「アーシアっ!」
それは一誠にとっては、驚きを隠せない再会だった。
はぐれエクソシストとの戦いで傷ついた一誠は、公園に訪れた時、そこにいたのは、あの時、鎧武が保護したシスターアーシアだった。
「一誠さんっ、無事でしたか!」
「あぁ、なんとか。
というよりも、アーシアはなんでここに」
「その少し外の空気を吸いたいと言ったら、こうして外に出してくれたんです」
「けど、1人じゃ、「いやぁ、1人じゃないよ」えっ、うわぁ?!」
どこからか、響いた声。
それと共に一誠が振り向くと、そこには1人の女性がいた。
着物に身に纏っており、明らかに一誠好みのおっぱいを持つ事で一瞬思考は少しスケベになるが、すぐに切り替える。
「えっと、あんたは」
「私かい?
私は藤林しぐれ。
そこにいるお嬢ちゃんの護衛をしている忍だよ」
「忍って、そんなの」
一誠は思わず疑問に思う。
「まぁ、別に今は正体がばれても問題ないけどね」
「はぁ、どういう意味だよ」
「なに、すぐに忘れる事だよ」
言葉の意味が分からず、首を傾げる。
「さてっと、私は離れた所でにやにやとデートを観察しておくから。
君とアーシアちゃんはしっかりと、デートを楽しみな」
「いや、デートって」
そう、一誠はすぐに呼び止めようとしたが、藤林は一瞬でいなくなる。
「どこに」
「あははは、藤林さんって、結構自由なんですよ。
鎧武さんの所に来て、紹介された時もあんな感じでしたので」
苦笑するアーシアを見て一誠はさらに困惑するも。
「それよりも、えっと、その一緒に遊びませんか」
本来ならば、自分の主であるリアスから、接触を禁止されているアーシア。
それでも一誠は友達であるアーシアを放り出す事はできないだろうと判断し、遊ぶ事にした。
2人は街へと赴き、様々な店に入った。
そして、時間が過ぎ去り夜になる頃だ。
「もうこんな時間か、帰ろうぜアーシ」
一誠は言うと、そそくさと歩き出した時であった。
一誠の目の前に現れたのは怪物だった。
身に城塞のディテールが入った悪魔と言うべき外見をしており、全体的にメタリックな印象を持つ怪物がアーシアに近づいていた。
「一誠さんっ」
「アーシアっ」
すぐにアーシアを守る為に手を伸ばす。
だが、怪人はすぐに一誠に向けて、両目から光線を放つ。
「がぁあ!!!」
一瞬で鋭い痛みが一誠に襲い掛かる。
それはまるで体の内部を溶かすような苦痛であり、一誠はあまりの痛さに意識を失いそうになる。
「一誠さんっ!」
聞こえるアーシアの悲鳴に、一誠はすぐにでもアーシアを助けようと、立ち上がろうとするも、全身に激痛が発生してまともに動けなかった。
(なんだよこいつっ!?)
必死にもがく一誠に対し、さらに怪人は両眼からは光線を放ち続ける中、突如として横からの炎の柱が走る。
「まったくっ、こいつは厄介だねっ」
そう言いながら、出てきたのは藤林だった。
手には武器となる札を持っており、怪人をアーシアから離す。
「あんたは」
「あぁ、アーシアの護衛の藤林だよ」
「そうだ、確か」
それと共になんとか思い出す。
あれ程印象に残っているはずの彼女をなぜ忘れていたのか。
「それよりも、はやくアーシアを連れて逃げな。
あいつを相手に、あんたじゃ役立たずだよ」
「それはっ」
藤林の言葉を否定したかった。
だが、目の前にいる怪物の放った攻撃に対して、一誠は恐怖していた。
心はなんとか勇気を出して、立ち向かいたかったが、身体は正直で震えが止まらなかった。
「ほらっさっさとっちっ!!」
そうしている間に、藤林の声が響く。
同時にその声の方向は自分の後ろだと感じる。
そこには、先程の怪物が再び目を真っ直ぐと、一誠に向けていた。
「ッ!!」
その事実を前にして思わず身震いをすると同時に足が動かない自分に腹を立てると、今度は背後からも強烈な弾丸の嵐が、一誠の後ろから放たれる。
その弾丸は一誠には当たらず、そのまま怪物へと当たる。
【ソイヤッ!ウォーターメロンアームズ!乱れ玉・ババババン!!】
聞こえた音、それに釣られて、一誠は後ろを見る。
そこには、メロンディフェンダーとスイカアームズのバルカン砲を合わせたようなデザインのガトリングガン、ウォーターメロンガトリングを手に持つ鎧武が立っていた。
「鎧武」
それは再び自分が助けられた事に気づく。
「さっさと逃げろ。
ここからは、俺のステージだ」
同時に鎧武から言われた一言。
突き放されたように、一誠が邪魔だと言わんばかりの言葉。
そして、それが事実だと一誠は思う。
自分は確かに弱い事は理解しているが、それでも自分にとって大切な人達が傷つき倒れる所を見たくはない。
だからといってこのままではアーシアは殺されてしまうし、自分もここで殺される可能性が高い事も分かっている。
それは、これまで一般人として生きてきた彼にとっては求めるのは酷な話だった。
そうしている間にも鎧武と怪人の戦いが始まる。
怪人は縦横無尽に、瞬間移動を繰り返しながら、一誠やアーシアを狙っていた。
それに対して、鎧武はその手に持つ無双セイバーで近づけば斬り、遠く離れた時にはウォーターメロンガトリングで牽制する。
その戦いの次元は、既に一誠が理解できる領域ではなく、アーシアを守れそうなのは藤林しかいないだろう。
だからこそ、一誠はすぐにアーシアを連れ出す為に立ち上がろうとする。
だが、体が動かなかった。
全身を走る激痛のせいで、一誠はすぐに立ち上がる事ができなかった。
(なんで、俺はこんな時にっ)
そう自問しながらも、一誠は自分を許せないと思った。
「っ、おい馬鹿っ!!」
「えっ」
聞こえた声、それと共に一誠は近くにいるはずのアーシアを見る。
しかし、彼女は空を飛ぶ堕天使、レイナーレに連れ去られていた。
「へぇ、あの鎧武を足止めできるなんて、とんでもない怪物ね。
ならば、今のうちね」
「一誠さんっ!!」
空を飛び、その場から離れようとする。
「アーシアっ!
「逃がすっ」
一誠は手を伸ばし、そう藤林はすぐに攻撃を仕掛けようとする。
だが、怪人が、その行く手を阻む。
「ひっ」
恐怖。
それが一誠の身体を支配し、立ち向かう気力を一気に奪う。
そして、そうしている間にも、アーシアはレイナーレによって、攫われる。
「っ!!」
そして、一誠の前で怪物が再び攻撃を行う。
最初に騙され、殺された瞬間。
そして、今、目の前に起こるだろう自分の最後。