RosenkreuzstiletteバッドルートSS 作:(略して)将軍
魔女を喰らうツルギ_01
2度目のイーリスの反乱から1年後……
戦乱の元凶であるイーリスは討たれ、歴史の表舞台から姿を消したが
戦乱の炎は収まらず、今もなお拡大を続けていた。
エルカーエスの指導者の不在、
神聖帝国上層部の弱体化、教会の実質的な壊滅が起こった結果
各地の様々な勢力を抑える存在が居なくなり、
有力者達が武力をもって天下を争い始め
世の中は混乱の一途を辿っていったのである。
そんな戦乱の中で、スピリティアは相変わらず戦乱を収めようと
仲間達と共に活動を続けていた。
誰も傷つけずに戦乱を収める。
一人の少女が担うには、あまりにも重く無謀なその願いを心に秘めながら……
だが、皮肉にも彼女は気づいていなかった。
この戦乱に乗じて、彼女を狙う者が舌なめずりをしながら
彼女を捕らえる機会を狙っていたことを……
「久しぶりだね……ティア」
それはスピリティアが任務を終え、拠点へと帰還する途中人気の失せた廃墟を通過している途中
突然現れて、彼女に声をかけて来た。
「誰!?」
仲間とのここでの合流予定はなく、あわや賊かと構えつつも、
声に聞き覚えがあったので、声の元をよく見てみれば
そこには、彼女にとって良くも悪くも忘れられない顔があった。
「あなたは……マルク!?」
マルク=アーヴィッヒ
1年前にスピリティアが捕らえられた際、監獄で彼女の世話役になったのが彼だった。
囚われの身の不自由な身で、色々と世話を焼いてくれた事に感謝していたが、
ある日、トラブルによって欲望を暴走させたマルクは身動きの取れないスピリティアを強姦してしまう。
『馬鹿…マルクの馬鹿!! 出て行って!! もう、二度と来ないで!! ひっく…えぐぅっ…』
彼女の胎に精を吐き出しきったマルクは我に返るも、信じていた相手に侵されたスピリティアはマルクを拒絶し、お互いわだかまりを残したまま、今日にいたるまで二人が再開することはなかった。
「ボクのこと覚えててくれたんだ、うれしいよティア」
そう言った変わらない彼の笑顔を見て、当時の世話になった記憶と、侵された記憶
どちらもが一斉に蘇り、感情が溢れそうになったものの、
スピリティアは落ち着いて、マルクへと話しかけた。
「マルク……あの時の事、全部許せるわけじゃないけれど……
あなたに優しくしてもらった事も覚えてる。」
犯された直後は、裏切られた絶望感で彼を否定する事しかできなかったが
事件の前後を考えれば、スピリティアにもその事態を招いた責任はあるし、
1年が経って落ち着いた今、ティアはマルクを許そうかと思えるようになっていた。
「今はまだダメだけど、全てが終わって平和な時代がやってきたら
……また今度、あの時みたいに話し合って……」
「……今度じゃおそいんだ」
つかみ取るべき未来での再会と約束を口にしようとしたスピリティアだが
だが、その言葉を聞いたマルクは一瞬顔をゆがめると
間髪入れずに彼女へと切りかかった。
「マルク!?」