根を露出させるため、とうもろこしでも剥くように、ズボンに手をかけ始める。ぞくぞくとした快感を背中沿いに感じながら、緒形はふりふりと揺れ動く蟲惑魔の尻を見ていることしか出来なかった。ボロキレのような黒い布が、少女のような物体の秘所を覆い隠していることしか分からなかった。

 

 

 

 蟲惑魔。それは、食人植物や肉食昆虫が進化の果てに手に入れた、疑似餌の総称である。蟲惑魔は何れも、人間にとって魅力的な少女の姿をしており、時には言葉を、時にはフェロモンを、時には身振り手振りを巧みに使い分け、通りがかった人間を誘い込むのだ。誘い込まれた人間は、最終的には落とし穴と称される罠や、食人植物の捕獲機構によって移動力を奪われ、消化液などによって溶かされ、養分として消化吸収されてしまうのである。まさに、人間を捕らえることに特化したモンスターである。

 しかし、蟲惑魔の研究が進むうち、とある事実が浮かび上がってくる。

 疑似餌である筈の蟲惑魔が、独立して移動したり、対話を行うことがあるのだ。中には、疑似餌どうしで情報交換を行ったり、縄張りの中に存在する材料を用いて衣装を作り、与え合うこともあったという。その行動は、明らかに人間に近い、高い知性の現れであった。

 まるで、疑似餌が本体であるかのように――

 

 

 

 気付いたとき、蟲惑魔の少女――品種名"アトラ"は湿っぽい森――であった筈の場所にひとり残されていた。

 形容するならば、"鍬で耕したような"惨状だった。木々は根本から纏めて掘り起こされて横倒しにされ、辺りには引き裂かれたモンスターだったものが転がっている。モンスターたちが根を張り、踏みしめ、弱肉強食ながらも等しく触れて暮らしていた豊穣な大地は、見るも無惨な姿になっていた。情報過多に目を回しかけたアトラは、兎にも角にも自身の現況を確かめねば、と本体である土蜘蛛のほうに目を向ける選択を採る。分からないことを後回しにする、現実逃避の同類な思考回路であった。

 果たして、本体はそこにはいなかった。

「……え?」

 手の届く範囲の身体を撫で回すが、たしかに繋がっていた筈の本体がいない。慌てて辺りを捜索するも、見つかったのはアトラと土蜘蛛を繋いでいた疑似肢だけだった。体液が溢れないことから考えても、それなりの時間が経過していることになる。なるのだが。

「何で私、動けるんだろ」

 蟲惑魔と称される少女のような部位。そこは、飽くまでも疑似餌であり、飾りである。他の蟲惑魔との情報交換や、獲物を誘うために必要な神経節こそ発達しているものの、それは目的のために必要な機能しか持ち得ない筈だ。決して、疑似餌が単独で、今のアトラのように自我を持って行動可能なほどの機能は無い。筈、なのだが。

 最も、そんな小難しいこと、ざっくり言ってしまえば「何で自分は生きているんだろう?」という哲学に足を踏み込みそうな疑問を考える必要性は無くなるわけで。

 ふらり、と自分の身体が揺れて、アトラははじめて、自身が空腹であることを認知する。遅れて、存在しない筈の内蔵が収縮し、アトラの体内の空気を掻き回した。きゅう、と可愛らしく腹の虫が鳴く。有り得ない現象に、アトラは思わず自分の腹を見る。見慣れた白い腹があるだけだった。

「……と、兎に角、ご飯……ご飯……」

 ふらふらと頼りない足取りで、アトラはぼろぼろになった森の外側へと歩いていき――

 

 

 

 ずるり、と。アトラが紺色のトランクスを下ろしてやると、その威容が顕になった。

 それは、人間に付属するものとしては、アトラが知る限り最大のものだった。アトラの顔の長さを上回るほどの長さ、アトラの手首周りを超える太さ、そして、濃密な性臭に威圧感。どれをとっても、長く生きてきたつもりであるアトラが経験したことがないほどの魔羅。それこそが、緒形の腰に存在していた凶器であった。

「――ぁは」

 声が漏れると同時、アトラはペニス目掛けて啄むように唇を触れさせていく。緒形の身体が一瞬浮いた。小さな鼻がひくひくと震え、雄の香りを余すこと無く感じ取っていく。たったそれだけで、アトラは身体をびくびくと震わせている。

「あ、んむ……」

 小さな口を目一杯開き、アトラは緒形の肉槍に挑む。しかし口の大きさという限界にはモンスターといえども逆らえないらしく、彼女が口に含めたのは先端、亀頭だけだった。それでも、亀頭の先端にちろちろと舌先をすぼめながら突っ込んだり、媚毒混じりの唾液を垂らしたりと、普通の人間であるならば発狂しかねないほどの責めを思い切り繰り出している。

 緒形はその手練手管の責めに対し、信じ難いほどに耐えていたが、流石にダメージはあるようで、真っ赤になった顔を顰めながら、時折濁った声を発していた。

 それに気を良くしたのか、アトラは両手で竿を包むように持つと、そのまま上下に移動させ始める。指で作られた輪が、ペニスを締め上げながら移動していく。下から上へ、下から上へ、時折逆に、時折握る。下に溜まったものを持ち上げるような指向性のある動きに、緒形の腰ががくがくと震えだす。その瞬間、アトラは一旦咥えていたものを外すと鈴口に唇を近付けて、

「いっぱい、ちょうだい?」

 媚びるような甘ったるい声と同時、思い切り鈴口の中を吸い上げた。ストローからジュースを飲むような恰好だった。両手は変わらず、緒形の肉棒を擦り上げている。完全な搾精機械と化したアトラの猛攻を止める術は、既に理性をぐずぐずに崩されている緒形にはなかった。

「ぎ……あッ――」

 決壊が発生した。緒形の身体が硬直し、噴火じみた勢いで白濁が噴き上がる。待ってましたとばかりにアトラがそれを飲み込んでいくが、些か勢いが良すぎた。上顎に白濁が叩きつけられ、アトラが思わず口を開けてしまう。噴水のように噴き出した精液は、アトラの身体に降り掛かっていった。青髪の少女が、淫靡な白に塗り潰されていく。それでもどうにか口を開けて、逃すものかとアトラが白濁液を舐め取っていくが、流石に舌だけでは追いつかない。都合一分程度に及んだ大噴火は、その大部分がアトラと部屋の床を白色に染め上げただけという結果に終わった。しかし、アトラにとってはそうでもないようだった。

「美味し……」

 うっとりと。胡乱な瞳を緒形のペニスに向けたまま、アトラは幸せそうな雰囲気を醸している。ぺろぺろと自身の身体に掛かった分まで舐め始める姿は、完全に理性をやられた緒形にとっては、意地汚いというよりは誘っているように見えた。びくん、と。肉槍が一層硬さを増して再び屹立する。

 その様を見て、アトラは再びペニスにむしゃぶりついた。再び亀頭に熱が戻ってくる。ぴちゃぺちゃ、と犬のように亀頭を舐め始めるアトラを見ながら、緒形はゆっくりと手を伸ばし始める。その手の先には、かくかくと揺れるアトラの腰があった。

「あむ……むッ!?」

 アトラの身体が大きく震える。目を白黒させながらアトラが後ろを見れば、自身の腰に緒形の腕があることに気付く。ただ触れているだけではあったが、アトラとしては驚きだった。あれだけ媚毒を貰って、まだ動けるのかとアトラは思う。アトラの毒には、相手の体力を奪い、抵抗させなくする効果もあるのだ。それを人間が踏み越えてくるとは、アトラにも想定外ではあった。

 ならば、とアトラがペニス越しに媚毒を更に塗り込もうとするが、緒形がそれを阻止しに向かう。アトラの尻を揉み上げたのだ。きゃう、と体躯に見合った可愛らしい悲鳴がアトラの小さな口から零れ落ちた。

「なっ、何すりゅ……ひン!?」

 反論は出来なかった。緒形の両手が、アトラの尻を掴み、揉み込み続けていた。決して肉付きがいいとは言えない小さな尻ではあるが、今の緒形にとってはそんなものはどうでも良いのだろう。ぐにゅむにゅと。感触を確かめるように、緒形はアトラの尻を揉み続ける。これに参ったのはアトラだ。目の前の食事を失いたくないだとか、蟲惑魔が反撃されたことへの驚きだとか、そういうことではない。

「ちょ、や、やめ……ぁん!? にゃ、にゃんで。お尻揉まれてりゅだけで……んんっ!?」

 純粋に、気持ちが良すぎるのだ。理性を失っている緒形にテクニックがあるわけでもなければ、アトラがマゾヒスティックな性癖に倒錯しているわけでもない。理由が無いのに気持ちいい。その事実に対する恐怖と快感が、アトラを緒形の腹の上に縛り付けていた。

 アトラの動きが止まったことを認識したのかは定かではないが、緒形の行動もまた変化する。アトラの尻を僅かに覆うだけの黒い布を見遣るや否や、その真ん中辺りを親指で押し込んだ。

「ちょ、ま、まっ……ああああッ!!」

 アトラが啼いた。ぐしゃり、と温かい液体が緒形の指にかかる。緒形が押し込むたびに、アトラは短く喘ぎ、湿潤液を緒形の手に噴き付ける。

(い、イッた……? ただ、ただアソコに触られただけで……!?)

 ぴくぴくと。背中を弓形に反らせながらアトラは絶頂していた。真っ赤な舌がだらりと口の外に溢れ、白い肌は体温の上昇からか生気を取り戻したような色に染まり始めている。人形のような無機物を思わせる姿は消え、今のアトラはまさしく"少女"そのものであるように見えた。

「……ひゃ、ひゃめて! イッちゃう、何回もイッちゃ――ひっ、ふああぁんっ!?」

 緒形は止まらない。今の彼は、本能のまま、欲望のままに動き続けている。懇願も命乞いも、今の彼にとっては雑音に過ぎないのだろう。秘所を隠すこと以外の用途を失ったボロ布を脱がされながら、アトラは自身の失策を悟った。答えは単純だった。

 ――媚毒を使いすぎた。つまりはそういうことだった。

 蜜壺を直接男の指で掻き回され、アトラは連続で絶頂した。先程まで捕食者だったモンスターは一転、被捕食者として俎板の上に載せられてしまった。それだけの話だった。

 

 

 

「~~~~~~~~ッ!?」

 がくがくがくっ! と。アトラの身体が連続で震えた。びしゃびしゃっ、と体内の水分全てを吐き出しそうな勢いで噴き出した潮は、全て緒形の身体に受け止められていく。

 完全に立場が逆転してしまっていた。アトラは緒形が持ってきた綿の無い座布団で作られた簡易寝床に転がされたまま一方的に愛撫され、蜜壺を刺激され、乳房を弄られ、耳を舐められ、絶頂し続けていた。思考回路の片隅には「明らかにおかしい、媚毒を含んでもこれほどまでにはならない筈だ」という経験則からの考えがあるはずなのだが、今のアトラにはその考察を進めるだけの余裕とリソースがなかった。絶頂させられるたびに思考回路を真っ白に染められてしまっては、出来るものも出来ないというものであろう。

「あ……あぅ……あっ、あっあっ、あ……ッ」

 再びアトラがイッた。今度はクンニだ。舌でアトラの膣をほじくり返すのは、先程アトラが行った鈴口への攻撃の意趣返しだろうか。クリトリスごと吸い上げられた挙げ句腟内を舌で滅茶苦茶に撫ぜ回され、更に少女らしい乳房を潰すように揉み上げられる。基本的な三点責めだが、アトラに対しては非常に有効な攻撃であるといえた。

 こてん、と首が落ちる。息も絶え絶えなアトラは、もう動くことが出来ないように見えた。緒形はちらりと自身のモノを見る。30サンチ級の巨塔は、今にも獲物に飛びかからんと張り詰めている。

 緒形は無言でアトラに覆いかぶさるように密着すると、肉槍を彼女の女陰に添えるようにした。アトラはぴくん、と身体を揺らす。擦り付けるようにしてやると、びくびく、と身体を震わせながら緒形のペニスに潮を噴きつけた。どうやらまたイッたらしい。

「――くれるの?」

 童女のような、純粋な口調だった。アトラはにへらと笑いながら、腰を微かに動かしている。女陰が緒形の亀頭になぞられるたびに、アトラは喘ぎ続けた。毒気を抜かれたように、ほんの僅かだが理性を取り戻した緒形は真剣な表情で問うた。

「……君が。人間じゃない君が欲しいというのなら」

 すると、アトラはゆっくりと両手を広げてみせる。まるで、緒形に向かって抱きつこうとしているようだった。上体を起こせないようなので、緒形が抱かれに行く。きゅっ、と緒形の背にアトラの腕が回る。完全に密着したまま、アトラは甘えるように言った。

 

「――私ね、アトラっていうの。……名前を呼んで?」

 

 緒形は、少女が、否、アトラというモンスターが望む通りにした。それが、彼が唯一持つ行動原理だからだった。

「……アトラっ!」

 剛直は、慎重に突き込まれていった。緒形のペニスとアトラの女陰では余りにもサイズが違いすぎるように見えたが、どうやらアトラは平気らしかった。最大のネックであった亀頭さえ呑み込んでしまえば、最奥までの到達はそう難しいことではない。こん、と最奥に亀頭が触れた瞬間、アトラが涙を流しながらいぎぃ!? と今まで以上の声で絶頂した。

 細腕らしからぬ怪力が、緒形の身体を締め付ける。みしみし、と体内から音が響くさまを努めて無視し、緒形は少女の中を味わう。

 アトラの中は、一言で称するならば"引き寄せる"場所だ。締め付けが強く、しかし体躯に比して奥が深い。ぞりぞりとペニスを撫ぜ、膣がペニスを引っ張って射精を促す、まさに、男の精を搾り取ることに特化しているのだ。既に一度射精したこともあり、緒形は余り長い間は我慢できないなと思った。軽く引いてから、押し付けるように最奥を突く。結合部から、白く粘ついた湿潤液が飛んだ。

「くひぃぃ……っ!」アトラが啼いた。「あえっ、かはっ、あぁっ、あっ、あっ、あっ……」

 断続的な軽いピストンだけで、アトラはがくがくと身体を震わせている。まさに、一突きごとに絶頂を迎えているのだ。ぴん、と張った薄桃色の乳首を抓れば咆え、首筋に舌を這わせれば気持ちよさそうな腑抜けた声を漏らす。何かすれば反応が返ってくる姿はともすればおもちゃのようにも見えるが、緒形は純粋に可愛いと思っていた。

「そこっ、ごりごりって、ごりって! はじめて、こんなのはじめてェ!」

 捻るような突き込みに涙をこぼし、

「んくあぁっ! ひぐっ!? あぁっ! んひぃぃ……っ!?」

 やや乱雑な、力任せのストロークに目を見開く。もうアトラ自身にも、自分が何度絶頂し、どれだけ気持ちよくなったのかは分からなくなっていた。ただ、思考回路が気持ちいいという感情でパンクしていることだけを彼女は理解しており、それだけでも充分であった。ただ、目の前の雄を抱きしめ、雌としての本懐を果たす。たったそれだけの原始的な欲求が、アトラの意識を繋いでいた。

「……そろそろイくぞ」

 それを合図に、緒形がペースを上げる。既にアトラは半ば夢の中だった。快楽に溺れ、どろどろとした体液で全身を覆うモンスターの姿は、最早蟲惑魔のそれではないだろう。性のモンスターと化したアトラの膣内が、より一層肉槍を絞り上げる。それが、無言の合図だった。緒形は限界までアトラに突き込み――半分ほどは入り切らず外に出ているが――、アトラは緒形の頬に噛みつくようにキスをした。

「あっ、なか、なかで! んぁ、あっ、ああっ、あんっ、あっあっ、あっ、あっ――」

「出る……!!」

 それは、爆発と称するべき奔流だった。緒形のペニスから迸る白濁は、一瞬でアトラの膣を埋め尽くした。それでも収まらない精液は結合部から零れ落ち、座布団を白く染め上げる。それでも間に合わず、緒形は咄嗟にペニスを引き抜いた。壊れた蛇口のように精液を垂れ流し続けるペニスに緒形は苦笑するが、アトラは口を開けたまま目だけで合図を送ってくる。緒形がペニスをアトラの口に寄せてやると、アトラはそれに食いついた。搾り取るように飲み干すと、それで最後の力を使い果たしたらしいアトラは、抱きしめるために持ち上げていた腕を重力に任せて放った。板の間に、ことん、という軽い音が響いた。

「……大丈夫かい?」

「満足……」

 疲労困憊な態度ながらも、そんなアトラの言葉は嘘ではないように緒形には見える。見れば、先程、緒形を押し倒すまでは骨っぽいものまで薄く見えていた腕に、体躯相応の肉付きが戻っていた。セックスで肉体を取り戻すなど、明らかに人間では無い。やはり、アトラの言っていたことは正しいのだろう。

 ともあれ、今するべきはそれでは無いだろう。緒形は立ち上がりながら、アトラに問うた。

「……風呂とか入るか? 沸かすけど」

 アトラは緒形の筋肉質な身体をじーっと見遣ってから、

「連れてって」

 そんなことを言った。

「まあ、そんなことにしたのは俺だから構わないさ」苦笑いだった。「それに、君に訊きたいことも――」

「アトラ」

 拗ねたような口調だった。

「――え?」

「今更、他人行儀じゃなくてもいいじゃない」アトラは唇を尖らせながら、「……はじめてなの。エッチした後誰かと話すの。だから……」

「アトラ。……訊きたいことがあるんだけど、風呂で訊いても?」

 アトラはぱあ、と破顔しながら「当然よ!」と機嫌よく言う。

「……じゃあ、一緒に入りましょ?」

「それがアトラの望みなら、いいさ」

 ――この後、風呂場で緒形の裸体とペニスを見て再び暴走したアトラを鎮めるためにもう二回やり、緒形>越えられない壁>アトラの公式が確定した。

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