女性に人生を狂わされる者がいるのであれば、ポケモンに人生を狂わされるものがいるのも道理と言える。
一人の真面目そうな男が暗い道を歩いている。皴の無いスーツはしっかりと整えられているのが見て取れ、靴も汚れないように注意しているのか新品のように見えるほどだ。
男は今年から一流というと言いすぎだが、二流というのも少し違う企業に勤めることとなった新入社員。それ故に身につける物に気を遣うことが出来るのだ。
子供の時から真面目一筋で、遊びや休みなど知らない男は今日も就業直前に急ぎの仕事を任されたので残業をしてようやく帰宅できた。
毎日残業をし、正直体も心も疲れているが男に趣味なども無い。その日も家に帰って社会生活に必要な食事と入浴、睡眠を済ませて眠るつもりであった。
そんな男の足元に一匹のポケモンがすり寄ってくる。可愛らしい猫撫で声で男を油断させようとしている。
ポケモンの名はチョロネコ。可愛らしい仕草をして油断させてから盗みや攻撃をする悪いポケモンだ。柔らかな毛で革靴を撫で、男の隙を伺う。
しかし男は仕事で疲れていることもあってチョロネコを無視して家へと帰った。
それに怒ったチョロネコは素早く男の後をついていくのであった。
男は家に入ると味を付けていない野菜を丸かじりして食事を済ませる。男にとって食事は楽しむものではないのと過労で味覚に異常をきたしているので味などどうでもいい。
次に風呂に入ろうとスーツをしっかりと皴が付かないようにハンガーに掛け、洗濯物を洗濯機に入れる。
そして全裸になった男は次の瞬間足元に柔らかな感触がして驚きのあまり尻餅を打ってしまう。男が足元を確認すると先ほどのチョロネコが意地悪な顔をして笑っていた。
「何故だ……」
男はどうやってチョロネコが家に入ったのか分からず、困惑している。だが、チョロネコは次に行う悪戯を男の疲れマラを見て決めたようで、軽い足取りで接近して股の間に立つ。
男がまだ状況を理解していないことを嘲笑いつつ、チョロネコはゆっくりと男性器に手を伸ばす。そして触れた瞬間、男は射精してしまった。何週間も性欲を持て余していた男は急に来た性的刺激で射精してしまったのだ。これは男が早漏だったことも原因かもしれない。
触れただけで射精したことにチョロネコも驚き、動きを止める。それでも自身が悪いポケモンだと思い出したのか、早漏を笑うように表情を繕うと手淫を再開した。チョロネコの柔らかな肉球と毛並みで男性器は再度勃起し、精液を作り始める。
チョロネコが扱くたびに、男性器は射精したいと疼いていく。そして男は二度目の射精を迎えた。
それから数年が経ち、男は夜道を歩いていた。スーツには皴が微かにだがあり、靴も履き続けていたためにどうしても完璧には綺麗にはならないようだ。数年前の男ならそれだけで靴を買い替えていたのかもしれないが、男はそこまで気にしていない。
入社して数年間、外に出ないのであれば少しぐらいスーツや靴がくたびれていてもいいということを学んだのだ。
また、新たな家族が数年前に出来たことも男が変わった理由なのだろう。あの日からチョロネコと暮らすようになった男だが、チョロネコを考えるせいで就業時間直前の仕事を断る回数が増えていた。そのせいでサービス残業を神聖視しているその企業の出世コースからは外れたが、よくよく考えるとサービス残業を神聖視する会社は何か可笑しいと気づいたのでプラスだったかもしれない。
男は新たな会社でほどほどに働いて暮らしていくのであった。