「・・・・」
「ふんっ」
「えぇ」
俺は目の前の光景に思わずため息をつきながら、首を傾げる。
今回はクリスとの特訓を行う為に、いつもの場所に向かっていた。
その道中で、まるで待ち合わせしていたように現れたのは、目の前にいる謎の少女だ。
黒い軍服を思わせる服を身に纏っており、身長としてはクリスと同じぐらいだろう。
だが、クリスの銀髪に対して、目の前にいる彼女は長い金髪をツインテールにしている。
「それで、あんたがアースガルズの次期当主の紘汰で合っているわよね」
「おい、三葉、てめぇ、紘汰になんだ、その口の聞き方は」
「あら、何か文句でも、クリス」
そうクリスの口から出たが、三葉という少女はそのまま睨み合う。
「まあまあ、二人とも落ち着けって」
と、そんな二人の間に割って入るが
「だいたい、あんたみたいなただの人間が本当にアースガルズの次期当主になれると思っているの」
「おい、それはお前もロキの奴と同じ考えという事か?」
「さぁね。
ただ、トール様が認めても、私は未だに怪しいと思うけどね」
「この野郎……!」
二人のやり取りを見ながら、紘太は苦笑いを浮かべていた。
「まー、確かに俺じゃまだ力不足だしな」
「紘汰」
そう俺の言葉に思わずクリスは心配そうに見つめる。
「そこは素直なのね」
それに対して三葉は、少し驚いている様子で見ていた。
「いや、それはまぁ、いきなりアースガルズの次期当主と言われても、困惑しかないよ。
けど、それでも皆が俺を信じてくれるならば、せめて情けない所を見せたくない。
そう思っているから」
「へぇ……意外と冷静なのね」
三葉の態度に対し、紘太はどうしたものかと困った表情をする。
「まぁ、別に良いんじゃないかしら? 私だって、あんまり他の人間には興味ないし」
「そっか……」
「おい、こら! 勝手に話を進めんな!」
クリスは声を荒げて言う。
「だいたい、何だよ、お前!どうしてこんな所に居るんだよ!?」
「それこそ、あんたらに関係ないじゃない」
「関係あるだろ!! ここはあたし達の街だぞ!!」
「はいはい、分かったわよ、
まぁ理由なんて、他の奴らと同じよ」
三葉は面倒くさそうに手をひらひらと振る。
「とにかく、私は「っ」ひゃっ、ちょぉ」
俺は突然感じた殺気と共に三葉をこちらに抱き寄せる。
それと共に襲ってきたのは、実体化した音符だった。
「これって」
そう、俺達の目の前にいたのは、ヤギを思わせる怪人だった。
それはおそらくこれまでの推測通りだったら
「カプリコーン・クローンという所だな」
俺はすぐさまにオレンジロックシードと戦国ドライバーを取り出し、腰に巻く。
「変身!」
【ソイヤッ!オレンジアームズ!花道オンステージ】
そして鎧が装着されると同時、目の前にいるカプリコーン・クローンに向かって走り出す。
だが、すぐにカプリコーン・クローンは無数の音符を飛ばしてくる。
それを俺は大橙丸で斬り払いながら接近する。
だが、その間にも音符がいくつも放たれていく。
「ちぃっ」
俺はすぐに無双セイバーを構えて音符を撃ち落とす。
だが、その隙を狙ってかカプリコーン・クローンは角笛を吹く。
その角笛の音波により吹き飛ばされる。
「ぐっ」
そのまま地面を転がる中、なんとか立ち上がる。
その時、後ろから誰かが来る気配を感じた。
「紘汰、さっさと決めるぞ」
「クリス、あぁ!」
その言葉と共に俺はすぐにレモンエナジーロックシードを取り出し、解錠した。
【ミックス!ジンバーレモン!ハハーッ!】
その音声と共に現れたのは、黄色く輝く装甲を持つ強化形態であるジンバーレモンアームズとなった。
「行くぜ!」
俺はすぐにソニックアローを構えると矢を放つ。
だが、カプリコーン・クローンはそれを角笛で防ぎ、逆に音符を飛ばす。
その音符を俺達は回避していくが、やはり数が多い。
「紘汰」
「あぁ分かっている」
「えっ、何をするつもりなの」
俺とクリスは見合わせると共に、その手を重ねる。
同時にクリスの姿は一つのロックシードへと変わり、そのままソニックアローに装填する。
それと共にソニックアローの形は雪音の持つ弓矢を思わせる形へと巨大化しながら、変形する。
「それって、確かワルキューレに与えられた力で」
「雪音、合わせるぞ」『あぁ』
【ソイヤッ!オレンジスカッシュ!】
鳴り響く音声と共に俺は矢を放った。
それと同時に雪音の弦が引かれ、光り輝きながら、巨大なエネルギーの塊が飛んでいく。
それはカプリコーン・クローンに直撃すると、一瞬にして消滅させた。
「ふぅ」
「ここまでなんて」
その一撃を見ていた三葉は驚きを隠せない様子で、クリスは疲れたように息を吐いていた。
「大丈夫か、紘汰?」
「まぁ、なんとかな」
そう言いながらも、紘太苦笑いをする。
「力だけは、なんとか合格ね」
「三葉、お前なぁ」
そうクリスは呆れたような表情をしながら、三葉の態度に困った様子を見せる。
「まぁ良いわ、とりあえずは、認めても」
「そっか、良かった」
俺はほっとする。
「それと、なんか副作用があるようだけど、それは大丈夫なの」
「あぁ、それはえっと」
その話が出てきて、俺は思わず苦笑いをしてしまう。
未だに出していない副作用について、これからどうするか。