レイナーレによって、攫われたアーシアを助ける為、一誠は彼女がいると思われる場所、教会に訪れた。
初め、主であるリアス・グレモリーにその事を断れたと思った。
しかし、彼女は彼の事を思い、自身の眷属である木場と小猫を共に向かわせた。
(今度こそ。
俺は、アーシアを助ける自分に変身する)
鎧武に言われた言葉を胸にしながら、教会へと向かう。
教会のドアを開くと共に目の前には
「よいしょぉ!」
「いやあぁぁぁ!!」
金髪の巨乳のお姉さんが暴れていた。
その光景に先程まで真面目な雰囲気を出していた一誠達は一瞬で呆けてしまう。
「いやぁ、こういうの、1度やってみたかったんだよね。
んっ、あんたらは?」
そうしていると共に一誠の方へと目を向ける。
腰まで伸びた金髪に胸元を隠す程度の黒い布、そしてジーパンなどの多くの特徴を持つが何よりも気になるのは、まるで獅子を思わせる特徴のある部位。
頭に、腕に、さらには尻尾であり、とても人間には見えなかった。
「姉様っ」
「んっ?」
一瞬、その人を見た小猫は何か驚いたように目を見開いた。
「お嬢ちゃん、どっかで会った事があるか?」
「えっ、いえ」
何か戸惑いを隠せない様子で、見つめる。
「ふぅん、よく分からないけど、あんたら、下に用があるんだったら、さっさと行きな」
ひらひらと、特に気にした様子もなく、その人は告げる。
「あんたは」
「私かい?
ふむ、そう言われると難しいね。
正義の味方というのはしっくり来ないし、ふむ、まぁそうだね。
今はあんたらと同じ目的で動いている奴だと考えて良いよ」
「同じ目的って、まさかアーシアを」
「そうそう、それでんっ?」
一誠はそう言うと共に地下から何かが上がってくる気配を感じる。
見れば、そこにはスフィンクスを思わせる怪人が立っていた。
「あいつはっ」
「一誠君が言っていた」
「謎の怪人」
その出現に一誠達は一気に戦う為の姿勢を取る。
「ちっ、まったく。
あいつはどこまで広げているのか」
「あんた、あの怪人を知っているのか」
「まぁね。
それよりも、あんたらはさっさと行きな」
女性はそのまま奥にある扉を開き、中に入るよう促す。
「おい、待ってくれ! 俺達も一緒に行くぞ」
「……あなただけじゃ心配です」
「僕達が行けば戦力が増える筈だ」
3人の言葉を聞きながらも女性は首を横に振る。
「あんたらじゃ、役立たずも良い所だよ。
それに、そろそろ来るしね」
「来るって、誰が」
そうして、疑問に思う中で、一誠達の横を通り過ぎるように、桜の花弁が舞い散る。
その桜の花弁が何なのか分からず、疑問に思いながら、一誠の目の前にいたのは
「鎧武」
サクラハリケーンに乗り、現れた鎧武だった。
「よっ、遅かったな」
「色々とあったからな。
けど、間に合ったようだな、レオーネ」
そう鎧武は、目の前にいる女性の名であるレオーネを呟く。
同時に、大橙丸と無双セイバーを鎧武は怪人に向けて構える。
「ああ、お前のおかげで助かった」
「まずは、こいつらを片付けるのが先決だろう。
アーシアの事はそこにいる奴らに任せるとしようぜ」
レオーネはそう笑みを浮かべながら一誠達に向ける。
この場において、間違いなく力があるのは鎧武。
そんな彼がアーシアの救出に向かえば、助かる可能性は大きくある。
だが、同時に怪人を確実に倒せるのは鎧武だけだった。
自身が犠牲になれば、アーシアを助けられるかもしれない。
しかし、そんな考えよりも、一誠は
「頼む、アーシアは俺達に任せてくれ」
決意を込めるように言う。
力不足なのは、一誠自身も分かっている。
それでも、彼は、アーシアを自分の手で助ける為に、戦わなければならない。
「……分かったよ。
けど、死ぬんじゃないよ」
そう言い残しながら、レオーネに促されるように、階段を下っていく。
それを見送り、鎧武に向けてレオーネは言う。
「それにしても良いのかい?
あいつらに任せて」
「良いんだ。
俺ができる事はあまりにも少ない」
鎧武はそれと共に無双セイバーと大橙丸を構える。
「だからこそ、こいつだけは俺が倒す」
その言葉と共に怪人に構える。
「まったく、意地になりすぎだろ。
まぁ良いよ、付き合ってやるよ」
「悪いな、レオーネ」
二人はそのまま駆け出し、そして戦いが始まる。
怪人はその手の持つ杖を鎧武とレオーネに向けて放つ。
鎧武は大橙丸と無双セイバーで切払い、そしてその隙を狙い、レオーネが懐に入り込む。
「はあ!」
その一撃は見事に決まり、怪人は吹き飛ぶ。
「痛ぇ、あいつ身体が結構硬いな」
レオーネはそう言いながら、攻撃した手を見る。
「けど、ダメージは通っている。
なら、このまま押し切るぞ」
「了解」
2人はそう言うと共に再び走り出す。
同時に怪人もまた、その手に持った杖を振るう。
その威力は凄まじく、地面が砕け散り、瓦礫が飛び散る。
だが2人の動きは止まらず、レオーネは怪人に近づき、その拳を放つ。
それに対して怪人は腕を盾のように使い、防ぐ。
その瞬間に鎧武が大橙丸を振り下ろし、その刃を怪人の腕に食い込ませる。
その痛みに怯む怪人に対し、レオーネは怪人の腹に向かって蹴りを放ち、怪人を吹き飛ばす。
だが、それに合わせるように杖から光弾を放ってくる。
それはレオーネだけでなく、鎧武にも向かってきた。
咄嵯の判断か、鎧武は無双セイバーを取り出し、銃弾を撃ち込み、相殺する。
その間に、怪人は体勢を整え、鎧武とレオーネに向けて、無数の光球を放った。
鎧武はそれを無双セイバーの銃身を使い、弾き飛ばし、レオーネも回避していく。
だが、その数の多さに捌ききれず、直撃を受けてしまう。
「ちっ、やっかいな」
「大丈夫か?」
「問題無いよ。
それよりも、あんたはどうなんだい」
「問題ない。
けど、少し試すか」
そう言い、鎧武が取り出したのは別のロックシードだった。
【スターフルーツ】
それは、これまで鎧武が使用していなかったロックシードだった。
ロックシードの音声が鳴り響くと共に、そのまま戦国ドライバーに装填されていたオレンジロックシードを入れ替える。
【ソイヤッ!スターフルーツアームズ!天・星・大・成!!】
頭上から降りてきたのは、スターフルーツ型のアーマを身に纏う。
その姿はまるで中華の格闘家を思わせるアーマーであり、スターフルーツを模した鉤爪、スタァクロウズを構える。「さてっと、合わせられるか」
「誰に言っている」
そう鎧武の言葉にレオーネは笑みで答えながら、走り出す。
怪人はその手に持つ光線を次々と放ってくるが、鎧武はスタァクロウズでその軌道を逸らし、そのまま怪人へと迫る。
同時にレオーネは怪人の懐に入り込む。
だが、それを許すほど、怪人は甘くない。
すぐさま、レオーネに対して杖を向ける。
その瞬間、レオーネは口元を歪ませ、その視線を怪人ではなく、鎧武に向ける。
【ソイヤッ!スターフルーツスカッシュ!】
鳴り響く音と共にスタァクロウズにエネルギーが集中していく。
そして、鎧武とレオーネの同時の一撃が怪人の身体を貫く。
その衝撃によって、怪人は吹き飛ばされ、壁に激突し、そのまま爆散する。
「ふぅ」
戦いが終わり、振り向く。
そこには、先程まで地下へとアーシアを助ける為に向かっていた一誠の姿があった。
しかし、その腕にはアーシアの姿はあったが、息はしていなかった。
「あんた」
「俺は助けられなかったっ。
変わろうとしても、変われなかった。
俺は」
後悔の言葉が、一誠の口から漏れる。
それに対して、レオーネがすぐに声を出す前に、一誠を掴んだのは、鎧武だった。
「まだ、終わっていないだろ」
そう、まるで鬼気迫るような、仮面越しでの言葉。
一誠はそれに対して
「アーシアを助けられなかったかもしれない。
その子が死んでしまい、後悔する気持ちはありかもしれない。
けど、お前の戦いは、まだ終わっていないだろ」
それはとてもヒーローが出す言葉ではなかった。
きっと、本物の鎧武ならば、言わない言葉だろう。
それでも、彼は一誠に向けて言う。
「お前が立ち上がらないで、誰がその子の為に戦うんだ」
それは一誠の腕の中で死んだアーシアの事だろう。
変わる事ができず、死への恐怖で、心が死んでいた一誠。
だが、鎧武の言葉が、その心は今
「ちっ、あの怪人は役に立たなかったのか」
仇であるレイナーレを目の前にして、再び蘇る。
「鎧武。
あんたが何者か分からないし、俺にとっては、もしかしたら敵かもしれない。
けどさ」
その言葉と共に一誠の手に宿る龍の籠手が現れる。
「間に合わなくても約束は果たす!
俺は、もう2度と、大切な人を助けられない自分にはならない。
だから」
龍の籠手は形を大きく変わる。
「見ててくれ!俺の変身!!」
同時に、龍の籠手は大きく形状を大幅に変化する。
それを見て、レイナーレは戸惑いを隠せなかった。
「なっ何よそれっ」
「はあぁあっぁあl!!」
変化した龍の籠手を抱えながら、一誠は走り出し、その拳を振るう。
その拳は、今までの物とは比べものにならない程の威力を誇り、その拳は、レイナーレに向かっていた。
「こんなのにっ」
その威力を察したレイナーレはすぐにその場から離れようとした。
だが
【オレンジチャージ!】
鳴り響いた音と共に、レイナーレはオレンジ色のエネルギーに閉じ込められる。
状況が分からず、戸惑う中で、鎧武は既にオレンジアームズに変身していた。
身動きが取れなかったレイナーレに対して、一誠はその拳を握り締める。
「おおぉおおっ!」
一撃。
その拳はレイナーレの身体を吹き飛ばし、地面に叩きつける。
一連の事件を全て終わらせる一撃だった。
「勝てたのか」
そう、一誠自身は未だに戸惑いを隠せない表情だった。
「少しは変われたようだな、一誠」
「鎧武」
そう一誠が振り返ろうとした時、鎧武とレオーネは既にその姿はなかった。