※この作品はR-18です。

アースガルズの次期当主   作:ボルメテウスさん

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自身の影

暑い夏休みの最中。

 

その日、俺はオーディンの爺さんから手紙を受け取っていた。

 

「北欧の神達の会合って」

 

そう言いながら、俺は公園で1人トレーニングを行っていた。

 

普段は他のメンバーと行っていたが、その日は、爺さんから受け取った手紙の事を考えたくて、1人でいた。

 

それは、俺がアースガルズの次期当主として相応しい人物かどうか見定めるらしい。

 

未だに俺が本当に次期当主になるかどうかまだ決めていないのに。

 

「けど、決めなきゃいけない」

 

それは、一種の覚悟かもしれない。

 

将来がどうなるのか分からない以上、これも一つの道かもしれない。

 

だが、俺はそれが正しいかどうかなんて分からない。

 

普通の高校生がいきなり一つの国の当主になるなど、本当に可笑しな話だ。

 

それでも

 

「紘汰が神になった事と同じように、覚悟を決める必要がある」

 

「何を覚悟を決めるんですか?」

 

そう俺に話しかける人がいた。

 

腰まで伸びた栗色の女性だった。

 

雰囲気はどこかマリアに似ているような気がしたが、一体。

 

「あなたが、紘汰さんで、間違いないですか」

 

「そういうあなたは、もしかして、ワルキューレ?」

 

「はい、ワルキューレの1人、セレナと申します。

 

少し時間がかかりましたが、今、参りました」

 

柔らかな言葉使いと共に、そのまま俺の座るベンチの横に座る。

 

「盗み聞きのような真似で申し訳ございませんが、紘汰さんはそのアースガルズの次期当主という立場に何か不安があるんでしょうか」

 

「まぁ、ないと言ったら嘘になるかな。

 

まぁ、普通の高校生である俺がな」

 

そう言いながら、俺はゆっくりと上を見つめる。

 

「そうですね。

 

確かに、いきなりそんな立場になれば、誰だってそうなります。

 

けど、次期当主と言っても、おそらくはそんなすぐではありません。

 

おそらくは早くても50年後ぐらいでしょうね」

 

「その時、俺爺ちゃんじゃないか」

 

「どうでしょうね。

 

けど、あなたの人生、それがどの道を進もうと大丈夫だと思いますよ」

 

「何を根拠に…………」

 

「根拠はないです。

 

ただ、私達は人間ではないので、人間の感情とかはあまり理解できないかもしれません。

 

でも、あなたならきっと出来るはずですよ。

 

アースガルズを良き国にする為に頑張ってください」

 

その言葉に、俺はどこか笑みを浮かべる。

 

「そっか。

 

50年ぐらいか。

 

だったら、それぐらい長ければ、覚悟はできるかな」

 

ふぅっと息を吐くと同時に、立ち上がる。

 

同時に背後から感じる殺気。

 

俺達はすぐにその場を避ける。

 

襲い掛かった奴を見る。

 

「アナザー鎧武だと」

 

「まさか、紘汰さんの細胞から」

 

その言葉と共に思い出すのはケルベロスの時の戦い。

 

あの時には、既に俺の血を使い、クローンという訳か。

 

「本当に、ロキは、嫌な奴だな」

 

【オレンジ】

 

鳴り響くオレンジロ

 

ックシードを手にしながら、俺は目の前にいる敵に向かって走って行く。

 

腰に巻き付けている戦国ドライバーにオレンジロックシードにセットすると共に、法螺貝を思わせる待機音声が鳴り響く。

 

「変身!」

 

戦国ドライバーの小刀を一回押す事によって、オレンジロックシードは開かれ、同時に俺の姿は変わる。

 

【ソイヤッ!オレンジアームズ!花道・オンステージ!】

 

響き渡る音と共に、青いライドウェアに包まれる俺に上から重なるようにオレンジアームズが被さる。

 

何度も見て、何度も変身してきたその姿に変わると共に、俺は目の前にいるアナザー鎧武に大橙丸と無双セイバーを振り下ろす。

 

「よぅ、偽物野郎。

 

偽物同士、仲良く戦おうぜぇ!」

 

そう、本来の変身者ではない鎧武と、本来の鎧武から歪み、作られた怪人アナザー鎧武。

 

本来ならば、行われない戦いの火蓋が切って落とされる。

 

両手に持った武器の攻撃に対して、アナザー鎧武はその手に持つ大剣で防いでるが、そのまま大きく振り上げる。

 

それによって、俺は大きく吹き飛ばされるが、瞬時に無双セイバーにあるガンモードに切り替え、牽制を行う。

 

アナザー鎧武は再び大剣で防ぐが、そのまま真っ直ぐと走りながら、俺に斬りかかる。

 

「ちっ」

 

襲い掛かる一撃に対して、大橙丸を構え、受け流すと共に無双セイバーで流れるように斬りに行く。

 

しかし、アナザー鎧武の大剣を用いた剣術は思ったよりも厄介であり、その力は俺よりも上だった。

 

手数と素早さでは、大橙丸と無双セイバーの二刀流で戦う鎧武である俺の方が上だが、それに対してアナザー鎧武はその怪物が故の力と防御力、それに加えて大剣による攻撃範囲という点を含めて有利である。

 

こちらは防御を行うには、二つの武器を同時に使う必要がある為、オレンジアームズでは力不足な点が見られる。

 

「だけど、アームズチェンジをする余裕はない」

 

向こうも、俺の力を知っており、アームズチェンジを行えない事もあってか、俺にその隙を与えないように攻撃を続けている。

 

一撃でも、喰らえば負ける。

 

その認識もあり、俺は冷静にアナザー鎧武の攻撃を避け、受け流し、チャンスを伺いながら、この状況を打開するロックシードを模索する。

 

この場における最適解を探し続ける中で、ふとある考えが頭に浮かぶ。……これなら行けるかもしれない。

 

そう思いながらも、すぐに行動に移す事は出来ず、少しだけ考える時間を作る為にわざと隙を見せる。

 

当然、相手はそこを狙って攻撃を仕掛けてくるのだが、それを待っていたのだ。

 

俺の動きに合わせるように大橙丸を振るうと同時に、大橙丸を投げ捨てる。

 

そして、それと同時に腰に差していた無双セイバーを抜き取り、アナザー鎧武へと向けて投げつける。

 

一瞬の出来事ではあったが、アナザー鎧武は反応しきれず、投げた大橙丸は奴の顔に命中した。

 

怯んだアナザー鎧武に向けて、無双セイバーを抜き取り、そのまま斬りつけようとする。

 

しかし、奴は大剣で防ごうとするのだが、その瞬間に無双セイバーから手を離す事で、大剣に絡ませる。

 

それによって、確かな隙が出来た。

 

俺はそのまま横に飛びながら、腰にある別のロックシードに手を伸ばす。

 

【マンゴー】

 

マンゴーロックシードをそのまま戦国ドライバーにセットすると共に、すぐにアームズチェンジを行う。

 

【ソイヤッ!マンゴアームズ・ファイト・オブ・ハンマ~!!】

 

響き渡る音と共に、俺の頭に被さり、ライドウェアに変化を与える。

 

それと同時に手にしたマンゴーパニッシャーは、アナザー鎧武を吹き飛ばす。

 

「くらえ!」

 

その言葉共に、マンゴーパニッシャーによる一撃を叩き込む。

 

吹き飛んだアナザー鎧武は地面を転がると、ゆっくりと立ち上がる。

 

どうやら、今の一撃で完全に倒す事が出来なかったようだ。

 

俺も同じように立ち上がりながら、ゆっくりとマンゴーパニッシャーを引きずりなあら、真っ直ぐとアナザー鎧武へと向かう。再びぶつかり合う中、今度は俺から仕掛けていく。

 

先程と同じようにマンゴーパニッシャーを振り下ろすが、アナザー鎧武はそれを防ぐのではなく、横に避けた。

 

それにより、俺の攻撃は地面に当たり、砂煙が上がる。

 

その煙に隠れて、アナザー鎧武は俺に向けて大剣を振り下ろす。

 

先程までのオレンジアームズならば、それが致命傷になるが、マンゴーアームズのその防御力ならば問題ない。

 

「はぁ!!」

 

気合を入れる声と共に、大剣を受け止める。

 

同時に、俺は一歩前に踏み込みながら、マンゴーパニッシャーを突き出すように構える。

 

突きだされたマンゴーパニッシャーに対して、アナザー鎧武はそれを受け止めるが、俺は更に押し込んだ。

 

「くっ!?」

 

驚いた表情を浮かべるアナザー鎧武であるが、俺はそのまま力を込めていくと、徐々にだが、少しずつだが押され始めた。

 

その事に焦ったのか、アナザー鎧武は大剣に力を入れようとした時だった。

 

【ソイヤッ!マンゴースカッシュ!】

 

そんな音声が流れてきたかと思うと、俺の全身にエネルギーが纏われ始める。

 

マンゴーパニッシャーに込められた力が増幅されると共に、そのままアナザー鎧武を押し込んで行く。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

雄たけびを上げながら、必死に抵抗しようとするアナザー鎧武。

 

だが

 

「セイハアァァァァーーー!!!」

 

俺の叫びと共に、マンゴーパニッシャーに蓄えられていたエネルギーが爆発した。

 

爆発によって発生した衝撃波によって、アナザー鎧武は宙に舞い、地面に倒れ伏す。

 

「……よし」

 

俺が安堵の声を上げると共に、アナザー鎧武はそのまま消えていく。

 

「これが黄金の果実の所有者の実力」

 

「実力なのか?

 

俺が戦えたのはただの黄金の果実の力だけだからな」

 

「そうでしょうか。

 

あれはそれだけでは、倒せません」

 

「???」

 

その言葉に疑問に思っていると

 

「紘汰、何かやばい気配がしたけど」

 

「あっ姉さん!」

 

「セレナ!?」

 

「えっ、嘘」

 

それは、彼女達が姉妹だという事がよく分かる。

 

だけど

 

「普通は反対じゃない」

 

そう思わず呟いてしまった。

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