夏休みがいよいよ終わりが向かえそうになっていた。
夏休みの宿題をなんとか終わる事ができ、今年の楽しみである映画を見に行った。
俺以外で、見に行ったのは、マリアだけだった。
というのも、マリアは俺の力を理解する為に鎧武を見ていたのだが、想像以上に填まったらしい。
「ふぅ、まったく、これから大変な時期になるから、あんまり浮かれすぎないように、分かっている紘汰」
「そう言いながら、俺が買ったパンフレットをさっそく見ているし」
先程の売店で買ったばかりのパンフレットを見ながら、目を輝かせている姿を見れば、とても年上だとは思えなかった。
「それにしても、まだゲネシスドライバーは作れないの?
私としては、少し使ってみたいけど?」
「そう言われてもな。
今の所は戦国ドライバーをなんとか作れる程度だけだし」
戦国ドライバーに関しても、あれから何度も作り続けた事もあり、瞬時に作り出す事ができた。
しかし、未だにゲネシスドライバーとエナジーロックシードまでは進んでいない。
「というよりも、ゲネシスドライバーを作るのは良いとして、マリア、もしかして鎧武の誰かに変身したのか?」
「うっ、良いでしょ。
私、主役の鎧武よりも斬月の方が好きだから」
「あぁ」
その言葉と共に、俺は思わずマリアを見てしまう。
もしかしたら、苦労している部分が似ている。
「なに、その目」
「なんでもない」
俺はそう言いながら、これからどうするべきか悩んでいる。
このまま帰っても良いが、せっかく映画館まで来たから何かして帰りたい。
そう考えていたが
「まったく、良い気分だったのに」
それと共にマリアはパンフレットを鞄に仕舞う。
「マリア?」
「紘汰、敵よ」
その言葉と共にマリアは地面を叩く。
同時に周りの景色は歪み始める。
それは結界だという事が分かると共に、俺は周りを見渡す。
「敵は、どこに」
「分からないわ。
何よりも、こんな街中でっ紘汰!」
そう周りを見ていると、マリアの悲鳴が聞こえる。
同時に俺は息苦しくなる。
「っ」
それと共に凄い勢いで、どこかに引き寄せられる。
僅かに見れば、それは触手だと分かり、俺を縛り付けているのが、分かる。
すぐに俺はオレンジロックシードを作成すると共に、起動させる。
【オレンジ】
鳴り響くオレンジロックシードを手にしながら、俺は首を絞められながらも、後ろに下がっていく。
腰に巻き付けている戦国ドライバーにオレンジロックシードにセットすると共に、法螺貝を思わせる待機音声が鳴り響く。
「変身!」
戦国ドライバーの小刀を一回押す事によって、オレンジロックシードは開かれ、同時に俺の姿は変わる。
【ソイヤッ!オレンジアームズ!花道・オンステージ!】
響き渡る音と共に、青いライドウェアに包まれる俺に上から重なるようにオレンジアームズが被さる。
その衝撃によって、俺の首を絞めていた触手が外れ、同時に無双セイバーと大橙丸を構える。
そこにはクラーケンを思わせる一体の怪物いた。
人型であるクラーケンは身体からは無数の触手が飛び出ており、俺を狙っている。
「っ!」
その触手に対して警戒していた俺に対して、クラーケンの触手に対して、大橙丸を切り上げる。
「なっ」
だが、触手は俺が想像するように柔らかく、そして滑りがあり、大橙丸で切り裂く事はできなかった。
続くように触手が次々と攻撃を仕掛けてくるのを見ると共に俺は後ろに下がる。
大橙丸での斬撃が通じない以上、無双セイバーでの攻撃も効くかどうか分からない。
「どうするか」
そう言いながら、俺が迷っている間にも、触手は俺の元に襲い掛かる。
その瞬間
「触手に攻撃を当てる必要はありません」
聞こえた声、同時に襲い掛かる触手に対して、受け流された。
それは目の前にいる人物であり、見れば白い全身タイツを身に纏った女性がいた。
「えっ、誰?」
「遅れて、申し訳ございません。
自己紹介は後に。
今は目の前の敵に集中を」
そう言いながら、女性は手に持った槍で襲い掛かる触手を受け流していく。
それと共に先程の言葉と共に、俺は確かなヒントを得た。
「確かに、攻撃を狙う箇所が一つだと分かれば」
その為に必要なロックシードを思いつくと共に、すぐに手を出す。
【メロン】
それを無双セイバーにセットすると、音声が鳴り響く。
【ソイヤッ!メロンアームズ!天・下・御免!】
響き渡る音と共に、緑のライドウェアに包まれる俺に上から重なるように緑色のアーマーパーツが装着されていく。
それと同時に現れたメロンディフェンダーを構える。
「なるほど、こういう使い方もあるのか」
「そういう事でございますね」
その言葉を聞きながらも、迫りくる複数の攻撃をメロンディフェンダーで防ぎつつ、無双セイバーで反撃を行う。
しかし、やはりと言うべきか、無双セイバーでは切り裂けない。
だが、受け流す事は十分に行える。
俺は、手助けしてくれた彼女と共に、クラーケンの本体の元へと向かって走る。無双セイバーによる攻撃が効かないならば、直接切りつけるまでだ。
その動きを見たクラーケンは触腕を大きく振りかぶって叩きつけようとする。
それに対して、俺は大きくジャンプをして避けると、そのままクラーケンの顔に向かって蹴りを入れる。
「本体は思った以上に攻撃が効くな!」
それと共に、俺は無双セイバーをクラーケンに向けて切り上げる。
左右から襲い掛かる触手に対して、メロンディフェンダーで防ぐと同時に、クラーケンの身体に大きな傷を作る。
その一撃を受けたクラーケンは痛みによって悲鳴をあげるかのように大きな鳴き声を上げる。
それに合わせるように、クラーケンの動きが鈍くなる。
メロンディフェンダーをそのままブーメランのように投げる。
同時にメロンロックシードを無双セイバーに装填する。
【ロックオン!イチ!ジュウ!ヒャク!!】
そして、無双セイバーに緑色の光が宿り、真っ直ぐとクラーケンに飛ぶ。
「せいやぁあああっ!!」
その叫びと共に、俺が放った光刃は見事にクラーケンに命中して、爆発した。
「ふぅ……何とかなったか」
変身を解除した後、俺は一息をつく。
そんな中、先程の女性がこちらを見て話しかけてきた。
「えっと、助かりました」
「いえ、こちらこそ、遅れてしまい、申し訳ございません」
その言葉と共に、俺の前に跪く。
「ワルキューレの1人、秦良玉です。
どうか、これからよろしくお願いします」
そう、挨拶してくる。
「紘汰、無事だったの?」
その言葉と共にマリアもまた合流する。
「マリアもいましたか」
「リャンじゃない。
そう、あなたが来てくれたのね」
「えぇ、それにしても、先程のは」
「ロキが作り出したクローンと思うけど、アースガルズでのロキは?」
「逃げ出したとしか言いません。
なぜ、狙うかも」
「相変わらず、こういう所は狡賢いわね」
そう言いながらも、苦虫を噛む。
「そして、厄介な事にもなりました」
「厄介な事?」
「えぇ、次期当主として、紘汰さんが相応しいかどうか。
もう1人の候補者と戦う事になりました」
「その人物って?」
「ヴィーザル様との決闘です」
「・・・誰?」
これまで聞いた事のない名前で、俺は首を傾げる。
「オーディンの息子の1柱で、アースガルズの次期当主になると言われています。
ですが、本人は自由気ままに放蕩生活をしていたのですが」
「人間よりも、オーディンの息子の方が良いと言った訳ね」
その言葉と共に頷く。
「紘汰、悪いけど、ここからは地獄の特訓よ。
ヴィーザル様相手に勝つには、今のままじゃ、絶対に不可能よ」
「それだけ強いのか」
「えぇ、だからって」
そうマリアが何か言いかけたが、そこで止まる。
「良いじゃないかよ。
シンプルで、その方が」
未だに分からないロキ相手と戦うよりも、何倍も良い。
「やってやろうじゃないか」