「はぁ、お前は本当にモテモテで羨ましい」
そう言いながら、隣の席に座るイッセーは羨ましそうに俺に言う。
「イッセーはどちらかと言うと、覗き癖を止めればモテるんじゃないのか?」
「それはできん!
俺にとっては生き甲斐だからな。
というよりも、この学校は美人が多いのに、なんで彼女ができないんだ」
そう悩んだ様子で呟くが、確かにこの学校に美人が多いのはよく分かる。
「学園の二大お嬢様であるリアス先輩に姫島先輩。
それに俺達の同級生では、雪音さんに三宮さん。
何よりも、保健室の天使、胡蝶しのぶ先生だよなぁ」
「しのぶ先生ねぇ」
噂だけ聞いた事があるが、実際にどんな先生なのかは遠い所でしか見たことがない。
常に笑顔を絶やさない美人という事で学園でも人気の高い先生だという事だけは知っている。
「あぁ、あんな年上美人と知り合いたい!
というか、お前、なんか女性と結構一緒にいる所を見かけるけど」
「あぁ、まぁ、知り合いだなぁ」
あまりロスヴァイセさん達の事がバレると面倒なので、適当にはぐらす事にした。
「さてっと、んじゃ、俺は帰るわ」
「おう、またな」
そう既に帰りの準備が終えた事もあり、俺はそのまま教室から出て、学校の外まで行く。
もうすぐ三学期の終わりが見えてきたという事もあり、色々と慌ただしいが、三年の先輩と大きく関わった人がいなかった事もあり、特にいつもと変わらない。
そう変わらない。
「まったく、なんでこういうのも変わらないのか」
背後から感じた視線。
それと共に俺は瞬時にオレンジロックシードとレモンエナジーロックシードを戦国ドライバーに装填する。
「変身!」
既に学校から出て、人目が少ない所もあり、同時にソニックアローを構える。
構えた先には、以前倒した事のあるケルベロス・クローンがその姿が見えた。
「また、再生怪人か」
そう言いながら、俺はソニックアローを目の前にいるケルベロス・クローンに向けて、矢を放つ。
放たれた矢は真っ直ぐとケルベロス・クローンに向かって行くが、鋭い爪と牙、そして三本の尻尾がその矢を叩き落としていく。
威力としては、問題ないはずのソニックアローの矢を簡単に落とせる以上、以前戦ったケルベロス・クローンとは比べものにならない程に強くなっているだろう。
そうして構えていると共に、ケルベロス・クローンの姿が一瞬、姿が消える。
「っ!」
慌てた俺はすぐにソニックアローを構える。
構えたソニックアローからは火花が散り、目の前に迫っていたケルベロス・クローンが、その爪で攻撃してきたのは、一目瞭然だった。
すぐに矢を放とうとしたが、ケルベロス・クローンはその爪で追い込むように次々と腕を振り下ろしていく。
一瞬の隙すら見えないその連撃に対して、俺は防ぐ為にソニックアローで防御する。
長い戦いの経験からなのか、本能なのか、ケルベロス・クローンが攻撃する位置は予想する事ができるのは幸いだった。
しかし、それでも一撃でも食らえば終わりだという緊張感の中、俺はひたすらに攻撃を受け続ける事しかできなかった。
やがて、後ろの方へと倒れた俺に対して、ケルベロス・クローンに押し倒される。
押さえ込まれ、身動きが取れなくなった俺はケルベロス・クローンを見上げる形で睨みつける。
だが、そんな事はお構いなしにケルベロス・クローンはその口から炎を吐き出す。
咄嵯の判断で俺は横に転がり避けようとするも、ケルベロス・クローンに押さえ込まれて身動きが取れない。
「どうする」
そう危機的状況の中
「蝶ノ舞 戯れ」
聞こえる声。
それはケルベロス・クローンの背中からであり、切り裂く音。
一瞬、ケルベロス・クローンが怯むのを見ると共に、俺はすぐにソニックアローの矢をケルベロス・クローンに向けて放つ。
「キャインッ!!!」
矢が直に命中した事で、後ろに下がったケルベロス・クローンはそのまま後ろへと下がる。
同時に俺は先程の声の主を見る。
「えっ、しのぶ先生!?」
「やっほー、紘汰くん」
そこには白衣を身に纏い、手には独特な形をした日本刀を持つしのぶ先生がなぜか立っていた。
先程の声から考えても、しのぶ先生が助けてくれたのは、分かるが、なぜここに?
「君が疑問に思うのは分かりますが、その答えは、私の手を取ったら分かります」
困惑している俺を余所に、しのぶ先生は俺に手を差し出す。
「もしかして」
それが何を意味するのか分かった俺はゆっくりと手を握る。
同時にしのぶ先生は光に包まれ、彼女はロックシードへと変わっていた。
「しのぶ先生がまさかのヴァルキリーだったとは」
『今はそれよりも、目の前の相手に専念ですよ』
ロックシードから聞こえるしのぶ先生の声を聞くと共に、俺はそのまま無双セイバーにロックシードを装填する。
すると、無双セイバーの形は反りが極めて浅く、切っ先と柄付近を残して物打の部分を大きく削ぎ落した細剣のような特殊な形状へと変化した。
「なんだか、独特な形だな。
けど、どうやって」
『それよりも、ほら、来ますよ』
しのぶ先生の声が聞こえると共に、見つめた先には既にケルベロス・クローンがこちらを見ていた。
だが、その様子は先程とは違い、少し反応が遅い。
『私は毒の専門家ですので、先程の一撃に視界に影響する毒を注入しました。
おそらく、この状態では、この無双セイバーでしたっけ?
斬れば、同様に毒による攻撃が行えると思いますよ』
「なるほどな」
それと共に、俺はソニックアローと無双セイバーを同時に構えながら、再びケルベロス・クローンに近づく。
高速戦闘で行う相手である以上、ソニックアローによる遠距離攻撃はほとんど無理だろう。
ならば、ソニックアローにある刃と無双セイバーの二刀流で戦う方が有効かもしれない。
そう思いながら接近し、ケルベロス・クローンの攻撃を避けつつ、すれ違い様に切りつけていく。
ケルベロス・クローンも負けじと爪で攻撃をしてくるが、先程よりも明らかに遅くなっているため、無双セイバーの一撃が当たると同時に、ソニックアローによって追撃していく。
さらに連続で斬りつけて行く中、ケルベロス・クローンの動きはさらに鈍くなり、ついには倒れ込む。
「ガアァアァッ!!」
ケルベロス・クローンは最後の足掻きといわんばかりに、その口に炎を溜める。
まさに自滅覚悟といわんばかりの、その熱量に対して、俺は戦国ドライバーを操作する。
【オレンジスカッシュ!】
その音声が鳴り響くと共に、俺はソニックアローを構え、無双セイバーをまるで矢の代わりのように構える。
それが影響されてか、ソニックアローはまるで蝶を思わせるような巨大なエネルギー体となり、そのまま弓を引くように構えて放つ。
放たれた一撃はそのまま一直線に進み、大きく口を開くケルベロス・クローンに向けて、矢の周りには蝶の群れが現れ、通り過ぎる。
そして、残った一匹の蝶に触れたケルベロス・クローンの口内を腐食していく。
その光景を見ながら、俺はケルベロス・クローンは爆発を起こす。
その衝撃により、ケルベロス・クローンは完全に消滅した。
それと同時に、変身を解除した俺はしのぶ先生を見る。
「まさか、学校の先生もまた、ワルキューレだったなんて」
「ふふっ、エイル様は結構心配性でしたからね」
「心配ですか。
まぁ、皆が一緒に戦ってくれたから、なんとかできた部分も大きいですから」
そう、俺は照れ隠しに笑みを浮かべる。
「えぇっと、一つ質問ですが、紘汰くん。
今の現状、どんな感じか、知っていますか?」
「えっと、知っているのは、なんというか、俺が次期当主で色々な所から狙われているぐらいですね」
「あぁ、なるほど。
紘汰さん、とりあえず、変身する所が目立たないように頑張って下さいね」
「えっ、それはまた、なんで?」
その言葉に疑問に思うと
「この領地の悪魔さん達にバレると、色々と面倒ですので」
「悪魔さん?」
その言葉に俺は思わず、首を傾げる。