「もうすぐ新学期か」
あと少しで高校生活が2年目に突入する中で、俺は未だに襲い掛かるだろうロキの刺客の事について考えていた。
これまでは、襲い掛かってくる敵という事で、あまり気にせず戦ってきた。
どいつも凶暴性があって、倒す事に何の迷いもなかったけど。
「うまい、うまい!」
「まさか、こんな奴がいるとはなぁ」
そう言いながら、俺の目の前で、大量のお菓子を食べる奇妙な怪人。
外見的特長は顔にあるサイの角や象の鼻・牙であり、人間に見えないそいつは、どうやら俺を襲い掛かってきた怪人らしい。
「なんだか、そのごめんね、こんな事に付き合わせて」
そう、俺に謝っているのは、学校に転入する予定だという、バルドルという神に仕えるヴァルキリーの1人、ヒサメさんである。
髪は水色のショートヘアーで、左側頭部から白い髪が少し。こめかみから小さな角が生えているという容姿が特徴的だが。
「それにしても、これまでと違って、クローンじゃないのか」
「うん、私もこの子から話を聞いた時にはびっくりしたけど、どうやらロキに改造させられて、この姿になったらしいの」
「うーん……とりあえず、お前の名前ってなんていうんだ?」
俺は怪人の姿になっているとはいえ、一応は子供だと思うので、まず名前を聞いてみる。
すると、怪人は首を傾げてから口を開いた。
「オレナマエ、ワスレタ。
ロキカラ、コノカラダサレテカラ、オマエヲタオスコトシカオシエラレテナイ」
そう言ってバクバクと食べ続ける怪人を見て、俺は思った事を口に出す。
「なあ、こいつさ……」
「ちょっと待った!それ以上言わなくてもいいよ!!」
と、そこでヒサメさんが大声でそれを止める。
なんだろうと思って彼女を見ると、彼女は困り顔をしていた。
「この子は、本当に改造させられたこうなっただけだと思う。
だから」
「分かったよ。
まぁ、俺も、そんなの嫌だからな」
ヒサメさんの言う通り、こいつは改造されただけであって、元の子供だ。
それを無理矢理殺すような真似はできない。
「それにしても、まずはどうするかだよな」
ロキによって改造されたせいか、怪人となったその姿は、とても痛々しいものだった。
何よりも、元に戻す方法は。
「ワカラナイ、ケド、オレハシニタクナイ」
はぐれ悪魔の少年は、自分が殺されるかもしれない状況なのに、それでも死にたくないと言う。
それはそうだ。だってまだ彼は生きているのだから。
だからこそ、どうにかして助けたい。
「ウッ」
「どうしたのっ」
そう思っていると、はぐれ悪魔の少年の異変に気づくヒサメ。何かあったのかと尋ねると、はぐれ悪魔の少年が、自分の胸を押さえていた。
そして、苦しそうな表情をしながら、言葉を発する。
「ウアァッ……ヤメロォオオオッ!!!」
次の瞬間、彼の体は巨大化した。
それは、サイやゴリラを彷彿させる屈強な上半身になり、腕もゴリラのような形状になり、腰にもサイを思わせる鎧を身に纏っていた。
そして、意識はないのか、そのまま俺に襲い掛かる。「危ない!」
「おっと」
俺は間一髪で攻撃を避け、距離を取る。
「おい、大丈夫か!?」
「くそ、ロキの仕業か……」
そう言いながら、俺はベルトを巻いた。
「変身!」
【オレンジアームズ!花道・オンステージ!!】
鎧武へと変身し、そのまま大橙丸を構える。
「ぐっ」
襲い掛かる拳の衝撃、振り下ろされる足による蹴りを受け流し、隙を突いて大橙丸を振るう。
しかし、その斬撃すらも受け止められてしまい、そこから再び攻撃を受けてしまう。
「うあっ」
吹き飛ばされながらも体勢を整え着地し、無双セイバーを取り出して構える。
「まだまだ」
「駄目だよ、それじゃ、あの子が傷つけちゃう」
「それは」
暴走しているはぐれ悪魔を何とかしようとする俺だったが、ヒサメの言葉を聞いて動きを止めてしまう。
確かに彼女の言うとおりだった。
このままあの子を倒して良いのか。
それでは、まるで、理由のない悪意を屈するようだ。
「・・・いや、まだだ」
俺はそう言いながら、メロンエナジーロックシードを取り出す。
「まだ、終わっていないからな」
そう言いながら、俺はメロンエナジーロックシードをそんまま装填する。
【ミックス!ジンバーメロン!ハハー!】
鳴り響く音と共に、俺はそのままジンバーメロンへと変身すると共に、その手に持つソニックアローを構える。
「なぁ、ヒサメ。
聞きたいけど、はぐれ悪魔って、確か、悪魔の駒で悪魔になるんだよな」
「えっ、そうだけど」
「だったら」
ヒサメの言葉を聞くと共に、俺は走り出す。
狙いはもちろん、暴走しているはぐれ悪魔の少年だ。
しかし、俺の接近に気づいたのか、はぐれ悪魔がこちらに視線を向ける。
そして、そのまま腕を振り下ろしてきた。
それを、俺はソニックアローを振って弾き飛ばす。
同時に俺ははぐれ悪魔の背後へ周り、その背中を蹴って上空へと飛び上がる。
「紘汰っ」
「まぁ、見てろ」
俺はそう言いながら、ソニックアローにメロンエナジーロックシードを装填する。
【ロック・オン】
電子音が鳴ったと同時に、俺ははぐれ悪魔に狙いを定める。
同時に、目の前にある映像から、はぐれ悪魔の身体からエネルギーが集中部分が映し出され、それに向けて、ゆっくりと引き金を絞った。
「セイッ!!」
そして、俺は勢いよく矢を放つ。
放たれた矢はそのまま真っ直ぐに飛び、そして、命中した瞬間、爆発が起きた。
「ウガァアッ!?」
はぐれ悪魔は悲痛の声を上げながら地面を転げ回る。
だが、その身体は徐々に鎧が崩れ落ちていき、その姿は小さな少年へと変わっていた。
「今のは」
「原作にはないけどな。
けど、こういうのもありだろ」
「いや、どういう事なの?」
「さっき、ヒサメが教えてくれただろ。
悪魔の駒で悪魔になったて。
だったら、それを貫き、力を壊した。
ただ、それだけだ」
「そんな事は」
「不可能なんてルールはないだろ」
仮面ライダー鎧武には、ヘルヘイムの実が変身アイテムであり、同時に食べれば、もう2度と人間には戻らない。
だが、多くの仮面ライダーは怪人になった人間を元に戻す力がある。
それを込めて、俺はメロンエナジーロックシードを生成し、それを込めて変身した。
「だけど、少しは疲れた」
「おつかれさま」
地面に座り込む俺を労いながら、ヒサメは笑顔を浮かべていた。
はぐれ悪魔の少年との戦いの後、俺たちはとりあえず、はぐれ悪魔の少年を連れていった。
幸い、オーディンの爺さんに連絡し、この子を無事に保護する事になった。
一連のロキの動きを含めて、最近は世界では大きな動きが見えているらしい。